製品やサービスについての不明点や疑問点を、顧客自身が解決するためのFAQサイト・システムの導入を検討する企業が増えています。世の中には多くのFAQシステムが存在し、それぞれ強みや機能が異なり、価格体系も異なります。本記事では、FAQシステムの導入を検討する方に向けて、導入のメリットや選び方のポイントを解説します。
FAQシステムとは
FAQ とは、Frequently Asked Questions の略語であり、日本語では「頻繁に聞かれる質問」と訳されます。企業のホームページや EC サ イトなどでは、「よくある質問」として専用のページが用意されていることも最近では多く、消費者からよく寄せられる質問と、そ れに対する回答がまとめられています。
FAQシステムとは、問い合わせ内容やさまざまなナレッジを集め、それをベースにFAQサイト(よくある質問・ヘルプページ)を構築するためのシステムです。顧客向けのサービスだけでなく、業務知識やマニュアルなどを蓄積する社内ナレッジベースの構築にも活用されています。
FAQシステムの導入メリット
- FAQシステムを導入する主なメリットは以下のとおりです。問い合わせ件数の削減
自己解決力と顧客満足度の向上
24時間365日のサポート
顧客対応の効率化
属人化防止とナレッジ蓄積
SEO(検索エンジン最適化)による顧客利便性の向上
FAQシステムのようなセルフサービス型のサポート導入は、顧客の自己解決を促し、問い合わせ件数を削減できるのが大きなメリットとなります。また、ヘルプデスクやコールセンターはサポート担当者による対応になるため、例えば平日9時から17時までのように時間を区切って窓口を開設することが多いです。
しかし、FAQシステムでFAQサイトを作成して公開していれば、顧客は24時間365日FAQサイトを利用できます。場所や時間を選ばずスムーズに問題解決ができるので、顧客満足度向上につながりやすいのが特長です。
さらに、FAQサイトの公開は社外だけでなく、社内に対してもメリットをもたらします。サポート担当者が対応途中でFAQサイトを参照することで適切な回答が得られれば、回答のスピードも上がり、問い合わせ1件当たりの対応時間を短縮する効果も期待できるでしょう。
ほかにも、FAQサイトに公開された内容に従って問い合わせ対応をすることでサポート担当者による応対品質のバラつきをなくしたり、定期的にFAQサイトの内容を更新することでナレッジ蓄積につながったりといったメリットも挙げられます。
FAQシステム選びで重視したい8つのポイント
FAQシステムは各社から提供されていますが、そのなかから自社に合ったものを選ぶには、どのような基準で比較すればよいのでしょうか。ここでは、FAQシステムを選定するにあたってチェックしたい8つのポイントをご紹介します。
価格体系
FAQシステムを検討する際にまず確認したいのは、価格体系です。FAQシステムの価格ページで見る際は、下記が見るべきポイントです。
・初期費用が発生するか
・課金体系は月額かユーザー単位か
・月額の場合はなんユーザーまで使うことができるか
・利用したい機能にかかる追加費用はどのくらいか上記を踏まえて発生する費用を見積もり、費用対効果に見合うシステムを選びましょう。特に気をつけて確認しておきたいのは、今後組織や体制が変化しても柔軟に対応できる価格体系になっているかどうかという点です。導入後に利用ユーザー数や必要な機能に変化があった場合も、柔軟に利用規模や機能を変更できる拡張性があれば、ビジネスの成長や変化にスピーディーに対応できます。
利用したい機能があるかどうか
FAQシステムとひと口にいっても、搭載されている機能はさまざまです。顧客が必要な情報を迅速に見つけるための強力な検索機能や、システム管理者や現場のサポート担当者が使用するFAQ管理機能など、自社のニーズに合わせて利用したい機能をあらかじめ洗い出したうえで、必要な機能がそろっているかどうかを比較していきます。
また、近年はAIを搭載しているFAQシステムも登場しています。自然な会話に近い文章で質問できるFAQシステムや、関連度の高いFAQを自動でサジェストしたり、解決率を加味して自動で表示順番を調整したりと、AIを活用したユニークな機能が用意されているので、ぜひチェックしてみましょう。
