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CSAT(顧客満足度スコア)とは?計算方法やNPS®との違いを解説

CSATは、企業の製品やサービスに対する買い手の満足度を測る重要な顧客エンゲージメント指標です。

著者: Court Bishop, 寄稿者

更新日: 2024年10月14日

知識は力なりと言いますが、とりわけCSAT(顧客満足度スコア)の向上を目指す企業にとって知識は必要不可欠です。

業種を問わず、ビジネスを成功させるためには、顧客に満足してもらうことは欠かせません。購入者を定期的に調査し、CSATをモニタリングしてCX(カスタマーエクスペリエンス、顧客体験)を測定することで 顧客ロイヤルティを育むことができ、事業の強みと弱みを知ることができます。

顧客中心の企業になるためには、CSATの収集方法と活用方法を理解する必要があります。
本記事では、CSATの定義から始まり、重要な理由や計算方法を解説し、最後にCSATを向上させるための手法をご紹介します。

  • CSATとは?

  • CSATが重要な理由

  • CSATを測定するには?

  • CSAT計算ツール

  • CSAT計算式

  • 理想のCSATとは?

  • CSATの活用方法

  • 業界別CSAT

  • CSATを向上させるために

  • CSATに関するよくある質問

  • 顧客が求めていることを理解

  • ダウンロード可能なCSATアンケートテンプレート

CSAT(顧客満足度スコア)とは?

CSATとは消費者が購入品や企業とのコミュニケーションにどれだけ満足しているかを測るものであり、CX指標としても主要業績評価指標(KPI)としても役割を果たしています。

各得点が意味するものについての情報を含むリッカート尺度の例。
サポートチームは、顧客にリッカート尺度によるアンケートを実施することで、自社のCSATを知ることができます。リッカート尺度は一般的なアンケートの評価システムで、ユーザーは自分の経験を数字で答えることによって評価することができます。この数値は、質問または意見にどの程度同意するか、または同意しないかを表しています。

具体的には、顧客満足度を算出するために、 「[製品/サービス/体験]にどれぐらい満足していますか?」といった単一質問を投げかけます。

各質問に続いて、顧客に満足度を示してもらうための5段階または10段階の指標を提示し、その尺度で顧客から回答してもらいます。例えば、下記の質問が一般的です。

  • 非常に不満

  • 不満

  • どちらでもない

  • 満足

  • 非常に満足

または

  • 全くそう思わない

  • そう思わない

  • どちらでもない

  • そう思う

  • 非常にそう思う

また、アンケートに自由記述欄を追加して、回答者に入力してもらうことで、さらに詳しい情報を収集することもできます。

CSAT度を測定するには?

計算ツールや計算式を使ってCSATを算出することができます。計算式を用いてCSATを求める場合は、2つの計算式(総合または詳細)のいずれかを使用してCSATを算出してください。

基本的なプロセスは以下のとおりです。

  1. 最初のステップは、適切な顧客満足度調査の質問を使用してアンケートを送付することです。フィードバックは下記の手段で収集するのが一般的です。
    • フォーム

    • アンケートソフトウェア

    • メール

  2. 回答を受け取ったら、下記の3つのうちのいずれかの方法で最終的なCSATの数値を求められます。
    1. CSAT計算ツール: アンケートのデータを下記のような計算ツールに入力すると、CSATがすぐにわかります。
    2. 総合CSATの計算式: これでアンケートスコアの平均値がわかります。
    3. 詳細CSATの計算式: これで「満足している」と考えている顧客のパーセンテージがわかります。

注意事項: 計算式は5段階のリッカート尺度に基づいています。以下で、この2つについて詳しく解説いたします。

CSAT計算ツール

無料のCSAT計算ツールを使って、顧客満足度を計算しましょう。5段階または10段階のCSATアンケートの回答値を入力するだけで、スコアが得られます。

回答5段階10段階
非常に満足59~10
満足47~8
普通35~6
不満23~4
非常に不満11~2

CSATが重要な理由

企業がCSATを活用するための3つの方法が書かれたリストの横に寝転んで本を読む人のイメージ。

CSATが重要なのは、カスタマーサービスチームがそれを分析し、CXに大きな影響を与える重要な洞察を労力をかけずに集めることができるためです。このCX指標は、ビジネスの下記のような場面で役立ちます。

