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AIコールセンターとは? AIを導入して自動応答を促進
コールセンターにAIを導入することで、企業は顧客満足度を高めつつ、組織の生産性を向上させ、業務範囲を拡大することができます。
著者: Hannah Wren, スタッフ執筆
更新日: 2024年10月14日
AIコールセンターとは?
AI(人工知能)コールセンターとは、音声およびデジタルチャネルで発生する顧客からの問い合わせやコミュニケーション、タスクをAIが全部、または一部を担うコールセンターを指します。
カスタマーサポートテクノロジーは、3,700年以上前の粘土板に刻まれた最古の顧客の苦情から長い道のりを歩んできました。現在、企業は機械学習を利用したAIモデルを活用し、人間と話しているかのようなコミュニケーションを行えるAIを用いて顧客対応を行っています。粘土板の時代からテクノロジーは大きく進化はしましたが、顧客の期待に応え、それを上回ることは苦情の文書化と同じぐらい重要です。
現代では、AIテクノロジーをコールセンターシステムに導入することで、優れたCX(カスタマーエクスペリエンス、顧客体験)を容易に提供できるようになりました。本記事では、音声およびデジタルチャネルでAIコールセンターシステムを利用するメリットやベストプラクティス、トレンド、活用方法について詳しく解説します。
目次
- コールセンターにおけるAIの台頭
- コールセンターにおけるAI活用のメリット
- コールセンターにおけるAIの活用法
- コールセンターにおけるAI導入のベストプラクティス
- 【2024年版】コールセンターのAIトレンド
- よくある質問と回答
- まとめ
コールセンターにおけるAIの台頭
従来のコールセンターは、テクノロジーの進化に対応し続けています。AIの台頭、とりわけ生成AIの出現は、コールセンターにおけるカスタマーサービス業務を一変させました。企業は現在、下記の目的で音声ソリューションにAIを導入しています。
- 通話内容を要約してサポート担当者の時間を節約し、生産性を高める
- 通話内容を記録、分析し、サポート担当者のトレーニングと能力開発を支援する
- 顧客を自己解決ができるデジタルチャネルに誘導し、通話件数を削減する
コールセンターシステムにAIを統合することで、規模や業種を問わず、より効率的なカスタマーサポートを提供することができます。機械学習、NLP(自然言語処理)、自動化テクノロジーを駆使することで、AIの可能性は無限に広がります。
コールセンターにおけるAI活用のメリット
コールセンターシステムにAIを導入すると、サポート担当者のみなら、顧客にもメリットをもたらします。いくつか注目すべき例をご紹介します。
顧客満足度の向上
Zendeskの CXトレンドレポートレポート2024年版によると、消費者の81%が、問題や苦情の迅速かつ正確な解決は購入の意思決定に大きく影響すると回答しています。コールセンターにAIを導入すると、サポートチームがより迅速な対応を提供できるようになり、顧客満足度が向上します。
例えば、コールセンターにAIチャットボットを導入すれば、コールセンターの稼働中、もしくは稼働時間外でも、デジタルチャネル上で顧客をAIが自動でサポートします。また、電話対応にAIを組み込めば、AIは人間の通話が終わった後に通話内容の要約を自動で作成してくれます。手作業で通話の要約を作成する手間を人間から省けるため、サポート担当者は次の顧客を迅速にサポートすることができます。
サポート担当者の業務効率化と生産性の向上
AIと自動化により、コールルーティングのような時間のかかるルーチンワークを自動で処理できるため、サポート担当者はより複雑で価値の高いコミュニケーションに集中することができます。
例えば、コールセンターのサポート担当者は、平均して1時間のうち10.2分(時間の17%)を通話後の後処理に費やしています。ZendeskのAIソリューションならAIが自動的に通話を要約し、通話記録を作成するため、サポート担当者は通話後の時間を他のタスクに割り当てることができます。