問い合わせ管理システムとの連携
FAQシステムと問い合わせ管理システムを連携できるかどうかも重要なポイントです。例えば、顧客対応の途中で問い合わせ対応画面上からFAQページを直接閲覧できれば、問い合わせに対する正確な回答を即座に検索できるので、サポート担当者が行う応対の品質向上や業務効率化につながります。
また、問い合わせ対応からの流れで問い合わせ管理システムからFAQページを作成・更新できる仕組みになっていれば、わざわざFAQページを編集する時間や手間をかけずとも、効率良くFAQサイトの更新ができます。
Zendeskで問い合わせ対応時にFAQを利用して返信する例FAQの作成や更新のしやすさ
FAQシステムを選ぶ際は、FAQページの作成や更新のしやすさを確認します。FAQシステムは、一度導入したら終わりではなく、継続的に更新をしながら使い続けていくシステムです。
将来的な運用負荷を考え、専門的知識がなくても誰でも容易に操作できるか、豊富なテンプレートがそろっていてFAQページを容易に作成できるか、改善のためのデータ分析ができるか、などをチェックしておくとよいでしょう。
ZendeskのFAQの記事作成画面分析機能は充実しているか
FAQサイトも通常のWebサイトと同様に継続的に改善を行うと、顧客にとってますます使いやすくなります。改善を行うためにはアクセス解析やフィードバックなどのデータを収集する必要があります。分析機能は見落とされやすいポイントですが、検討しているFAQシステムはどういうデータが収集できるのか、そしてレポートは簡単に作成できるのかをチェックするようにしましょう。
例えば、分析に必要なポイントは、次のような情報です。
・どのFAQ記事がよく読まれているか
・どのワードがよく検索されているか
・FAQを閲覧したあと、どのような行動をとっているか
・「この記事は役に立ちましたか?」といった記事に対する顧客からのフィードバックFAQの分析について、詳しくは下記記事をご覧ください。
問い合わせ削減の鍵になるFAQの分析&改善ポイント
操作性・使い勝手のよさ
FAQを検索・閲覧したり、新たにFAQを追加したりといった操作にマニュアルが不要で、システムが直感的に操作できることも重要なポイントです。顧客に寄り添ったユーザーフレンドリーな画面設計かどうかは、本格導入前にデモやトライアルで必ず確認しましょう。
また、特に社外にFAQサイトを公開する場合は、PCからだけでなくスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末からでも、不自由なく閲覧できるFAQサイトが作成できるかが重要です。
製品の信頼性
FAQシステムとして社内外に公開・運用していくには、システムのダウンタイムが極めて少ないといった、製品としての信頼性は欠かせません。
また、FAQとして機密情報を扱う可能性もあるため、システム内のデータを保護し、プライバシーの規制を遵守するための強固なセキュリティ性能を備えているか、万が一のトラブル発生時に製品ベンダーによるサポートが受けられるかどうかも重要な比較ポイントとなります。
チーム運用のしやすさ
FAQサイトをスムーズに運用するためには、システム導入後のメンテナンスが重要です。継続的に正しい情報の記事を作成・更新できるように、運用ルールを作り、チームで連携しながらメンテナンスに取り組める仕組みづくりを進めましょう。
FAQシステムを選ぶ際は、チームでの作業に支援機能があるかどうかも重要な比較ポイントです。例えば、作成した記事のレビューを別の担当者に依頼できる機能や、スタッフが作成したFAQページを上司がチェックしてから公開できる機能(チームパブリッシング)などの機能が搭載されているかを確認します。
Zendeskなら「レビュー」や「承認」の依頼を管理画面から送信可能
クラウド型かオンプレミス型か
FAQシステムには、クラウド型システムとオンプレミス型システムがあります。
