「カスタマーサポート業界も情報のアップデートが非常に激しいので、時代の変化に合わせてZendeskが提供する機能や情報が”道しるべ”になってくれています。あるべき姿がそこにあるという前提で次にやるべきことを検討できます。我々もZendeskのメリットを最大限に引き出せるよう、もっともっと使い方を進化させていきたいですね。」
CX部 部長
- ビットバンク株式会社
Zendeskソリューション導入の背景と課題
ビットコイン、リップル、イーサリアムなど人気の暗号資産(仮想通貨)を売買できる暗号資産取引所「bitbank」を展開するビットバンク株式会社。国内No.1の暗号資産取引量*を誇り、セキュリティの高さでも高評価を得ている同社のビジョンは、「オープンでフェアな社会を実現する」。誰でも参加・利用できる、特権者に支配されない、強制されないという究極の「オープン」「フェア」を追求した暗号資産は、あらゆる価値を流通させることができる力を秘めており、ビジョンの実現に欠かせない技術である。
*2021年2月14日 CoinMarketCap調べ
同社が、年代や性別を問わず幅広い顧客層にオープンに暗号資産を普及させていく上で重要視しているのは、あらゆる顧客接点においてカスタマーファーストであること。メールおよび電話でのカスタマーサポートにおいては、顧客を不安にさせないために、何よりもレスポンススピードを最優先している。月間1万~1万5千もの問い合わせに対応するチームは、その内容によって大きく2つに分けられる。1つは一般的な問い合わせを処理するフロント側のチーム、もう1つは入出金に関わる問い合わせや顧客情報の変更などに携わるバック側のチームだ。緊急度の高い案件については、必要に応じていつでも対応できるバックアップ体制を整えている。
Zendeskが選ばれた理由
同社は、カスタマーファーストの実現を目指し「bitbank」のサービスインと同時にZendeskを導入した。最終的にはグローバルでネームバリューと実績のある製品であることがZendesk導入の決め手となったが、検討段階で最も重視したのは、クラウドサービスであることだった。いつでも、どこにいても問い合わせに対応できることは、レスポンススピードを高めるためにも必要不可欠な要件だった。現在はコロナ禍でフルリモートの勤務体制に移行しているため、期せずしてクラウドサービスのメリットを享受する恰好にもなっている。
ビットバンク株式会社 CX部 部長 山元 幸範氏
Zendesk導入の効果
1日の問い合わせ件数が400件にも及ぶ同社では、Zendeskのマクロ機能が効率化とレスポンススピードの向上に大きく貢献している。顧客には国内在住の外国人も多く、当初は問い合わせへの回答をテンプレート化したマクロを日本語と同じ数だけ英語と中国語でも用意していたため、その数は800を超えていたという。その後、Zendeskからの提案を受け、動的コンテンツを採用。日本語のマクロを選択すれば、自動的に顧客の使用言語で回答が返信される仕組みが実現した。これなら1つの回答に対してマクロは1つで済むというわけだ。マクロ機能はサポート担当者の振り分けにも利用され、フロント側とバック側のチームの画面には、それぞれが担当すべきチケットだけが表示されるようになっている。
動的コンテンツを活用し、複数の言語を効率良くサポート
また、同社が最優先とするレスポンススピードは、Slackとの連携により支えられている部分が大きい。ビットバンク株式会社 CX部 部長の山元 幸範氏はこう説明する。
「セキュリティ上、個人情報を取り扱う業務は仮想環境下で行っているため、Zendeskを離れたときにもチケット受信に気づけるようにSlack連携でカバーしています。問い合わせの内容に応じてSlackのチャンネルを細かく分け、しかるべき担当者にしかるべき情報がいち早く届く仕組みになっています。」
