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コンタクトセンターとは? 定義・メリット・機能・タイプ
柔軟性のあるダイナミックなコンタクトセンターを構築しながら、顧客ロイヤルティの向上や、サポート担当者の効率化を図りましょう。
著者: Cristina Maza, 寄稿者
更新日: 2024年2月14日
友人が急ぎの質問をメッセージで送ってきたのに、電話の着信音しかオンにしていなかったので、数時間後までメッセージを見ることができなかったとします。友人にはイライラが募り、あなたはすぐに返事ができなかったことを申し訳なく思うでしょう。
顧客とのコミュニケーションでも同じようなことが起こります。メッセージングアプリからメールまで、昨今の消費者のコミュニケーション手段はさまざまです。
そのため、カスタマーサポートチャンネルの選択肢を1つか2しか提供していない場合、ターゲットマーケットとつながる重要な機会を逃していることになります。
これには解決策があります。最新のダイナミックなコンタクトセンターを配置しましょう。
定義: コンタクトセンターとは?
コンタクトセンターは、電話を含むあらゆるチャネルでの顧客とのやり取りを管理する部署ですが、デジタル技術に重点を置く傾向があります。
一元化されたコンタクトセンターソフトウェアは、一般的に自動コミュニケーションシステムを活用したり、顧客とのやり取りの背景情報を保存することができます。これにより担当者は、顧客がどのチャネルで連絡をしても、常に背景情報を組んだ卓越したサポートを提供することができます。
コンタクトセンターの機能は多岐に渡りますが、SNSのメッセージング、メール、オンラインチャットといったデジタルコミュニケーション手段を使って顧客とつながることができる機能がコンタクトセンターには組み込まれています。そのため、常に変化する消費者の好みに合わせた対応を実現し、顧客が昨今望むシームレスなオムニチャネル体験を提供できます。
顧客満足度を重視して飛躍するブランドは、最新のデジタル中心のコンタクトセンターを活用する傾向にあり、以下を実現しています:
自動化を活用して解決時間を短縮
統合機能でカスタマーサービスソフトウェアをカスタマイズ
Facebook Messengerでアンケートを送信
プッシュ通知でイベントやセールを案内
SMSで注文状況を送信
動画を使った技術サポート
オンラインチャットアプリを使用してリアルタイムで問題を解決
カスタマーサービスコンタクトセンターの6つのメリット
コンタクトセンターがあれば、サポート担当者は複数のチャネルで顧客とつながることができます。この柔軟性のあるシステムは顧客にとって便利なだけではありません。企業は、顧客についての傾向を把握したり、カスタマーケアを実践する機会を増やすことができます。
1. オムニチャネルでサポートを提供
オムニチャネルのコンタクトセンターは、最新のカスタマーサポート体制といえるでしょう。
チャットボット、フォーム、サポート担当者を通じて収集した情報を一箇所に集約できるため、担当者は今後のやり取りでハイレベルなサポートを実現できます。
ある顧客がカスタマーサポートに連絡を取り、チャットボットとやり取りをしたとしましょう。自動で展開する一連の質問に答えた後、顧客のサポートチケットはライブの担当者にエスカレーションされることがあります。担当者がチケットを扱うまでに、顧客はすでにイライラしているかもしれません。そんな時、顧客の共有済み情報が担当者の手元にあり、プロセスをできるだけ効率的に行うことがとても重要です。
幸いにも、オムニチャネルサポートシステムを導入していれば、顧客情報が既に登録済みなだけでなく、問題や関連する背景情報も同時に閲覧可能です。
2. より包括的なサービスを実現
6,100万人の成人のアメリカ人が障害を持ちながら生活しており、全米成人の26%を占めています。企業は、コンタクトセンターのアクセシビリティを優先することで、障害のある顧客に対応することができます。
カスタマーサポートのアクセシビリティを向上するには以下を実践しましょう:
スクリーンリーダーや音声読み上げ機能を提供することで、視覚障害や聴覚障害のある顧客が利用しやすいようする。
耳の不自由な顧客のためにクローズドキャプションを使用する。
聴覚障害のある顧客のために動画サポートを提供することで、手話を使えるサポート担当者とのコミュニケーションを可能にする。
3. 顧客満足度を向上
コンタクトセンターは、顧客が問題に応じて選べるさまざまなチャネルを提供することで、顧客満足度を向上することができます。例えば、重大な問題が発生し素早い対応が必要な場合、多くの顧客は即時性のある電話で担当者と直接やり取りをしたがる傾向にあります。
