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ITサービスデスクとは?AIを活用した次世代の従業員サポート基盤を解説
ITサービスデスクとは、組織のIT部門の核となるサポートチームであり、IT関連のあらゆる問い合わせや問題に対する窓口の役目を果たします。この記事では、ITサービスデスクの重要性や効果に加えて、AIを活用した業務効率化や生産性向上のポイントを解説します。
更新日: 2024年11月16日
ITサービスデスクとは?
ITサービスデスクとは、組織のIT部門の核となるサポートチームであり、IT関連のあらゆる問い合わせや問題に対する窓口の役目を果たします。ITサービスを顧客に提供する人材に加えて、サービスを提供するために使用するソフトウェアを含めてITサービスデスクと呼びます。ITサービスデスクは、さまざまな部門のユーザーからの多様な問い合わせに対して、迅速かつ正確・柔軟なテクニカルサポートを提供することで、企業の円滑なIT運用を実現します。
ITサービスデスクは、事業をスムーズに進める上での基盤であり、各部門・チームが成功するために必要なサポートやツール、リソースを着実に利用できる環境を整えます。サービスデスクはかつては単なるサポートチームと考えられていましたが、現在は従業員の生産性と満足度を劇的に向上できる組織として重視されています。
AIを活用したITサービスデスクソリューションの台頭により、企業はより素早く、状況に応じた支援を積極的に提供できるようになりました。この記事では、現代の企業が円滑に業務を遂行する上でITサービスデスクが果たす重要な役割を詳しく解説します。
目次
- ITサービスデスクの重要な機能
- ITサービスデスクが企業にもたらす効果
- ITサービスデスクとITヘルプデスクの違い
- ITサービスデスクのユースケース
- よくある質問と回答
- ITサービスデスクで従業員向けサービスの品質を向上
ITサービスデスクの重要な機能
AIを活用したITサービスデスクは、チームがより生産的かつ効率的に仕事を進めることを目指した広範な従業員向けサービス戦略において、重要な役割を果たします。実際に、ZendeskのEXトレンドレポート 2024では、ITおよび人事部門のリーダーの80%近くが「AIの機能を活用することでチームメンバーの仕事の品質が高まった」と回答しています。
以下に、従業員のニーズに対応する上でITサービスデスクに求められる主な機能・特徴を解説します。
- 従業員がいつも使っているチャネルで便利でパーソナライズされたサービスを提供: ITサービスデスクは、勤務地や職種、働き方などが異なる従業員をサポートする必要があります。ここで役立つのが、Webやモバイル、その他企業が社内コミュニケーションに利用しているメッセージアプリでやりとりできるオムニチャネル型アプローチです。オムニチャネルでは、従業員が頻繁に使用するSlackやMicrosoft Teamsなどのチャネルでサポートを提供し、より速くチケットを解決に導けます。
- AIと自動化で従業員向けサービスとインシデント管理を合理化: ほぼすべての業務にAIを組み込んだサービスデスクなら、必要な情報に即座にアクセスできます。AIはサポート担当者に回答に最適なテンプレートの提案を行い、速さと一貫性に秀でたサポートの提供と問い合わせの解決を可能にします。また、AIは問い合わせの目的を評価したり、追加するべきサービスの自動化を新たに提案したりできます。
- エンタープライズグレードの高度なプライバシーとセキュリティ機能で従業員データを保護: 高度な暗号化機能と認証機能を備え、セキュリティ面を重視したサービスデスクなら、従業員の機密情報を保護できます。さらに、ITサービスデスクは組織内のあらゆる部門や職種、チームの窓口となるため、問い合わせやファイル、あるいはその他の情報に個別にアクセスできるように複数の権限を与える機能も必要です。
- データを通じてリーダーが適切な判断を下せるように支援:EXトレンドレポート 2024では、ITおよび人事部門のリーダーの83%が「AIツールから得た有益なデータのおかげで、情報にもとづいて決定を下せる」と回答しています。レポート作成機能を備えたサービスデスクなら、トレンドに関するデータを含む旬な情報を提供でき、継続的な改善を行う上で集中的に取り組むべき領域を導き出せます。セットアップや使い方を学ぶために多くの時間を費やすことなく、導入後すぐに使用できるツールが理想です。
