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問い合わせ管理システムの選び方とは?
機能や導入メリットを一挙解説

更新日: 2024年5月8日

顧客から大量の問い合わせが寄せられるようになると、Excelや共有メールでの管理には限界が見えてきます。多くの企業で従来の管理方法で対応できなくなっているのは、リモートワークを導入するようになったことも一因と考えられます。そこで活用したいのが、問い合わせ管理システムです。

本記事では問い合わせ管理システムの基本機能やメリットをはじめ、製品の選び方、導入事例などを紹介します。最後に多くの問い合わせ業務の現場で支持されるZendeskについて紹介します。ぜひご参考にしてください。

問い合わせ管理システムとは

問い合わせ管理システムとは、顧客からの問い合わせ内容や返信履歴、進捗などの情報共有や一元管理を支援するシステムです。導入することで、迅速かつ的確な顧客対応を実現できます。カスタマーサポートチームが担当者間で問い合わせを分担対応したり、顧客対応情報などを共有したりする際にも便利です。社外の顧客からの問い合わせ対応だけでなく、社内の従業員からバックオフィスへの問い合わせ対応にも活用することができます。

問い合わせ管理システムなら、電話やメール、SNS、問い合わせフォームなど複数のチャネルから問い合わせを受け付けている場合でも、ひとつのシステムに問い合わせ情報を集約して一元管理でき、円滑な対応に結びつけられます。システムによっては、問い合わせを内容に応じて自動的にカテゴリー別に分類したり、担当者へ振り分けしたりできるため、優先順位が明確化され、単純な作業に煩わされにくくなります。これにより、サポート担当者は優先度の高い、複雑な対応が求められる案件に集中しやすくなるでしょう。

新規の問い合わせ、サービスのトラブル対応が発生したときでも、問い合わせ管理システム内の過去の対応履歴から同じような問い合わせ内容がないかを検索できるため、顧客対応の効率や対応品質の向上につながります。返信漏れや重複対応などのヒューマンエラーの減少も期待される効果のひとつです。これらの効果により、問い合わせ管理システムは顧客満足度の向上にも役立ちます。

Zendeskの問い合わせ対応画面

従来の問い合わせ管理方法の課題

従来の問い合わせ管理や情報共有の方法として多くの企業で用いられているのがMicrosoft Excel (以下、Excel)です。問い合わせ業務を少人数で担当している場合は、Excelによる管理でもあまり問題が生じないかもしれません。

しかし、問い合わせ件数や対応するスタッフの数が増加すると、デフォルトでは複数人編集に非対応なことによる不便さや引き継ぎの情報不足など、さまざまな課題が発生してきます。共同で1つのExcelファイルに問い合わせ内容や対応を記録するためには、Excelファイルを社内のファイルサーバの共有フォルダに置き、ネットワーク経由で各ユーザーがファイルを開いて編集するなど、手間が掛かり、共同編集が原因でデータのズレや破損などが発生する問題もあります。ほかにもファイルサイズ増大による操作の遅延やファイルを社外に持ち出すことによるセキュリティリスクなども、Excelによる情報管理で懸念されるトラブルです。

顧客からの問い合わせメールを関係者間でメール共有して管理している場合もあるでしょう。メーリングリストやBccを活用すれば、問い合わせ内容から返信まで簡単に全員で共有できますが、この方法にも課題が潜んでいます。たとえば、この方法だと自分の担当外のメールまで受信してしまうので、宛先の規模が拡大するほどメール管理が煩雑になってしまうことなどです。

ひとつのメールに対して複数の担当者が同時に対応してしまう重複対応やメールが埋もれて問い合わせを放置してしまう対応漏れも、メール共有による問い合わせ管理によくある課題です。さらには、宛先やCcの設定を間違えて機密情報を送ってしまうなど、誤送信によるセキュリティリスクもExcel管理と同様に存在します。

プロジェクト管理システムを問い合わせ管理システムとして利用している企業も少なくないでしょう。プロジェクト管理に特化したシステムには、問い合わせ管理に必要な機能が不足する可能性があり、無理な運用を強いられるおそれがあります。また、プロジェクトのデータとの併存は、データ管理を複雑にします。

問い合わせ管理システムの基本機能

問い合わせ管理システムには、問い合わせ情報の一元管理をはじめ、さまざまな機能が搭載されています。
以下では、問い合わせ管理システムの基本的な機能を紹介していきます。

