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カスタマーファーストが真に意味するものとは? 実現に向けた戦略的ステップを解説

顧客を組織の意思決定プロセスの中心に据えることは、長期的な関係とビジネスの成功に直結します。

著者: Jeannie Walters, Founder and Chief Experience Officer of Experience Investigators

更新日: 2024年10月14日

笑顔の人物

「カスタマーファースト」は、数多くの企業が掲げる理念や方針ですが、本当の意味でカスタマーファーストを実践している企業はどれほど存在するでしょうか。

サービスや製品を優先することは大切な出発点ですが、それだけではカスタマーファーストとは言えません。真のカスタマーファーストを名乗るには、顧客や従業員の全ての接点において、対話を大切にし、積極的に対応する必要があります。 そうすることで、収益の向上、質の高い顧客関係、そして比類ない競争上の優位性が生まれます。

この記事では、カスタマーファースト文化の主な考え方について触れ、具体的な行動指針から事例まで、今日から始められる卓越したCX(顧客体験、カスタマーエクスペリエンス)を提供するための道筋を解説します。

カスタマーファーストとは?

カスタマーファーストとは、単にサービスや製品に焦点を当てるのではなく、企業のあらゆる意思決定において顧客を中心に据える考え方を指します。

これには、顧客のニーズを念頭に置いてサービスや製品を設計・提供することで、一貫してポジティブなCXを創出する方法を模索することも含まれます。

カスタマーファーストの考え方は、目的主導の思考と密接な関係があります。 顧客とカスタマーエクスペリエンスは、企業の目的の一部となります。 その結果、従業員は消費者との関わり合いを原動力とし、可能な限り優れたカスタマーサービスを提供しようと努めます。

カスタマーファーストとは、顧客のために正しいことをすることであり、組織の全員がその使命に沿うようにすることです。

カスタマーファースト戦略のメリットとは?

ポジティブなカスタマーエクスペリエンスを優先することで、収益性、ビジネスの成長、長期的な関係の基盤を築くことができます。

Uber、Airbnb、Warby Parkerなど、過去10年間で最も成功し、業界に革新をもたらした企業の多くは、カスタマーファーストの組織に該当します。 これらのブランドは、製品の創造と提供を中心に事業を展開する代わりに、顧客のニーズを中心に事業を組織化し、事業をメインストリームへと飛躍させました。

しかし、顧客満足度はフォーチュン500社に名を連ねる企業にとどまらず、すべての組織が採用すべきアプローチです。 そのメリットは次のとおりです。

  1. 顧客維持率の改善: 顧客はポジティブな経験をすることで、より頻繁に購入し、その経験を他の人に話すようになります。 これはブランドロイヤルティを向上させ、頻繁な購入や紹介につながります。
  2. 収益性の向上: 当社の報告書『カスタマーサービスがビジネスに与える影響の定量化』によると、顧客の87%が、優れたカスタマーサービスを受けたことで、そのブランドを購入したり、将来購入したり、他の人に勧めたりする可能性が高まったと回答しています。
  3. 従業員定着率の向上: SurveyMonkeyの調査によると、従業員にとっての仕事のやりがいと、顧客への共感、影響、満足度といった要素との間に明確な関係があると報告しています。 つまり、カスタマーファーストの行動は従業員にも利益をもたらし、従業員の満足度が高まり、定着率が上がります。
  4. 競争力の強化: カスタマーファーストのアプローチは収益性を高め、従業員の定着率を高め、企業の評判を向上させます。 結果として、この考え方を支持しない他の企業に対する相当な競争上の優位性をもたらします。

カスタマーファーストの9つのステップ

包括的なカスタマーエクスペリエンスマネジメント戦略を持つことが、カスタマーファーストを実現する鍵となります。 そのためには、次のプロセスを組織内で実行する必要があります。