- セルフサービスを促進: 従業員がサポートを必要とする際に確実に対応できるように、サービスデスクではAIを組み込んだ従業員向けセルフサービス(従業員自身による解決)機能を充実させて、365日24時間にわたり精度の高いサポートを提供する必要があります。たとえば、AIエージェントをはじめとするインテリジェントなサービスデスクボットは、ナレッジベースと連携して、ユーザーからの問い合わせに対して、解決につながる記事を自動で提案し、ユーザーの自己解決を支援します。
ITサービスデスクは、何よりも従業員のニーズを第一に考えて対応します。上記の機能・特徴を網羅しているITサービスデスクなら、従業員向けサービスをスピーディーかつ正確に、個々の状況に応じて提供できます。
ITサービスデスクが企業にもたらす効果
優れた社内サポートを受けることができれば、従業員はストレスなく、自分の業務に集中して取り組むことができます。
業務の効率化
ITサポートへの問い合わせが増加している場合、IT部門にチケット管理システムを導入して、増加した問い合わせの管理に活用するべきです。たとえば、AIエージェントと自動化を備えたITサービスデスクツールなら、問い合わせの受付から解決まで迅速に対応できるため、従業員の待機時間を最低限に抑え、従業員は生産性を落とさずに仕事に取り組めるようになります。Zendesk AIエージェントは目的や感情、言語を特定できるため、人間が関与することなく、各従業員に合わせたサポートを提供することができます。ZendeskのAIは、ITサービスデスクとユーザーのやり取りの80%を自動化して、サポート効率を最大限まで高められます。
従業員満足度の向上
セルフサービスにAIを組み込むことで、従業員はいつでも好きなときに答えを探せるため、待機することもなければ、手間を掛けて問い合わせる必要もありません。これは、時間の節約やストレスの軽減に役立つだけではなく、自己解決を促し、より有意義な従業員体験にもつながります。
問い合わせの内容やサポートを受けるチャネルに関係なく、一貫性があり精度の高いサポートを自動で提供できれば、従業員は円滑に仕事を進められるようになり、満足度が高まります。
積極的なIT管理の促進
ITサービスデスクに搭載されたレポート作成ツールや分析ツールから、ユーザーの問い合わせやトレンド、共通する問題を把握する際に有益なデータを得られます。このようなデータを分析することにより、IT部門および企業のリーダーは、問題が大きくなり組織全体に広がる前に問題の芽を特定し、積極的に対処して社内の従業員向けサービスを改善できます。
たとえば、特定のアプリに関連する問い合わせが急増している場合、バグの発生やシステム更新の必要性を示唆している可能性があります。こういった問題を予測できれば、IT部門は次善策の準備など、影響を軽減するための策を講じることができます。このプロアクティブなサポートにより、サービスの品質向上のほか、IT環境の安定性と生産性の改善が期待できます。
コラボレーションの改善
複数のチャネルの使用を求めたり、あるいは問題によって異なるチームへの連絡を従業員に強いると、混乱や非効率なやり取りが生じる可能性がありますが、ITサポートの窓口を1つにしておくことで、この問題を回避できます。このように、ITサービスデスクでは、すべてのIT関連の問い合わせは単一のシステムを通じて振り分けられるため、即座に対応できるようになります。
従業員とIT部門のスタッフの間で効率的にコミュニケーションを取れるようになり、部門やチームをまたぐ協力関係の構築に役立ちます。ITチームは、ユーザーのニーズと課題をより正確に理解でき、一方の従業員は1つの窓口で懸念を伝え、個々の状況に適した支援を適時受けられます。
セキュリティの強化
堅牢なセキュリティ機能を備えたITサービスデスクツールは、適切に認証を受けたスタッフにのみアクセスを制限したり、セキュリティ上の懸念を報告するための安全なプラットフォームを用意したりすることで、企業が保有するデータを保護します。他にも、ユーザー名とパスワード以外の認証情報を求める多要素認証を用いて、承認を受けていないユーザーによる機密データへのアクセスを防ぎ、安全性を高められます。
また、サービスデスクには、不審なアクティビティやセキュリティ違反の可能性がある行為に気づいた際に報告できる安全なチャネルも備わっています。そのため、ITチームは速やかに、効果的に脅威の調査を実施し、対処できます。ITサービスデスクは安全性を重視し、企業のデータ保護や安全なIT環境の実現に貢献します。