  • さまざまなチャネルからの問い合わせを一元管理できる


    顧客とのコミュニケーション手段には、メール、電話、チャット、SNSなどさまざまあり、別々に管理することに限界を感じている企業も多いでしょう。複数チャネルからの問い合わせが一元管理されていない場合には、以下のような問題が懸念されます。
    情報の分散
    問い合わせが複数のプラットフォームに散らばっていることで、情報を総合して顧客の状況を理解することが困難になります。
    効率の低下や応答時間の遅れ
    複数のチャネルをチェックし対応する必要があるため、作業効率が低下します。LINEやFacebook、Twitterなどを運用している場合はそれぞれのプラットフォームにアクセスする必要があり、問い合わせを確認するだけでも手間がかかります。
    二重対応の問題
    同じ顧客が複数のチャネルから同じ問い合わせをする場合、異なるカスタマーサポート担当が重複して対応することがあります。
    CX(カスタマーエクスペリエンス、顧客体験)の不一致
    チャネルによって対応の質やスピードが異なる場合、各チャネルによって顧客が受ける体験が異なり不信の要因となります。
    トレーニングと品質管理の複雑化
    複数のチャネルを効果的に管理するためには、さまざまなスキルとプラットフォームに対する知識が必要であり、スタッフのトレーニングが難しくなります。
    データ管理とプライバシーの問題
    異なるチャネルから得た情報を統合し、セキュリティとプライバシーを保ちながら管理することが課題となります。
    追跡とレポーティングの難しさ
    顧客の問い合わせ履歴やサポートチームのパフォーマンスを追跡し、レポートを作成する作業が複雑になります。
    顧客を理解するための分析が困難になる
    異なるチャネルからのデータを統合し、顧客のニーズや行動を把握するための分析作業が複雑になります。
    問い合わせ管理システムを活用すれば、チャネルを横断して問い合わせ情報の一元管理が可能です。問い合わせ管理システムにおいては、顧客からの各問い合わせを「チケット」として起票して記録する仕組みになっているものが多く、メールやチャットで問い合わせが届くと自動的にチケットが作成されたり、電話でのやり取りの内容を手動で入力したりもできます。電話対応に優れた問い合わせ管理システムの中には、システムが自動で会話を録音し、文字起こしや要約をしてくれるものもあります。
  • 問い合わせ対応のステータスを管理・可視化できる


    カスタマーサポートで起こりやすい「対応漏れ」や「二重返信」といった対応ミスは、多くの場合、問い合わせへの対応状況が正しく管理できていないことが原因です。問い合わせ管理システムのなかには、こうした対応ミスを防止するために、「未対応」「対応中」「対応済み」といったステータス管理ができるようになっているものがあります。
    ステータス管理機能を活用すれば、担当者の振り分けが済んでいるのかどうかも一目で把握可能です。こうしたステータス情報はシステム上でリアルタイムに共有されるため、口頭での確認で起きがちな対応漏れや見落とし、重複対応などのミスを減少できます。


    Zendeskで管理できる問い合わせのステータス例。ステータスごとにまとめてビューに一覧表示することも可能
  • ナレッジを共有できる


    問い合わせ管理システムには、FAQや社内wikiを作成してナレッジを社内で共有できたり、顧客同士が交流し情報を交換する場であるユーザーコミュニティを構築できたりするものもあります。こうした機能を活用して、問い合わせ対応に役立つナレッジを効率的に蓄積・共有し、迅速に必要な情報にアクセスできるようにすることで、チーム全体の対応品質の向上が可能です。
    過去の問い合わせ履歴は問い合わせシステム上に保存されるため、同じような問い合わせに対して、過去の担当者がどのように対応したかを瞬時に把握できます。このように問い合わせ管理システムは教育にも役立ちます。
  • 顧客対応を効率化する機能が利用できる


    電話やメール以外にWebチャットやSNSなど複数のチャネルで問い合わせを受け付けていると、複数の画面操作を行うせいで作業が煩雑になります。そこで問い合わせ管理システムを活用すれば、異なるチャネルへの対応を1つの画面で行えるようになるため、スピーディな対応を実現できます。
    問い合わせ管理システムには顧客対応を効率化できる機能が多数搭載されています。たとえば、回答テンプレート機能です。回答テンプレート機能が備わっているシステムの場合、よくある質問に対応する回答を事前に登録しておくことで、メールやチャットの自動返信が可能です。これにより担当者によって差異が生じやすい文章の内容を均一にできるため、対応品質の向上や標準化に役立ちます。作業の自動化を行うことで、業務効率化とスタッフの作業負担の軽減も可能です。
    回答テンプレートの作成例

