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カスタマーエフォートスコア(CES)の計算方法と5つの改善手法

カスタマーエフォートスコアを計算して、顧客によりストレスや手間のない体験を提供しましょう。

著者: Court Bishop, 寄稿

更新日: 2024年5月22日

カスタマーエフォートスコア

インスタントグラティフィケーション(瞬間的な満足感)が得られる今日のデジタル社会では、利便性に勝るものはありません。数回のクリックだけで、映画、音楽、食事、それらすべてが手元に届くようになりました。これまで店頭で購入していたものも、今ではほとんどがオンラインのショッピングカートに入れて購入できます。

このように購入体験がより気軽に進化するにつれ、カスタマーサービス体験も同様に進化する必要があります。つまり、リアルタイムで欲しいものが手に入る現代の顧客は、電話での長時間の保留など、手間のかかる体験を望んでいません。

そのため、顧客を維持し増やすためには、カスタマーエフォートスコア(CES、顧客努力指標)の追跡と改善が重要になります。それにより、顧客に手間をかけず、快適な体験を提供することが可能になります。

本記事では、そのための具体的な手段として、カスタマーエフォートスコアの定義や重要性、計算方法、そしてカスタマーエフォートスコアを改善するための5つの方法を詳しく説明します。

カスタマーエフォートスコアとは

カスタマーエフォートスコアとは、顧客が企業から必要とするサービスを利用する際に、どれだけの労力を必要とするかを評価する指標です。これには問題の解決や質問への回答、特定のタスクの完了などが含まれます。カスタマーエフォートスコアの最終的な目標は、いかに労力のかからない体験を顧客に提供できるかにあります。

カスタマーエフォートスコアは企業がアンケートを通じて調査を行うことが可能です。一般的な調査方法としては、顧客に対して企業とのやりとりが「非常に簡単」か「非常に困難」かを評価してもらうものがあります。カスタマーエフォートスコアが高い場合は、顧客が企業と楽にやり取りを行えていることを示し、一方でカスタマーエフォートスコアが低いと、顧客が企業とのやり取りにおいて労力を必要としており、通常は不満が存在していることを示唆します。

カスタマーエフォートスコアが重要な理由

カスタマーエフォートスコアは、詳細な背景情報を交えて考察することで、より有益なものとなります。 あらゆるサポートチャネルや企業が顧客と接する場面でこの指標を追跡することで、スムーズな体験を実現しているチャネルやタッチポイントと、そうでないものを把握することができます。

カスタマーエフォートスコアを分析することで、顧客が特定の行動に苦労している場面を見つけることが可能になります。例えば、コンタクトセンターへの電話問い合わせは「非常に簡単」だと感じている一方で、セルフサービス型サポートコンテンツのの利用は「少し難しい」と感じているかもしれません。このような情報を基にして適切な調整を行うことで、顧客のロイヤルティと維持率を改善することができます。

カスタマーエフォートスコアの活用

カスタマーエフォートスコアが、次の3つのシナリオでを計算・追跡することで、最大限に活用することができます。

  1. 顧客がサポートチームとやり取りをした直後: サポート担当者が、顧客が容易に問題を解決できるようサポートできているか評価できます。

  2. 製品チームのユーザーインターフェイス(UI)とユーザーエクスペリエンス(UX)テストの実施時: 顧客が製品をどれほど簡単に操作できたかについてフィードバックを取得できます。
  3. 顧客のインタラクション(例えば資料のダウンロード)が購入やサブスクリプションにつながった場合:顧客がコンテンツをダウンロードし、それが購入やサブスクリプションにつながった場合、その過程がどれほど簡単であったか、または難しかったかを評価できます。

カスタマーエフォートスコアアンケートを定期的に行うことで、顧客体験における潜在的な問題点を明確にし、それらを改善するための施策を考えることが可能になります。

カスタマーエフォートスコア調査とは

カスタマーエフォートスコア調査は、短いアンケート形式で行われ、特定のタスクを完了することがどれだけ簡単だったか、あるいは難しかったかを測定するために既存顧客に向けて実施します。
一般的に、企業が利用するカスタマーエフォートスコア調査には下記の3種類あります。

  • 0~10段階評価(0は「非常に難しい」、10は「非常に簡単」)」またはリッカート尺度を使用して、「全くそう思わない」から「非常にそう思う」までの5段階または7段階から選択
  • 賛成と反対の2択質問
  • 😃 / 😐 / 🙁 など、感情を象徴する絵文字や顔文字のアイコンから選択

段階評価をした場合のカスタマーエフォートスコアの計算方法は、賛成と反対、絵文字や顔文字を使った場合とことなります。

さらに注意すべきは、顧客努力を評価する方法はカスタマーエフォートスコアだけに限らないということです。その他のカスタマーサービスに関する指標を確認しながら、これらをモニタリングすることも忘れないようにしましょう。下記は顧客努力の評価に関連するカスタマーサービス指標の一例です。

  • 顧客満足度(CSAT
  • NPS®(NPS
  • 顧客とサポートチームとの接触回数

  • 顧客がカスタマーサービスに連絡する平均回数

  • チケット(問い合わせ)の解決までの時間

  • チケットを送信したリクエスタ(問い合わせをした顧客)の待ち時間

  • 初回返信時間

カスタマーエフォートスコアアンケートの作成方法

顧客とやり取りをした直後は、短く簡単なカスタマーエフォートスコアアンケートで顧客からのフィードバックを集めましょう
アンケートに入れるべきカスタマーエフォートスコアの質問例には以下のようなものがあります:

  • [0–10]の評価で、問題を解決するのはどれくらい簡単でしたか?

  • 問題を迅速かつ正確に解決することができましたか?