  • 顧客の心理的な状況を数字を使って測定し、長期にわたって満足度をモニタリングする
  • 売上と利益全体を左右するような、データに基づいた意思決定を行う

  • 顧客維持と顧客ロイヤルティを向上させる

ZendeskのCXトレンド2022によると、消費者の81%が、カスタマーサービスの体験が良ければ再購入の可能性が高くなると回答しています。

収益性とブランドロイヤルティの向上の実現にあたっては、CSATのようなカスタマーフィードバックを生かして企業力を強化することが不可欠だと言えます。

CSAT計算式

CSATを計算するための式は複数存在します。
一般的な平均値が必要な場合は、総合CSATの計算式を使用します。満足した顧客に関する詳細な情報が必要な場合は、以下に示す詳細CSATの計算式のいずれかを使用してください。

CSAT計算式: 総合CSAT

CSATをすべて合計し、可能な限り高いスコアで割ることで、総合スコアを算出してください。次に、100倍してパーセンテージを求めてください。

全スコアの合計÷回答可能な値の合計×100=CSAT( % o)

CSAT計算式: 詳細CSAT

満足している顧客のパーセンテージを算出するには、「非常に満足(5段階評価の5)」または「満足(5段階評価の4)」と回答した顧客の数を全数で割り、 100を掛けてパーセント表示にして満足している顧客の割合を出します。

満足している回答者数(4点または5点と評価)÷全回答者数×100=満足している顧客の割合( % o)

非常に満足している顧客を測定するには、5点をつけた顧客の数を回答者の総数で割ってください。

非常に満足している回答者のみの数(5点と評価)÷全回答者数×100=非常に満足している顧客の割合( % o)

CSAT計算例

それでは例を挙げて解説しましょう。10の顧客グループにアンケートを取り、以下のような回答結果が出たとします。

回答者

回答者の点数

最高点

顧客A
3
5
顧客B
4
5
顧客C
3
5
顧客D
5
5
顧客E
5
5
顧客F
2
5
顧客G
4
5
顧客H
3
5
顧客I
5
5
顧客J
1
5

合計

35

50

このシナリオでは、「回答者の点数」は顧客の回答を指し、「最高点」は顧客が与えた可能性のある得点の合計を指します。最大スコアが5点であることから、CSATアンケートは5段階評価に基づいていると推測できます。このようにしてアンケートを取れば、総合CSATでも詳細CSATでもどちらの計算式も用いることができます。

このデータセットにおける総合CSAT70%です。

この答えは以下の5ステップから導き出されます。

  1. 回答者全員のスコアを合計すると、この場合は35点になります。

  2. 35を可能な最高得点である50で割ります。

  3. さて、計算式は35÷50で答えは0.7となります。

  4. 次に、合計0.7に100を掛けてパーセンテージを求めます。

  5. 最終的な計算式は0.7×100となり、答えは70%となります。

このデータセットにおける詳細CSAT50%になります。

以下のステップに従って、満足または非常に満足している顧客のパーセンテージを計算してください。

  1. 4点または5点をつけた回答者全員の合計を算出します。今回のシナリオでは全部で5人です。

  2. 回答者は合計10人なので、計算式は5÷10で答えは0.5となります。

  3. 次に、0.5を100倍してパーセンテージにします。

  4. 新しい計算式は0.5×100で、答えは50%になります。

理想のCSATとは?

多くの業界では、CSATが75~85%を「良い」、90%を超えると「模範的」と見なしています。

もちろん、この数字は主観的なものであるため、業界や個々の企業によって期待値は多少異なるかもしれません。

数値はさて置き、CSATが時間と共に向上すれば方向性が合っていると判断できます。ベンチマークを設定し、成長を定期的に追跡することで、事業の成功を測定し続けることができます。

CSATの活用方法

CSATアンケートを実施することで、ビジネスリーダーは企業の製品、サービス、カスタマーサポートに対する購買者の満足度(または不満足度)を評価することができます。下記にCSATの活用例を幾つかご紹介いたします。

  • サポート時のコミュニケーションやスクリプトを改善するためのアイデアを構想する

  • コミュニケーション、プロ意識、ベストプラクティスについてサポート担当者をトレーニングする

  • 提供物やメッセージを改善し、世間の認知度を向上させる

  • クロスセルとアップセルの機会を特定する

  • リピート購入を促す

業界別CSAT

各業界における標準の詳細については、米国顧客満足度指数(ACSI)などのリソースを参照してください。ACSIでは、さまざまな業界や個々の企業についてCSATのベンチマークを定めています。

もちろん、これは既存のすべての業種や業態を網羅したリストではありませんが、業界平均と比較して自社のCSATをベンチマークするための良いきっかけとなるでしょう。下記、幾つかの業界でベンチマークとなるCSATの値を紹介します。