このようなAIを搭載したツールは、カスタマーサポートチームが迅速かつ効率的に正確な回答を提供する能力を強化し、サポート担当者の生産性を向上させます。
オペレーションを自動化し、コールセンターのコストを削減
ZendeskのCXトレンドレポート2024年版によると、71%の企業がファーストコンタクトには主にデジタルチャネルを使用し、顧客からの複雑な問い合わせやエスカレーションの解決には主に電話を使用しているとのことです。実際、消費者が複雑な問題を解決したいときは、電話は最も好まれるチャネルねす。簡単な質問や手間のかからない問い合わせであれば、AIが顧客をデジタルチャネルに誘導することで、サポートチームの手間を削減できます。
また、通常デジタルチャネルは電話よりも費用対効果が高いため、コールセンターの経費を節約することもできます。さらにコールセンターにAIを導入できれば、サポート担当者のオンボーディングをより素早く効率的に行うことができ、コストのかかるトレーニング時間を短縮させられます。AIを利用した通話記録は、マネージャーが通話の品質を管理したり、新人をトレーニングしたりするときに役に立ちます。
例えば、AIを搭載したKlausのようなツールは、顧客とのやり取りをレビューして分析し、改善すべき領域を特定し、顧客一人ひとりにパーソナライズされたフィードバックアンケートを自動で送ることで、顧客対応のQA(品質保証)を自動化します。また、AIはサポート担当者に顧客が直面する問題の解決方法をリアルタイムに提案し、サポート担当者に回答を支援します。
将来の仕事量を予測し、必要な人員を提案
コールセンターにAIを導入すると、過去のデータを収集、分析し、将来のトレンド、顧客の行動、潜在的な課題を予測することができます。
例えば、TymeshiftのようなWFM(ワークフォースマネジメントツール)はAIを活用し、下記のことを予測しています。
将来の仕事量
必要な人員
シフトのスケジュール調整
AIを利用したWFMから得られたインサイトを活用すれば、コールセンターは積極的にリソース配分を改善し、サポート担当者の満足度を高められるような戦略を立てられます。さらに、コールセンター向けの品質保証ツールはAIを用いて、サポート担当者と顧客とのやり取りを能動的に分析し、肯定的または否定的な感情を持つ会話をピンポイントで見出し、顧客の解約リスクなどを特定できます。
コールセンターにおけるAIの活用法
CXリーダーは、カスタマーサポートにAIを活用する新しい方法を絶えず探しています。コールセンターにおけるAIの活用法をいくつかいくつかご紹介します。
顧客の自己解決とナレッジマネジメントの強化
AIによって顧客による自己解決とナレッジマネジメントを強化し、電話件数を大幅に削減できます。AIナレッジベースツールを導入することで、顧客は正確な情報に素早くアクセスし、よくある一般的な問題を自身の力で解決できるようになり、同時にコールセンターチームのナレッジマネジメントを効率化することができます。
例えば、Zendeskのコンテンツキューは、顧客対応のデータをもとにヘルプセンター(FAQ
)で不足している内容があればトピックを提案してくれたり、期限切れの記事を特定したりすることができます。また、Zendeskの生成AIツールでは、いくつかの箇条書きだけでAIが通常の文章を作成できたり、ヘルプセンター全体で記事に一貫性を持たせるためにトーンを語りすることができます。
インテリジェントルーティングで通話時間を短縮
また、AIはインテリジェントルーティングを活用して、通話時間を短縮することもできます。AIが問い合わせを分析し、スキル、専門知識、言語、過去のやり取りに基づいて、最適なサポート担当者に顧客を案内します。これで他社への乗り換えを防ぎ、顧客の待機時間を最小限に抑えることができます。
通話の品質管理を実施
AIは通話の品質管理を支援し、通話モニタリングの強化、インサイトの発見、サポート担当者のトレーニングの促進を実現します。品質管理において、AIは下記のことを支援できます。
- 通話記録の分析: AIが正確な通話記録を作成するため、マネージャーはサポート担当者と顧客とのやり取りを包括的にレビューし、改善点を特定することができます。