クラウド型システムは、ベンダーが提供するFAQシステムをネットワーク経由で利用します。インターネットに接続できる環境があればすぐに利用開始できる手軽さや、初期導入のコストが抑えられる、FAQシステム自体の運用保守は不要となる、などが代表的なメリットです。
対して、オンプレミス型システムは、自社拠点内にサーバーやソフトウェアを保有し、FAQシステムを管理・運用します。初期構築に費用がかかる、継続的な運用保守のために技術者を確保しなければいけない、などデメリットはありますが、自社の利用条件に合わせて自由にカスタマイズできるのがメリットです。
現在はクラウド型のFAQシステムが主流ですが、社内から外部への接続が許可されていないといった事情でオンプレミス型を導入する企業もあります。自社のIT環境やニーズを確認し、適切なシステムを選択しましょう。FAQシステムによっては、両方をオプションとして提供している場合もあります。
FAQシステムを最大限活用するためのポイント
FAQサイトは顧客ニーズ・導線を把握したうえで、スムーズに問題解決ができるよう戦略的に組み立てることが重要です。FAQシステムを活用し、FAQサイトのクオリティを高めるためのポイントを押さえておきましょう。FAQサイト構築にあたって重要なポイントをご紹介します。
カテゴリー分けで探しやすくする
顧客が必要な情報を容易に見つけられるように、直感的で使いやすい画面構成や画面導線を設計しましょう。特に、質問内容をカテゴリーごとにまとめて表示しておくと、顧客が知りたい情報を探しやすくなります。
また、頻繁に寄せられる質問や、顧客が理解するのが難しいトピックなど、顧客のニーズが高いFAQページを目立つ位置に設置しておくと、検索せずとも参照できるので、より利便性が高くなります。キーワード検索で探しやすくする
調べたい情報を検索によって探せる「キーワード検索」の仕組みがあると、FAQサイトがさらに使い勝手の良いものになります。顧客が入力したキーワードに対して、的確なFAQページが検索結果として表示されるように、キーワードの指定を工夫しましょう。
<例>
Q:注文キャンセルの方法を教えてください。
A:下記手順でキャンセルができます。この場合、顧客が「注文キャンセル」と入力して検索すれば、このFAQが見つかります。しかし、顧客が「購入取消」や「注文取消」と入力した場合、FAQページ内に「購入取消」「注文取消」といった文言が含まれていなければ、検索結果に表示することはできません。
このようなミスマッチを解消するためには、顧客が入力するワードを予測してFAQにキーワードとして入れておくといった工夫が必要です。検索キーワードを分析し、記事にニーズの高いキーワードを埋め込むようにしましょう。
Zendeskで作成したFAQの検索ボックス
また、FAQページは回答が簡潔で、顧客が容易に理解できる言葉を使用する必要があります。複雑な専門用語は避け、視覚的な要素(図表、スクリーンショット、動画など)を使用して説明すると、よりユーザーフレンドリーなFAQサイトになります。
FAQサイトの作成について、詳しくは下記記事をご覧ください。
わかりやすいFAQサイトの作り方 構造・カテゴリー分け
FAQシステムを最大限活用してビジネスの成果につなげよう
FAQサイトを導入し、適切に運用管理していれば、問い合わせ対応部署の業務効率化につながるのはもちろん、顧客の利便性向上から顧客満足度の向上や良質な顧客体験の提供につながります。FAQサイトの利用率を高めていくためにも、FAQシステムの分析機能を用いてデータ分析・改善のサイクルを繰り返していくことが重要です。
Zendeskは、シンプルで使いやすいFAQ機能を提供しています。豊富なテンプレートを活用して短期間でFAQサイトを作成できます。カテゴライズや検索機能が充実していることに加えて、問い合わせ管理システムやチャットボットともスムーズに連携できます。FAQサイトのパフォーマンス分析も標準ダッシュボードで簡単に行えます。スタッフの体制や組織の形態に合わせて柔軟に対応できる料金プランをご用意していますので、安心して長期的に運用できます。
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