さらに、「デイリーのチケット件数の推移」「問い合わせ内容の内訳」「顧客満足度」の3点をZendeskで分析し、ダッシュボード画面のキャプチャを自動でSlackへ連携し、全社員に共有している。「問い合わせの動向から業界のコンディションがわかるので、この3つは今後の流れを予測する上で非常に重要な数値です」と山元氏。日々社員が目を通しておくべき情報として可視化している。社員がわざわざ情報を取りに行く努力をしなくても、常にアップデートされた最新情報が手に入る環境を作るところに、とことん「オープンであること」を目指す同社のこだわりが見える。山元氏は最も重宝している機能の一つにZendeskの分析・レポーティング機能を挙げ、その理由を「クエリが直感的に使えて分析もスムーズだから」と語る。
社員に見てもらいたい情報をまとめたダッシューボードをSlackへ自動連携
外部システムとの連携という点では、クラウド型ビジネスフォンサービス「Dialpad」との連携も興味深い。電話での問い合わせをZendeskで着信するとDialpadウィジェットが自動的に開き、応答オプションを表示。同時にZendesk上で自動的にチケットが作成され、担当者が通話のログやメモを残せるというわけだ。電話での問い合わせはもれなくZendeskでチケット化され、いつ、誰から、どのような内容の電話があったのかを記録・集計できるため、コンプライアンスの観点でも大いに役立っている。
(※2021年12月現在、コロナ禍の影響で電話でのサポートは休止中)
ZendeskとDialpadを連携
一方で、カスタマーファーストの実現に向けて、顧客にとってもエフォートレスであることを推進する同社としては、そもそも顧客が問い合わせをするまでもなくFAQページを見て自己解決できることが理想だ。実際、日々寄せられる問い合わせは、顧客が自己解決できるものも少なくない。同社は、Webフォーム経由での問い合わせにはZendeskのAIを搭載したAnswer Botを活用し、問い合わせの解決に役立つだろうと予想される記事を提案し解決に誘導する仕組みも提供している。
Answer Botが、問題解決に役立ちそうな記事を提案して自己解決を促す
「導入当初はZendeskでFAQページを作成し、随時更新は行っていましたが、記事そのものの効果測定までは行っていませんでした。」(山元氏)
現在は月次でミーティングを行い、顧客が検索したワードや記事のPV数などを分析して記事の改善につなげている。たとえば、記事があるにもかかわらず問い合わせが減らない場合は、情報が不足しているか効果的ではないと判断して内容を更新したり、見てもらいたい記事が上位に上がるように調整を行うことで検索時のスクロールの手間を軽減したりして、継続的に記事や検索の精度向上を図っている。
また、同社ならではのFAQページの使い方として特徴的なのが、VOC(Voice of customer)活動への活用である。これは、顧客の声をもとにプロダクトを改善した場合にFAQページで報告する試みである。「お客様の『リクエストすれば対応してもらえる』という期待に応え続けるプレッシャーはありますが、お客様を第一とする当社にとって、たくさんのご意見やご要望をお寄せいただけるのは非常にありがたいことです。その貴重な声を拾い上げる重要な役割をZendeskが担ってくれています」と山元氏。95%以上という高い顧客満足度は、顧客の声と真摯に向き合う日々の積み重ねの上にあるのだ。
今後の展望
「カスタマーサポート業界は情報のアップデートや移り変わりのスピードが非常に速いので、Zendeskが提供するプロダクトが道しるべになり、あるべき姿に導いてくれるという安心感があります」と語る山元氏によると、直近で実現したいことの一つが、bitbankアプリからシームレスに問い合わせを行える機能の実装だという。アプリ上にウィジェットを設置し、問い合わせ内容を入力するとAnswer Botが対応。それでも解決しない場合は、有人チャットもしくはWebフォーム経由でサポートチームにつながる流れを作る計画だ。
また、自社開発の顧客管理システムとZendeskとを連携し、一元化をさらに一歩先へと進めたい考えもある。「我々ももっともっとZendeskを理解して、使い方を進化させていきたいですね」と山元氏。ビジネスの成長に合わせて長期的な視点でそれができるのは、柔軟性・拡張性に優れたZendeskの強みでもある。