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カスタマーケアとは? 意味、重要性、ベストプラクティス

カスタマーケアに投資することで、長期的なブランドロイヤルティを築き、顧客満足度を高めることができます。

著者: Peter Alig, 寄稿者

更新日: 2023年12月15日

カスタマーケア

オンラインで注文した陶器のプランターが、箱を開けてみたら粉々の破片になっていた。

これはZendeskのスタートアップサクセス担当ディレクター、Sam Chandlerの実体験です。使い物にならないプランターの破片だけでも十分に落ち込んでしまいそうですが、その上、時間のかかるカスタマーサービス対応を思い浮かべるだけで、彼女は気が滅入りそうになっていました。「ことの経緯を幾度も説明しなければならないと思った」というのが、彼女の当時の心境でした。

しかし、ブランドはプランターが割れている証拠すら求めて来ませんでした。親身な担当者は、配慮を見せながら、共感を示し、多くの質問を彼女に投げかけませんでした。このサポート体験の後、Chandlerは他のビジネスから購入することなど考えもしませんでした。

1度限りの買い物となるのか、長期的な顧客ロイヤルティを構築できるのかは、カスタマーケアにかかっています。顧客一人ひとりに対して親身に対応し、購入者をリピーターへと変える方法をご紹介します。

カスタマーケアとは?

カスタマーケアとは、企業が顧客に敬意と優しさのある対応を示し、顧客と感情的なつながりを構築することです。これは、カスタマーサービス担当者やカスタマーサクセスマネージャーだけでなく、チーム全員が実行でき、またはすべき対応です。

カスタマーケアとは、消費者が期待するサービスを提供したり、適切なテクニカルサポートを提供するだけにとどまりません。顧客の気持ちに寄り添いながら、人間関係を育むことです。そのためには、顧客が望む対応を提供しなければなりません。顧客一人ひとりのニーズに耳を傾け、最善の解決策を見つける必要があります。

「誰もマニュアル通りの対応は望んでいません」と、Chandlerは説明します。「人間味溢れる対応を望む人もいますし、 一言二言だけで、済ませて欲しい人もいます」

カスタマーエクスペリエンス vs カスタマーサービス vs カスタマーケア

カスタマーエクスペリエンス、カスタマーサービス、カスタマーケアは、時として同じ意味で使われることがあります。顧客満足度と維持率を高めるという最終的な目標は同じですが、いくつか重要な違いがあります。

カスタマーサポートとカスタマーケア

カスタマーサービス(またはカスタマーサポート)とは、顧客が製品やサービスを知り使用する際、または問題が発生した際にサポートする行為です。また、優れたカスタマーサービス体験を提供する過程でもあります。

カスタマーケアは、担当者が問題の解決に従事しながら、顧客の感情的なニーズにも応えるさらに顧客に寄り添ったサポートを意味します。

また、Chandlerのプランターを例に説明しましょう。顧客に質問をすることなく代替品を送るのがそのブランドの交換ポリシーである場合でも、サポート担当者はChandlerが遭遇した状況に合わせて解決案を出してくれたように感じさせました。

カスタマーエクスペリエンスとカスタマーケア

カスタマーエクスペリエンスは、購入前から購入後まですべてを網羅する、ブランドとのカスタマージャーニー全体を指します。カスタマーサービスに連絡したり、カスタマーケアを受けたりすることが含まれる場合も、そうでない場合もあります。

プランター会社とのChandlerの顧客体験は、Instagramの広告に惹かれクリックしたところから始まりました。広告をクリックすると、プランターのサイズや形が表示された商品ページが開かれました。送料無料とApple Payのオプションがあったため、プランターの購入を決めました。彼女のカスタマージャーニーの決定的なポイントは、破損したプランターに関する問い合わせに対する担当者の対応です。担当者が行った気配りの効いたカスタマーケアは、全体的な顧客体験を一瞬にして改善しました。

カスタマーケアが重要な理由

優秀なカスタマーケアチームは、なくてはならない存在です。なぜならば、カスタマーサービスの対応がビジネスを左右するかもしれないからです。2020年の全米顧客不満調査によると、ソーシャルメディアなどのデジタルプラットフォームで不満を伝えることを好む顧客の数は、2017年から2020年にかけて3倍に増加しました。

不満のある顧客はその苦情を他の人と共有する可能性が高いため、たった一度のネガティブなカスタマーサービス体験が、企業の評判を傷つける可能性があります。これは、サポートチームがいつもは素晴らしい対応をしていても起こりえます。

カスタマーケアをビジネスの優先事項とすることで、返金のリスクを軽減し、信頼を築き、解約を減らし、収益を向上させることができます。

カスタマーケアは誰が行うべきか?

