「Zendeskはお客様にとっても、カスタマーサポートを兼務するスタッフにとっても、非常にわかりやすくて使いやすいツールになっています。」
シニアビジネスディベロップメントマネージャー
- b8ta Japan株式会社
「良質なカスタマーサポートは、デジタルのシステムだけでは成り立ちません。むしろテクノロジーを駆使して合理化を図りつつ、人の温もりと融合させていくことが重要です。Zendeskのプラットフォームは、この最も大切な部分を担保してくれています。」
シニアビジネスディベロップメントマネージャー
- b8ta Japan株式会社
業種
小売業
本社
東京
従業員数
10~50名
60
1ヶ月あたりの平均問い合わせ件数
90%
Zendeskによって処理される問い合わせの割合
2営業日
返信までの平均所要時間
Zendeskソリューション導入の背景と課題
通常の店舗では手にとって体験することが難しい、最先端のテクノロジーを駆使した新商品を体験できる場所を提供したい。2015年、米国カリフォルニア州のパロアルトにオープンしたb8ta第1号店は、そんな機会を提供する画期的な店舗として注目の的となる。消費者はメーカーに感想や意見を寄せることも可能になっていた。
2年前からは独立法人であるb8ta Japanが、その役割を継承。日本国内の4店舗において、これまでに500社以上のメーカーが出品した1,000点を超える商品を展示している。b8ta Japan株式会社のシニアビジネスディベロップメントマネージャーである春山 智博氏は、同社のビジネスモデルを次のように解説する。
「b8ta Japanは販売を主な目的にせず、新商品を純粋に体験していただくための店舗を運営しています。我々は『体験型店舗』と銘打っていますが、同じカテゴリーの店舗は、日本にはほとんど存在しませんでした。それだけに我が社のサービスをご愛用いただいているお客様はかなり多いです」
現にb8ta Japanは、最近も話題を集めたばかりだ。
「我々は4月末のゴールデンウィーク直前に、埼玉県の越谷レイクタウンにあるショッピングモール内に4店舗目をオープンしました。嬉しいことに開店から約1週間半で、3万人以上のお客様にお越しいただけました。コロナ禍の影響も相まって、ECサイトでの売り上げは非常に伸びてきていますが、魅力的な商品に『触れてみたい、試してみたい』という消費者のニーズは、やはり根強いものがありますね」
b8ta Japanがこのように人気を集めているのは、「体験型店舗」という独自のコンセプトもさることながら、Zendeskを活用したカスタマーサポートに負うところも大きい。そもそも同社は創設以来、店舗の電話番号を非公開にしている。これは商品を直接手に取り、体験してほしいという想いを反映したものだが、春山氏によれば一つの課題をもたらしていたという。
「Zendeskを導入するまでは、仮にお客様が商品について詳しく知りたいと思われても、再び店舗に来ていただくか、SNSなどで個人的に問い合わせていただくしかありませんでした。当時はカスタマーサポートの体制自体が、あまり合理的になっていなかったんです」
しかし店舗数が増えるにつれて、問い合わせの件数も増加。各店舗の店長も問い合わせ内容や商品情報を社内に共有し、適切に返信する必要に一層迫られていた。このような変化を踏まえ、b8ta Japanはカスタマーサポートの充実と社内コミュニケーションの効率化を推進すべく、2020年11月にZendeskの採用を決定した。
Zendeskが選ばれた理由
Zendeskは米国 b8taでも導入されていたが、最も考慮されたのはb8ta Japanにとっての利便性だった。日本の小売業界では専任のコールセンターを設け、電話でカスタマーサポートを提供する方法が主流となっている。これに対してb8ta Japanでは、店舗マネージャーがカスタマーサポートを兼務する方式を採ってきた。オンラインでのやり取りを前提としたZendeskのシステムは、同社のワークフローを補完する理想的なツールだったといえる。
Zendeskの導入により、b8ta Japanは従来の運営体制を維持しながら、カスタマーサポートの刷新に成功。春山氏はワークフローを合理化できただけでなく、店舗スタッフと消費者の双方にとって利便性が高く、濃密なコミュニケーションが可能になったと振り返る。
「Zendeskには様々な特徴がありますが、各店舗のマネージャーがダイレクトに問い合わせに返信できるのはいい点だと思いますね。電話対応に切り替えて専任者を常駐させようとするなら、全店舗の商品知識を持たせる必要がありますし、余計な人件費もかかります。すぐに回答できない場合は、一旦電話を切ってから調べて、またかけ直すような手間まで発生してしまいます。その点、Zendeskなら商品に精通している人間が自ら返信するので、労力もコストも大幅に節約できる。何よりお客様がまさに必要としている情報を、スムーズに提供できるんです」
