「Zendeskの最大の魅力は自分たちだけのツールにできること。長期的に見てコストメリットが大きいのも、スモールスタートができる上に拡張性が高いからです。久しぶりに使っていて楽しいと思えるツールに出会えました。」
ICTサービス事業部 ICT5部
- 株式会社ISID-AO
Zendeskソリューション導入の背景と課題
株式会社ISID-AO(以下、ISID-AO)は、電通と米国GE社の合弁で設立された電通国際情報サービス(ISID)の戦略的グループ会社として2009年に設立。以来、「HUMANOLOGY for the future(人とテクノロジーで、その先をつくる。)」をビジョンに掲げ、システム基盤設計から、構築、運用保守サポートまでを一気通貫で提供してきた。これまで、電通グループや国内大手企業の数万名ユーザーの大規模なシステム運用に加え、1,000社を超える企業のIT戦略を支援してきた優れた技術力と豊富なノウハウをベースに、利用開始後の管理・運用までを見据えたサービス提供を実現している。
その事業領域を大きく分けると、デジタルインフラ事業、システムサポート事業、ユーザーサポート事業の3つ。このうちのユーザーサポート事業で2019年末よりZendeskを活用している。ユーザーサポート事業を構成する主要なカテゴリーの一つに、情報システム部門向けに提供する社内ヘルプデスクがあり、PCやネットワーク、マイクロソフト製品といった社内のIT環境全般をユーザーがストレスなく利用できるようにサポートしているのだ。
株式会社ISID-AO ICTサービス事業部 ICT5部 岡 大佑氏は、Zendesk導入前の状況を振り返り、「電話とメールで問い合わせを受けていたのですが、チケット作成はすべて手動でした。お客様とのやりとりをテキストに起こして手作業でCRMツールに記録していたのです。オペレーターからも、この手間を削減したいという声が上がっていました」と語る。
いよいよツールを変えようという動きになったきっかけは2つある。1つは顧客対応の視点。もう1つはオペレーターの視点だ。株式会社ISID-AO ICTサービス事業部 ICT5部 相原 雅則氏はこう説明する。
「対応にかかる時間やコストはサポート料金にも影響してきますから、自動化が進んでいる競合他社と比較するとどうしても高くなってしまいます。この現状を変えるためには、効率化を躊躇する理由はありませんでした。一方で、サポート環境を整備し、オペレーターの負荷を軽減したいという思いもありました。」
株式会社ISID-AO ICTサービス事業部 ICT5部 相原 雅則氏
Zendeskが選ばれた理由
既存のCRMツールで自動化を進めるとなると、APIを自分たちで開発する必要があり、その手間を考えると現実的ではない。そこで、すでに確立されたサポート基盤としてあらゆる機能を網羅するZendeskに着目した。最終的にZendeskを選択した理由は、カスタマイズ性の高さに尽きるという。
「さまざまなツールを比較検討しましたが、自分たちの使いやすいように変えられるツールはそれほど多くありません。また、スモールスタートが可能な点も魅力でしたし、Zendeskを通じて優れたカスタマーエクスペリエンスとエージェントエクスペリエンスを両立できること、コストメリットが圧倒的に高いと判断できたことも、導入を大きく後押ししました。経営陣への説明もしやすかったですね」と語る相原氏は、「今は現場を離れていますが、私自身のオペレーター時代にZendeskがあったら、どんなに幸せだっただろうと思います」と笑う。
Zendesk導入の効果
既存の問い合わせチャネルが電話とメールだったこともあり、まずはZendesk Supportからスタート。電話対応については、Zendesk とクラウド型コンタクトセンターサービスのAmazon Connectを連携して運用している。「連携の作業は専門性が要らず、すぐにつなぎ込みができて非常に簡単でした。電話がかかってくると瞬時にZendeskに連携され、ほぼリアルタイムにチケットが起票されます」と岡氏。その後、新しいチャネルとしてチャットを追加するにあたりZendeskのチャット機能の検証が始まったが、こちらは本格的な運用に向けてオペレーターの体制整備を進めている段階だ。チャットは気軽に問い合わせできることから顧客からの要望も高く、実現が急がれる。昨今は、問い合わせチャネルがメールと電話だけとなると、他社との差別化が難しくなりつつあるという。
ZendeskとAmazon Connectを連携
もともとZendeskへの期待値は高かったが、日々運用するオペレーターの評価は高い。
「たとえば、チケット作成が自動化され、マクロで定型文を挿入できるというだけでも、手間が大きく軽減されています。Zendeskなら今まで諦めていたことも可能になりますし、調べれば調べるほど面白いツールだという声が届いています。本当はもっと研究したいのに、目の前の対応に追われて時間が取れないという嘆きの声もあるほどです。オペレーターにヘルプデスク経験者が多いので、『昔はこんなツールなかったよね』という話から、”Zendeskでできること”を楽しく模索中です。」(岡氏)
できることが増えた分、効率化は大きく前進した。オペレーターの平均応対時間20分を最短で12分まで短縮。平均しても15分程度に抑えられており、Zendeskの活用が進むにつれ、さらに減る傾向にある。これにより、一人のオペレーターが対応できる問い合わせの件数も増えた。2つのツールを駆使していた導入前と比べると、運用コストは20~30%の削減だ。また、複数のツールをまたぐことなくエスカレーションがシームレスに行えることや、一元化により他のオペレーターの対応が可視化されたこと、Zendeskのヘルプセンター構築機能を活用することで必要な情報を速やかに記事化してオペレーター間でナレッジ共有ができることなど、サポート品質を維持していく上でのメリットも大きい。
Zendeskを活用し、対応方法や手順に関するナレッジをチーム内で共有
さらに、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令で、突然在宅ワークを強いられる事態になったときも、Zendeskを導入していたことで速やかにリモートでの顧客対応に移行できた。「以前のツールでは社内でしか電話を受けられなかったので、それだけでも圧倒的な違いです」と相原氏は強調する。
今後の展望
Zendeskでチャットの運用を早期に本格化させることが直近の目標となる一方で、同社はセキュリティにも強いこだわりを見せる。顧客のIT支援を行う以上、テレワークによる問い合わせ対応のリスクを排除し、完全にセキュアな状態でZendeskに接続していることを明言できる必要がある。このため、すでに昨今話題のSASE(サシー)の仕組みを採用しており、これをもってエンドポイントのセキュリティ対策を強化し、クライアント端末やネットワークの安全性を説明していくという。
ZendeskにSASEを経由して接続
さらに相原氏は、「弊社のサービスと掛け合わせることで、いつでもどこにいても、セキュアにZendeskを利用できる環境や、ZendeskのみならずセキュアにITインフラを利用できることを、どんどんアピールしていきたいです。」と語る。
この他に、Zendeskによる顧客向けFAQページの提供、Zendesk上に蓄積されていくナレッジの分析、AIチャットボットの活用など、Zendeskでできること、したいことへの挑戦はどこまでも続いていく。「Zendeskの最大の魅力は自分たちだけのツールにできること」と相原氏が語るように、ISID-AOのZendesk活用は限りない可能性を秘めている。