【2024年版】IVR解説ガイド【5選】
更新日: 2025年1月3日
多くの人は、カスタマーサービスに電話をかけたときに長時間待たされたり、部門間でたらい回しにされたりしてイライラした経験があると思います。 IVR(自動音声応答システム)を導入すれば、顧客を適切な部門にルーティングしたり、折り返し電話をかける日時を顧客に設定してもらったり、一般的な質問にはIVRが直接回答したりすることで、このような問題を軽減できます。
企業やコンタクトセンターでたくさんの問い合わせに対応するためにはIVRが必要不可欠です。 しかし、すべてのIVRが同じというわけではなく、 貴社に適したものを選ぶことが非常に重要です。 情報にもとづいて意思決定できるよう、本記事ではIVRのプロバイダーとソリューションについてまとめており、それと併せてよくある質問にも回答しています。
このガイドの詳細:
- IVR(自動音声応答システム)とは?
- IVRの仕組み
- IVRソリューションに求めるべき機能
- IVR比較表
- IVRプロバイダー5選
- 適切なIVRソリューションの選び方
- よくある質問
- カスタマイズ可能なIVRの無料トライアル
IVR(自動音声応答システム)とは?
IVR(自動音声応答システム)とは、電話を発信した相手とやり取りして情報を収集し、適切な担当者に通話をルーティングする自動電話技術です。 IVRによって大量の通話を効率的に管理したり、待ち時間を短縮したり、顧客が自分で問題解決できるようにリソースを提供したりすることで、問い合わせを迅速に解決できるように支援し、カスタマーサービス業務を合理化できます。
IVRの仕組み
IVRは、事前に録音した音声メッセージやメニューで発信者に選択肢を提示します。そして発信者側は、使用している電話のボタンや自身の音声によってシステムを操作できます。 IVRを活用すると、設定に応じてさまざまなことが可能となります:
- 発信者情報の収集
- 発信者の入力情報に応じたルーティング
- 情報の提供
- 支払いの回収
また、IVRは他のコールセンターツールと統合して機能を補強することもできます。
IVRソリューションに求めるべき機能
下記の機能が備わったツールを選択し、IVRソリューションを最大限に活用しましょう。
- IVRスクリプト作成ツール: 発信者が自動音声応答システムを簡単に操作できるように、メッセージや指示を事前に録音することができます。 これで発信者は、求めていた回答やサービスに辿り着けます。
- IVRワークフロービルダー: IVRの設計とカスタマイズが可能なビジュアルツールです。広範なプログラミング知識は必要ありません。 ドラッグアンドドロップで操作できるインターフェイス、カスタマイズオプション、他のシステムとのインテグレーションを提供しており、発信者にとって最適な体験を実現します。
- コールルーティング: 効率的なコールルーティングによって問い合わせ内容に最適なサポート担当者または部門に通話を転送することで、問題を迅速に解決します。 サポート担当者の都合、スキル、作業能力、問い合わせの優先度などの要因がルーティングの基準になります。
- 統合: CRMシステム、ヘルプデスクソリューション、その他のビジネスアプリケーションとの統合により、シームレスなデータ共有やデータ接続が可能になります。 円滑に統合するためのネイティブなインテグレーションやAPIを提供しているか、プロバイダーに確認してください。
- 分析とレポーティング: 堅牢な分析およびレポーティングツールによって、件数、時間、解決時間などの通話指標に関するインサイトを入手できます。 ここで得られたインサイトによって、企業はパフォーマンスのモニタリング、傾向の特定、データにもとづいた意思決定を行うことができます。
- オムニチャネルサポート: 現代の顧客は、電話だけではなく複数のチャネルを通じてコミュニケーションを取りたいと思っています。 このような期待に応えるためには、企業にはさまざまなサポートチャネルをシームレスに統合できる包括的なカスタマーサービスソリューションが必要です。 たとえば、折り返し電話だけではなくテキストメッセージによる返信日時を顧客側から設定できるIVRであれば、顧客にさらなる柔軟性を提供できます。
IVR比較表
各IVRツールについてまとめているので、重要な基準にもとづいて比較検討してみてください。
ソフトウェア | 最低料金 | 無料トライアル | 主な機能 |
---|---|---|---|
Zendesk | エージェント1人あたり月額55ドル(年払い) | 14日間 |
|
Twilio | アクティブユーザー1人あたり毎時1ドル | 5,000時間 |
|
CloudTalk | ユーザー1人あたり月額25ドル(年払い) | 14日間 |
|
Aircall | ユーザー1人あたり月額30ドル(年払い) | 7日 |
|
GoTo Connect | 要問い合わせ | 利用不可 |
|
IVRプロバイダー5選
5つのIVRプロバイダーについてご紹介しますので、理解を深めましょう。
1. Zendesk
カスタマーサービスチームに最適
