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インテリジェントCXとは?定義やメリット、導入方法を解説

企業は消費者の高まる期待に応えるため、優れた顧客体験(CX)を提供する必要があります。本記事では、データとAIを活用し、インテリジェントなCXを実現する方法をご紹介します。

著者: Hannah Wren, Zendeskスタッフ

更新日: 2024年6月22日

象牙のピラミッドの上に、シダと6つの緑の球体が爪楊枝でつながっている。

インテリジェントCXとは?

インテリジェントCXとは、企業がAI(人工知能)、自動化、データを活用して、一人ひとりに合わせて先を見越したCXを提供する方法や考え方です。

1903年12月17日、ライト兄弟が初めて空を飛びました。それからおよそ65年後、技術革新者や科学者たちはライト兄弟の発見を足掛かりに、人類を月へと送り出しました。このように歴史は、私たちがいかに流れの速い、大きな変化のある時代の中で生きているかを示しています。そして起こった変化は宇宙探索から企業と顧客のコミュニケーション方法まで、あらゆるところに普及しています。

人類が最初の飛行機を土台に宇宙飛行を達成したように、消費者とのコミュニケーションの新しい方法、つまりインテリジェントなCX(顧客体験)は、過去のビジネスの実績や手法の上に成り立っています。インテリジェントなCXは企業が顧客の期待を超え、収益を大規模に拡大させるための革新的な手法です。 ZendeskのCXトレンドレポート2024では、インテリジェントCXが非常に重要である理由を掘り下げています。

本記事では、インテリジェントCXの定義やメリット、導入方法を解説します。

目次

インテリジェントCXが重要な理由とは?

インテリジェントCXは消費者と企業間のすべてのコミュニケーションにおいて大きなインパクトをもたらします。

テクノロジーの進化に伴い、企業は生成AI、自動化、データ分析を活用して消費者と企業のコミュニケーションを強化し、顧客体験も合わせて進化させていく必要があります。

企業と消費者のコミュニケーションのあり方は、ここ数年で急速な変化を遂げてきました。

かつては顧客に良い印象を与えることは現在よりも大変なことではありませんでした。市場の中で際立った存在になるには、笑顔で電話に応対し、効果的に問題を解決するだけで十分でした。

その後、CXという概念が登場し、消費者との一つひとつのやり取りが重要であることを企業は学びました。

企業はCXの考えを取り入れ、カスタマーサービスへの電話、SNS上の広告、メールキャンペーンなど、あらゆるタッチポイントでロイヤルティの向上やリテンション(顧客との良好な関係を維持するための活動)に取り組みました。

しかし近頃、企業は優れたCXを提供するだけでは不十分なことに気付いています。現在では、企業は生成AI、対話型AI、次世代の顧客体験、データ分析を活用し、カスタマージャーニーのあらゆる段階で包括的かつ優れた消費者とのコミュニケーションを実現する「インテリジェントCX」を導入する必要があります。 消費者は常に最高の対応を望んでいます。インテリジェントCXの導入をためらう企業は競争から取り残され、インテリジェントCXを実践している競合他社がその利益を享受することになるでしょう。

生成AIを使ったことのある消費者の75%は、生成AIが企業との関わり方を今後2年間で完全に変えると考えています。CXトレンドレポート 2024

インテリジェントCXの要素

インテリジェントCXは関連するいくつかの要素によって構成されており、企業が顧客のニーズを理解し、優れた消費者とのコミュニケーションを実現することを目的としています。

インテリジェントCXの主な要素は下記のとおりです。

生成AIと自動化

生成AI、進化したチャットボット、そして高度な自動化が、顧客とのインタラクションに変革をもたらしつつあります。このようなテクノロジーにより、企業は単純な反復作業を自動化やプロセスの合理化を実現し、顧客からの問い合わせに迅速に対応することができます。

CXリーダーの70%は、今後2年間で多くのタッチポイントに生成AIを統合する予定です。CXトレンドレポート 2024

例えば、OpenAIを利用した新しいZendeskの生成AI機能を用いれば、ボットが自然な人間の言葉で顧客をサポートできます。企業は、自社のブランドに合ったトーンをボットに適用でき、ボットは消費者からの質問に対してデータに基づいて自動で回答し、自己解決を支援するため、サポート担当者はより複雑な問題や業務に集中することができます。

