顧客管理(CRM)システム: 完全ガイド
更新日: 2024年1月9日
このCRMガイドでは、CRMの基礎知識から営業、マーケティング、カスタマーサポートでの活用方法までを包括的にまとめています。 企業から頻繁に寄せられる疑問に回答しながら、顧客満足度を高め、売上や生産性をアップするCRMソフトウェアを導入するメリットを、わかりやすく解説します。
以下の目次の見出しをクリックすると、各項目にジャンプします。
- CRMは何の略?
- CRMの基礎知識
- CRMの機能と特徴
- CRM導入のメリット
- CRMの活用例
- 営業・マーケティングにおけるCRMの活用
- カスタマーサービスにおけるCRMの活用
- CRM戦略を成功させる秘訣
- CRMシステムの導入効果を知るには
- よくある質問と回答
- CRM無料トライアルのご案内
CRMは何の略?
CRMとは「Customer Relationship Management」の略で、日本では「顧客関係管理」とも呼ばれます。 「ソフトウェア」、「プラットフォーム」、「ソリューション」などの用語と組み合わせて使われることもあります。
しかしこの単純な定義では、CRMの全容を理解したとはいえません。
顧客関係管理テクノロジーを使用すると、顧客との有意義な関係を構築し、育成できます。 また顧客情報を追跡し、その活用方法を合理化できます。 CRMは営業、サポート、マーケティングのすべてのインタラクションを記録し、ビジネスの真の姿を可視化します。 CRMツールがあると、これらをすべて1か所で管理できるようになります。 そのメリットは言うまでもなく、全ユーザーが共通のシステムで唯一の顧客情報を参照し、カスタマージャーニーやセールスパイプラインを共有できることです。
今の時代、どんなに組織化されたチームであっても、顧客が組織を利用するたびに蓄積されるすべてのデータを把握しきることはできません。 顧客ライフサイクルに1か所でも穴があると、企業は簡単に顧客を失ってしまいます。
顧客を大切にする企業なら、顧客が一貫性のあるサービスを受けられるCRMシステムは欠かせません。 顧客の購入履歴や行動パターン、好みなど、重要な顧客指標を収集、保存、分析することで、サポート担当者は顧客の特徴をより深く理解することができます。
パーソナライズされていて関連性のある、ニーズに沿ったコミュニケーションを提供できれば、顧客満足度は高まります。 そして満足した顧客は、企業に利益をもたらします。
CRMの基礎知識
CRMソフトウェアの最も基本的な用途は、連絡先管理アプリケーションです。 連絡先管理ソフトウェアの詳細については、こちらをご覧ください。 CRMソフトウェアは、顧客の電話番号、メールアドレス、SNSのハンドルネーム、住所、購入履歴、好みの連絡方法などを保存するためのプラットフォームです。 CRMテクノロジーはこれらのデータをもとに、リードの優先順位をつけ、最も購買意欲の高い見込み客と接触できる環境を自動設定します。
タッチポイントが販売につながらない場合も、ソフトウェアはさまざまなチャネルにおけるすべてのやり取りを記録します。 CRMソフトウェアにより各担当者はデータの手入力が不要になる一方、顧客に関する有用な情報を十分に得ることで、次回の問い合わせの際、パーソナライズされたサービスを提供することができます。
また、さまざまな自動化機能が搭載されているため、マーケティング、営業、カスタマーサポートの反復的で煩わしい作業を効率化し、チームの貴重な時間を節約することができます。
CRMシステムは、これらすべてのタスクとデータを、一元化されたダッシュボードでフィルターします。 すべての情報が1か所に集約されているため、社内全体で最新の情報を簡単に閲覧し、共有することができます。 ダッシュボードは、組織のニーズに合わせてカスタマイズが可能で、他のビジネスアプリや営業支援アプリを統合することもできます。
CRMシステムの本質的な目的は、新規顧客を獲得し、既存顧客を満足させることです。 CRMシステムは、事業を支え、収益をもたらしてくれる人々との信頼関係を構築し、維持するためのシステム、ともいえます。 しかしそれだけではありません。 CRMシステムがあれば、サポート担当者を手間と時間のかかる作業から解放することができます。 関係者全員を幸せにするソリューションなのです。
CRMの機能と特徴
