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インシデント管理の負荷を低減しながら、いつどこからでも即時の把握が可能に

日本の重要インフラを担うミッションクリティカルな情報通信システム基盤を提供するNTTデータ先端技術株式会社は、ハードウェア保守におけるインシデント管理にZendeskを活用。運用を変えずに既存ツールからのスムーズな移行を実現し、煩雑なやりとりを簡素化したことで、解決時間の短縮に成功している。

NTTデータ先端技術株式会社
「24時間365日の保守サービスであるため、帰宅後に電話が鳴ることもあります。クラウドソフトウェアのZendeskなら、インシデントの情報や顧客とのやりとりを即時に把握でき、機器の交換対応を行う委託先ともシームレスに連携できます。」

柳瀬 勝也氏

基盤ソリューション事業本部
プラットフォーム事業部 プロフェッショナルサービス担当 課長
- NTTデータ先端技術株式会社

Zendeskソリューション導入の背景と課題

NTTデータグループの技術面を支える中核会社として1999年に設立されたNTTデータ先端技術株式会社は、NTTデータグループの一員として、NTTデータやNTTグループと連携し、最新の技術を活用したミッションクリティカルな情報通信システム基盤の提供を中心に事業を展開するプロフェッショナルエンジニア集団である。システム基盤、ソフトウェア、セキュリティの3つをソリューション事業の柱に据え、社名の通り常に最先端のオープン系技術や製品をスピード感よくキャッチアップすることを強みに、高度な専門性と確かな技術力で顧客のニーズに応えている。

情報通信システムに関わる幅広い領域を網羅する中で、上流から運用・保守までのシステム基盤にワンストップで対応するのが基盤ソリューション事業本部プラットフォーム事業部だ。当然ながら、サーバーやストレージ、ネットワーク機器などのハードウェアアプライアンスの保守は重要なタスクの一つである。保守の提供先は、NTTデータのメイン顧客である金融系、公共系分野の大規模ユーザーが9割以上を占めるため、故障時の問い合わせ、障害の切り分けや解析、機器交換などに対応するサポートデスクには緊急性の高い問い合わせも数多く寄せられる。即時解析、即時回復を求められるケースも少なくない。

こうしたインシデント管理に導入したのがZendeskである。以前は既存ツールを数年間にわたり使用していたが、BtoC向けに設計されたツールだったこともあり、現場の運用にうまく馴染まなかったという。手順が多く、直感的に理解するのが難しかったとして、NTTデータ先端技術株式会社 基盤ソリューション事業本部 プラットフォーム事業部 プロフェッショナルサービス担当 課長の柳瀬 勝也氏はこう説明する。「運用チームは人の入れ替わりが激しいため、手順の説明やオンボーディングに時間がかかるとなると負荷が増大します。また、オンプレミス型のシステムだったため、セキュリティ上の制約により社内LANからしか接続できず、この点も課題として認識していました。24時間365日の保守サービスですから、必要なとき即時にインシデントの情報ややりとりが把握できないと対応遅延につながりかねません。ハードウェア交換対応を委託している別会社との連携においても使いにくさが否めませんでした。」

Zendeskが選ばれた理由

サポートデスクに寄せられる問い合わせは月にして120~130件。多い月だと180件に及ぶ。半分は技術QAサポートで完了するが、残り半分は障害関連の問い合わせである。そもそも顧客からメールで受けた問い合わせを自社ツールに取り込んで管理するというやり方に限界があった。フォーマットが存在しないメールは、個人の書き方に大きく依存してしまう。一次受付の段階で情報が不足していると解析に多くの時間がかかり、ハードウェアの交換判断が下りるまでに顧客との間で何往復ものやりとりが発生する。しかも、実際の交換対応はそこからである。サポートデスクに連絡してから交換対応に着手するまでの時間が長引くほど、顧客のストレスは募っていくわけだ。Zendeskに期待したのは、誰もが直感的に使えて、こうした非効率で煩雑なやりとりを簡素化できること。加えて、Zendeskがクラウドソフトウェアであり、どこからでもアクセスできるのは好都合だった。