自社に合った問い合わせ管理システムの選び方


続いては、問い合わせ管理システムを選ぶ際のポイントを紹介します。自社に最適な製品を選べるように、ぜひご参考にしてください。

  • 必要な機能が搭載されているか


    導入にあたって必ず確認したいのは、自社に必要な機能が搭載されているかどうかです。どの製品がもっとも使いやすいか、システムで解決したい課題が何なのかは企業によって異なります。したがって導入を成功させるためには、最初に解決すべき課題の洗い出しや自社にどのような機能が必要なのかを事前に検討しておきましょう。
    たとえば、複数のチャネルで問い合わせを受け付けている場合、該当の製品が希望のチャネルに対応しているかの確認をしなければいけません。メールや電話、SNS、メッセージアプリなど、製品によって対応状況に差があるからです。対応履歴の管理が可能かどうかも優先的に確認すべき項目です。
    なお、先に紹介したプロジェクト管理ツールを問い合わせ管理システムの代替として使用する場合、必要な機能が不足するケースがあるので注意が必要です。プロジェクト管理システムは問い合わせ管理を主目的としたツールではなく、顧客情報との連携機能やレポート機能などに対応していない場合が多々あります。そのため、顧客管理や分析・改善をすることまで考えるなら、問い合わせ管理システムを初めから導入する方がより高い導入効果を得られるでしょう。
  • 管理画面が使いやすいか


    問い合わせ管理システムは、適切な問い合わせ対応を実現するためのものです。そのため、システムが操作しやすいかどうかは選定の際の重要なポイントになります。どんなに高機能なシステムであったとしても、サポート担当者に複雑な操作を求めたり、手間のかかる手順があったりすれば、サポート担当者は利用するたびにストレスを抱えてしまいます。また、操作方法を覚えることが大変なシステムは、学習コストが発生し、サポートチームの人材の出入りが激しい場合は、企業に対して大きな負担になります。
    一部のシステム提供企業は無料トライアルを提供しており、購入前に実際の製品の仕様を試すことができます。現場のスタッフに実際の管理画面を触ってもらい、評価してもらったうえで購入を検討することができます。Zendeskでは14日間の無料トライアルを用意しております。ぜひ問い合わせ管理システムにご興味がある方はお気軽にご登録ください。
  • データを活用しやすいか


    カスタマーサポートの課題を洗い出して効果的な改善を行っていくには、問い合わせ内容の分析やデータ収集が欠かせません。そのためには計測したいデータの算出や活用ができるかどうか、検討段階で事前に確認しておく必要があります。
    レポート機能があれば、問い合わせ件数、解決率、顧客満足度が計測でき、サポートチームの課題を総合的にチェックでき、改善する機会を容易に見つけられるようになります。また、「注文」「配送」「支払い」など、問い合わせ内容をカテゴリー化して分析できれば、どの分野で問い合わせが多いのかを効率的に見極めることができます。
    蓄積したデータは分析したり、各部署に共有したりすることでサービス品質の向上、カスタマーサポートの効率化に活かせます。また、クレーム数の削減や顧客体験価値の向上にも役立つでしょう。問い合わせ内容を分析した結果、企業側では思いつかなかったニーズや視点を発見できる可能性もあります。
  • セキュリティ対策が万全か


    問い合わせ管理システムでは、企業の情報資産でもある顧客情報を扱うため、セキュリティ面が強固かどうかも選ぶ際の重要なポイントです。仮にセキュリティが脆弱だった場合、不正アクセスや情報漏洩が発生する危険性があります。場合によっては、システムや業務の停止につながることもあるでしょう。こうした被害が出れば、企業イメージに悪影響が出ることは避けられません。
    主なセキュリティ対策としては、データの暗号化通信を可能にするSSLの対応、不正アクセス防止やバックアップ機能、閲覧・編集などの管理権限の付与などが挙げられます。また、大切なデータにトラブルが発生してもすぐに復旧できるよう、社内でもバックアップ体制を整えておくことも大切です。ISOなどの情報セキュリティマネジメントシステムに関する国際規格に準拠したシステムであれば、さらにセキュリティ面で安心です。
  • 国内導入実績が豊富にあるか


    製品選びの際は国内導入実績が豊富にあるかも確認しましょう。システムを提供している企業の公式サイトには、導入した各企業の事例が掲載されていることが多いため、導入・運用のイメージをつかめます。特に同じ課題を抱えている企業や、業種や企業規模が近い企業がどのようにその製品を利用しているのかを確認できれば、具体的にそのシステムを活用するイメージがつかめ、社内で検討する際の材料の1つになるでしょう。
    公式サイトの情報だけでは検討材料が足りない場合は、資料請求で詳細な情報を得ることも可能です。知りたい内容が明確になっているのであれば、システム提供企業に直接聞くという手もあります。
    ツールの導入後を見据えて、顧客同士の情報交換の場であるコミュニティが用意されているか確認することも大切です。コミュニティがあればユーザー同士の交流を通して知識やネットワークを広げたり、ベストプラクティスにアクセスしやすくなったりします。
  • 初期費用・月額価格の形態