CRMをカスタマージャーニー全体を網羅する脳にたとえた場合、その機能は、脳の中枢につながるさまざまな神経経路といえます。 ワークフローの自動化に役立つ経路もあれば、レポーティングや分析に役立つ経路、コールセンターソリューションに役立つ経路もあります。 それぞれの部門がそれぞれの機能を備え、高度に専門化されたタスクをニーズに応じてさまざまな角度からインサイトを基に対処します。
具体的な機能の例をいくつかあげてみましょう。
- リード管理ソフトウェアのリード育成機能を使用すると、営業担当者はセールスファネルのすべてのステージで顧客との良好な関係を形成し、成長させることができます。
- 分析機能では、顧客が何に興味を持っているのか、どんな連絡方法が好まれるのか、働きかけが必要とされるタイミングなどを見極めることができます。
- 売上予測機能では過去の売上データを参照し、影響力のある傾向を特定し、業界標準と比較することで、より信頼性の高い予測を立てることができます。
- 販売プロセスの追跡によるパフォーマンス指標を参照すると、目標達成に向けて順調なのか、あるいはパイプラインの調整が必要なのかなどを把握できます。
- リード生成ソフトウェア機能を備えたプラットフォームでは、デマンドジェネレーションを促進することができます。
CRMシステムの重要な特徴として、高度なカスタマイズ性があげられます。 企業のニーズに合わせ、販売プロセスに最も有用な機能のみを取捨選択することができます。
ここでは、CRMシステムにあると便利な機能の一部をご紹介します。
- メールの追跡と通知
- クリックしてコールを発信できるオートダイヤラー
- チケット管理システム
- メッセージングとチャット
- 分析とレポート生成
- パイプライン管理
- データのインポートとエクスポート
- セルフサービスポータル
- SNSとのインテグレーション
- プロスペクティングツール
CRM導入のメリット
CRMシステムの機能は、チームと企業全体に大きなメリットをもたらします。 CRMシステムを導入することで、営業、マーケティング、カスタマーサポート、プロジェクト管理者は時間を節約でき、整理された情報で見通しがつけやすくなり、より詳細な営業分析や販売予測が可能になります。
ここでは、CRMツールの導入が企業にもたらすメリットをご紹介します。
情報をわかりやすく、使いやすく整理
複雑になりすぎたスプレッドシートや、人間の記憶力の限界に頼る必要がなくなります。 顧客データを1か所にまとめて表示することで、ビジネスの進捗状況を包括的に把握でき、パターン検出や、パイプラインのボトルネックの特定が容易になります。
目標を設定し、進捗を管理
簡単に実装可能な分析ツールを活用し、目標を高く掲げましょう。 エージェントの進捗状況を追跡し、チームの足並みが乱れていたり、調整が必要になったりした場合は、すぐに状況を把握できます。 チーム全体を包括的に理解することで、各担当者の仕事内容を可視化し、四半期ごとの目標達成に向け特に注力すべき点などを確認できます。
パーソナライズされたサービスを提供
多くの顧客に求められる商品を扱っていても、顧客を十把一絡げに扱ってもよいという意味ではありません。 CRMシステムの個人情報収集ツールを使用することで、ターゲットとなる顧客の共感を呼ぶ可能性が高いメッセージを作成できます。 顧客が他人とは違うニーズを持つ個人として扱われていると感じれば、長期的な顧客ロイヤルティにつながる可能性が高まります。
ターゲット層を細分化
既存の顧客基盤のデータが包括的に可視化されるにつれ、いくつかのパターンが見えるようになります。 購入者のパターンをつかむことで、同じような見込み客を探すことができ、最初からターゲットを絞ったマーケティング戦略が可能になります。
既存顧客の満足度を高めて維持
顧客にリピーターがいる場合は、その理由を探りましょう。 顧客がリピートしたくなる理由を特定し、その特徴を強化すれば、より多くの新しいリピーター獲得につながります。 顧客は製品やサービスを利用した経験が使った費用に見合うか、それ以上の満足感を得ることができれば、CRMシステムでは提供できない「口コミ」を広めてくれるでしょう。
ビジネスの成長をサポート
顧客基盤をきちんと維持できるようになれば、自信を持ってビジネスの拡大を図ることができます。 顧客維持率の向上は、新しい製品やサービスを導入する際の収益低下を防ぎ、安定した事業拡大計画を立てることにつながります。