CSATを向上させるために

CSATが100%でない限り、改善の余地があります。CSATでdり良いスコアを獲得するために、以下のいずれかの戦略を試して変化を生み出し、顧客満足度の向上につなげましょう。

サポート担当者のトレーニングおよびツールへの投資

顧客満足度を大きく左右するのが、提供するサポートの品質です。

しかし、サポート担当者が顧客の記憶に残る優れたCXを創出できるようになるまでに、トレーニング、オンボーディング、そしてオムニチャネルで使いやすいカスタマーサポートツールを用意する必要があります。

すでにZendeskのような強力なカスタマーサポートツールを利用している場合でも、それを効果的に使用するためにはチームにトレーニングを施す必要があります。チームが新しいツールやシステムの使い方を身につける場合は、下記のリソースをを活用することが効果的です。

  • 社内ヘルプデスク

  • セルフサービス記事

  • チーム全体のトレーニング

どのような選択をするにしても、トレーニングなしに新しいシステムをチームに導入することは避けなければなりません。新しいシステムを導入しても、それを使いこなせなければ、これまであった問題は改善できず、導入した目的が失われてしまいます。

待ち時間の透明化

顧客を待たせることは避けられませんが、優れたカスタマーサポートツールを利用していれば、サポート担当者は顧客とメッセージしながら他のタスクもこなすことができます。また、チャットの順番も表示されれば、サポート担当者は前から順に優先的に対応していけば、待ち時間の偏りを防ぐことができます。

Zendesk AIのようなAIで業務を効率化できるツールを利用している場合でも、サポート担当者は質問に答えたり、チームに相談したり、場合によってはより多くの背景情報を収集したりする時間が必要です。

顧客の不満を最小限に抑えるには、顧客に待ち時間を明確に伝え、テキストや折り返し電話などの代替サポートを提供すると良いでしょう。また、チャットボットはよくある質問に答えたり、顧客を自己解決につながるリソース(ヘルプセンターやFAQなど)に誘導することもできます。顧客の待ち時間が短縮されるだけでなく、サポート担当者の仕事の負担も軽減されます。

デジタルなコミュニケーションでは、リアルタイムに待ち時間を顧客に表示することも可能です。通話の場合でも、相手に待ち時間を伝える必要がある場合は、自動音声応答システム(IVR)で一定の間隔で待ち時間の目安を提供することもできます。

ZendeskのチャットボットであるZ Botとの対話。 見積もり時間を提示する際は、過度に楽観視することは避け、できる限り迅速に作業していることを通話相手に伝えて安心させてください。

自己解決の機会を提供

ZendeskのCXトレンドレポート2023によると、顧客の37%が、自己解決用のリソースにアクセスできなかったり、簡単な問題を自分で解決できなかったりすると、不満を持つことが明らかになりました。

ナレッジベースのコンテンツを充実させることで、CXが向上し、顧客がサポート担当者に質問する手間をかけることなく、速やかに問題を解決することができます。また、FAQやヘルプセンターは24時間利用可能のため、顧客はいつでも必要な情報を得ることができます。

こうした自己解決の選択肢を顧客に提供することにより、問い合わせが削減され、サポート担当者の仕事の負担が軽減されます。時間ができたサポート担当者は、より複雑な業務に集中することができます。

CSATに関するよくある質問

CSATアンケートによって、現在の顧客心理の全体像を把握できます。CSATを測定するタイミングと、CXインサイトを収集するその他の方法の詳細については、以下をご覧ください。

CSATを測定すべきタイミング

CSATは、コミュニケーションを取った後や「顧客ライフサイクル」の完結後に測定すると良いでしょう。また、顧客へのアプローチ方法をより洗練したいと考えている組織にとっては、下記タイミングで積極的に顧客アンケートを実施すると、それぞれの状況でのCSATを細かく計算できるため、部分改善にすぐに繋げることができます。

  • 顧客が買い物をするとき

  • カスタマーサービスを実施した後や販売の後

  • オンボーディングプロセス完了後

  • ヘルプセンターのリソースを利用した後

カスタマージャーニーの5つの段階(発見、評価、購入、体験、定着)を示すアイコン。

企業は、カスタマージャーニー(販売プロセス)中に消費者を調査することもできます。多くの企業は販売後にこのような調査を行いますが、顧客満足度調査はカスタマージャーニーの各段階の後に完了させることができます。