ZendeskのIVRは変化に対応できて信頼性があり、安全なうえカスタマイズも可能です。 小規模なスタートアップ企業でも大企業でも、ZendeskのIVRはさまざまな通話件数に対応でき、ビジネスの拡大とともに拡張することができます。 それと同時に、Zendeskのクラウドベースのインフラストラクチャは高い信頼性を確保しており、安定したサービスを途切れることなく提供しているため、顧客がカスタマーサービスに問い合わせをしたいときにいつでも連絡できます。
ZendeskのIVRスクリプト作成ツールおよびワークフロービルダーツールでは、IVRメニューのカスタマイズ、ルーティングワークフローの作成、一般的な質問に対する回答の事前録音、具体的なニーズに合わせたメッセージの作成を簡単に行うことができます。 使いやすさにも優れているため、技術的な知識がなくてもIVRの設定や変更を簡単かつ迅速に行えます。 さらに、他のシステムとも柔軟に統合できるため、カスタマイズと機能性の幅が広がります。
包括的なレポーティングおよび分析ツールも提供しており、AIを搭載した品質管理機能を利用できるため、コールセンターのパフォーマンスをリアルタイムでモニタリングしたり、解約リスクを特定したり、情報にもとづいた意思決定を行えるようになり、業務改善につなげられます。 ZendeskはGDPRを含む業界の基準や規制に準拠しているため、企業は非常に高度なデータセキュリティを維持しながら法的要件を遵守できます。
最後に、オムニチャネル型カスタマーサービスソリューションによってメール、チャット、SNSのメッセージを管理する場所と同じところから通話、ボイスメール、テキストにも対応することができます。 オムニチャネルルーティングによって、エージェントの状況、作業能力、スキル、会話の優先順位などの要素にもとづいて、すべてのサポートチャネルにおいて顧客を適切なエージェントまたは部門にシームレスにルーティングすることができます。 AIを利用したインテリジェントルーティング機能による補強が可能で、目的、感情、言語にもとづいて通話を転送できるようになります。
機能と特徴:
- IVRスクリプト作成とワークフロービルダー
- コールルーティング
- オムニチャネルサポート
- 1,500種類以上のアプリと統合機能
- 分析とレポーティング
- セキュリティとコンプライアンス
- 品質保証
- 生成AI
- 通話録音
- コールモニタリング
- コール転送
- 挨拶文のカスタマイズ
料金プラン: エージェント1人あたり月額55ドルから。 14日間の無料トライアルが利用可能です。
Zendeskの料金プランの詳細はこちらから。
2. Twilio
技術的専門知識があるコールセンターチームに最適
Twilioは、企業によるリアルタイムコミュニケーションアプリケーションの構築および利用が可能なクラウドコミュニケーションプラットフォームです。 開発者は音声通話、SMS、チャット、メール、動画などのさまざまなコミュニケーション手段を直接アプリケーションに統合できます。
バーチャルエージェントが利用可能で、通話を削減したり、顧客の背景情報を収集したり、複雑な問い合わせをサポート担当者にエスカレーションしたりできます。 セルフサービスオプションによって、注文の処理、請求書の支払い、アポイントの日時設定が可能です。 アカウントの更新や発送確認について顧客に積極的に連絡できるように、通知を設定することもできます。
通話時のパフォーマンス、顧客の行動、サポート担当者の有用性を確認できる分析ツールを搭載しています。 グローバルミーティング機能により、地理的に離れた場所にいるチームメンバーや顧客とのビデオ会議が可能になります。 また、モバイルアプリを使用して外出先からコンタクトセンターを管理することもできます。
機能と特徴:
- IVRスクリプト作成とワークフロービルダー
- コールルーティング
- オムニチャネルサポート
- インテグレーション
- 分析とレポーティング
- セキュリティとコンプライアンス
- モバイルアプリ
- グローバルミーティング
料金プラン: アクティブユーザー1人あたり1時間1ドルから。 5,000時間の無料トライアルが利用可能です。
お勧めの参考資料: Twilio FlexとZendeskの統合について詳細をご確認ください。
3. CloudTalk
営業に特化したコールセンターに最適
CloudTalkは、営業チーム、サービスチーム、業務チーム、ITチーム向けのクラウドベースのIVRプラットフォームです。 キューイングシステムによって顧客の通話を自動管理し、事前に定義したルールやサポート担当者の都合にもとづいて適切なサポート担当者に通話を割り振ります。 さらに国際電話番号を提供しており、複数の国において企業としての存在感を確立することができます。
オムニチャネル機能により、音声通話、SMSメッセージ、チャットなど、顧客が好むチャネルで相手とつながることができます。 また、GDPRに準拠した2要素認証とデータ暗号化により、情報を保護しています。
機能と特徴:
- IVRスクリプト作成とワークフロービルダー
- コールルーティング
- オムニチャネルサポート
- インテグレーション
- 分析とレポーティング
- セキュリティとコンプライアンス
- 国際電話番号
- スマートなキューイング
料金プラン: ユーザー1人あたり月額25ドルから(年払い)。 14日間の無料トライアルが利用可能です。
お勧めの参考資料: CloudTalkとZendeskの統合について詳細をご確認ください。