一方、一般的な問い合わせや、それほど重大ではない問題については、オンラインでの会話を好むことが多く見受けられます。デジタル対応の場合、電話とは異なり、担当者は一度に多くの顧客をサポートできるため、ビジネスの時間とコストの節約につながります。
4. 販売促進
顧客がデジタルチャネルを使ってコンタクトする場合、担当者はアップセルやクロスセルの機会を活かして売上と収益に貢献することができます。
サポート担当者は、デジタルチャネルを通じてリンクを送信し、顧客の問題解決に役立つ互換性のある他の製品を紹介することも可能です。また、追加の機能やストレージの容量増加のため既存のパッケージをアップグレードしたい顧客には、サポート担当者が簡単にその情報を送信できます。
5. 長期的な顧客との関係を構築
コンタクトセンターを導入すると、サポート担当者は会話履歴をもとに顧客とのやり取りを効率化することができます。それだけでなく、強固な顧客関係の構築につながるチャンスも生まれます:
- 一人ひとりに合わせた体験を提供: 誰かとビジネスを始める時、その相手とビジネスについて詳しい情報を集め学習するのが一般的ですが、顧客関係も同様です。会話を進めながら、習得した知識を使ってパーソナライズした体験を形成することができます。
- 一歩上をいく気配り: 顧客に定期的にコンタクトする機会を作りポジティブな体験を構築しながら、貴社にとって顧客がいかに大切であるかを示しましょう。
- 誠意ある親身な対応: 単なる売上として見られたい顧客はいません。難しいサポートの状況下でも、常に礼儀正しくプロフェッショナルな対応を心がけましょう。顧客への感謝を忘れてはいけません。
- 人間味のある対応: 忙しさと激務がたたると、スクリプトに沿った会話になったり、気遣いを忘れてしまったりします。しかし、顧客への理解や共感を示すことで、長期的な関係構築に貢献することができます。
6. 顧客への理解をより深める
コンタクトセンターは、複数のデジタル接点での顧客対応を可能にするだけでなく、顧客のニーズ、好み、購買行動に関するインサイトを得られる場としても機能します。
解析ソフトウェアを活用すると、あらゆるチャネルにおける主要なカスタマーエクスペリエンスの指標を追跡・測定することができます。ここで得られるデータを活用すれば、顧客との会話でよく使用されるフレーズや単語を検証することも可能となり、問題化する前にそれを特定できるようになります。
例えば、銀行のコンタクトセンターの場合、顧客からオンラインチャットやメールでクレジットカード詐欺についての苦情があることを察知できれば、銀行はすぐさま問題解決に向けて対策をとることができます。
一方、クロスチャネルの分析を使用すると、すべてのチャネルのデータを解析して顧客の360度ビューを取得し、顧客層がどのコミュニケーションチャネルを最も好むのかを特定可能です。この情報を使用して、顧客をセグメント化し、それに応じてカスタマーサポートをカスタマイズすることができます。
主要なコンタクトセンターソリューションと機能
予算とリソースの制約がある中でも、顧客のニーズに合わせてコンタクトセンターをカスタマイズする必要があります。
幸運にも、基本的な音声機能を備えた有能なクラウド型のコンタクトセンターソリューションがあるため、それらを導入すると以下のことが実現します:
自動音声応答(IVR)システムを設定すると、電話応答の最初のコンタクトポイントとして、よくある問い合わせに対応できるため、有人対応に回す必要がなくなります。
ステータス、作業量、会話の優先度などに基づいて、適切な担当者に電話を転送することも可能です。
トレーニングのために通話を録音できます。
Webサイトやアプリに「電話する」のボタンを設置できます。
リアルタイムのダッシュボードでコールセンターを監視します。
電話での問い合わせをチケットに変換します。
デジタルファーストチャネルも、コンタクトセンターソリューションにとって重要なチャネルです。その特徴をご紹介します:
MessengerやWhatsAppなどのSNSは、利便性の高いCXを実現します。
AIを搭載したチャットボットは、担当者の勤務時間外に顧客に対応することができます。
ナレッジベースまたはコミュニティフォーラムを設置すると、顧客は問題を迅速に自己解決できます。
統合型ワークスペースは、電話やデジタルなどあらゆるチャネルで繰り広げられる顧客とのやり取りを連携するために不可欠です。担当者はシステム間の切り替えをせずに、使用チャネルに関わらず背景情報にアクセスしながら一人ひとりに合わせたサポートを提供できます。
追加機能が必要な場合は、Zendeskのようなコンタクトセンターソフトウェアを使用すると、現在使用しているアプリを簡単にシステムに統合することもできます。
コンタクトセンターとコールセンターの違いとは?
