ZendeskとのCX業務
パートナーシップにより
AIを導入
数年前にZendeskを採用したSiemens Financial Services。AIの導入により、グローバルなデジタルカスタマージャーニーを提供するというカスタマーサービス部門の目標に近づいています。
「最終的に私たちが目標としているのは、包括的なグローバルデジタルカスタマージャーニーです。Zendeskという基盤にさまざまなアプリやAIを統合することで、私たちはこの目標の実現に着実に近づいています。」
グローバルカスタマーサービス責任者 - Siemens Financial Services
「異なる地域のオペレーションチームがどのようにZendeskを活用しているかを聞くことが最近の楽しみの一つです。ZendeskのプラットフォームとAIインテグレーションによって、どのようなことができるようになるのかチームは楽しみにしています。」
グローバルカスタマーサービス責任者 - Siemens Financial Services
本社所在地
ドイツ、ミュンヘン
顧客数
278,000
サービスを提供している国
~60
Zendesk導入年
2019
86%
顧客満足度(CSAT)
+23%
生産性向上率(北欧)
約2倍
生産性向上率(フランス)
600
Zendeskユーザー数
Siemensはヨーロッパ最大の製造企業であり、業界・規模を問わず幅広い顧客にサービスを提供しているという点に独自性があります。大企業から個人事業主まで、顧客はSiemensの多岐にわたるソリューションを頼りに、イノベーションを生み出しています。
Siemens Financial Servicesは、顧客がイノベーションを起こすための資金調達をサポートをするSiemens内の部門の一つです。Siemensの営業部門とオペレーション部門、サポート部門は、フランスやスペイン、ポーランド、米国、ドイツ、北欧、そして英国といったグローバルな拠点から顧客とやり取りしています。
すべての地域において共通のSiemensのコアバリューは「市場での差別化要因となる顧客体験(CX)を提供すること」です。
グローバルカスタマーサービス責任者であるSteve Franklin氏は「金融商品を提供する際、顧客は価値と一貫性、サービスと信頼が最も重要だということを実感します。だからこそカスタマーサービスの差別化に注力しています」と述べています。
Zendeskで全体像を適切に把握
SiemensはZendeskを他社との差別化に活用しています。2019年にZendeskを導入するまでは、サポート担当者はメールやスプレッドシート、その他のアプリケーションを使用して顧客データを追跡していました。ZendeskのEnterprise Suite(Custom ObjectsとSunshine Conversationsを含む)およびSupport、Talk、Guide、ソーシャルメッセージングを導入以降、サポート担当者は今や1か所に集約された効率的なプラットフォームを利用できるようになりました。このプラットフォームではすべての顧客データを確認できるうえ、チャネルを超えて顧客とコミュニケーションを取ることができます。
「すべての顧客データを1か所に集めているため、サポート担当者は全体像を把握できます。異なるプラットフォームやアプリケーションをあちこち確認する必要はありません。Zendeskが提供するオムニチャネル環境は、電話、メール、そして最近ではWhatsAppにも対応しているため、効率的にコミュニケーションを取り、問い合わせに対応できます」とFranklin氏は述べています。
カスタマーサービスにAIを導入
Zendeskの導入に成功したSiemensはAIを活用してCXをさらに向上させたいと考えていました。Siemensは、Zendeskが買収した優れたサポート自動化プラットフォームであるUltimateを利用することにしました。
「少人数のチーム内でZendeskを導入し始めた当初から、SiemensはZendeskとともに歩んできました。現在では600以上のライセンスを持っており、すべての地域でZendeskを利用しています。Zendeskとのパートナーシップの中でUltimateを導入することで、顧客にとって非常に魅力的なソリューションを提供できるようになったと思います」とFranklin氏は述べています。
また、Siemensは以前はサポート担当者の関与が必要だった顧客からのリクエストでも、AIを活用すれば自動化できるという可能性を見出しました。
「顧客からの問い合わせをすべて確認してみると、そのうち約30%がデータまたは情報を知りたいという問い合わせだということがわかり、 優れたAIソリューションがあればそのような問い合わせは自動化できると感じました。そこで、3年以内に顧客に対する返答の15%を自動化したいと考えています。控えめな目標だと思われるかもしれませんが、まずは卓越したCXを提供できているという確信を得てから、その後徐々に使用範囲を拡大していきたいと考えています」とFranklin氏は話しています。
強力なパートナーシップから生まれるAIソリューション