Zendesk導入の効果

現在は、技術QAサポートを担当する月島オフィスとハードウェアの交換対応を行う委託先の双方でZendeskの活用が進む。導入後は顧客の状況を速やかに把握できるようになっただけでなく、問題解決にかかる時間も大きく短縮された。「Zendesk SupportならWebフォーム上に選択肢を設けて、条件分岐も行えます。以前は、顧客が記述した内容に基づいて問題の切り分けを行っていましたが、何に関する問い合わせなのかをお客様ご自身で特定してもらえるようになりました」とNTTデータ先端技術株式会社 基盤ソリューション事業本部 プラットフォーム事業部 プロフェッショナルサービス担当 主任エンジニアの田村慎氏。これにより、次のアクションを素早く実行できるようになったことも大きい。問題解決に最低限必要な情報を一回で網羅できるため、顧客とのやりとりの回数も減る。

要件に合わせた複数の「お問合せフォーム」を準備。

要件に合わせた複数の「お問合せフォーム」を準備。


「製品型番」や「シリアル番号」など、問い合わせ対応時に必要となる情報を、「お問合せフォーム」経由で取得。回答に必要な情報を入手するためにやりとりする回数を減らし、回答の効率化を図っている。

「製品型番」や「シリアル番号」など、問い合わせ対応時に必要となる情報を、「お問合せフォーム」経由で取得。回答に必要な情報を入手するためにやりとりする回数を減らし、回答の効率化を図っている。

また、月島オフィスと委託先の間で行っていたメールや電話での引き継ぎにもZendesk Supportを活用。Zendeskのコラボレーションアドオンで提供されるサイドカンバセーション機能を使えば、Zendeskの画面を離れることなく外部の担当者とシームレスにコミュニケーションできる。「シンプルな業務連絡については、マクロを組んで定型文を送ることで手間が軽減されています」と田村氏は補足する。

顧客ごとにシステム環境が細かく異なるため、顧客自身によるセルフサービスでの問題解決を促すのは難しいが、Zendesk Guideを使って簡単なFAQページも公開している。当面は問い合わせを減らすための施策としてではなく、広く周知したい情報を効率的に共有する目的で利用していく考えだという。

FAQページを構築し、セルフサービスで必要な情報を入手できるようにしている。

FAQページを構築し、セルフサービスで必要な情報を入手できるようにしている。

こうした一連の取り組みに社内からも注目が集まっている。その改善効果には、年間問い合わせ数約1,500件の10%程度の削減が見込まれ、長期的な原価低減を可能にする保守ツール更改プロジェクトとして社内表彰を受けたほどだ。「Zendeskはマクロ機能やトリガ機能を使って柔軟にカスタムできます。運用を変えずに自社ツールからのスムーズな移行を実現できたのも助かりました」(田村氏)と満足度は高い。

今後の展望

今後は、まだ着手できていない既存システムとの連携を進め、Zendeskをハブに顧客情報を一元管理できる環境を整備することに大きな目標を置いている。「ひとまず顧客の保守契約情報や端末情報が格納された自社システムが更改のタイミングを迎えるにあたり、同システムの機能をZendeskでどこまで実装できるかを見ていきたいですね」と柳瀬氏。

社内事情でセキュリティ面での課題は残るものの、顧客とのファイルの受け渡しを目的としたオンラインストレージサービス「Box」との連携も模索中だ。また、技術QAサポートから委託先への問題の引き継ぎにおいては、社内で使用しているチャットツールSlackとの連携を視野に入れ、情報共有のスピードアップとコミュニケーションの円滑化を図っていく。さらに、委託先との連携に使用しているサイドカンバセーション機能は、できることならハードウェアメーカーとのやりとりにも活用していきたいと言う。これらはすべて、さらなる効率化を推進し、問題解決にかかる時間を短縮していくために必要なチャレンジとなるだろう。

社名の英語名「NTT DATA INTELLILINK」が示すように、社会情勢、環境が目まぐるしく変化する中で、顧客にとって価値ある先端技術を獲得し続けるために、新たなIntelligence(知性)をつなぐことを理念とするNTTデータ先端技術。デジタルトランスフォーメーション(DX)を共に実現するパートナーとして、Zendeskでつながり出した”顧客に寄り添うための仕組み”に磨きをかけていく。