- インサイトの収集: AIが通話履歴を分析するため、問い合わせの傾向やよくある問題、顧客の好み、顧客の感情に関するデータや知見を溜めることができます。マネージャーは、コールセンターの指標とKPI(主要業績評価指標)に基づき、プロセス強化のためにデータドリブンな意思決定を行うことができます。
- サポート担当者のパフォーマンス評価: AIがカスタマーサポートの目標と基準に基づいて通話を評価します。ここで得られた情報によって、マネージャーは改善点を特定し、新たにトレーニングを実施する必要があるかどうかを判断できます。
AIを利用した通話記録分析により、コールセンターのマネージャーは徹底した品質評価を実施し、実用的なインサイトを抽出し、トレーニングプログラムを効果的に調整することで、サポート担当者のパフォーマンスと顧客満足度を向上させることができます。
通話後の後処理時間の短縮
AIによって、通話後のチケットの要約と通話記録全文の書き起こしという2つのタスクを自動化することで、サポート担当者が後処理に費やす時間を大幅に削減することができます。自然言語処理(NLP)を活用し、AIアルゴリズムが会話内容を分析し、重要なポイントや会話したトピック、重要な詳細情報を特定します。分析に基づき、AIは顧客の苦情、解決策、タスク、必要なフォローアップなど、重要な情報を強調した要約を簡潔に作成します。
通話記録ツールはAIを使って実際の会話を文字に変換し、各通話の記録全文を提供します。AIは録音された通話を書き起こしたり、リアルタイムで通話を書き起こすことができます。生成AIによる要約と通話録音の両方が顧客との会話時に自動的に行われるため、サポート担当者は各通話を自力で要約する時間と労力を節約できます。
顧客感情を検出
コールセンターにAIを導入すると、リアルタイムまたは録音された会話における言葉の合図、トーン、言語パターンを分析するNLPアルゴリズムを通じて、顧客感情を検出することができます。肯定的、否定的、または中立的な感情をAIが読み取りサポート担当者に伝えることで、サポート担当者は速やかに状況を把握でき、事前準備をしっかりと行い、声のトーンを調整することができます。
また、強く否定的な感情が検出された場合、その顧客は起こっている可能性が高く、エスカレーションをAIが自動で行うこともできます。エスカレーションの例は以下のとおりです。
顧客の感情についてマネージャーに通知し、マネージャーが担当者の対応をサポートすることができます。
より専門的な知識を持つチームリーダーや経験年数の長いサポート担当者、より適した部署、または適切なマネージャーにエスカレーションし、問題を迅速に処理することができます。
この結果、より迅速で積極的なサポートが可能になり、状況を打開してより良いCXを提供できるようになります。
コールセンターにおけるAI導入のベストプラクティス
コールセンターにAIを導入することを恐れる必要はありません。AI as a service(AIaaS)企業、つまりAIテクノロジーを扱うサードパーティベンダーを定額で選んだり、自分で導入したりすることもできます。ここでは、コールセンターにAIを導入するためのベストプラクティスの上位5つをご紹介します。
- 長期目標と中・短期目標を設定する: 達成可能な長期目標を設定し、コールセンターにおけるAI導入のビジネスニーズや戦略に沿った明確な中・短期目標を定義しましょう。顧客満足度の向上、コスト削減、サポート担当者の生産性向上など、AIに関する取り組みが具体的な目的実現のために役立つようにします。
- 無料トライアルを活用する: まずはAIが搭載されたコールセンターシステムの無料トライアルから始め、現在のビジネスニーズやCX戦略との適合性を把握しましょう。決定する前に機能や性能をテストすることができ、適切なAIを搭載したコールセンターシステムを選択できます。
- トレーニングと変更管理戦略を実施する: 新しく導入されたAIツールの効果的な使い方を学べるよう、サポート担当者にAI活用に向けたトレーニングを行いましょう。AIを導入するに当たり、人間のサポート担当者が果たす重要な役割を強調することで、AIに代替される不安を取り除き、より積極的にAIを活用するようになります。
- 個人情報を徹底管理する: 顧客データプライバシー規制を遵守し、強固なセキュリティ対策を実施することで、AIシステムが取り扱う顧客データを保護しましょう。