データに基づくインサイト

AIを利用して一人ひとりに合わせた体験を促進するためには情報を活用せねばなりません。データ分析を通じて企業は消費者の行動や好みをより深く理解できます。この情報があれば、企業は消費者のニーズを予測し、顧客の期待に沿うように製品やサービスをパーソナライズすることができます。消費者はこのような体験を期待していますが、それと同時に企業は顧客と組織のデータを安全に守るために、顧客データのプライバシー保護への取り組み方についても知っておかなければなりません。

パーソナライゼーション

現代の消費者はパーソナライゼーションを好むだけでなく、それを期待しています。データを活用することで、企業は顧客の好みに合わせてコミュニケーションを最適化することができます。例えば、検索や購入履歴に基づいた製品の提案を顧客にメールで送ることが挙げられます。コミュニケーションの多くをパーソナライズ化するできれば、企業と消費者の結びつきが強まり、顧客満足度と長期的なロイヤルティが向上します。

オムニチャネルの顧客体験

顧客は、Webサイト、アプリ、SNSなど、好みのチャネルから企業に接することを期待しています。企業はオムニチャネルなカスタマーサービス体制を整備することにより、顧客とのコミュニケーションを容易に行うことができます。また、すべてのチャネルでシームレスに会話を続けることができ、インテリジェントなCXを実現することができます。

例えば、ある顧客がInstagramを通じてサポート担当者と会話を始めたものの、その後電話に切り替えて会話を続けたいと思ったとします。オムニチャネルなインテリジェントCXが導入できていれば、顧客はチャネルを変えても、一貫したスムーズな会話を続けられます。会話する担当者が全く情報を持っていなかったり、顧客が同じことを何度も話したりする必要もありません。

シームレスな統合

インテリジェントCXとは、顧客データを活用して、より一人ひとりに合わせた先を見越した体験を提供するものです。しかし、顧客データが散在していれば、このようなことは不可能です。だからこそ、CXツールを既存システムと統合することが、インテリジェントCXを構築する鍵となります。

例えば、eコマースチャットボットが顧客のショッピングカートで動作できれば、積極的に割引コードを送り、購入を後押しすることができます。あるいは、チャットボットが顧客のロイヤルティステータスの情報を持っていれば、VIP顧客をサポートチームにルーティングし、より専門的なサポートを提供することができます。消費者情報をCRM(顧客関係管理)システムに組み込むにしても、サポート担当者が1つのインターフェースから顧客と企業の情報にアクセスできるようにするにしても、プロセスとシステムをシームレスに統合することでインテリジェントCXを生み出せます。

インテリジェントCXのメリット

インテリジェントCXを導入した組織は、プロセスと収益の改善を実感しています。インテリジェントCXの主なメリットは下記のとおりです。

顧客体験の向上

企業は、生成AI、データに基づくインサイト、パーソナライゼーション、そしてこれまで取り上げてきたその他の重要な要素を活用することで、顧客体験を向上させることができます。また、インテリジェントCX成功の秘訣も決まり切ったものではありません。企業は、プロセスを変えたり、ABテストを実施したりして、インテリジェントCXの要素を5つ星の口コミに変えるためのベストな方法を見つける必要があります。

CXリーダーの70%が「生成AIのようなインテリジェントCXの要素が顧客体験全体を見直すきっかけになった」と回答CXトレンドレポート 2024

例えば、最適化されたスケジュールを自動作成し、サポート担当者のトレーニングの機会を見つけ出せるワークフォースマネジメントソフトウェアを導入することが挙げられます。これにより、業務効率が向上し、待ち時間が短縮され、より包括的なカスタマーサポートを提供できるようになります。

