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顧客ロイヤルティを維持するための7つの方法
顧客に長年に渡り選ばれる存在になる。長期的なロイヤルティの構築には、施策の深堀りが必要です。この記事では、有意義な顧客関係を育むための戦略をご紹介します。
更新日: 2022年11月23日
業績を確保しつつブランドを成長させていくためには、高いロイヤルティをもつ顧客基盤の構築が求められます。特に今、顧客ロイヤルティを維持する重要度が増しているのです。
顧客ロイヤルティの構築には、企業の価値観に照らし合わせつつ、顧客を尊重しながら、正しい方法で進めることが大切です。市況の良し悪しにとらわれず継続的にブランドを支持してもらうためには、顧客からの信頼を勝ち取る必要があります。
顧客と有意義な関係を育んで、何年にも渡り継続する顧客ロイヤルティを構築するポイントは、次のとおりです。
顧客ロイヤルティの構築方法:
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価値観を伝える
顧客ロイヤルティの向上に取り組む前に、まずは自社のブランドを深く理解し、特徴を把握する必要があります。顧客に特別な思い入れを持ってもらえる特徴は何でしょうか?ブランドの強み、事業の目的、顧客が大切にしている信条にフィットするブランド価値は?チームで議論しながらマーケティング戦略を練りましょう。
具体的には、そのブランドにしかない特徴や、競合他社の商品との違い、差別化ポイントに焦点を当てたマーケティングが適しています。ときには、企業としての考えや立場を表明することで、注目を集めることもできます。実際、こうした例は増える傾向にあります。
PR会社のエデルマンが実施した調査によれば、顧客の3分の2は自身の信念を基準にして購入を決めています。必ずしも政治の話を持ち出す必要はありません。そうした立場の表明が、企業の価値観にそぐわない場合もあるでしょう。常にブランドの価値観に照らし合わせながら、自社の信念を貫き、誠実に伝えていきましょう。.
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最高のカスタマーサービスを提供する
企業は新規の顧客にも既存の顧客にも、最上級のエクスペリエンスを提供したいと考えるものです。一口にカスタマーエクスペリエンスと言っても、初めてのウェブサイト閲覧から、カスタマーサービスの電話対応まで、様々な経験があります。
カスタマーエクスペリエンスは、顧客があらゆるシーンで企業に接する際に得た感情が総合されて形作られます。顧客の企業への期待値は高いものです。特にカスタマーサービスに対する期待は大きいのです。
Zendeskが市場リサーチ会社のDimensionial Researchと共に行った調査では、 購入先を決めるにあたって、 89%の人は初回問い合わせ時の素早い対応を重要視すると回答しています。これに加え、ほぼ半数の人が、一度でも良くない対応を経験すると競合ブランドに乗り換えると答えています。
ブランドロイヤルティの構築にとって、カスタマーサービスの重要性は明らかです。顧客対応の迅速化に取り組むには、問い合わせチャネルの拡充から始めることができます。あらゆる問い合わせ方法に対応できるオムニチャネルのカスタマーサポートを提供すれば、顧客は自分に合った問い合わせ方法を選んで、すばやくサポートを受けることができます。 オムニチャネルサポートのベストプラクティスはこちらでご覧いただけます。
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ファン顧客に自発的な口コミ拡散を促す
自らのブランドが有する価値観をきちんと理解していれば、その価値観を熱烈に応援してくれるファンベースを見出すことができます。企業の名前をツイートし、Instagramのストーリーでブランドをタグ付けして商品やサービスを気に入っていると友人に伝えてくれる顧客は、ブランドの命運を握ると言ってもいいでしょう。
特にブランドが若い時点では、このレベルまで高い満足度を持つ顧客はほんの一握りかもしれません。しかし、こうした熱烈なファンの存在によって、誰がどのような理由でブランドにつながりを持つかを理解することができるのです。企業は、ファンを特定した上で彼らから最大限に学び取るべきです。
彼らのプロフィールがわかれば、ひろく潜在顧客を見つけることができるからです。こうした顧客は口コミで拡散してくれるブランド・アンバサダーになってくれるため、企業から頻繁に働きかけていく必要があります。日頃の愛用に感謝を示すプレゼントをサプライズで贈ることもできるでしょう。これは「サプライズ&ディライト(うれしい驚き)」として知られている施策で、顧客維持率の向上と顧客ロイヤルティの醸成に役立ちます。