チーム間のコラボレーションを促進
営業支援ダッシュボードの最新情報を常に全員が共有できれば、チーム間のコラボレーションは容易になります。 マーケティング担当者と営業担当者が同じデータを使用し、企業として一貫したメッセージを発信することで、社内外の混乱を防ぐことができます。
収益性を向上
対応中の顧客に関する適切な情報があれば、顧客のニーズをその場でつかみやすくなり、追加販売やアップグレードの提案が容易になります。 マーケティング部門と営業部門が同じ情報を共有することで、顧客への働きかけのタイミングを戦略的に決めることができ、常連客の顔を見ただけで好みのカクテルを出すバーテンダーのようなサービスを実現できます。 また営業チームは、データ入力ような反復的な作業ではなく、実際の売上に直結するような仕事により多くの時間を費やすことができます。
CRMの活用例
CRMシステムは、いわばレストランで働く一流のウェイターのような存在です。食事をしている人がほとんど気づかないうちに、いつもグラスを満たしてくれます。
CRMの定義について調べるのは今回が初めてという方も、実生活において消費者である限り、誰もがCRMに関与しているはずです。
たとえばスマートフォンユーザーは、アプリケーションの使用、検索エンジンのキーワード入力、製品やサービスの購入のたびに、自身の消費行動に関する有益な情報を発信しています。 これらのデータは、パーソナライズされたサービスの提供やマーケティングのターゲット層を絞るために収集されています。 ソーシャルメディアアプリの広告主に超能力があるわけではありません。顧客が最も興味を持ちそうなテーマや商品を、CRMシステムが判断しているだけなのです。
CRMツールを利用して顧客との関係を深めたいと考えているのは、IT企業だけではありません。 現代社会におけるほとんどの小売チェーンが、キャンペーンの実施、顧客ロイヤルティを高めるためのカードやポイントシステム、顧客満足度を向上させるための対策、ターゲットとなる消費者とのソーシャルメディア上での関係構築などに、CRMを活用しています。
ビジネスパーソンとしての顔を一旦忘れて、自身の個人的な消費習慣を振り返ってみてください。 使っている製品やサービスの多くは、偶然ではなく、戦略的な計画によってもたらされていることに気づくでしょう。
営業・マーケティングにおけるCRMの活用
営業支援CRMとは
営業担当者が注意を払うべき分野は多岐にわたります。 堅牢なCRMシステムがあれば、営業担当者はセールスパイプライン全体にわたって顧客を追跡し、効果的な働きかけのタイミングや頻度を知ることができます。 さらに日々のワークフローに必要なルーティンワークをCRMツールによって自動化すれば、営業担当者は顧客に接する時間をより効果的かつ効率的に増やすことができます。
コンバージョンや営業活動の成果を最新のレポートで参照できる、シームレスな営業管理ツールも提供されています。 マネージャーは営業担当者の悩みや改善すべき点をリアルタイムで把握することで、コーチングが必要な分野やその頻度を見極め、営業部門全体を強化することができます。
マーケティング支援CRMとは
CRMプラットフォームを利用することで、マーケティングチームはターゲットとなる顧客層をより深く理解することができます。 マーケティング支援CRMによってパーソナライズされた情報により、反響を呼ぶキャンペーンを企画するためのインサイトを得ることができます。 またCRMシステムで収集された顧客データ(好き嫌いや興味、人口統計学的な詳細など)が顧客一人ひとりの明確なポートレートを作成し、ポートレートに応じた最も効果的な広告を提示できます。
CRMシステムを導入すれば、キャンペーンの成果をリアルタイムで確認することも可能です。 マーケティング担当者はA/Bテストを行うことで、顧客エンゲージメント 。さらに営業部門とのリアルタイムなコミュニケーションにより、適格性のあるリードがいつ購入者に変わったかを報告できます。 マーケティングチームはこれらの情報に基づき、データ主導型の手法を用いて、さらに多くの顧客を引き付けることに注力できます。
カスタマーサービスにおけるCRMの活用