顧客ロイヤルティと顧客維持率向上

企業が消費者データを分析することで、包括的なCX戦略を策定し、コミュニケーションをパーソナライズすることができます。また、サポート担当者はZendeskを使用することで、顧客の意図や感情に関するリアルタイムのインサイトを活用できるようになります。サポート担当者は顧客の問題を先回りして解決したり、より親切で効率的な対応につなげたりすることができます。これは、より良いCX、顧客ロイヤルティの強化、そして収益の改善につながります。最も重要なのは、個人が先を見越した体験を享受できるということです。つまり、欲する前に欲しいものが手に入るようになります。

競争優位性

インテリジェントCXの本質と次世代テクノロジーに投資する企業は、そうでない企業よりも競争で優位に立つことができます。一人ひとりに合わせた効率的なCXを提供することで、現在の顧客ベースを満足させ、同様の体験を求める消費者を呼び込むことができます。

次の状況を想像してください。ある消費者が、2つの会社のどちらで買い物をするか決めようとしています。A社には素晴らしい製品がありますが、購入後のカスタマーサービスには電話しか選択肢がありません。B社にも素晴らしい製品があり、AIチャットボット、メッセージングサービス、オムニチャネルサポートなど、たくさんのコミュニケーションの選択肢があります。消費者がどちらの製品を選ぶかは明らかです。

インテリジェントCXの導入方法

インテリジェントCX戦略を採用するには、いくつかの要素を組み合わせた柔軟なアプローチが必要です。インテリジェントCXを企業に導入するためのヒントをいくつかご紹介します。

  • 「顧客第一」という考え方を採用する


    CX戦略を見直す第一歩は、顧客第一主義を採用することです。顧客第一とは、単に利益や製品に焦点を当てるのではなく、消費者を企業の意思決定の中心に据えることを意味します。企業がこのようなアプローチをとることで、顧客のニーズを理解し、顧客が喜ぶ体験を提供することができます。
  • 適切なツールに投資する


    適切なツールなしに、効果的なICX戦略を展開することはできません。生成AI、チャットボット、自動化、分析などの機能、そしてより良いCXを提供するのに役立つその他の重要な要素を提供できるCXツールを探しましょう。適切なCXパートナーに投資することは、インテリジェントCXの取り組みをサポートし最適化できるエコシステムを構築するうえで極めて重要です。
  • 人材をトレーニングする


    業界で最も先進的なインテリジェントCXプロセスを導入しても、その取り組みを実行できる熟練した人材がいなければ、戦略は失敗に終わります。自動化、オムニチャネルコミュニケーション、インテリジェントCXのその他の重要な要素を活用する術をチームが確実に理解できるよう、継続的なトレーニングと能力開発を行いましょう。高度にトレーニングされた人材は、サポート時のコミュニケーションにおいて必ず重要な役割を果たす、人間味のあるやり取りを提供することができます。
  • パフォーマンスを測定し、分析する


    目標に沿ったカスタマーサービスにおけるKPI(主要業績評価指標)を定義し、その情報を長期にわたって追跡することが重要です。KPIによって、戦略の有効性に関するインサイトを得られます。KPIを測定、分析すれば、うまくいっていることを強化し、うまくいっていないことを改善できます。
  • 継続的改善を優先する


    どのようなビジネス戦略にも言えることですが、インテリジェントCSは「全自動」のアプローチではありません。定期的にデータ、顧客からのフィードバック、その他の関連する指標を見直し、改善点を特定しましょう。これで、変わりゆく消費者トレンドに適応し、市場でトップを走り続けるための俊敏性が生まれます。

よくある質問と回答

ZendeskでインテリジェントCXを構築

ライト兄弟の初飛行が後の宇宙飛行までつながったように、CXはインテリジェントCXの基礎を築きました。生成AIやデータに基づくインサイトといったインテリジェントCXの新たなアプローチは、顧客体験を高度に提供するために不可欠です。さらに、適切なパートナーがいなければ、ICXのパワーをフル活用することはできません。

Zendeskは、何千もの企業のCXを支援してきました。また、AI、チャットボット、オムニチャネル体験などを通じて、あらゆる規模の企業が効果的なインテリジェントCX戦略を構築できるよう支援します。ぜひ無料トライアルでZendeskをお試しください。

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