4. Aircall
教育企業に最適
Aircallは、教育、マーケティング、ヘルスケア、金融サービス企業向けのソリューションを備えたIVRで、ビジネスコミュニケーションに最適です。 ビジュアルエディターを使用して、IVRの電話番号、メッセージ、保留音を設定できます。 また、時間帯に応じて異なる動作をするようにIVRをカスタマイズすることもできます。
通話録音機能によって通話を録音して保存し、品質管理、トレーニング、コンプライアンス遵守に活用できます。 通話件数、通話時間、サポート担当者のパフォーマンスなどの通話指標に関するインサイトを含めたレポートを作成できます。
また、SLA(サービスレベルアグリーメント)管理機能も搭載しているため、パフォーマンス目標を設定して追跡し、カスタマーサービスの基準を維持することができます。 さらに、100を超える事前構築済みのインテグレーションを備えており、さまざまなCRMシステム、ヘルプデスクソリューション、その他のビジネスツールとの接続が可能です。
機能と特徴:
- IVRスクリプト作成とワークフロービルダー
- コールルーティング
- インテグレーション
- 分析とレポーティング
- セキュリティとコンプライアンス
- サービスレベルアグリーメント
- 通話録音
料金プラン: 1ライセンスあたり月額30ドルから(年払い)。 7日間の無料トライアルが利用可能です。
お勧めの参考資料: AircallとZendeskの統合について詳細をご確認ください。
5. GoTo Connect
画面共有に最適
GoTo ConnectのIVRは、メニューやプロンプトを録音して作成することができ、連絡してきた顧客にコールセンターを案内することができます。 顧客は、簡単な問題であればセルフサービス機能を選択することも可能です。そして、複雑性の高い問題であれば、サポート担当者と話すことができます。 コールルーティングツールによって、発信者ID、時間帯、サポート担当者のスキルや都合にもとづいて通話を割り振れます。
通話にすぐに対応できない場合、キュー内コールバック機能によって顧客を仮想のキューに入れ、サポート担当者が対応できるようになったら折り返し電話をかけられます。 さらに、視覚を伴うコミュニケーションが有効な場合は、ビデオ会議サービスでビデオ通話を行えます。 参加者から見える画面の内容を操作して共有しながら、デスクトップパソコンやスマートフォンでビデオ通話をすることができます。 また、通話後に企業から顧客にアンケートを送信することもできます。
機能と特徴:
- IVRスクリプト作成とワークフロービルダー
- コールルーティング
- オムニチャネルサポート
- インテグレーション
- 分析とレポーティング
- セキュリティとコンプライアンス
- 顧客アンケート
- キュー内コールバック
- 高解像度ビデオ会議
料金プラン: GoTo Connectにお問い合わせください。
お勧めの参考資料: GoTo ConnectとZendeskの統合について詳細をご確認ください。
適切なIVRソリューションの選び方
必要となるIVRの種類やコールセンターシステムは、ビジネスの性質やツールの使用目的によって異なります。 最適な自動音声応答システムを選択するために、基本的な機能だけではなく、下記の点を優先的に考慮してみてください。
- 生成AI: 生成AIは通話を自動的に書き起こし、会話の簡潔な要約を生成できます。 これでサポート担当者が通話後に自分でメモを残したり文書化したりする時間を短縮できるため、顧客と関わることにさらに集中できるようになります。 AIを利用したQA(品質保証)システムが事前に定義した基準にもとづいてすべての通話をリアルタイムで採点し、一貫性のある客観的な評価を提供できます。 言語、トーン、感情を分析して解約リスクがある通話に注意を促すため、積極的に介入できます。 さらに、サポート担当者の改善点を明確にすることによって、パフォーマンスに不足している点を特定できます。
- 使いやすさと迅速な設定: 使いやすいIVRを導入すれば、従業員のトレーニングやIT専門家による設定にかかる時間とコストを削減できます。 迅速に設定できれば、システムの価値をその分早く実感できます。
- 柔軟性とカスタマイズ性: 一人ひとりに合わせた挨拶の言葉、メニューの選択肢、セルフサービスのワークフローなど、ブランドや顧客基盤に合ったIVRの対応を作成することによって、カスタマーエクスペリエンスを向上させることができます。
- TCO(総保有コストの低さ): TCOが低いと、長期間にわたる出費の予測や管理が可能です。オムニチャネルサポートのような機能を利用するための高額なアドオンは必要ありません。 TCOが低いIVRであれば、ソリューションを維持、運用するための開発者がいなくても簡単に管理できます。
- セキュリティとコンプライアンス: IVRツールは、口座番号や暗証番号のような機密性の高い顧客データを扱うことがよくあります。 堅牢な顧客データ保護機能を備えたシステムを選ぶことで機密情報を守り、顧客との信頼を築くことができます。 GDPRのような関連規制に準拠することで、コンプライアンス違反による多額の罰金やイメージの悪化を防げます。
上記の点と前述の主な機能のバランスを取ることで、長期的なパートナーを見つけられる可能性が高まります。