一流のカスタマーサービスとサポートを目指すなら、CRMシステムの活用は欠かせない条件のひとつでしょう。 優れたCRMツールがあれば、顧客の場所にとらわれることがありません。 つまり、いつでも、どこでも、サポートを提供することができます。 またメッセージング、チャット、ソーシャルメディア、メール、音声通話などの通信手段にかかわらず、一貫性のある対話を継続できます。
適切なソフトウェアは、顧客が問題を自己解決するためにも利用できます。 ヘルプセンターとフォーラムが統合されているため、顧客は自分の都合のよい時に、自分のペースで問題を解決することができます。 これにより、サポート担当者の顧客対応時間を短縮できます。
サポート担当者がCRMツールを使うことのメリットは、サポートのワークフローを始めから終わりまで合理化できることです。 すべてのやり取りが単一プラットフォーム上で送信され、管理されます。 ルーティングやセールスインテリジェンステクノロジーを使用すれば、サポートチームの業務をさらに効率化できます。 これらの機能は、企業がカスタマーサポートを大規模に展開できるという観点において、非常に重要です。 いつでもサポート体制を拡張できる準備があれば、企業は安心して事業の拡大に取り組めます。
事業拡大の際に必要なツールの詳細は、ERP(Enterprise Resource Planning、企業資源計画)とCRMの違いを解説するこちらの記事をご覧ください。
CRM戦略を成功させる秘訣
「CRMプラットフォームを最大限に活用する」とは、見栄えの良いソフトウェアを選んでインストールするというような、単純なものではありません。 他のテクノロジーと同様、CRMソリューションも、自社のニーズに合った戦略を持って取り組む必要があります。
まず、CRMで何を実現したいかの明確な目標を立てます。 貴社にとってのCRMとは、具体的にどのような意味を持つのでしょうか。 部門を超えてチームメンバーと話し合い、誰がどのように顧客と関わっているかの現状を、正しく把握してください。 また顧客関係において頻発する習慣的な問題を特定してください。これらの問題を認識することは、CRMソフトウェアの導入方法や活用方法の計画を立てる上で、非常に重要です。
また、詳細な購入者プロフィールを作成することも必要です。 自社の顧客がセールスファネルを通過する際の理想的なカスタマージャーニーとはどうあるべきなのか、じっくり検討しましょう。 これらの考察を重ねることで、優先して導入すべき機能を特定できるはずです。
CRMシステムの導入を検討している理由についても、チームとのコミュニケーションを図りながら共有してください。この点も、非常に重要です。 彼らもきっと同じ疑問を持つことでしょう。CRMとは何なのか、 なぜ導入しなければならないのか、 無料トライアルで何を検討すべきなのか。 賛同を得るためには、これらの疑問を解消して導入後のイメージを明らかにし、チームにとってどのようなメリットがあるのかを説明しましょう。
テクノロジーは、チームの業務を簡易化するためのものです。この点をはっきり伝えましょう。 CRMツールは日々の手数を減らすものであって、増やすものではありません。 全員が共通の認識と目的を持って取り組めば、どんな企業でもCRMシステムを最大限に活用できます。
CRMシステムの導入効果を知るには
CRMソフトウェアを使用して毎日のワークフローを合理化したら、それが実際どの程度成果を上げているのか、知りたくなるはずです。
まずは、具体的で測定しやすい目標を設定することから始めましょう。 次に、販売データに注目してください。 成約率、アップセル率、新規純利益、販売サイクルの長さなどから、順調なのかそうでないのかを判断できます。 顧客獲得コスト(CAC)が停滞している場合は、チームのCRMトレーニングを増やす必要があるかもしれません。
CRMの真の力を発揮させるには、データの運用方法に注意する必要があります。
数値や分析結果だけであれば、どんなCRMシステムを使おうと得ることができます。大切なのは、それらの適切な解釈と、CRMシステムを最大限に活用するために軸足をどこに置くべきかを知ることです。よくある質問と回答
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これらの資料をお読みいただければ、 顧客管理システムとグローバル顧客関係、顧客関係管理について、さらに深く理解できるようになります。