    初期費用や維持費がどれくらいかかるのかも重要な確認事項です。自社の規模に応じたコストか、許されている予算の範囲内に収まるか、その見極めをしなければ費用対効果は見合わないものとなるでしょう。
    初期費用や月額費用は製品によって異なり、数千~数万円で利用できるものからより高額なものまでさまざまです。初期費用の要不要も製品ごとに異なります。具体的な料金体系に関しても同様で、1ユーザーあたりで課金される場合もあれば、ユーザー人数に応じたライセンス方式や、1アカウント追加につき課金される方式といったケースがあります。
    製品ごとに搭載機能、サポートの充実度、セキュリティやバックアップの対応、製品の強みが異なるため、自社が求める性能と導入費用を比べて、ニーズを満たせるベストなシステムを選びましょう。

問い合わせ管理システム導入のメリット

問い合わせ管理システムを導入することで、企業はどのようなメリットを得られるのでしょうか。
以下では、問い合わせ管理システムを導入するメリットを紹介します。

  1. ひとつの画面上で顧客対応ができる

    問い合わせ管理システムを導入することで、チャネルの境界を越えてひとつの画面上で顧客対応ができます。昨今ではカスタマーサービスのチャネルの多様化が進んでいますが、チャネルごとに操作画面を切り替えて対応するのは煩雑で、対応漏れなどのミスにもつながりかねません。

    その点、問い合わせ管理システムを導入すれば、メールやチャットはもちろん、製品によっては電話も含めて、ひとつの画面上で顧客対応を完結できます。また、この画面上には対応履歴もそのまま記録されるので、他の担当者から対応を引き継いだ場合でも、スムーズに状況を把握できます。

  2. 問い合わせ対応時に顧客情報や過去の対応履歴を活用できる

    サポート担当者が問い合わせに対応する際に、その顧客の情報をどれだけ持っているかは応対品質や応対スピードを大きく左右します。サポート担当者が問い合わせ管理システムから過去の問い合わせや対応の内容を速やかに確認ができれば、その顧客の状況に応じた対応ができます。

    また、問い合わせ管理システムには外部のCRM(顧客管理システム)との連携機能を有しているものがあります。CRMと連携し、顧客の年齢や住所といった基本情報や購入履歴、顧客の好みを瞬時に把握できれば、いっそうパーソナライズされたサポートが実現できます。このように問い合わせ管理システムと顧客情報を連携し、深い顧客理解に基づいた対応をすることで、優れた顧客体験を実現できます。

    顧客の基本情報や過去のやり取りを対応に活用

  3. FAQサイトやボットと連携できる

    カスタマーサポートの重要な仕事のひとつに、顧客からのよくある質問をまとめたFAQサイトの運用・管理があります。さらにFAQサイトを活用して、質問に自動的に回答するボットを導入できれば、顧客の自己解決を促進することができます。

    Zendeskが世界20カ国2,500名の消費者と4,500名のビジネスパーソンを対象にしたCXに関する年次調査CXトレンドレポート2024年版では、消費者の72%が「問題や苦情の迅速で正確な解決が購買決定に大きな影響を与えると感じる」と回答しています。このことからいかに迅速に問題を解決できるかが、消費者にとって重要なポイントであることがわかります。人間による問い合わせ対応も複雑な問い合わせの場合は重要ですが、問い合わせるという行為は消費者に手間やストレスを与えてしまいます。「少し調べればわかる」問い合わせに関しては、消費者が自ら調べてすぐに解決できたほうが高い顧客満足度につながります。

    FAQサイトやボットと連携できる問い合わせ管理システムを導入できれば、FAQサイトの記事を問い合わせ管理システムから検索してスムーズに引用したり、ボットから有人対応にスムーズに引き継いだりもできます。よくある問い合わせ、すぐに答えが欲しい疑問については消費者自身での回答を促し、高度な質問は担当者が対応するという体制がもっとも効率的であると考えられます。

    FAQサイトやボットと連携できる機能を備えた問い合わせ管理システムを導入することで、問い合わせ情報とFAQの双方を一元管理できるため、カスタマーサポートの効率化が実現可能です。