1. 顧客の視点を通して事業を見る

成功している企業は、単に製品や利益に焦点を当てるのではなく、見込み客にとって最も役立つ方法を優先しています。 これを効果的に行うには、消費者の目を通して事業を見る必要があります。

顧客の目を通して見ることで、初回購入に至るまでの不満や課題をよりよく理解することができます。 バイヤージャーニーとは、見込み客がセールスファネルを通過することで、カスタマージャーニーとは、顧客が組織との関係を継続するために必要なサポートに焦点を当てたものです。

顧客獲得と維持のプロセスを通じて、次のように自問自答してください。

  • 見込み客の最初の関心事と当社の提案を合致させるにはどうすればよいか?

  • 見込み客が最も価値があると考える機能は何か?

  • 最初の購入後、顧客はどの程度のサポートやサービスを期待しているか?

これらのジャーニーを軸に組織的な取り組みを再構築すれば、サポート、製品機能、そして全体的なカスタマーエクスペリエンスを改善する方法を積極的に見つけることができます。

2. 顧客の実像と彼らにとって何が重要かを知る

カスタマージャーニーを理解するだけでは十分ではありません。顧客がどのような人たちなのかを知る必要があります。 これは、バイヤーペルソナで実現できます。

バイヤーペルソナとは、ターゲットとする顧客を詳細に説明したもので、年齢、性別、居住地、好き嫌いなどが含まれます。 バイヤーペルソナを作成することで、SNSに投稿するコンテンツから、カスタマーサポートや製品アップデートの最適なアプローチ方法まで、カスタマーエクスペリエンスをパーソナライズするために情報を使用することができます。

このようなペルソナを開発することは、組織全体でカスタマーファーストを実現する良い方法です。

3. プロアクティブなカスタマーエクスペリエンスを実現する

ガートナー社の調査によれば、プロアクティブなカスタマーサービスは、顧客の要求に応えるための重要な側面となります。 しかし、そのようなサービスを日常的に受けていると答えた顧客はわずか13%に過ぎません

プロアクティブな体験を提供することは、組織の競争力強化につながります。 クライアントのニーズを予測し、問題が発生する前に対処するよう努めることが重要です。 期待を超える姿勢を示すことで、カスタマーエクスペリエンスを優先する企業として、すぐに地位を確立することができます。

顧客を理解し、組織の意思決定の中心に据えることが、プロアクティブになる唯一の方法です。

4. 成功を定義する

組織の全リーダーは、消費者中心の成果を理解し、それを実現する必要があり、それは組織の目標をカスタマーエクスペリエンス指標に結びつけることから始まります。

利益や四半期毎の成功だけで予測を立てるのではなく、サービスを優先するよう考え方を見直す必要があります。 意思決定の指針として顧客志向のアプローチを活用し、見込み客にポジティブな体験を提供することに基づき成功を定義します。

業界で重要な変数を特定することから始めましょう。解約率や継続率、顧客生涯価値(LTV)、同様の顧客維持指標は、良い出発点です。 そこから、短期的・長期的にこれらの指標を改善するための行動計画を立てます。

5. 一貫性を高めるための従業員研修を実施する

多くの場合、従業員は消費者とのコミュニケーションの最初の窓口となります。 カスタマーファーストの取り組みについて十分な研修を行いましょう。

従業員のための包括的な研修プログラムに投資することで、従業員は常にポジティブなカスタマーエクスペリエンスを提供できるようになります。 組織の原則、カスタマーサービス研修、そして顧客のニーズを優先する姿勢を身につけることで、チームは部署に関係なく、どのようなやり取りにも対応できるようになります。

最も重要なことは、標準化された研修プログラムによって、一貫したカスタマーエクスペリエンスを保証することです。 つまり、顧客が誰に話しかけても、専門知識とカスタマーサービスの能力を持つ担当者が問題を解決します。

