EARTHBRAIN × Zendesk
「スマートコンストラクション®」の
展開を後押しする、新世代の
カスタマーサポート
株式会社EARTHBRAIN は、建設生産プロセス全体をDX化していく「スマートコンストラクション®」を推進し、建設業界の常識を塗り替えてきた。同社は設立間もない2022年にZendesk を導入し、サポートセンター業務の刷新に成功。データの収集と分析、サポートサイトのFAQやアクションガイド記事の拡充にも注力してきた。さらにはAIの積極活用も視野に入れながら、顧客の価値の創造やプロセスの最適化など「コト」に対するサポート力向上を通じて、事業をグローバルに展開させようとしている。
「現場で求められているのはマニュアルではなくアクションガイド、膨大な資料の中からすぐに使える情報のみを抽出した実用的なツールです。Zendeskで蓄積したノウハウを活用して、マニュアル作りやソリューション自体の改善にも役立てていけると思います。」
Smart Constructionサポートセンター
シニアディレクター
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Zendeskソリューション導入の背景と課題
EARTHBRAINは、日本を代表する建設機械メーカーであるコマツを軸にしたジョイントベンチャーとして、2021年に誕生。「安全で、生産性が高く、スマートでクリーンな未来の現場」を実現すべく、計画から施工、維持管理にいたるまで建設生産プロセス全体のDX化を図る「スマートコンストラクション®」を推進してきた。最近では油圧ショベルを遠隔操作できる「Smart Construction Teleoperation」まで実用化するなど、まさに未来の建設現場を先取りし続けている。
これらの意欲的な取り組みを支えるのは、「モノ」と「コト」という視点である。同社のSmart Construction
サポートセンター シニアディレクターの迫 啓司氏は次のように語る。
「弊社の母体となるコマツは、より性能が高く、安心で安全に作業を行える建設機械(モノ)の製造を長年行ってきましたが、この『モノ』作りを充実させていくためには、お客様の価値の創造やプロセスの最適化といった『コト』の部分も充実させていかなければなりません。『スマートコンストラクション®』を推進していくことは、高齢化社会の到来による労働力不足の解消や、建設現場をより安全なものにし、建設を通じて社会全体を活性化していくという重要な使命も帯びています。」
EARTHBRAINの母体となったコマツは、2015年にスマートコンストラクション®事業を開始。2017年にサポートセンターのシステムを導入している。DXを軸とした建設現場の改革を進めていく際には、従来以上に詳細な情報の提供・共有と、販売代理店や顧客へのサポートが不可欠になるからだ。もともとコマツはカスタマーサポートに力を注いでいることでも知られてきた。
当時は毎日、日本中で稼働する600台から700台ものICT建設機械のサポートをリアルタイムで行う様子が注目を集めており、見学者が絶えなかったという。だが迫氏によれば、当初のシステムは複数の問題を抱えていた。
「最初に導入したシステムは、機能追加に専門的なプログラミングの知識が必要なだけでなく、カスタマイズの幅自体が非常に狭く柔軟な管理運用が難しいという問題がありました。またお客様の問い合わせを文字に起こして入力するだけで、データの利活用につながらない、費用が高くつくことなどもネックになっていました。」
さまざまな問題を克服すべく、2019年には内製の問い合わせ管理システムを構築するが、これも根本的な解決には至らなかった。
「内製化の際には要件定義をしっかり行い、運用の柔軟性を確保しながら、問い合わせ内容をデータベースとして蓄積していけるようにしました。ところが今度は別の問題が出てきました。当時は電話での対応のみとなっていましたので、オペレータが対応する際にも、会社名や担当者名、建設現場の詳細などを逐一確認しなければならず、応対に時間がかかっていました。それ以上に負担になっていたのは、問い合わせ内容の『現象コード』作りです。建設機械に何が起きたのか、それにどう対応し、最終的にいかに解決したのかという情報をデータベース化すべく、私たちは問い合わせごとにコードを作成し、すぐに検索できるようにしました。