    Zendeskで作成したFAQのサンプル

  4. 管理負担を軽減できる

    問い合わせ管理や情報共有のムダを減らせることも問い合わせ管理システムのメリットです。問い合わせの件数が多いと誰にどの案件を振り分けるのかなど、管理者が判断する負担が増加します。そのようなときに役立つのがシステムの自動振り分け機能です。

    この機能を使えば、各問い合わせを内容に応じて適切な担当者やチームへ自動で振り分けられるため、手間や負担を減らして効率的に問い合わせ管理ができます。複数のチャネルに対応した問い合わせ管理システムなら、複数のチャネルを運用している場合でも、問い合わせ管理が煩雑になるのを防げます。

    システム内で顧客情報が一元管理されているため、スタッフが必要な情報にアクセスしやすいことも利点です。システムの導入によって問い合わせ管理が効率化されれば、迅速かつ高品質の顧客対応が可能となります。

    Zendeskで担当者をアサインする例

  5. 対応品質や対応状況が可視化できる

    問い合わせ管理システムのなかには、ユーザーであるサポート担当者やチームの応対品質や対応状況をレポートする機能が備わっているものがあります。こうしたレポート機能を活用することで、問い合わせ数や対応スピード、解決率などを可視化し、KPIの評価や顧客対応の品質改善に役立てることができます。

    また、FAQサイトの利用状況などもレポートできるシステムを選べば、「作る→使う→分析する→メンテナンスする」というサイクルを効果的に回しながらサイト改善ができます。

    Zendeskのレポート機能

問い合わせ管理システム導入のデメリット

さまざまなメリットがある問い合わせ管理システムですが、いくつか注意すべきデメリットもあります。たとえば、問い合わせ管理システムの導入には、一定のコストがかかります。もしも問い合わせ数がそれほど多くない場合、問い合わせ管理システムの導入効果がコストに釣り合わないケースもあるでしょう。

また、問い合わせ管理にプロジェクト管理システムなどの他のツールをすでに利用している場合も注意が必要です。プロジェクト管理システムとは、タスク管理やスケジュール管理など、プロジェクトの管理運営をサポートするツールです。プロジェクト管理システムの機能は汎用性が高く、問い合わせ管理に利用している企業も多いことでしょう。

このプロジェクト管理システムをすでに使用している場合、そこへ問い合わせ管理システムを加えると、複数のシステムを併用することになるので、かえって業務に悪影響が出ることが懸念されます。具体的には、管理やメンテナンスが複雑化する、費用がかさんでしまうなどです。

問い合わせ管理システムを導入する際は、こうしたデメリットに留意した上で対応を決めることが重要です。

問い合わせ管理システムの活用事例


ここでは世界で10万社以上の企業が導入する、問い合わせ管理システムであるZendeskを活用して、業務改善の効率化に取り組んだ事例を3つ紹介します。システムの導入効果や今後の展望など、自社での導入を考える際の参考にしてください。

岐阜県恵那市

岐阜県の恵那市ではICT活用推進計画に沿った取り組みが行われており、そのひとつとしてZendeskの導入が行われました。県内では4番目に面積が広いうえに人口密度が高くない恵那市にとって、ICTの活用は重要な取り組みです。

市民の意見や要望、提案を収集する手段として、業務のデジタル化とデータベース化が恵那市の課題となっていました。2020年を例に挙げると、メールや電話、はがき、アプリなど複数のチャネルを通じて約300件の要望・提案が各課に届いた一方、それを庁内で共有する仕組みがありませんでした。また、Excelへの転記、煩雑な進捗管理、上長・担当者不在による承認待ちという課題を抱え、回答の遅延や漏れも発生していました。

そこで導入されたのがZendeskです。Zendeskの導入により、誰からどんな声が届き、どの担当者が対応中なのか、回答は済んだのかという状況把握が円滑化され、市民の声をリアルタイムに可視化できるようになりました。また、過去のデータを探しやすくなったため、回答の効率化や市民への対応の改善も実現できました。恵那市では現在、市民の声は全てZendeskに集約され、効率的な情報共有、市政への反映に活かされています。

株式会社クラシコム

株式会社クラシコムはフィットする暮らし、オーダーメイドなライフスタイルをキーワードに掲げ、ユーザーにWebサービスの提供を行っている企業です。北欧のヴィンテージ雑貨を取り扱うネットショップなどを運営しており、スマホアプリは100万ダウンロードを突破しています。

順調に事業の拡大を進めているクラシコムですが、同時に問題になってきたのが問い合わせ件数の増加です。同社には一日に100件以上の問い合わせが届くことも珍しくありません。同社では従来、問い合わせを一般的なメールシステムで処理していましたが、対応状況の分類に使っていたラベルの管理が複雑化した結果、業務効率が悪化し、全体の問い合わせ状況も見通しにくくなっていきました。