コールセンターとコンタクトセンターは基本同じものを指すとお考えではないでしょうか? 実のところ、そうではないのです。
コールセンターは、電話に応答し、関連部署にルーティングするだけです。一方、コンタクトセンターは、電話、メール、チャット、セルフサービス、メッセージングアプリ、ソーシャルメディアなど、複数のサポートチャネルを提供します。
コールセンターの方が都合がいいというビジネスもあるかもしれませんが、顧客はコンタクトセンターを求めているかもしれません。消費者は、もはや電話だけでなく、メール、SNS、メッセージングアプリ、その他のチャネルでのやり取りを期待しています。コンタクトセンターを導入すると、これらの選択肢を提供しながら、より充実した顧客体験を実現することができます。
ZendeskのCXトレンドレポートによると、トップレベルのカスタマーサービスチームは、オムニチャネル機能を活用しています。93%の買い物客が、カスタマーサポートとして好みのチャネルを提供している企業に対してより支出すると回答してることからも、企業の収益にも大きな影響をもたらすことは明確です。
コンタクトセンターの6つのタイプ
どのコンタクトセンターのタイプが、自社と顧客に適しているかを見極めましょう。
インバウンド
アウトバウンド
オムニチャネル
マルチチャネル
クラウド
オンプレミス
コンタクトセンターのユースケース
企業はコンタクトセンターを利用して、顧客からの問い合わせに対応したり、より便利な体験を提供したり、既存客や見込み客とつながることができます。
インバウンドコンタクトセンターのユースケース
インバウンドコンタクトセンターの担当者は、受け付けたリクエストに対応し、問題を解決することができます。
クリニック、サロン、レストラン、旅行代理店など、予約が必要な企業は、予約受付のためにコンタクトセンターを利用することができます。
例えば、顧客はレストランにFacebookでメッセージを送り、ディナーの予約を完了できます。
テクニカルサポート
ソフトウェア製品を扱う企業は、コンタクトセンターを使用して、さまざまなチャネルで技術的な質問に答えることができます。顧客がCRMのある機能の使い方を知らないとすると、技術サポート担当者が動画チュートリアルを録画して送信し、ステップを説明することができます。
アウトバウンドコンタクトセンターのユースケース
アウトバウンドコンタクトセンターには、新規ビジネスを開拓し、既存の顧客関係を維持するために必要なツールがあります。
リード獲得
コンタクトセンターを利用することで、ビジネスのリードを獲得することが可能です。貴社のWebサイトを見た誰かが、価格の見積もりを依頼したとしましょう。サポート担当者は、製品の詳細を説明したり、よくある問い合わせに答えるメールを送信することができます。
アップセルとクロスセル
既存顧客に関連製品の購入やアップグレードを勧めるために、アウトバウンドコンタクトセンターを利用することも可能です。
現在クラウドサービスのベーシックプランに加入している、クライアントがいるとします。アウトバウンドコンタクトセンターの担当者がクライアントに電話をかけ、機能性とパフォーマンス性の高いプレミアムプラン(高額プラン)を紹介することで、アップセルの機会を構築できます。
あると便利な追加製品などを案内するクロスセルも可能です。例えば、最近スマホを購入した顧客に、アウトバウンドの係はスマホケースを案内することでクロスセルのチャンスを得られます。
ハイブリッドコンタクトセンターのユースケース
ハイブリッド型のコンタクトセンターは、インバウンドコールセンターとアウトバウンドコールセンターの業務の両方を担います。この場合、サポートチームは2つのグループに分かれます。このタイプのコンタクトセンターでは、担当者が多種多様な業務を遂行するため、特別なソフトウェアと機器が必要となります。
チーム力
インバウンド部門とアウトバウンド部門が連携することで、顧客により一貫した体験を提供することができます。例えば、アウトバウンドの担当者が見込み客にサービスを売り込み、顧客獲得となった場合、インバウンドコンタクトセンターの担当者が、サービスの最新情報や顧客満足度アンケートでフォローアップすることができます。