ITサービスデスクとITヘルプデスクの違い
ITサービスデスクとITヘルプデスクはどちらもITサポートを提供しますが、ITサービスデスクはヘルプデスクと比べてより包括的で戦略的なアプローチでサポート業務に臨みます。ITヘルプデスクは通常問い合わせを受けてから対応を行い、目下の技術的な問題の解決に専念します。製品やサービスに関する疑問の答えを得るために従業員が頼りにする部門・チームです。
一方、ITサービスデスクにはインシデント管理やサービスリクエスト(ソフトウェアのインストールなど)、ナレッジベースへのアクセスなど広範なニーズに応じます。質問への回答にとどまらず、修理の要請にもITサービスデスクは対処します。さらに、ITサービスデスクは、トレンド分析やサービスレベルアグリーメント(SLA)などプロアクティブな取り組みを優先して実行し、ITサービスを企業全体の目標に合わせて調整します。
ITサービスデスクのユースケース
ITサービスデスクはITサポートの拠点として、従業員のさまざまなニーズやリクエストに対処可能です。日常的な業務から複雑なITプロジェクトまで、サービスデスクはIT運用の効率的な活用と従業員向けサービスの強化になくてはならない存在です。以下に、ITサービスデスクの一般的なユースケースをご紹介します。
- 変更管理を支援: サービスデスクはシステム変更に関するコミュニケーションを効率よく行う際に役立つ機能を備えており、円滑なシステムの移行を可能にします。また、ITサービスデスクは従業員のフィードバックを追跡して、変更に対する否定的な反応を監視したり、変更管理戦略の調整に役立てることができます。
- テクニカルサポートのコストを削減: 繰り返し発生するタスクの自動化のほか、セルフサービスのオプションの提供や一元管理可能なナレッジベースの提供を通じて、ITサービスデスクは人間のサポート担当者が対応する問い合わせを減らすことで、大幅なコスト削減を導きます。
- セキュリティ面の懸念の管理: ITサービスデスクツールはセキュリティ関連のインシデントを報告できる一元管理型プラットフォームを備えており、IT部門は即座に確認し、調査を開始できます。また、パスワードの入力やアクセス権限管理などセキュリティポリシーおよび安全性を高めるための手続きをユーザーに強制し、機密データを保護します。たとえば、セルフサービス使用時のパスワードをリセットするオプションを用意することで、従業員は速やかにアクセスを再開できるようになり、ITスタッフの負担軽減につながります。さらにパスワードリセットの試行を追跡して、潜在的なセキュリティリスクを特定することも可能です。
- ワークステーションの移行または新規開設: ITサービスデスクは、ワークステーションの設定と移動に伴う管理作業を調整して、従業員が必要な機器やソフトウェアを使って初日から生産的に仕事を進められる環境を整備します。その上、アセットの在庫状況の追跡や機器のライフサイクル管理にも有効です。
- アプリケーションの問題のトラブルシューティング: サービスデスクはアプリケーション関連の問題の窓口としての役割を果たし、チーム・部署の効率向上に加えて、ITチームと従業員がストレスを感じることなく円滑に業務に取り組めるように支援します。また、ITチームがトレンドを特定してソリューションを実装できるように一般的な問題に関するデータの収集にも努めます。
ITサービスデスクは上記のプロセスを合理化できるだけではなく、円滑な業務の実行を支援しながら、従業員が従来の担当業務に集中できる環境をつくります。最終的に、ITサービスデスクは効果的に従業員向けサービスを提供することで、質の高いデジタルワークプレイスの実現において主導的な役割を果たします。
よくある質問と回答
ITサービスデスクで従業員向けサービスの品質を向上
ITサービスデスクはITサポート業務を合理化して、従業員の満足度向上や運用効率の改善を導き、企業に大きなメリットをもたらせます。ITサービスデスクのメリットを極限まで高めるためには、企業独自のニーズと目標に適したソリューションを選択しなければなりません。ITサービスデスクツールのご購入をご検討の際は、各ツールの拡張性やインテグレーション機能、使いやすさなどを比較することをお勧めします。
Zendeskは問い合わせ管理をはじめとして、FAQの作成やチャット・チャットボットの導入など、ITサービスデスクに必要なあらゆる機能を備えています。無料トライアルをご用意しておりますので、ぜひZendeskをお試しください。