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「カスタマーサービス」と「カスタマーエクスペリエンス」の違いとは?

カスタマーサービスとカスタマーエクスペリエンスの主な違いを理解して、顧客への対応を早速改善しましょう。

更新日: 2024年2月22日

想像してみてください。ある日デスクに向かっていると、同僚のサポート担当者2人がカスタマーサービスとカスタマーエクスペリエンスの違いについて議論しているのが聞こえてきました。2人は皆さんにも意見を求めてきました。思わず手に汗がにじんできます。両者の違いなど見当がつかないからです。

多くのサポート担当者は、カスタマーエクスペリエンスとカスタマーサービスを同じような意味で使っていますが、この2つが意味するところは異なります。両者の違いを理解することは非常に重要です。なぜなら、カスタマーサービスはカスタマーエクスペリエンスを構成する主要な要素の1つだからです。

この2つの概念の違いと関係性を理解すれば、質の高いカスタマーサービスを提供して、自社ブランドに対する顧客の印象をさらに良くすることができます。

カスタマーサービスとは

カスタマーサービスとは、製品やサービスの購入時やその前後に顧客を支援、支持する行為を指します。

カスタマーサービスは、人間の担当者以外にも、ナレッジベースやチャットボットなどのセルフサービス用チャネルを通じて提供できます。

優れたカスタマーサービスは、手早く返事をするだけで成し得るものではありません。顧客の問題を解決するだけでなく、できる限り最善の解決策を提供することが肝心です。
業績の優れた企業は、カスタマーサービスの質が顧客との関係を左右することを理解しており、以下のような顧客の期待するサービスを提供しています。

卓越したカスタマーサービスを提供している企業の1つが、フードテック分野のスタートアップ企業Feed.です。Feed.は、時間のかかるメールでのチケット管理システムを改善するためにチャットを導入し、顧客にとって都合の良いチャネルで食品に関する問い合わせにすばやく回答できるようにしました。また同社では、顧客が注文した食品の配送状況を常に把握できるようにしています。配送に関する変更があった場合は、顧客が不便を感じることがないように、サポート担当者が早い段階で顧客にその旨を連絡します。

カスタマーエクスペリエンスとは

カスタマーエクスペリエンス(CX)とは、顧客が企業とやり取りするためのあらゆる手段と、顧客がそのやり取りに抱く印象を指します。

Zendeskのコミュニティマーケティングスペシャリストを務めるDave Dysonは、次のように述べています。「カスタマーエクスペリエンスとは、企業との一連のやり取りの中で顧客が受ける印象のことです。これには、カスタマージャーニーの各段階でのあらゆるタッチポイントが影響します。たとえば、購入前に目を通したマーケティング資料、営業担当者と接した時の体験、製品やサービスの品質、購入後に受けたカスタマーサービスなどです」

カスタマーエクスペリエンスには多数のタッチポイントが含まれ、切れ目がないのが特徴です。企業のWebサイトへの訪問、サポート担当者や営業担当者とのやり取り、Instagramに表示される製品広告なども、すべてカスタマーエクスペリエンスに該当します。

カスタマーエクスペリエンスを形成するのは、3つのP(人材(People)、プロセス(Process)、製品(Product))です。

  • 人材:営業担当者との電話でも、サポート担当者とのチャットでも、顧客は親切な従業員に対応してもらうことを望んでいます。
  • プロセス:カスタマージャーニー全体にわたって、顧客はシームレスで印象に残るエクスペリエンスを期待します。たとえば、決済処理が簡潔だった、カスタマーサービスに簡単な方法で問い合わせることができたといったことです。
  • 製品:顧客は、直感的に操作して問題を解決できる製品を求めています。

優れたカスタマーエクスペリエンスを提供する企業の好例が、フードデリバリーサービスを展開するGrubhubです。新型コロナウイルス感染症によるパンデミックが拡大する中でも、同社は電話での問い合わせの80%以上に20秒以内に対応して、待ち時間を短縮させました。

また、一般的なプロセスを自動化し、顧客がセルフサービスで注文内容を変更したり、代金の払い戻しを依頼したりできるようにして、注文1件あたりの問い合わせ回数を削減しました。さらに、安全性を懸念する声に応えて非接触型のデリバリーモデルを導入するなど、顧客の期待に沿ったサービスの提供を開始しました。