顧客にコンタクトを取るのがどの担当者であろうと、会話履歴や背景情報を取得できるため、より生産性の高い会話を展開可能です。
カスタマイズ機能
クラウドソリューションを利用するコンタクトセンターは、使用量に応じた料金体制が一般的です。料金を低く抑えるという明確なゴールもありますが、ハイブリッドコンタクトセンターなら、データを評価しながら、最も効率的な部門とチャネルを特定することもできます。ここで得られたデータから、コンタクトセンターの規模縮小またはリソースの投入拡大などの選択肢が見えてきます。
コンタクトセンターを配置する前に考慮すべき3つのポイント
ほとんどの企業にとって、すべてのチャネルでサポートを提供することは現実的ではありません。自社のリソースと顧客ベースを把握し、コンタクトセンターに導入すべきチャネルを決定しましょう。
顧客の好み、活用可能な自社のリソース規模、ソフトウェアソリューションの拡張性などは必ず考慮すべきポイントです。
顧客が使用するチャネル
貴社の顧客が好んで使用しているチャネルは何ですか?
サポートチームに意見を聞いたり、顧客データを収集することで、人気のサポートチャネルを決定することができます。また、現在のCXトレンドを見て、ターゲットとする顧客層が好むチャネルを特定することもできます。
例えば、主にミレニアル世代とZ世代をターゲットにしているのであれば、メッセージングとソーシャルメディアのチャンネルを採用するのが得策です。しかし、ベビーブーマー層が顧客ベースであれば、電話やメールといった従来型チャネルで十分かもしれません。
拡張性あるソリューション
導入するコンタクトセンターソリューションは、ビジネスの展開に応じて拡張可能ですか?
顧客や担当者が今必要としているもが、ビジネスが急成長を遂げたときも、十分な機能であるとは限りません。自動化されたカスタマーサービスツールやAIを搭載したチャットボットがあれば、突然需要が急増した際も、余裕のある対応が実現できます。
以上を踏まえて、コンタクトセンターを配置する際は、何に重点を置くべきか検討しましょう。
人材調整
スタッフ規模も考慮すべき重要なポイントです。
大企業であれば、さまざまなチャネルを提供し、多数のサポート担当者を雇うことができるかもしれません。しかし、初めてコンタクトセンターを立ち上げる成長過程のビジネスであれば、必要不可欠なサービスのみから始めようと考えるかもしれません。
幸いにも、SaaSのサポートソリューションはトライアル期間を設けているものが多く、ビジネスにとって何が必要なのか把握することができます。
選定プロセスの一環として、コンタクトセンターのスタッフとして必要なエージェント数、チームの成長に合わせたソフトウェアの拡張性など、大まかなアイデアを持っておくといいでしょう。コンタクトセンターのスタッフ計算式を使って、人員数を見積もることができます。
メッセージング担当者必要人員計算ツール
計算結果
フルタイムのサポート担当者1人あたりの1週間のオペレーション時間:
00
チーム全員の合計オペレーション時間(1週間):
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必要なフルタイムのサポート担当者の予測人数:
00
平均処理時間計算ツール
1時間あたりの解決件数:
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平均処理時間:
00
免責条項: 上記の計算式は、あくまでも目安として用いるべきものであり、一般的なワークフォースマネジメントの適正人員計算式の代用として使用されるべきものではありません。エージェントの休憩時間、シフト数、さまざまな顧客要件などの要素も考慮する必要があります。
生産性の高いコンタクトセンターを構築する6つのヒント
コンタクトセンターの生産性を高めるためのヒントをご紹介します。
コンタクトセンターテクノロジーの未来
世界はデジタルファーストなアプローチへ進んでおり、それはコンタクトセンターも同様です。オムニチャネルカスタマーサービスと業界をリードするCXソフトウェアに投資して、顧客データの合理化と効率化を図りながら、より良いカスタマーサービスを実現していきましょう。