「Zendeskには、お客様の声を可視化し、感性ではなくロジックで必要な取り組みを精査する仕組みがあります。たくさんの声の中から重要なニーズを見極め、Zendeskを活用して価値ある顧客接点を創出していきたいと考えています。」
CS推進部 お客様満足推進室 クオリティプランニンググループ
- 株式会社やずや
Zendeskソリューション導入の背景と課題
にんにく卵黄や発芽十六雑穀など、こだわりの健康食品・サプリメントを通信販売で福岡から全国へ展開している株式会社やずや。同社は、「価値あるものを創造し、社会に貢献・奉仕する。 価値ある『ものづくり』『ことづくり』『人づくり』を。」を企業理念に掲げ、食を通じた健康づくりの先にある「お客様の元気で楽しい豊かな人生」を応援することをテーマに、健康食品以外にも、雑貨・化粧品・ドッグフードなどの取り扱い、旅行事業やホテル事業などもスタートしている。
顧客層は50~60代が中心。同じ商品が継続的に届く定期コースの利用者がほとんどで、10年以上にわたる長期的関係を築いているロイヤル顧客も多い。顧客と同社のサポート部門をつなぐチャネルは、メールや問い合わせフォームもあるが、使われるのは、電話、FAX、ハガキ、手紙などのオフラインチャネルが中心である。緊急性の高い内容はほとんどないが、顧客の熱量は高く、商品や応対に対する嬉しい声もたくさん届く。届いたハガキや手紙には必ず返事を書いており、一人の顧客との文通にも似たやりとりが続くことも珍しくない。
お客様の声と一緒に多くの作品も届く
こんな風に大事にしている顧客の声を適切に管理したいという思いが、既存のCRM製品への不満を募らせていった。導入から年数が経過していた既存製品は、動作が遅いことや使い勝手で、ストレスを感じる場面が多かったという。特に、手紙の場合は文章からさまざまなことを汲み取る必要があり、その仕分け作業に多くの時間を要していただけでなく、基幹システムと連携できないことで一部の重要な顧客情報を取り込めず、分析も手付かずだった。また、チャネルごとに管理画面が異なるため、顧客の対応履歴は複数画面を時系列で追う必要があり、煩雑で顧客の声を一元管理できない歯がゆさもあった。改善の必要性を感じながらも、そのまま長年運用を続けてきた理由を、株式会社やずや CS推進部 お客様満足推進室 クオリティプランニンググループの髙津 理子氏はこう語る。
「お客様の声に耳を傾けることは最終的に売上につながることなのですが、効果が非常に見えにくい分野でもあります。Life Time Value(LTV)という言葉だけ聞くとシンプルですが、実際にはそれほど簡単ではありません。何度か既存環境の見直しを検討したことはありましたが、ツールの新規導入には手間も費用もかかりますから、どれだけの投資対効果があるかを試算するとなかなか踏み切れずにいたのです。」
株式会社やずや CS推進部 お客様満足推進室 クオリティプランニンググループ 髙津 理子氏
Zendeskが選ばれた理由
既存製品の保守期限が切れるタイミングで、いよいよ新しいツールの導入に向けて検討を始めた同社は、サポート担当者にとっての利便性はもちろんのこと、セキュリティ面での不安を払拭できるかどうかを重視した。「通信販売事業者である我々にとって、顧客情報の漏えいはお客様の信頼を失うことに直結しますから、なんとしても未然に防ぎたいという思いがあります。ましてやクラウドのサービスを利用するとなると、より慎重にならざるを得ませんでした」と髙津氏。
同社では、社内用のパソコンと社外用のパソコンとを完全に分けており、後者のパソコンで基幹システムにアクセスすることはできない。こうした厳しい条件下で基幹システムと連携しながら顧客との対話を行うため、同社のシステム担当者の協力を得てセキュリティ面の課題をクリアしつつ、加えてマルチチャネル対応や今後の拡張性に期待しZendeskを採用した。
数多くの選択肢があるなかで、「実績はもちろんのこと、今後新しいことにチャレンジできるツールであること、そのための導入後のフォロー体制が充実していることを重視しました。また、ある展示会でお会いしたZendeskパートナーの丁寧なご対応が、カスタマーサポートの責任者である私の心を動かしたことを覚えています。会社の雰囲気や社風はそこで働いている方々に通じるものがあり、Zendeskを利用したいと思わせてくれた理由の一つです」という髙津氏の言葉が印象的だ。
Zendesk導入の効果
「Zendesk上で対応履歴が時系列で追えるので、非常にわかりやすいですね。今まで拾い切れなかったお客様の声をすべて拾えるようになり、ようやく改善サイクルを回すための土台が整いました」と髙津氏が語るように、導入後は、チャネルをまたいで顧客の声を一元管理できるようになった。チャネルごとの顧客対応についても厳しい数値目標を設定し、全社を挙げてより効率的で質の高いサポートの提供を目指すと共に、顧客の声には毎月必ず全社員が目を通し、経営幹部や役職者が出席する改善会議で具体策に落とし込んでいる。
全ての対応履歴が一覧で把握できる
また、Zendesk導入にあたっては、手紙やFAXなどのオフラインチャネルで寄せられた顧客の声をZendesk上でチケット化し、問い合わせへの回答やお礼文となる手紙をアプリ画面からWordファイルとして作成できるアプリを構築。さらに、手紙一通あたりの作成時間を計測するアプリや、顧客の声をまとめて帳票化するためのアプリも新規に開発した。このように、自社の業務にフィットするように開発した連携アプリケーションを自由に追加できるのもZendeskのメリットである。
手紙で届いたお客様の声をチケットとして登録
回答やお礼となる手紙の文章を画面上で簡単に作成できる
同社が特徴的なのは、生産性を高めることに主眼を置いていない点だ。もちろん、目的の一つではあるが、同社にとっては顧客満足度を高めるための通過点に過ぎない。たとえば、顧客に送ったメールや手紙への反響があった際にはZendesk上にチェックを入れレスポンスを計測。業務の生産性と顧客のレスポンスの両面からKPIの達成度を評価し、改善の必要性を検討する。
「私たちも、さすがに無駄なことや非効率なことはやりませんが、文通にも似たお客様とのやりとりに象徴されるように、お客様から”やずやらしさ”を求められるなかで、どうしても維持しなくてはならない業務があります。しかしながら、自分たちのやりたいことを一方的に主張するだけでは通りません。後ろ盾となるお客様の声を可視化し、感性ではなくロジックで必要な取り組みを精査する仕組みが不可欠です。Zendeskはお客様のことを第一に考え、サポート部門が明確な根拠を持って施策を実行できるように設計されたツールだと感じています。」(髙津氏)
今後の展望
導入から約一年が経過し、「Zendeskをもっともっと使いこなせるようになることで、さらに応対品質が高まり、喜んでくださるお客様を増やすことにつながっていきます。これが、今最もチャレンジしていくべきことだと認識しています」と髙津氏。
同社によれば、顧客接点が多いほど契約の継続につながり、その成果が売上に反映することがわかっているという。今後も顧客とのやりとりを丁寧に続けていくことに変わりはないが、顧客の声をもとにさまざまな取り組みを進めていく上では、いかに接点を増やし、売上につながる施策を実施できるかが問われることになる。
やずやが目指すのは、一度ご縁をいただいた顧客と一生お付き合いをしていくパートナーになること。一つひとつの顧客接点で心通わせる体験をお届けするためにも、Zendeskを活用することへの期待は大きい。