「Zendesk上で課題を見つけて素早く改善を回せます。ヘルプページのおかげで今まで見えていなかったユーザーの困りごとが可視化され、今まで救えていなかったユーザーが自己解決できるようになったことに大きなメリットを感じています。」
マーケティング部 カスタマーサクセスチーム
- Classi株式会社
Zendeskソリューション導入の背景と課題
2014年、ソフトバンクとベネッセホールディングスのジョイントベンチャーとして誕生したClassi(クラッシー)株式会社は、少子高齢化、地域格差、貧困や教育機会の不均等といった多様な教育課題がある中で、学びの形を進化させることにより、より多くの子供たちがこれからの社会で活躍できるよう支援していきたいとの思いから、データテクノロジーを活用した学習支援プラットフォーム「Classi」を提供している。
「Classi」は、授業や面談、ポートフォリオの蓄積、校内コミュニケーションなどにおいて、学校での効率的な指導と生徒の成長をサポートするだけでなく、学校と保護者のコミュニケーションツールとしても積極的に活用されているクラウドサービスである。このサービスが生まれた背景には、学校教育を取り巻く環境変化に伴う先生の負担を減らし、従来の校務をより効率化すると共に、先生が本来取り組みたかった指導にシフトする機会を提供したいという思いがある。また、生徒一人ひとりに合わせた最適な学習、学びの振り返り、主体性を育む授業を支援し、子供の無限の可能性を引き出すプラットフォームとしての期待を背負っている。
Classiの大きな特徴は、サービスの利用者が先生・生徒・保護者の三者にわたること。機能も三者三様のため、そのサポートは一様にはいかない。さらに、契約主体は学校側だが、利用者数が多いのは先生よりむしろ生徒や保護者である。しかしながら、ヘルプページはログインしないと閲覧できない環境にあったため、操作に不慣れなユーザーは必要な情報にたどり着けないことも少なくなかった。結果として生徒や保護者からの問い合わせが先生に集中し負荷が高まってしまうこともあったという。
一方で、ヘルプページそのものも課題を抱えていた。Classi株式会社 マーケティング部 カスタマーサクセスチームの後藤 花菜子氏は、課題をこう振り返る。
「既存のヘルプページは管理ページも含めて内製で用意したもので、画像や動画の挿入や文字の装飾ができない仕様でした。さらに分析作業にも手が回らず、必要最低限のメンテナンスしかできていない状況でした。」
(写真左から)
Classi株式会社 マーケティング部 カスタマーサポートチーム 和田 磨美氏
Classi株式会社 マーケティング部 カスタマーサクセスチーム 後藤 花菜子氏
Zendeskが選ばれた理由
ヘルプページを利用者にとって利便性の高いものにするためには、認証無しでアクセスできることが必須条件となる。Classi株式会社 マーケティング部 カスタマーサポートチーム 和田 磨美氏は、「これまでは先生や学校内でClassiを運用している管理責任者へのサポートに注力してきましたが、ヘルプページを再構築するにあたっては、最も利用している生徒や保護者が自己解決できるようになることを重視しました。その副次的効果として、先生の負荷が軽減されることを狙いました」と語る。生徒や保護者による自己解決を促すことは、サービスの活用を促すことにもなる。
ヘルプページの作成・管理を効率化するツールとしてZendeskを選んだ決め手は、カテゴリー別、セクション別に階層を細かく設定できる点にある。先生・生徒・保護者で利用する機能が異なり、ヘルプページをユーザー属性ごとに構成する必要があるからだ。「与えられたテンプレートに当てはめていくより、当社のニーズに合うようにデザインを変え、ヘルプページをより使いやすいものにしていきたいと考えていた」(後藤氏)という同社にとって、カテゴリー分けの自由度に加えてデザインの自由度が高く、HTMLやCSSを使ってカスタマイズができる点も好都合だった。
もちろん、ヘルプページにとどまらず、ゆくゆくはZendesk Supportをカスタマーサポートの問い合わせ管理に使いたいという目論見があっての選択でもある。「今回はヘルプページの再構築を最優先に製品を検討しましたが、Zendeskは機能が豊富で、長期にわたり拡張していける点も魅力として大きかったですね」と後藤氏。
Zendeskを活用して構築したヘルプページ
Zendesk導入の効果
同社への問い合わせが最も増えるのが3月~4月。年度が切り替わるタイミングで新しくサービスを使い始めるユーザーが増えるからだ。Zendeskを導入して大きく変わったのは、問い合わせの傾向に応じてヘルプページに速やかに反映できるようになったこと。必要に応じて記事を追加したり、検索にヒットするようにキーワードを調整したり、気づいた際にメンテナンスを行っている。また、Webフォーム経由での問い合わせに対しても、ヘルプページを認証外に置きオープンになったことで、問題解決に役立つ記事へのリンクを貼るだけで誘導しやすくなり、繁忙期にも効率よくサポート業務が行えるようになった。
「Zendesk上で課題を見つけて改善を素早く回せるようになり本当に助かっています。ドキュメントを作成するのと同じような感覚で作業ができますし、今まではできなかった画像や動画の掲載、見出しを付けて見映えを整えるといった作業も標準機能で簡単に行えます。また、改めて、ヘルプページに最も多くアクセスしているのが保護者であることがわかりました。これまでは学校を通してしかアプローチできなかったユーザーがZendeskを通じて自己解決できるようになったことに、十分な手応えを感じています」と後藤氏。
和田氏も、「サイレントカスタマーが少し見えるようになったかなと思います。当社のサービスを最も利用してくださっている方たちだったわけですから、困った際のユーザーの動きを可視化できたのは大きな一歩です。今までは肌感覚で保護者にとって大変だろうなと想像していたことが数値的根拠を伴って見えてくると、改善していくための素地が整ってきたと感じます」と続ける。
Zendeskの導入を機に、手付かずだったヘルプページがようやく有効活用され出したのである。
検索結果を分析し、改善に役立てている
今後の展望
2021年3月にZendeskでの運用をスタートしたばかりで、今後について具体的な方針が見えてくるのはこれからだが、他社のZendeskユーザーに運用方法について相談するなかで、ユーザーの分析やレポーティングについてもう少し深掘りする必要があることに気づかされたという。
また、「すぐには難しいですが、お客様が問題を解決するためのサポートチャネルの種類を増やしていきたいと考えています。先生向けには以前から電話という確固たる窓口がありますが、忙しいとメールで問い合わせしたいときもあるでしょう。一方、生徒と保護者はWebブラウザより圧倒的にアプリを使われているので、アプリの中でどう解決するか、解決できない場合にはどうやってサポートにアクセスするかというところを検討していきたいですね。Zendeskに集約するか、集約しきれなかったとしてもAPIで連携して一元管理していく考えです。いずれにしても、ヘルプページを起点にサポートの拡充を進めていきたいです」と和田氏。
今後も引き続きユーザーが自己解決できることを最優先とし、それでも難しかった場合にスムーズな問い合わせの流れを実現しつつ、いかにサポート業務を効率化していくかが重要なテーマであることに変わりはない。ゆくゆくは問い合わせ対応にZendeskを活用していくことも視野に、ユーザーの満足度を高め、サービスの成長につながる使い方を貪欲に探っていく。