サポート担当者がカスタマーケアを行います。カスタマーケアの担当者は、以下のような資質とスキルを備えている必要があります:

  • 親切心

  • 親しみやすさと共感力

  • アクティブリスニング

  • 迅速な意思決定

  • 問題解決力

これらの資質とともに、担当者は企業のコアバリューを体現できる人材であるべきです。

このようなスキルと企業価値との連携が取れている担当者には、カスタマーケアの適性があるとみていいでしょう。

5つのカスタマーケア事例

カスタマーケアとは、消費者のために期待以上のサポートを提供することです。では、実際に現場でカスタマーケアに従事しながら、 親身に顧客対応を行っているブランドの例をご紹介します。

  1. Zappos: ロイヤルカスタマーに特典で感謝の気持ちを表す

    カスタマーケアは、顧客が問題を抱えているときだけに行うものではありません。感謝の気持ちを伝えたい顧客に対して、それを伝えることもカスタマーケアを通して行えます。例えば、靴専門店のZapposは、既存客に次回の購入に使える$50のクーポン券を送ることで感謝の意を示しました。

    カスタマーケア

    顧客への感謝は、顧客維持においても特に重要です。時に、特別割引や感謝の気持ちを伝えるパーソナライズされた手紙やメールなどの行為だけで、顧客維持が可能となります。

  2. Spotify: 顧客主導型

    積極的な行動を見せるのがSpotifyのカスタマーケアチームです。同社のサポート担当者は、顧客が望んでいるプラットフォームの機能を尋ねることで、問題点やクレームが発生することを未然に塞いでいます。

    カスタマーケア

    顧客は、アイデアを投稿できるコミュニティフォーラムへのリンクを活用することができます。そして、他のコミュニティメンバーがアイデアに投票できるため、Spotifyはその集計をもとに導入すべき機能を決定できます。

  3. Glossier: ミスをチャンスに変える

    スキンケアブランドのGlossierは、カスタマーケアを通して、顧客のミスを当人にとっても周りにとってもポジティブな体験に変えています。

    カスタマーケア

    ブランド側に落ち度がなかったため、Courtneyにクレジットをあげる方法も取れたはずです。しかし、カスタマーケアを行ったことで、この状況を顧客維持(Courtney)と顧客獲得(彼女の友人)のチャンスに一転させました。

  4. Tesla: 創設者からの返事を送信

    CEOが顧客の問題に対応すると、この企業は問題解決に真剣に取り組んでいるという印象を消費者は持つでしょう。Elon Muskは、車載ソフトウェアの問題が発生してTesla所有者の不安が募った際、積極的に問題に言及するメッセージを送りました。

    カスタマーケア

    企業の創設者やCEOは多忙な日々を送っています。しかし、ある問題が特定数の顧客に支障をきたしているのであれば、リーダーシップは解決に向けて取り組んでいることを示す必要があります。

  5. Virgin Atlantic: 顧客の時間を重要視する

    人々は長い待ち時間が嫌いですが、旅行中であれば尚更です。Virgin Atlanticでは、電話が途中で切れてストレスを感じている旅行者に電話をかけ直すことでカスタマーケアを行っています。

    カスタマーケア

    Virgin Atlanticは、顧客に敬意を払いながら共感を見せることが優れたカスタマーケアであると理解しています。旅行者の待ち時間を抑えることで、同社は旅行者が旅行自体やその計画に、より時間をかけられるようにしました。

カスタマーケアのベストプラクティス

カスタマーケア担当者は、卓越したレベルのサポートを提供するためにリソースとガイダンスが必要です。導入すると役立つ、秀逸なツールとベストプラクティスの一例をご紹介します。

カスタマーケアの測定方法

カスタマーケアとは何か、そして重要性と提供方法について解説しました。しかし、その成果を測るにはどうしたらいいのでしょうか?

Chandler曰く、以下の質問に答えることで、カスタマーケア戦略の成果を測ることができます:

  • 顧客が貴社製品を購入する理由は何ですか?

  • なぜ顧客は貴社の製品やサービスのリピーターなのでしょうか?

  • 競合他社の出現で、顧客はすぐに乗り換えますか?