そこで、いつか限界が来る前にと現行のメールシステムからの切り替え先になったのがZendeskです。クラシコムがツールの選定で重要視したのは、システム自体の安定性と事業の安定性の両立でした。企業としては、頻繁にサーバーダウンしたり急なサービスの打ち切りがあったりするのは避けたいと考えています。その点、Zendeskは信頼が置けると判断されたのが導入の理由です。また、現場目線では誤送信を防止できる仕組みがある点も導入を前向きに検討した要因となりました。

クラシコムは、Zendeskのビューとトリガを活用することで、これまで手動で行っていたチケットの振り分け作業を自動化することに成功しました。同社ではさらに次の目標として、問い合わせに至る前に問題が解決する仕組みの構築を目指しています。

Motel Rocks

イギリスに本社を置く同社は、オンラインファストファッションの厳しい市場において優位性を維持するために、Zendesk導入によって顧客対応の体制を強化しています。
Zendeskを通じてセルフサービス(FAQやチャットボットなど、顧客が自ら使って問題を解決できるサービス)の利用が3倍に増加し、 問い合わせ対応のスピードアップを達成。顧客の抱いている感情や問い合わせの目的を自動的に判別することで、問い合わせ内容によっては、人間のサポート担当者の介入を必要とせずにボットが速やかに解決しています。
担当者は以前から使っていたかのように直感的に利用でき、中核的なプロセスを変更する必要もありませんでした。AIが有益な情報をサポート担当者に提供してくれるうえ、顧客が今どのような問い合わせをしているのか、さらに、満足しているのか不満を抱えているのかが一目で判別できます。
顧客自身による自己解決は担当者の仕事量を減らすだけでなく、素早くかつ効率的に回答を見つけられるため、より円滑に買い物を楽しむのに役立ちます。ボットが迅速に解決策を提示するため、担当者は個々の状況に応じたサポートを必要とする、より複雑な問い合わせに対応するための時間を確保できるようになりました。

問い合わせ管理にZendeskが選ばれる理由

多くの問い合わせ業務の現場で、Zendeskが支持されている理由を解説します。

Zendeskとは

Zendeskは世界10万社以上が利用するカスタマーサービスプラットフォームです。あらゆるチャネルからの問い合わせを一元管理し、オムニチャネルで一貫性のある優れた顧客体験を実現できます。

問い合わせをチケットとして管理する「チケットシステム」を採用しており、カスタマーサポートに問い合わせメールやチャットが届くと1つのチケットが作成される仕組みになっています。サポートスタッフと顧客とのやり取りはチケット画面上で行われ、その全てがチケット内に記録されます。

Zendeskの魅力

  1. オムニチャネルなカスタマーサポートを実現

    Zendeskは、オムニチャネルなカスタマーサポートを実現できるというメリットもあります。
    Zendeskはメール、チャット、SNSなどさまざまなチャネルに対応しているため、単一のシステムで全ての問い合わせに対応することができます。顧客はその時に都合の良いチャネルから企業に問い合わせることができ、カスタマーサポートスタッフはZendesk上で全てのチャネルの問い合わせに対応できます。

    働き方の多様化や生活スタイルの変化により、顧客の問い合わせ方法も変化しています。Zendeskを使ったオムニチャネルなカスタマーサポートを導入すれば、そういった顧客の変化に合わせた対応が可能になります。

  2. スタッフ間の情報共有をスムーズに行える

    カスタマーサポートではスタッフ間の情報共有がとても重要です。
    顧客に関する情報やこれまでの経緯など、カスタマーサポートではスタッフ間で共有すべき情報が多々あります。情報の連携が十分でないと、引き継ぎミスが起きたり、顧客に不信感を抱かせる対応をしてしまったりすることもあるでしょう。

    しかし、Zendeskを使えばその問題は全て解決します。Zendeskでは、顧客とのやり取りの内容だけでなく、「社内メモ」という機能を使ったスタッフ間でのやり取りも全て記録されます。リモートワークでも、全ての情報が全員にリアルタイムに共有されるので、特別な引継ぎも必要ありません。

  3. 問い合わせを万全のセキュリティで管理できる

    クラウドシステムのZendeskならセキュリティ対策も万全なので、安心してご利用いただけます。セキュリティ対策は、リモートワークを導入する場合、大きな懸念事項の一つです。たとえば自社でサーバーやシステムを用意している場合、外部からの不正アクセスを防ぐためにオフィス外からのアクセスを遮断している企業も多いでしょう。