ZendeskとUltimateを利用する中で、SiemensはAIエージェントを導入し、以前はサポート担当者による対応が必要だった大量の問い合わせに自動で回答できるようになりました。例えば、現在のSiemensのAIエージェントは、先を見越して顧客に請求書のコピーを送付することができます。このタスクは、従来はサポート担当者が担当していました。
「英国地域では、Zendeskで構築したプロアクティブメッセージングサービスを利用して、顧客に支払期限が来ていることを知らせるメッセージを送信していた事例があります。しかし、顧客はメールに請求書が添付されていることに気付いていませんでした。顧客は自動送信されたプロアクティブメッセージにメールで返信し、請求書の送付をリクエストしました。返信を受け取ったAIエージェントは、すぐにもう一度請求書のコピーを送付して対応しました。このプロセスにサポート担当者は一切関与しておらず、完全に自動で行われました。顧客のほうも、即座に回答を得られたので喜んでいました」とFranklin氏は述べています。
また、AIエージェントは顧客が他に何を知りたいのか事前に特定し、自動的に先回りして適切に回答することもできます。そして、さらに情報が必要な場合はすぐに人間のサポート担当者を巻き込むのではなく、内容を明確に把握できるような質問を投げかけることができます。
「好ましくないCXがよく発生するのは、企業から顧客に回答を提供したものの、明らかにフォローアップが無視されたり、気付かれなかったりするときです。AIによる自動化を進めれば、カスタマーエンゲージメントにおいて発生するストレスを取り除けます。対話時間を短縮すれば、効率が上がります」とFranklin氏は述べています。
サポート担当者と顧客が得られるメリットは同等
しかしFranklin氏は、AIを統合したZendeskのプラットフォームはカスタマージャーニーを最大限にシームレスにできるものであると同時に、オペレーションチームの負担を軽減できることを強調しています。
「最初にZendeskを導入したとき、従業員全員に大きな変化が訪れました。『どうすれば以前使用していたメールのように使えるのか』という質問が最も多く挙がっていました。最初の3か月間で使い勝手を確かめた後、従業員はZendeskの魅力に気が付きました。「異なる地域のオペレーションチームがどのようにZendeskを活用しているかを聞くことが最近の楽しみの一つです。ZendeskのプラットフォームとAIインテグレーションによって、どのようなことができるようになるのかチームは楽しみにしています」とFranklin氏は話しています。
価値の高い顧客とのやり取りに時間を割けるようにサポート担当者の時間を確保
AIを導入すると、回答を自動化できると同時にたくさんのメリットがあり、その多くは既に享受されています。例えば、顧客対応の後でAIがチケットにデータを入力することで、サポート担当者の処理時間を短縮できます。サポート担当者が次にチケットを開くときには、データがすべて適切な欄に記載されています。
もう一つのメリットは、文書や契約を管理するバックオフィスシステムにも統合できるという点です。サポート担当者やAIを通じて顧客データに簡単にアクセスし、それを顧客に提供することができます。
このようなメリットがあることで、カスタマージャーニーをさらに合理化できるうえ、効率を高めてサポート担当者の仕事の負担を軽減できます。これにより、サポート担当者は顧客と価値の高いやり取りを実現することに集中できるようになります。
「サポート担当者は請求書の送付や一般的な情報の提供といった価値の低いやり取りを行うのではなく、重要な人間同士のコミュニケーションに集中することができます」とFranklin氏は述べています。
包括的なグローバルデジタルカスタマージャーニー実現に向けて
タイムリーなチケット解決、部門間でのスムーズなチケット転送、そして顧客のオンボーディングの迅速化など、Zendeskを利用することによって得られる生産性の向上は、Zendeskユーザーなら手に取るようにわかります。北欧では最も長くZendeskを利用しており、過去2年間で生産性が23%向上しました。フランスでは、Zendeskを採用した最初の年に生産性がほぼ2倍になりました。AIの導入により、現在ではより幅広い地域でこのようなメリットを享受しています。
市場ごとにそれぞれのタイミングでAIを導入したため、一部の地域では先行してすでに生産性の向上を実感しています。AIの導入は、CSAT(顧客満足度スコア)の向上につながっています。例えば、業界標準のCSATは83%であるのに対し、北欧では86%を実現しています。
「デジタルカスタマージャーニーの実装という点で、北欧はすべての市場の中でおそらく最も成熟しています。北欧でCSATが改善されているという事実は、私たちが正しい方向に進んでいるという自信になります」とFranklin氏は述べています。
「最終的に私たちが目標としているのは、包括的なグローバルデジタルカスタマージャーニーです。Zendeskという基盤にさまざまなアプリやAIを統合することで、私たちはこの目標の実現に着実に近づいています。」