Chandlerは、顧客にフィードバックを求めるKPIの使用を勧めます。KPIを活用することで、サポートでのインタラクションに関する具体的な詳細が浮き彫りになり、カスタマーケアの検証に役立ちます。

顧客満足度(CSAT)スコア

ご存知の通り、顧客満足度(CSAT)スコアは、ブランドの製品、サービス、サポート体験に対する顧客の満足度を測るものです。

サポートでのやり取りのCSATを測定するには、顧客へのアンケートでサービスに対する総合的な満足度を尋ねます。顧客は、1(非常に不満足)から5(非常に満足)を選択して回答することができます。

カスタマーケア

また、自由形式の質問を入れることも大切です。「どうすればカスタマーサポート体験を改善できるとお考えですか?」または「回答を選んだ理由は何ですか?」などが挙げられます。カスタマーサポートでのやり取り終了後すぐに、SMS、メール、チャットなどを使ってCSATアンケートを送信できます。

複数のサポート担当者が「急かされたと感じる」との理由で低いスコアを取得した場合、チームには適切なケアを示すリソースがないのかもしれません。根本的な原因の特定には、通話のモニターも有効的です。カスタマーサービスのトレーニングや製品知識の不足が原因となっているかもしれません。

カスタマーエフォートスコア(CES)

カスタマーエフォートスコア(CES)が重要な理由は、利便性とカスタマーケアの密接な関係性にあります。このメトリックは、カスタマーサポートの電話番号の見つけやすさや、適切な担当者に割り当てられたかなど、顧客がどれだけ容易に必要な情報を取得できるのかを示します。

CESを測定するには、サポート対応後に顧客にアンケートを送ります。「どれくらい簡単に問題を解決できましたか?1(非常に難しい)から5(非常に簡単)までの数字をご選択ください。」などの質問をアンケートに入れることができます。「問題解決の過程で、一番困難だったのはどんなことですか?」などの自由形式のフォローアップの質問を含めることも重要です。

CESは、すべての回答の平均値を算出することで計算できます。

カスタマーケア

CESのスコアが高い場合、顧客は簡単に必要なものにアクセスできていることを意味します。CESのスコアが低い場合は、自由形式の回答をレビューすることで、サポート体験における問題点を見つけることができます。そして、FAQページの改善や新しいサポートチャネルの追加などの解決策を講じましょう。

ネットプロモータースコア℠ (NPS®)

カスタマーケアの最終目標は、ブランドロイヤルティを育てることです。ネットプロモータースコア℠(NPS®) は、自社を他の人に勧める可能性を問うことで、顧客ロイヤルティを測定します。NPS調査は、1回のサポート対応後に実施することも、幾度も連絡してきた顧客に対して行うことも可能です。

NPS®アンケートの質問はシンプルです: 「弊社のカスタマーサービスに基づいて、ご家族やご友人に弊社を勧める可能性はどのくらいですか?1(最も可能性が低い)から10(最も可能性が高い)の数字でお答えください」 ロイヤルカスタマー(または「プロモーター」)は、9か10と答えるでしょう。対応に不満がある顧客(批判者)は、0から6の間の回答となります。無関心な顧客(中立者)は7または8の評価を残しますが、このグループはNPS®の計算には含まれません。

カスタマーケア

NPS®アンケート内の自由形式の質問は、「ご選択になったスコアの主な理由は何ですか」などのシンプルなもので構いません。

カスタマーケアの測定は、サポートチケット終了までの時間を測定するほど単純なものではありません。しかし、NPS®、CSAT、CESのような指標は、担当者がカスタマーサービスからカスタマーケア対応に切り替える頻度やその効果を測るのに役立ちます。

カスタマーケアとは、顧客一人ひとりへの対応姿勢

顧客の問い合わせに対して、解決策を提示するだけではカスタマーケアではありません。カスタマーケアとは、それに加えて、顧客に合ったインタラクションとアプローチ方法を採用し、一人ひとりに合った対応を実現することです。

全ての顧客が特別な存在であると感じられるようなパーソナライズされたサービスを提供するために、担当者は、すべてのやり取りの背景情報にアクセスできるプラットフォームが必要です。Zendeskのような包括的なサポートツールを活用し、顧客情報を取得し、従業員が簡単に活用できる環境を整備しましょう。卓越したカスタマーケアの実現は、遠い夢の話ではないのです。

**Net Promoter、NPS、NPS関連のエモーティコンは、Bain & Company, Inc.、Satmetrix Systems, Inc.およびFred Reichheldの米国における登録商標、Net Promoter ScoreとNet Promoter SystemはBain & Company, Inc.、Satmetrix Systems, Inc.およびFred Reichheldのサービスマークです。

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