    しかし、リモートワークを導入するためにはオフィス外からもアクセスできるようにする必要があり、これまで強固に守られていたシステムに外部からの侵入の可能性をつくるになります。外部からのアクセスを許可するとそのためのセキュリティ対策が必要になり、そのための費用やリソースも必要になるでしょう。Zendeskならこうした対応を行う必要がないため、リモートワークの導入がスムーズにすすむでしょう。

  4. 顧客情報システムと連携できる

    Zendeskには、社内で使っている顧客情報システムと問い合わせ管理システムを連携するAPIが用意されています。それを利用すればチケット画面上にその顧客の情報を表示させることができます。チケット画面上には顧客情報のうち必要なもののみを選択して連携できるため、カスタマーサポートスタッフが必要な情報だけを収集し閲覧することができるというメリットもあります。

    リモートワーク導入を検討する場合、顧客情報の閲覧の問題が足かせになることもあるでしょう。しかし、このZendeskの機能であれば、リモートワークへの移行の際に顧客情報の管理について改めて検討する必要はありません。

  5. 進捗管理がしやすい

    カスタマーサポートチームでは、たくさん届く問い合わせを1件ごとに細かく進捗管理する必要があります。Zendeskを利用すれば、問い合わせの状況を一目で把握することができます。問い合わせ1件ごとにチケットが1つ作成され、そのチケット内に問い合わせ内容、担当者の名前や返信内容などが自動的に記録されます。管理画面を確認すれば、スタッフ一人一人がどの程度のボリュームの案件を抱えていて、今どのような状況なのかを確認することができます。全ての問い合わせのステータスを一覧表示することもできるので、対応が遅れているものをピックアップしてチェックするのも簡単です。

    進捗管理が、リモートワーク導入における懸念材料になっているケースもあるでしょう。実際に、リモートワークに移行したことでチームスタッフの稼働状況や進捗が把握できなくなったという企業も多いのではないでしょうか。Zendeskはスタッフの稼働場所に関係なく、一律で状況把握が可能なため、リモートワークにおける懸念を解消できます。

  6. 便利な機能が多数搭載

    Zendeskには「マクロ」「トリガ」「自動化」と呼ばれる優れた機能が備わっており、可能な限りの作業を人の手を介さずにシステムに任せられるようになっています。

    マクロ、トリガ、自動化とは
    マクロ
    マクロは、カスタマーサポート業務を効率化できる便利な機能です。カスタマーサポート担当者は、よくある質問に対して、テンプレート化された回答(定型文)を使用することができます。

    これにより、回答文を毎回作成する手間が省け、業務の迅速化が図れます。テンプレートには、会社名や相手の名前など固有の顧客情報を変数として自動で埋め込むことも可能です。刻々と変わる状況に対応して同じような回答を顧客にご案内する場合に有効でしょう。

    トリガ
    トリガは、ある条件に合致したとき、自動的にアクションを実行できる機能です。たとえば、特定のキーワードが含まれる問い合わせに自動返信を行うといったことが可能になります。

    これにより、一次回答のスピードを高められるほか、顧客自身による問題解決を促し、サポートチーム全体の負荷を大きく軽減できます。また、顧客がWebフォームで入力した内容を条件に担当者を割り振ったり、重要度を設定したりすることもできます。

    自動化
    自動化は、全ての未解決の問い合わせに対し、あらかじめ設定したアクションを、一定の時間後に実行する機能です。トリガに似ていますが、実行条件として時間が設定される点で異なります。いったん優先度を下げた問い合わせでも、時間の経過とともに重要度が高まるケースがあります。

    このような問い合わせを見逃さないためには自動化の活用が有効です。定期的に優先度を設定し直す処理をシステムに任せることで、対応の遅れや漏れを防ぎ、適切な順番で処理できるようになります。

    自動化は、未解決のまま、もしくは誰にも割り当てられないまま所定の時間が経過した場合に、その旨をカスタマーサポート担当者やカスタマーサポートグループに通知するなど、ワークフローの管理に役立ちます。

    たとえば、問い合わせが届いてまず行う作業に「担当者への割り振り」がありますが、割り振りをする人は多くの業務を抱えているため、この割り振り作業が遅れることで、顧客対応業務が遅延したり、生産性の低下を招いたりするケースも多いのではないでしょうか。

    Zendeskの「トリガ」という機能を使えば、担当者への割り振りをシステムに任せてしまうことができます。問い合わせが届くとシステムがその内容に応じて、担当者を瞬時に決めて割り振ってくれるため、スタッフは即座に対応することができます。