- AIのパフォーマンスを評価、監視する: AIのパフォーマンスを定期的に監視し、継続的に改善するためのフィードバックを収集しましょう。これで、フィードバックやビジネスニーズの変化に基づいてAIモデル、ワークフロー、プロセスを改良し、継続的に改善することができます。
上記のベストプラクティスに従うことで、コールセンターはAIソリューションを効果的に導入し、そのメリットを最大化し、カスタマーサポート、業務効率、全体的なビジネスパフォーマンスの改善を推進するこ
とができます。
【2024年版】コールセンターのAIトレンド
次に2024年に予想される、コールセンターにおけるAIのトレンドをいくつかご紹介します。
電話によるコミュニケーションは依然として重要な役割を果たす
企業は顧客対応の方法を変えつつあります。現在では、昔ながらの電話対応ではなく、チャットボットやメッセージ、メールといったデジタルな方法が主流となっています。しかし、顧客は依然として人間に相談したいと考えており、特に困っている状況にいるときはなおさらです。顧客が電話をかけるときは、早急な問題解決を望んでいます。
顧客をたらい回しにしたり、サポート担当者が状況の背景を把握していなかったりして、顧客が同じ情報を何度も伝えなければならないことは最優先で解決すべき課題です。この課題を解決するために、CXリーダーはコールセンターシステムとAIを組み合わせ、顧客が必要なときに人間のサポート担当者と話す機会を犠牲にすることなく、各コミュニケーションチャネルを強化するために対話型AIを利用することを計画しています。
71%の企業が、ファーストコンタクトには主にデジタルチャネルを使用し、複雑な問題やエスカレーションの解決には音声チャネルを使用しています。出典: Zendesk CXトレンドレポート2024年版
ワークフォースマネジメントツールの増加
CXリーダーは、人員配置のニーズを予測し、現在および将来のトレーニングを加速させられる新たな方法を模索しています。AIを活用すれば、これまでよりも高精度に必要となる人員数を予測することができます。人員配置予測を最適化することでROI(投資収益率)を高めることもできます。
CXリーダーの69%が、将来の人員配置を正確に予測することは依然として大きな課題であると回答しています。出典: Zendesk CXトレンドレポート2024年版
即時性とリアルタイムのコミュニケーションがカスタマーサポートの鍵
顧客の企業に対する期待は高まっています。迅速で一人ひとりに合ったサポートは当たり前のものとして求めており、その基準は電話であろうとデジタルチャネルであろうと同じです。顧客はもはや保留にされたり、異なる部署間をたらい回しにされたりするようなコールセンターでの体験を受け入れません。問題を迅速かつ効果的に解決するために、コールセンターのサポート担当者が過去のサポートに関する会話やその他の詳細にアクセスできることを望んでいます。
顧客がカスタマーサポートに電話をかけ、以前購入した製品について質問したとします。AIと自動化ツールを備えたコールセンターは、顧客を適切な製品部門にルーティングし、注文履歴などの顧客プロフィールをディスプレイに即座に表示することで、サポート担当者がより迅速で一人ひとりに合わせたサポートを提供できます。
今や消費者の80%が、担当者が必要なことをすべてサポートしてくれることを期待しています。出典: Zendesk CXトレンドレポート2024年版
よくある質問と回答
まとめ
AIコールセンターシステムによって、人員を増やすことなくより多くの問い合わせを処理し、優れたCX
をより容易に提供することができます。生成AIやAIチャットボット、通話の要約と通話の記録、データ分析などの機能により、CXをワンランク上のレベルに引き上げることができます。
Zendeskはこのような機能をすべて備えており、他にも様々な機能もご用意しております。ZendeskのAIは、数十億にもおよぶ実際のカスタマーサービスデータを使用してトレーニングされており、導入初日から利用可能です。
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