恋人同士が別れる際に、次のようなセリフを言い合うのを想像してみてください。「悪いのはあなたではなくて、私です。」ユーザーに企業から離れてしまう際も同様ですが、せめてもの救いとしてチャーン分析というものがあります。
チャーン分析(Churn Survey)とはサービスを解約・契約内容を縮小したユーザーに対してフィードバックを促し、 サービスを乗り換えていくユーザーを増やさないために商品を改善できる具体的なポイントはどこか調べる手法のことです。チャーンの理由がサービスの質なのか商品の使いづらさなのか、 それとも単にユーザーが商品に飽きてしまったのか。 丁寧に言葉を選んでチャーン分析を実施すれば、ユーザーがなぜ離れていくのか、そして企業としてどこに注力していけばいいのかが見えてきます。
適切な質問の作り方
チャーン分析の有益性は質問の正確さに完全に依存しています。単に質問といっても、特に回答選択式の質問はチャーンに直接関係する要因などの分類・分析に役立ちます。 しかし、だからと言ってユーザーから細かい説明をする機会を奪っていいわけではありません。オープンな質問も織り込み、選択式では伝えられなかった考えも教えてもらいましょう。 ユーザーに自由に回答する欄を用意してあげれば、退会・解約の理由が見えてくるかもしれません。
基準
ユーザーがSaaS契約を解約していっているのは単にバグが多発するからでしょうか? それともカスタマーサポートの質に不満を持っているからでしょうか? 商品が不要になったのか、それともより安い、もしくは高機能な代替品を見つけたのでしょうか? こういった質問に対する答えを得ることで商品に機能を追加したり、新しい使い方を提案したりなど、チャーンを最小に抑える手立てが見えてくるでしょう。 これはユーザーの維持率を改善するだけでなく、新規ユーザーの獲得にも役立ちます。しかし、ここで忘れてはならないのが、ほかの基準でも、知り得た回答を分析するということです。 例えば、特定の定期購読プランや商品だけチャーン率が高いかどうかや、チャーンが起こる時期なども把握すべきです。
チャーン分析から得た情報だけでも相当な改善点が挙がると思いますが、他の方法で集めたユーザーのフィードバックと照らし合わせると、さらに多くのものを得られるでしょう。 ユーザー満足度を決まった基準で判定するNet Promoter Score℠(ネットプロモータースコア、NPS)調査の結果のなかにパターンを探したり、ユーザーの商品使用中の動きや、サポートへの連絡案件といったチャーンに関連するデータも見たりするといいでしょう。
当然これは継続して行わないといけないので、得たい情報によってアンケートの内容や文言を改める必要もあるでしょう。 データが集まり始めたら、それらをタグを使って整理してみましょう。次の3つの方法でチャーン分析の結果を整理できます。
問題の種類
追加機能のリクエスト、利用中の不便(UXなど)、請求に関する不備、バグ、商品の記録機能の不具合など、チャーンを起こしうる直接的な原因
商品の分野
問い合わせや苦情を整理する基準として、商品のどこにそれらが発生しているかを探してみましょう。ユーザーはサードパーティのアプリ連携を求めているのか、 それとも管理者機能がわかりづらいのか。こうした問題に対してもチャーン分析を行うとパターンが分かってきます。
機能名
商品の中で特定の分野に問い合わせが集中していたら、その分野や機能の名前を付けたタグを使い、さらに細かユーザーの要望や感想を集めましょう。
こういったパターンを理解してチャーン分析に取り入れていくうちに、商品や改善点、そしてユーザーをいかに満足させ続けるかといった会社の未来像を定めてくれる貴重な情報を得ることができるでしょう。