現在、b8ta Japanには毎月平均して約60件の問い合わせが寄せられるが、春山氏は「Zendeskで問い合わせの90%を処理することによって、2営業日以内に返信できるようになりました」と、導入の効果を実感している。「我が社は24時間体制で稼働するコールセンターなどを置かず、厳選された質の高いスタッフによる少数精鋭のオペレーションを維持しています。Webサイトにフォームを設置しておけば、いつでも問い合わせを受け付けられ、それがZendeskのチケットに自動的に変換されるので、万全な対応ができます。時間の枠に縛られずにやり取りできるのはお客様にとって便利ですし、我々にとっても助かりますね」
Zendesk導入の効果
春山氏によれば、Zendeskの導入は取引先との信頼醸成にも貢献している。販売用の商品を扱う一般的な小売店と異なり、b8ta Japanでは各出品企業の商品をショールームのように展示するため、きめ細やかで的確な対応が求められるからだ。
「我々の場合は出品企業様をサポートさせていただく形になっているので、推測で回答したり、不確かな情報を提供したりすることは許されません。それでは出品企業様にもお客様にも、ご迷惑をおかけしてしまいます。日々の業務ではZendeskでチケット処理された問い合わせを共有し、たとえば、この商品は店頭で販売されているものなのか、あるいはECサイトで扱われているのか、それともクラウドファンディングで購入者を募集しているのかといった情報も、全員で必ずチェックするようにしています。その上で、正しい情報をお届けしています」
b8ta JapanはZendeskとSlackを統合し、円滑な社内コミュニケーションを実現。プラットフォ―ムが1本化されたために情報の共有も徹底され、トラブルを未然に回避できるようになった。春山氏はカスタマーサポートを充実させるべく、独自の工夫も凝らしている。
「Zendeskには豊富な機能が揃っていますが、我々は社内で話し合って決めた方針に基づいて、あえてシンプルな使い方をしています。プロセスを複雑にすると連絡の『抜け』や『漏れ』が出てしまったり、返信が遅れてしまったりします。ましてや店舗マネージャーは接客をしながら問い合わせにも対応するため、Slackに転送された通知をスマートフォンやスマートウォッチで受け取り、確実にフォローアップできるのは本当にありがたいですね。Zendeskは事業規模の大小にかかわらず、現場のニーズに合わせて自由にカスタマイズできるので、お客様にとっても、カスタマーサポートを兼務するスタッフにとっても、非常にわかりやすくて使いやすいツールになっています。各店舗のスタッフも皆、同じ感想を持っています。」
今後の展望
近年、日本では体験型店舗への関心とニーズが以前にも増して高まってきている。これを受けてb8ta Japan では新規事業の構想を練りつつ、2025年までに8〜10店舗の出店を計画中だ。ただし春山氏は、現行のシステムを変更するつもりはないと語る。
「我々は今、新しいビジネスプランを検討しています。それが本格的にスタートすれば、問い合わせの内容が変わってくる可能性もありますが、Zendeskのシステムはきわめて便利ですし、店舗数が今の倍の8店舗や10店舗に増えても十分に対応できる。我が社のカスタマーサポートは、Zendeskありきで稼働していると言っても過言ではないですから、積極的に活用を続けていきたいですね」
今後の事業展開においても、温もりのあるカスタマーサポートを実践するという「理念」はしっかり継承されていく。春山氏は、カスタマーサポートの基盤としてのZendesk が、同社にとって不可欠な存在であることを改めて強調した。
「最先端の商品を体験できるデジタルな企業。b8ta Japan に関しては、そんなイメージが強いのも事実です。しかし『セールスポイントは何ですか?』と尋ねられた際には、『店頭で接客しているb8taテスター(店舗スタッフ)です』とお答えしています。我が社のスタッフは、定型文を自動的に打ち返しているわけではありません。生身の人間が常にお客様の立場に立ち、お問い合わせの内容を真剣に検討した上で担当者にアサインし、誠実に回答させていただく方針を貫いています。良質なカスタマーサポートは、デジタルのシステムだけでは成り立ちません。むしろテクノロジーを駆使して合理化を図りつつ、人の温もりと融合させていくことが重要になる。Zendeskのプラットフォームは、この最も大切な部分を担保してくれています」
カスタマーサポートの充実と効率化、そして社内外を問わない「顔の見えるコミュニケーション」の実現。Zendeskの導入がもたらした効果を追い風に、b8ta Japanは未来のライフスタイルを先取りするトレンドセッターとして、さらなる飛躍を遂げようとしている。