  • 発見:顧客がブランドのことを初めて知る段階
  • 評価:顧客がブランドに興味を持ち、購入を検討する段階
  • 購入: 顧客が製品やサービスを購入する段階
  • 体験: 顧客が購入品に関与する段階
  • 定着:顧客がリピート購入する段階

顧客の記憶が新しい状態でアンケートを実施するのが間違いなくベストです。そのため、サポート担当者によるサポート、購入、オンボーディングなどの関わり合いが発生したときに作動するトリガを設定し、CSATアンケートを自動化することをご検討ください。

CSATの長所と短所

CSATを計算することで、注意を要する課題に対する洞察をビジネスリーダーに提示できるため、すべての企業がメリットを得られます。CSATアンケートには、以下のようなメリットがあります。

  • シンプル: CSATのアンケートは基本的にはユーザーが数字を選ぶだけで回答できるため、ユーザーに負担を掛けません。
  • 回答率: シンプルにアンケートを作成すれば、顧客は自らの経験を共有したいという人間の欲求のおかげで、より積極的にアンケートに回答してくれます。
  • フィードバック: CSATアンケートによって簡単に傾向に気付けるため、企業は顧客が解約したり、ネガティブな体験を他人に伝えたりする前に、問題を早期に発見することができます。

顧客満足度を測定することに真のデメリットはありませんが、企業はアンケート結果を左右する次のような要因に注意する必要があります。

  • 文化的な偏り: アメリカ、ドイツ、オーストラリアなどの個人主義国の回答者は、1や5といった極端な評価を選ぶ傾向が強いです。一方、ブラジル、中国、メキシコのような集団主義国の人々は、中立的な回答に傾く傾向があります。
  • 無回答: CSATアンケートに回答するよう顧客を説得するのは難しく、十分なデータが得られなかったり、特定の層しか参加していないために回答が顧客を正確に反映していなかったりと、いくつかの問題が生じます。
  • 結果が不明確: このようなCSATアンケートは、顧客の意見を測定するための尺度を使用しているため感情を測定することはできますが、背景情報無しで有意義な変化を起こすことは困難です。

CSATがNPS®やCESと異なる点

顧客体験の計測に関する代表的な3つの指標であるCSAT、CES(顧客努力指標)、NPS®は、明確で実用的な情報を得られるため、支持を集めています。

  • CSATは、企業、サービス、製品に対する顧客の満足度を測定するものです。CSATは、CXの特定の側面について有益な洞察を提供し、あらゆるタイプの顧客とのインタラクションに役立ちます。
  • CESは、顧客が製品を使用したり、回答を得たりするのがどれだけ簡単かを測定するものです。CSATと同様、CESもリッカート尺度で測定されます。企業との広い意味でのサービス(手続きやカスタマーサポート)について「非常に利用しやすい」「非常に使いづらい」などのように顧客に評価してもらいます。
    サポート担当者とのコミュニケーションのほか、購入、返品、レビュー掲載までの手続きといった個別サービスを取り上げて質問しても良いでしょう。
    CESによって、サポート対応や製品における弱点を素早く発見できます。購買者の行動を見通せるとともにビジネスの課題の掘り起こしが可能で、さらに顧客ロイヤルティとブランド支持をよく示す指標でもあります。
  • NPS®は個々のやり取りや購入で受けた印象ではなく、全体的なブランドイメージを測定するものです。企業は一般的に、この指標を使って顧客が他人に紹介する可能性を評価します。
    NPSで典型的な質問は「友人・知人に勧める可能性はどれぐらいですか?」というもので、 10点を「非常に可能性が高い」として、1点から10点までの10段階で顧客に点数を付けてもらいます。NPS®は他の2つの指標と比べて回答率が高くなる傾向があり、
    製品、サービス、カスタマーサポート、CXについて、その質を評価するうえで有効です。顧客が他者に勧める可能性をリーダー層が把握できるため、企業にとってNPSは「成長指標」という位置付けです。

それぞれのKPIには利点がありますが、データを比較して回答から有益なインサイトを引き出したい企業にとって、どれも有用であり、企業に対する顧客の感情や企業との関わり合いについての総合的な視点を提供できます。

顧客が求めていることを理解

顧客からのフィードバックを頻繁に求め、可能な限り実行することで、顧客中心の企業を作りましょう。Zendeskのようなカスタマーサービスプラットフォームは、企業がCSATを計算し、データに基づいた意思決定を行うのに役に立ちます。

CSATからのインサイトを用いて改善活動を積み重ねることにより、売上を増やし、顧客離れを減らし、さらには企業が運営コストを節約するという結果に繋がります。

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