    Zendeskのこのような仕組みは、リモートワークでも効率よく業務を進めることを可能にしてくれるでしょう。リモートワークでは、オフィス内のように声をかけたり相手の様子を見て待ったりすることができませんが、自動割り振り機能を活用することで、無駄な待ち時間を減らすことができます。

  7. PCセットアップの必要がない

    Zendeskは、Webブラウザで利用するシステムです。利用するにあたって特別なシステムやアプリをダウンロードする必要がないため、PCごとに特別なセットアップは必要ありません。たとえば会社のPCを持ち帰ることができない場合でも、普段と異なる自宅PCでいつも通りに問い合わせ対応ができます。カスタマーサポートを難なくリモートワークに移行することもできます。

  8. 場所を問わず利用できる

    ZendeskはWebブラウザを立ち上げてログインすれば利用できるため、どこにいてもオフィス内にいるのと全く同じように使えます。今日はオフィスで、明日は自宅でといった働き方にも対応でき、インターネット環境さえあれば外出中やカフェなどでも利用できます。ブラウザは、Google Chrome、Firefox、Safari、Microsoft Edgeに対応しており、iPhone、Androidスマートフォン、iPadでも利用可能です。詳しいシステム要件は、こちらのページでご確認ください。

  9. 分析機能が充実している

    Zendeskならデータ分析機能が充実しており、チケット(問い合わせ)数をチャネル別や週・日・時間別に可視化できたり、未解決チケット数・解決率・対応時間・初回返信時間などカスタマーサポートに関する指標をリアルタイムにダッシュボードで瞬時に確認できたりします。ダッシュボードに表示されるデータを通じて、自社のカスタマーサポートのパフォーマンスを分析し、期待を上回っている領域と改善が必要な領域を特定し、改善と効率化を図ることができます。

  10. FAQやチャットボットの導入や連携が容易

    Zendeskは総合的なカスタマーサポートソリューションであり、FAQやチャットボットにも対応しています。同じソリューションで問い合わせ管理やFAQの作成、チャットボットの導入が可能なため、全てを活用すれば相乗効果を発揮して、より一層サポート業務の効率化や顧客満足度の向上を実現することができます。

ZendeskのAIによる高精度の対話体験

Zendesk AIを用いた機能も充実しています。ZendeskのAIは数十億件にもおよぶ実際のカスタマーサービスデータでトレーニングされており、導入後すぐにでも利用可能です。AIボットが顧客に自然な対話体験を提供し、自動で問い合わせに対応します。また、AIが受信した問い合わせに目的や言語、印象のラベルを付け、優先順位付けやルーティングを効率化することもできます。

Zendesk AIが自動で問い合わせを分析

ZendeskのAIボットはメールやチャットなど、さまざまなチャネルで動作し、シナリオ型と辞書型の両方に対応しています。ボットビルダーを使えば、クリックアンドドラッグでボットが動作するシナリオを作成できます。ボットが解決できない問い合わせは対話履歴とともにスムーズに有人対応に引き継ぎ可能です。

Zendeskならノーコードでボットを作成可能

さらには、OpenAIと連携し、問い合わせの要約や回答の詳細化やトーン変更など、生成AIを活用した機能も提供し、担当者の業務効率化を支援します。

Zendesk AIについて、詳しくは下記ページでご覧ください。

問い合わせ管理を効率化、合理化できる適切なシステムを選ぼう

問い合わせ管理システムは、顧客や利用者からの問い合わせや要望を効率的に管理・処理するために大きな役割を果たします。
多様化する顧客からのさまざまな問い合わせチャネルを一元化して管理でき、履歴を最大限に活用することで顧客とのコミュニケーションの一貫性を保つことが可能となります。稼働場所に関係なく、全ての担当者が同じデータにアクセスできるため情報共有がスムーズとなり、担当者ごとに回答が異なるといったことも起こりません。

問い合わせに対して迅速かつ効果的な対応が容易になり、業務効率が向上すると同時に顧客満足度の向上に貢献します。また蓄積されたデータを活用して問い合わせの傾向や顧客のニーズを把握できるため、さらなるサービスの改善につなげることができます。

問い合わせ管理システムの導入は事業効果を高めることが期待されますが、大切なのは適切なツールの選択です。自社ニーズに照らし合わせ、それを充足できる機能が搭載されていること、また誰もが使いやすいシステムであることも重要です。

問い合わせ管理システム導入によって十分な効果を得るためには、現状の課題を明確に把握したうえでそれに対応できる、有効性の高い機能を備えたツールを選ぶ必要があります。

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