しかし建設機械や建設現場、問い合わせの件数が多いだけに、この作業が大変だったんです。2019年から1年ほどは、3,000から4,000ほどコードを作ったと思います。きめ細かなサポートはできるようになりましたが、コードの作成と入力に追われ、データの可視化や分析までなかなか手が回りませんでした。」
問い合わせ件数を減らすうえでは、FAQを参照させる方法が有効になる。だがコマツ時代から長年システム開発を手掛けてきたSmart Constructionサポートセンターの鈴木 初人氏は、こう振り返る。
「もちろん私たちもFAQを充実させたり、積極的に情報を発信したりして問い合わせを減らそうとしました。FAQを確認して自己解決していただいたほうが、販売代理店やお客様にとっても役立つからです。しかし当時は汎用のコンテンツ制作ツールを使用していたので、FAQのサイト作りや更新をするだけでもかなり時間がかかっていました。とりわけ海外向けに情報を発信しようとすると、日本語と同じ内容のものを英語で一から作る必要もありました。同じく苦労していたのは、外部ツールとの連携やアクセス管理です。例えば、販売代理店やお客様ごとに情報アクセスの権限を細かく設定することができず、これらの課題を解決したいと思っていました。」
(写真左から)
Smart Constructionサポートセンター シニアディレクター 迫 啓司氏
Smart Constructionサポートセンター シニアマネージャー 東出 浩氏
Smart Constructionサポートセンター 石川 真充氏
Smart Constructionサポートセンター 鈴木 初人氏
Zendeskが選ばれた理由
かくして選ばれたのがZendeskだった。Smart Constructionサポートセンター シニアマネージャーの東出 浩氏は、2つの伏線があったと証言する。
「Zendeskがかなり使いやすいという話は、2022年1月時点ですでに導入済みだった北米のコマツ現地法人から聞いていたんです。ちょうど日本でもコールセンター関係のセミナーが開催されていたので参加してみたところ、なるほどこれは便利そうなツールだということになり、導入検討を開始しました。」
Zendeskの評価期間は3ヵ月ほどで終了。実装も3ヵ月で完了し、2022年7月から運用が開始されるなど、実装は一気に進められている。ではZendeskのどこがそれほど魅力的だったのか。東出氏は詳細に解説している。
「サポートセンターでは問題解決までの所要時間、自己解決率(サポートサイトの記事閲覧数と問い合わせ件数の関係)、顧客満足度、そして問い合わせの件数をKPIに定めていました。Zendesk導入前は、現状の見える化が十分できていなかった。その点、Zendeskは容易にデータ抽出と分析、可視化ができるので、カスタマーサポートの品質向上や効率化に活用できるという意味でも理想的でした。」
東出氏はZendeskの魅力として、問い合わせの複数チャネルへの対応、カスタマイズのしやすさ、豊富なAPIを介した他ツールや外部システムとの連携のしやすさ、運用コストの低さ、多言語対応などにも言及した。
「EARTHBRAINでは、アジャイルなPDCAを回しながらグローバルサポートをスケールアップさせたいと考えていました。具体的には、Zendeskは初期投資を抑えて試験的に利用し、段階的にエージェントの数やパッケージをアップグレードしていくことができますし、機能面でも導入しやすかった。カスタマーサポートを軸に、スマートコンストラクション®をスピーディーに推進していく流れにも合致していたんです。」
Zendesk導入の効果
現在、EARTHBRAINでは、北米のサポートセンターと日本のグローバルサポートセンターにおいてZendeskを活用。 マルチチャネル (電話、メール、ウェブフォーム、LINE、WhatsAPPなど)を通じて世界中から寄せられた問い合わせを、言葉の壁を乗り越えて共有し、チケットで一括管理している。加えて外部のツールやシステムとの連携、オペレータのパフォーマンスも改善された結果、カスタマーサポートへの満足度は96~98%、自己解決率も過去2年間で3倍以上に増加している。