カスタマーサービスとカスタマーエクスペリエンスの違い

カスタマーサービスはカスタマージャーニーの一部であるのに対して、カスタマーエクスペリエンスはブランドと顧客のすべてのやり取りを包括したものです。こうした大まかな違いの枠組みの中で、カスタマーエクスペリエンスとカスタマーサービスを区別するポイントは他にもあります。

  1. コントロールの度合い

    企業は、自社が提供するカスタマーサービスについては完全にコントロールできます。カスタマーエクスペリエンスも設計することはできますが、顧客がブランドに抱く印象には数多くの要因が影響するため、コントロールできる範囲は限られます。

  2. 指標

    カスタマーサービスの品質を評価するには、顧客満足度スコア(CSAT)、顧客努力指標(CES)、ネットプロモータースコア(NPS)を利用できます。カスタマーエクスペリエンスの品質もこれらの指標に影響しますが、顧客生涯価値(CLV)、顧客解約率顧客維持率など、カスタマーエクスペリエンスの評価にはさらに多くの指標を利用できます。

  3. 責任範囲

    カスタマーサービスは、カスタマーサービスチームのマネージャーと担当者が主に受け持ちます。他の部門の担当者が対応するケースもあるものの、顧客が必要とするサポートを適切に提供する責任はカスタマーサービスチームにあります。

    カスタマーエクスペリエンスは、社内全体で責任を担うものです。マーケティングチームから営業チーム、製品チームまで、全従業員があらゆるタッチポイントで優れたカスタマーエクスペリエンスを提供する責任を負っています。

これらの違いを踏まえたうえで、カスタマーエクスペリエンスの戦略に合わせてカスタマーサービスを構築すると、顧客と長期的な関係を築くことができます。

カスタマーサービスとカスタマーエクスペリエンスのどちらが重要か

カスタマーサービスとカスタマーエクスペリエンスが異なる概念であると理解できたところで、どちらに重点を置くべきかお悩みの方もいらっしゃるでしょう。簡単に言えば、両方です。

印象に残るカスタマーエクスペリエンスと優れたカスタマーサービスは相互に関連していて、どちらが欠けても成り立ちません。カスタマーサービスは、ブランドに対する顧客の印象を左右します。優れたカスタマーエクスペリエンスの他の条件をすべてクリアしていても、必要なタイミングと方法でサポートを提供できなければ、顧客は他社に流れてしまいかねません。

カスタマーエクスペリエンスとカスタマーサービスの両方に投資することの重要性について、まだ納得できないという方のために、ここで「Zendeskカスタマーエクスペリエンストレンドレポート」のデータを一部ご紹介します。

  • 顧客の75%が、価格に目をつぶっても、優れたカスタマーエクスペリエンスを提供してくれる企業を積極的に利用したいと回答している

  • 顧客の77%が、問題が発生した場合に優れたカスタマーエクスペリエンスを提供してくれる企業に愛着を感じると回答している

  • 顧客の80%が、カスタマーサービスで複数回にわたり不快な思いをしたら、そのブランドの利用をやめて他社に乗り換えると回答している

  • カスタマーサービスを最優先事項と位置付けている企業は、顧客維持率の目標を上回る割合が6倍高くなる

業績の優れた企業は、カスタマーサービスとカスタマーエクスペリエンスの違いについてあれこれ議論するまでもなく、両方を重視して顧客満足度と収益の向上を図っています。

優れたカスタマーサービスも、印象に残るカスタマーエクスペリエンスも実現

カスタマーサービスとカスタマーエクスペリエンスは異なる概念でありながら、ブランドロイヤルティを構築するうえでは密接に関係しています。優れたカスタマーサービスとシームレスなカスタマーエクスペリエンスを両立させることは至難の業のように思えるかもしれませんが、思い悩む必要はありません。

カスタマーサービスとカスタマーエクスペリエンスの両方を管理できるツールがあります。Zendeskなら、多様なチャネルをまたいで迅速なカスタマーサービスを提供できると共に、カスタマージャーニーの各段階をパーソナライズできます。

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