「Zendeskのデータ分析機能であるInsight機能などで問い合わせ対応状況をすぐに把握できるため、通常対応はもちろん、提案型のサポートもできるようになってきています。」
クラウドインテグレーション部カスタマーサポート課長 - 株式会社サーバーワークス
クラウドインテグレーターのサーバーワークスは、アウトソーシングを活用した顧客サポートを効率化すると同時に、品質を担保できる仕組みを求めてZendeskを導入。社内外に「働きやすい環境」の提供を目指す同社にとって、重要な決め手のひとつとなったのが、クラウド型かつマルチデバイス対応であること。
導入後は、チケット管理プロセスの自動化が実現。レスポンスが向上し、人的ミスも削減され、サポート品質の向上という付加価値が生まれつつある。また、データ分析機能を使って、問い合わせ対応状況をリアルタイムに把握することで提案型サポートも可能になり、サービスの優位性につながっている。
Zendeskソリューション導入の背景と課題
創業当初は受託開発ビジネスが中心で、その後はいち早く業界の波を掴み「クラウドインテグレーター」となったサーバーワークス。今はAmazon Web Services(AWS)に特化したインテグレーション事業とサービスの提供が、同社ビジネスの9割を超えている。
サーバーワークスでは「クラウドで、世界を、もっと、はたらきやすく」というビジョンのもと、クラウドの特長を生かし、便利なシステムをスモールスタートでタイムリーに届け「はたらきやすい環境」の提供を目指している。そして顧客にだけでなく「自社でも、積極的にはたらきやすい環境づくりに取り組んでいます」と言うのは、株式会社サーバーワークス クラウドインテグレーション部 カスタマーサポート課長の松下 稔氏だ。
松下氏が所属するカスタマーサポート部隊でも業務効率化は課題だった。「これまで多くの顧客に効率良く対応するために、アウトソーシングを活用し人件費を抑える取り組みを経験してきました」と松下氏。とはいえこういった取り組みは業務効率は上がっても、同時にサービスの質を保つのは難しい。効率化とサービス品質の担保を両立する仕組みが、サーバーワークスでは求められていた。
Zendeskが選ばれた理由
サーバーワークスでは顧客からの問い合わせ対応用のメーリングリストを作り、スタッフ内で情報共有を行っていた。また、問い合わせ対応のチケット管理の仕組みは独自で構築し運用していた。ただ、この組み合わせでは手動でチケットを登録する手間があり、結果として顧客へのレスポンスが遅くなるという課題を抱えていた。
さらにメーリングリストのアドレスが公になると、ダイレクトメールなどの「ノイズ」も増える。「フィルタリングでノイズを取り除いていましたが、完璧ではありませんでした」と松下氏。
問い合わせ数が少なければ、これらの仕組みでも大きな問題はなかった。しかしビジネスの拡張と共に顧客が増え、問い合わせも増加すると、問い合わせの受け付けからチケット管理に至るまでを一貫して対処できる仕組みが必要だとサーバーワークスでは考えた。
さらに、統合的な管理の仕組みの中で、チケット管理プロセスの自動化も実現したかった。自動化ができれば問い合わせが増えてもルーチンワーク部分を効率化できる。効率化で生まれる余裕で、顧客に手厚いサポートを行いたいと考えたのだ。ルーチンワークの自動化ときめ細かいサポートの両立ができるツールとして選ばれたのが、Zendeskだった。「サーバーワークスで考えていたことと、Zendeskのサービス思想が一致していると感じました」と松下氏。
選定ポイントの1つが、クラウド型で複数拠点で情報を共有することができること。サーバーワークスではクラウドを活用した多様な働き方を実現しており、社員はあらゆる場所、端末で業務を行う。そのため、どこにいてもオフィスと同じようなはたらき方ができるように、クラウドで、かつマルチデバイス対応は重要だった。
Zendesk導入の効果
2015年9月からZendeskの利用をスモールスタートし、2016年4月には24時間365日のサポート基盤として正式採用を開始した。利用対象はAWSのOSよりも下位レイヤーのインフラ部分の使い方の問い合わせに対応する「カスタマーサポート」と、OSより上位レイヤーの運用代行サービスに関する対応の「MSP」の2つ、これらをシングルブランドとしてZendeskで柔軟に管理している。
現在はカスタマーサポートとMSP、および札幌にある24時間365日のサポート体制を構えるグループ会社で約30人ほどがZendeskを利用する。メール、Webフォーム、FAQ機能などを利用し、クラウド上のサーバー監視のアラート通知もAPI経由でZendeskに取り込んでいる。サーバーアラートもインシデントとして蓄積することで、アラートの傾向分析なども可能だ。1日のチケット発行数は数百件でこの数は増加傾向、チケットの半分が顧客からの問い合わせ、残り半分は通知系となっている。
Zendesk導入当初は操作に戸惑うこともあったと言うのは、クラウドインテグレーション部カスタマーサポート課の斎藤裕樹氏だ。「Zendesk特有な部分もあり、慣れが必要でした」とのこと。とはいえ慣れればむしろ使いやすい部分が多く「トリガーとマクロを使って自動処理も行っています。こういう部分が増えれば、人的なミスを減らせるとの実感もあります」と評価する。
また「Zendeskの活用で、レスポンスが良く対応品質も高いという付加価値が生まれ、それが我々のサービスの優位性にもなっています」と前田氏。掲げているファーストレスポンスが数分以内、障害への一次対応は十数分以内との目標も、達成されている。以前はこういった指標を調べるのにも数日かかったが「今ではZendeskのデータ分析機能であるInsight機能などで問い合わせ対応状況をすぐに把握できるため、通常対応はもちろん、提案型のサポートもできるようになってきています」と松下氏は言う。
サーバーワークスでは、社内コミュニケーションにSlackを活用している。Zendeskからの通知もAPI経由でSlackに取り込んでおり、Zendeskを開かずとも迅速な対応ができると言うのは、クラウドインテグレーション部MSP課の平愛美氏だ。さまざまなAPIがあり、外部との連携が取りやすい点も高評価となっている。
今後の展望
サーバーワークスではさらに「攻めの保守」も考えている。「予防保守の1歩先を行くような、サポートからプロアクティブにアクションを起こすサービスを考えています」と松下氏。
自分たちの業務を楽にするためだけでなく、顧客にとって価値あるサービスをZendeskの活用で提供する。そのためにもInsightやマクロ、トリガーなどをさらに活用して自動化を進めることで作られる時間で人でなければ対処できない手厚いサポートを提供する。さらにはZendeskの情報を営業やマーケティングとも共有し、ビジネスの拡大にも貢献したいとサーバーワークスでは考えている。