グローバルなユーザーの拡大に伴い、問い合わせの件数も18,000件にまで増えたが(2024年予測)、初歩的な問い合わせを減らしたことにより、重要な問い合わせに対してより正確にかつ効率的に対応できるようになった。内外合わせて40名ほどのスタッフで、多くの問い合わせに対応できていること自体、いかにカスタマーサポートの品質向上と効率化に成功しているかの証拠だろう。厳格なセキュリティ維持と、柔軟なアクセス管理の両立にも成功していることは指摘するまでもない。
Zendeskを活用し、緻密なサポートを提供するグローバルサポートセンター
同社ではサポートサイトFAQ記事閲覧による自己解決率を高めるべく、記事の追加やサポートサイトのUI改善、アクセスしたデバイスの解析、「機能」ではなく「目的」から記事を検索できるシステムの構築も行っている。事実、自己解決を促すサポートサイトの閲覧数は過去2年間で7倍以上の30,000件超にまで高まるなど、目覚ましい成果を上げている。データ解析を担当するSmart Constructionサポートセンターの石川 真充氏によれば、その基盤となるのがユーザーの行動分析だ。
「私たちはZendeskで記事を分析し、検索されたキーワード、どの記事にどこからアクセスし、どのボタンをクリックしたかという導線チェック、記事中のどこに目を留めたかといった『ヒートマップ』の分析も詳細に行っています。こうすれば記事が本当に役に立っているのか、それともキーワード検索で表示されたものの、FAQとして有用ではなかったのかということが判断できます。
なかでも鍵を握るのは、やはりキーワードの分析だと思います。お客様が特定の単語で検索されるのは、目的や動機があるからです。これをZendeskで抽出・分析しながら記事に反映していけば、本当に有用な情報を提示できます。代理店と顧客の仕分け、製品仕分けなどを自動設定できるトリガ機能も予想以上に使いやすいですね。最近では販売代理店や海外の利用者間でもノウハウがシームレスに共有され、活用できる新しい流れも生まれています。」
96~98%
カスタマーサポートへの
満足度
3倍以上
自己解決率
(過去2年間)
7倍以上
サポートサイトの閲覧数
(過去2年間)
今後の展望
EARTHBRAINのサポートセンターは、新たな目標もすでに見据えている。そのひとつがAIの積極活用だ。
キーワードを軸としたFAQの拡充では、既存の情報といかにタグ付けをするかが重要になる。石川氏はタグ付けの作業をAIで自動的に行えるようにし、情報表示の最適化を図りたいと抱負を述べている。
他方、東出氏は日本での成功事例を基盤に、より短期間でグローバルにサービスを展開していきたいと目を輝かせ、鈴木氏はPCやスマートフォンではなく、次世代のデバイスへの対応を進めることに強い意欲をのぞかせた。
「安全で、生産性が高く、スマートでクリーンな未来の現場」を実現するために。スマートコンストラクション®を通じて、このビジョンを具現化してきたEARTHBRAINは、カスタマーサポートの既成概念を覆しつつある。最後に迫氏は、長年抱いてきた構想を明かしてくれた。
「現場で求められているのはマニュアルではなくアクションガイド、膨大な資料の中からすぐに使える情報のみを抽出した実用的なツールです。結局、商品が世に出るまでは、どんな不具合があるかということはわからないわけですから、お客様の生の声を活かすことは極めて重要です。Zendeskで蓄積したノウハウを活用して、マニュアル作りやソリューション自体の改善にも役立てていけると思います。
私個人はサポートセンターの業務を発展させ、営業支援にも役立てていきたいですね。たしかにカスタマーサポートは、商品が購入された時点から始まりますが、そもそも営業担当がどんな質問にでも即答できるようになっていなければ、『モノ』のセールスは伸びていかない。逆に『コト』の部分を充実させていけば、お客様にもっと説得性のあるプレゼンテーションを展開できます。
EARTHBRAINのサポートと商品を最初からセットにして、商品の付加価値を高めることも可能になるでしょう。サポートセンター業務をレベルアップさせつつ、セールス部門もどんどんサポートする。Zendeskをさらに活用しながら、そんな目標にも挑戦していきたいと考えています。」