6. (難しい)顧客とのやり取りに対する明確な行動計画を立てる

組織がすべてのタッチポイントで完璧なサービスを提供することはほぼ不可能です。 チームは、ネガティブな顧客とのやり取りを処理し、ポジティブな結果に変える態勢を整えておく必要があります。

難しいやり取りのための行動計画を作成することで、従業員は不満を抱いている顧客に共感するスキルや、こうした状況を効果的に解決する方法を学ぶことができます。 カスタマーサービスへの不満は、事業を破綻させかねません。そのため、組織内の全員が、たとえストレスにさらされても、最善の行動を取る必要があります。

これらの計画には、紛争解決の手法とフォローアップ手順を含める必要があります。 従業員に、不満を持つ顧客とのやり取りを完結させる権限を与え、顧客の問題を解決し、フィードバックを統合してネガティブなやり取りの根本原因に対処できるようにします。

7. トレンドとイノベーションの最先端を行く

消費者のトレンドや業界のイノベーションを常に把握することは、変化し続ける市場でカスタマーファーストを実現するために不可欠です。

現代は、ほとんどのものが瞬く間に手に入る時代です。 ライドシェアリング、フードデリバリー、オンラインショッピングなど、今日の消費者は指一本ですぐに利用でき、利便性はかつてないほど高まっています。

SNS投稿、Google検索、口コミなど、顧客がどのような方法で企業を見つけるにせよ、プロセスや サポートシステムは可能な限りシームレスで便利なものでなければなりません。 新たな需要やトレンドを先取りするために、製品とカスタマーサービスマネジメントプロトコルを調整することから始めましょう。

以下のガイドで、来年、最も重要となるカスタマーサービストレンドを確認し、業務の準備にお役立てください。

8. 変化が必要なときにピボットする

行動計画とカスタマーファースピカスタマーファーストボットの取り組みを確立することは極めて重要ですが、成功している企業は、消費者が変化を求めたときに方向転換する方法を理解しています。

ピボットとは、従業員が困難な状況に直面したときに判断できるようにすることです。 すべてのネガティブなやり取りが、あらかじめ決められた筋書き通りに進むとは限りません。 払い戻しや交換品の送付など、理にかなった場合に従業員がルールを少し曲げることができるようにすることで、カスタマーサポートを大幅に向上させることができます。

ピボットとは、新たなトレンドに直面して組織戦略を変えることでもあります。 顧客の期待は週ごとに変化する場合があり、前四半期にアクションプランが成功したからといって、今後もそれが続くとは限りません。 競争力を維持し、顧客中心主義を貫くために、常にピボットと戦略の改善を追求する必要があります。

9. 改善のための計画と実績を評価する

カスタマーファーストは「設定したら終わり」のアプローチではありません。継続的に監視し、改善すべき理念なのです。

消費者データと比較しない限り、戦略の効果はわかりません。 定期的に調査を実施し、カスタマーサービスの指標を評価し、カスタマーサービスのベストプラクティスを再検討することで、戦略で成功しているところと改善すべきところを知ることができます。

このデータを使って、アプローチをピボットしたり、変更したり、完全に変えたりすることができます。 消費者の嗜好は急速に変化しており、カスタマーファーストの取り組みも同様に流動的であるべきです。

カスタマーファーストを掲げる企業の例

カスタマーファースト戦略が重要な理由を説明したところで、Syfe、Thrasio、Unityの実例を見てみましょう。

カスタマーファースト文化の創造

カスタマーファーストの文化は、目的志向で、積極的であり、常に消費者を組織の意思決定の念頭に置いています。

これまでに学んだように、カスタマーファーストを宣言するだけでは十分ではありません。 企業は、従業員にカスタマーエクスペリエンスをパーソナライズするために必要なツール、テクノロジー、リソースを与える一方で、顧客重視の文化を発展させる必要があります。 Zendeskのようなソフトウェアは、カスタマーサービスとカスタマーエクスペリエンスに革命をもたらし、その過程で収益を向上させることができます。

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