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ロイヤルティプログラムで感謝を示す
リピーターに特別オファーや割引、特典のようなインセンティブを提供することも、顧客ロイヤルティを高めるうえで有効です。独自の顧客ロイヤルティプログラムを検討するのもよいでしょう。
ロイヤルティプログラムには、コーヒーショップのメンバーカードのようなポイント付与システムをはじめ、さまざまな種類があります。顧客に何かしらの特典を提供すると、購入してよかった、またこのお店・ブランドを選ぼうと思ってもらえます。
また、こうしたロイヤルティプログラムを活用すれば、「感謝されている」「大切にされている」と顧客に感じてもらいながら、顧客エクスペリエンスの向上に役立つ貴重な顧客データを取得できます。
この種の施策は短期的な業績アップにつながることがありますが、最近では多くのロイヤルティプログラムが乱立しているため、有意義な顧客関係の構築に繋がらない恐れもあります。
企業として取り組むべきことはこれ以外にもあります。企業の価値観を指針にしながら、顧客に満足してもらえるカスタマーエクスペリエンスをつくり出す努力を続けることも大切です。この両輪の取り組みによって、リピーター顧客をロイヤルティの高い顧客へと変えることができるのです。
より深いつながりを築く
ブランドと関わる場やファン同士のつながりの場を提供するとことで、顧客との関係を継続的に培っていくことができます。簡単な方法としてコミュニティフォーラムの活用が挙げられます。
顧客同士で製品をより便利に使うためのヒントやコツを共有できるほか、コミュニティの管理者はさらに詳しい情報やサポートを提供することで関係を育んでいくことができます。時にはSNS上でこの種の交流に発展していくケースもあります。
ブランド側としてはこれもチャンスとして活用していくべきでしょう。例えば、Facebookグループを作って、熱心なファンたちとの交流の場として運用するブランドも増えています。スターバックスがパンプキン・スパイス・ラテのファンのために作ったFacebookグループのように、ニッチなファンの熱い思いを生かすような使い方をすると成功率が上がります。
この種のコミュニティは、ファンとの交流の場という貴重な役割を担うだけでなく、熱烈なファンやブランド・アンバサダーからフィードバックや商品に関する提案を受け取るための双方向ツールにもなります。
フィードバックを求める
顧客ロイヤルティを構築するには、顧客からフィードバックを得られるあらゆる機会を生かすことが重要です。例えばサポート対応の最後に実施される顧客満足度(CSAT)調査では、顧客がサポートにどの程度満足しているかを把握できます。
また、カスタマーサービス担当者に顧客からの反応や問い合わせの多い問題を事例と共に共有してもらうのも一考です。アンケート以外にも、ソーシャルメディアでの活動を確認する、口コミを分析するといったことができます。否定的な意見を受けるのは気持ちの良い物ではありませんが、改善が必要な領域をきわめて正確に指摘してくれるため、否定的なレビューが助けになることもあります。
利点はそれだけではありません。顧客からのフィードバックを真摯に受け止めていれば、顧客を大切にしていること、満足してもらえるエクスペリエンスの提供にコミットしていることを顧客や見込み客に示すことができます。また、満足度の向上やロイヤルティの構築への貢献も期待できます。
継続的にカスタマーエクスペリエンスの向上に努める
顧客ロイヤルティ向上させるには、企業としての進化と改善のプロセスと位置づけて、継続的に取り組むことが求められます。消費者を取り巻く情勢は常に変化するため、ブランドのアイデンティティや価値観を定期的に確認する必要があります。
ブランドが持つ価値観がそこまで大きく変化することはないかもしれませんが、ブランドの位置づけは市場の動向に合わせて調整することが求められます。また、コミュニティへの参加者が増えるにつれ、メッセージの刷新や複数のファン層を意識したコミュニケーション戦略の検討も必要かもしれません。
カスタマーエクスペリエンスの傾向を常に正しく把握しておくために、顧客からは頻繁にフィードバックを求めるように努めましょう。顧客の行動やチャネルの利用状況は短時間のうちに大きく変化することがあります。
そうした時のために、直ちに方向転換をはかって顧客の動向に合わせられる備えが求められます。これは中長期的な対応とは別建てて準備する必要があります。
顧客ロイヤルティの構築とは、関係を築き上げる。どんな関係にも言えることですが、信頼を得るには時間と労力が必要です。また、一度築いた関係を長く保つためには継続的な努力が欠かせません。顧客ロイヤルティと顧客維持はお金では買えるものではなく、日々の努力で勝ち取っていくものです。顧客ロイヤルティを高めるためには、カスタマーエクスペリエンスに注意を払い、顧客の生活がより快適で心地よいものになるよう、力を尽くしていくことが求められます。