  • 質問の回答を見つけるのに、どれだけの労力を要しましたか?

  • デモ動画の閲覧(例)はどれくらい簡単でしたか?[0–5]で評価してください。

Zendeskでアプリの統合を活用すると、チケットの更新や解決時など、特定のやり取りの直後にアンケートを送信することができます。

ご使用のCRMにこのような機能が組み込まれていない場合も、カスタマーエフォートに関するアンケートを作成して送信できる無料のツールがあるため、それらを活用できます。 TypeformSurvicateでは、顧客努力に関するデータの収集に役立つ、カスタマイズ可能なカスタマーエフォートスコア調査テンプレートを提供しています。 または、Googleフォームを使ってカスタマーエフォートスコアアンケートを作成することもできます。

どのようなツールやテンプレートを使うにせよ、自由回答式の質問を入れることで、顧客がより詳しいフィードバックを残せるようにしましょう。

カスタマーエフォートスコア調査のアンケート例

例1-1 どれほど簡単に問題解決ができましたか?

10段階評価から1つを選択
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
(1が非常に困難、10が非常に簡単) 例1-2 その他に私たちへのフィードバックはありますか?
なぜ7/10の評価をつけましたか?

回答は自由記述 例1-3 今回のサポートで、より良い対応を実現するために、どこを改善すれば良いと思われますか?

回答は自由記述 例2-1 最近の体験をもとに、私たちとのやり取りは簡単に行えましたか、それとも困難でしたか?

下記選択肢から1つを選択
– 非常に困難
– やや困難
– 普通
– やや簡単
– 非常に簡単 例2-2 目的は達成できましたか?

下記選択肢から1つを選択
– はい
– いいえ
– わからない 例2-3 どのようにすれば、私たちとのやり取りを今後改善できるか教えてください。

回答は自由記述 出典: TypeformSurvicate

カスタマーエフォートスコアの計算方法

カスタマーエフォートスコアの調査結果が出たら、カスタマーエフォートスコアを計算しましょう。 10段階評価またはリッカート尺度を使用した場合、以下のカスタマーエフォートスコア計算式を活用します:

カスタマーエフォートスコアの計算式

10段階評価の場合

カスタマーエフォートスコア = カスタマーエフォートスコアの得点合計÷調査回答数

賛成と反対の二択式の場合は、肯定的な回答の割合から否定的な回答の割合を引き、カスタマーエフォートスコアを算出します。

カスタマーエフォートスコア = 肯定的な回答の割合 – 否定的な回答の割合

顔文字や絵文字式の場合も同様で、肯定的な回答の割合から否定的な回答の割合を引いてカスタマーエフォートスコアを計算します。(中立的な回答は除外)

カスタマーエフォートスコア = 肯定的な回答の割合 – 否定的な回答の割合

例えば、300人の顧客からアンケートの回答を受け取ったとしましょう。そのうち250人が肯定的な回答で、50人が否定的な回答だったとします。まずは各タイプの回答の割合を求めます:

  • [(250 ÷ 300) x 100 ]×100=肯定的な回答は83.33%
  • [(50 ÷ 300) x 100]×100=否定的な回答は16.66%
  • これらの数字を元に、肯定的な回答の割合から否定的な回答の割合を引いてカスタマーエフォートスコアを算出します。
    カスタマーエフォートスコアは83.33 – 16.66 = 66.67

カスタマーエフォートスコアのスコアが高いほど、顧客が求める情報やサービスを容易に手に入れられていることを示しています。よりストレスのない顧客体験を提供できていれば、そのブランドを継続して利用する可能性が高まります。つまり、高いカスタマーエフォートスコアは、低い顧客離脱率につながります。

優れたカスタマーエフォートスコアとは

まず言えることは、カスタマーエフォートスコアが高いということは、カスタマーエフォートスコアが優れているということです。ただし、一般的なベンチマークや業界標準というものは存在しないため、自社の過去のスコアが最も重要な比較対象となります。どのような状況であれ、カスタマーエフォートスコアは定期的に追跡すべき重要な顧客満足度の指標となります。

カスタマーエフォートスコアが期待値を下回り、一定期間改善しない場合は、サポートチームは下記の項目を検討して取り組みを見直すべきです:

  • 顧客が答えを得るまでに、いくつのチャネルや部署を経由しなければなりませんでしたか?

  • 一つのチケットで問題は解決しましたか?それとも、同じ問題や関連する問題で、顧客が再度問い合わせる必要がありましたか?

  • 問題解決までのカスタマージャーニーの各タッチポイントでの所要時間はどれくらいでしたか?

  • 問題解決の妨げとなった特定のプロセスや障害は何かありましたか?

  • どのようなリソース、ワークフロー、スキルが、迅速な解決に寄与しましたか?

  • サポート担当者は適切に問題を解決するために必要なリソースを持っていましたか?

  • 現在、顧客やサポート担当者からのフィードバックに基づいて、どのように改善策を実施し、追跡していますか?

これらの質問を通じて、問題が発生しそうな箇所に対して先手を打てば、カスタマーエフォートスコアの改善へとつなげることができます。

カスタマーエフォートスコアを改善する5つの手法

ワークフローの見直しから補足的なカスタマーサービストレーニングまで、顧客の満足度を向上させ、労力を低減するための手法はいくつか存在します。本記事では、5つの手法をご紹介します。

サポート担当者の労力を軽減して顧客の労力の軽減へ

サポート担当者の労力とカスタマーエフォートスコアは直結しています。マクロ、セルフサービスオプション、一元化されたワークスペースといったツールを用いてサポート担当者の負担を軽減すれば、それが顧客体験の向上につながります。サポート担当者が問い合わせを迅速かつ容易に解決できる環境を整備し、顧客満足度を高めましょう。

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