メインコンテンツへスキップ

記事

ワークフォース エンゲージメント マネジメント(WEM)とは?

ワークフォース エンゲージメント マネジメント(WEM)とは、サポート業務の最適化や効率化、パフォーマンス向上を目指す一連の戦略やツールを指します。本記事では、WEMの定義や要素、ベストプラクティスを解説します。

著者: Hannah Wren, スタッフ執筆

更新日: 2024年8月9日

 パープルのオーバーオールを着た人物が、絵画パレットを片手に、壁を緑色と紫色に塗っています。

ワークフォース エンゲージメント マネジメント(WEM)とは?

ワークフォース エンゲージメント マネジメント(WEM)とは、サポート業務の最適化、サービスの効率化、パフォーマンスの向上、およびサポート担当者の負担軽減を目的として設計された一連の戦略やツールを指します。WEMは組織全体に時間とコストの節約効果をもたらします。

WEMを活用すれば、従業員のエンゲージメント、パフォーマンス、そして成長をバランスよく管理できます。これにより、高品質なカスタマーサポートを提供し、CX(顧客体験、カスタマーエクスペリエンス)を最優先にした文化を醸成できます。WEMの原則を適用することで、顧客との関係強化、透明性の向上、そしてコーチング体制の改善が期待できます。本記事では、WEMを用いて管理職やカスタマーサポート担当者を支援する方法を解説しています。

目次

WEMを導入するメリット

WEMは組織の成功の命運を握っています。WEMは、サポートチーム、ビジネスオペレーション、そして顧客に大きなメリットをもたらします。

従業員のエンゲージメントと定着率の向上

効果的なWEMは、継続的なフィードバックを習慣化することで従業員のエンゲージメントを高め、学習意欲を促します。たとえば、カスタマーサポートの管理者は応対の品質管理(QA)に関連するデータを使用して、高いパフォーマンスを発揮している従業員を表彰したり、シフトの要望を聞いたりと、その従業員を評価し、パフォーマンスを従業員に還元することができます。

社内フィードバックと顧客フィードバックもまた、士気とモチベーションを高めたり、個々のチームメンバーにパフォーマンスに対する意識を持たせたりするのに有効で、エンゲージメントの向上が期待できます。

さらに、効果的なスケジュール調整を重視するワークフォース マネジメント(WFM)を通じて、人員不足のシフトを減らして離職率を低減できます。WFMツールとQAツールは、コーチングとトレーニングの機会を特定するのにも役立ちます。従業員の成長を重視する姿勢を示すことで、離職率をさらに低減できます。

サポート品質の向上

WEMでは、サポート対応の品質改善、および質の高いサービスの継続的な提供に向けてQAツールを活用します。カスタマーサポートの品質は、顧客の期待や業界標準、そしてカスタマーサポートの目標に対するチームのパフォーマンスを示します。

たとえばZendesk QAには、あらゆるサポート対応の評価や問題点の洗い出しに有効なAIが搭載されています。これにより、企業はサポート業務を迅速に改善できます。また、Customer Service Quality Benchmark Report(カスタマーサービス品質ベンチマークレポート)によると、76%の組織が、会話のレビューが顧客満足度の向上に役立つと回答しています。

チームの生産性と業務効率の向上

ワークフォース最適化(WFO)と同様に、WEMではチームの生産性と業務効率を向上させるためにWFMとQAが用いられます。WFMツールを用いれば、サポート担当者が時間をかけている作業や生産性、スケジュールを守れているかどうかを可視化できます。チームはこうしたインサイトにもとづきリアルタイムに改善に取り組むことで、全体的な効率を高めることができます。一方、QAツールは、管理者がパフォーマンスの傾向や頻発する問題やエージェントのスキル不足を特定する上で有効に働き、生産性向上につながる的確な意思決定を支援します。

CXの向上

従業員に裁量を与えることは、より優れたCXを築くための土台となります。Harvard Business Reviewの研究によると、従業員のウェルビーイング(幸福度)と顧客満足度には強い相関関係があることが明らかになっています。従業員エンゲージメントへの投資は、同時にCXの向上にもつながります。さらに、QAツールを含むWEMのソリューションは、注意が必要な特定のチケットを識別し、エスカレーションの傾向を分析することで、重要なインサイトを提供します。

こうしたデータにもとづく分析は、CXにおける課題と原因を見極める上で欠かせません。この情報を活用することで、組織は部門間コラボレーションを促して継続的な改善をもたらせます。たとえば、製品機能に関連する問題が頻発し、これが顧客離れを招いている場合、この重要なフィードバックを製品チームと共有し、迅速な解決に導くことができます。

人件費の削減

WEMには適切で一貫性のある人員調整を支援するWFMツールが搭載されています。需要予測データの活用により、WEMを担当する管理者は人員調整のニーズを特定し、従業員の作業負荷を分散し、人員の過剰および不足を回避できます。こうした要因を適切に管理することで、WEMはチーム全体の人件費とリソースの無駄を減らします。

コンプライアンスの改善

WEMは、サポート担当者の働きやすい環境を整え、規制遵守を確保する役割も果たします。管理者は、労働基準法に則って、サポート担当者の休憩時間を適切なタイミングで調整する必要があります。組織はまた、スクリプトや手順、カスタマーサポートの用語などのガイドラインを作成し、サポート担当者に遵守するよう呼びかけることもできます。また、QAツールを介して、これらがどれほど守られているかを追跡することも可能です。

サポート担当者のオンボーディングプロセスの改善

サポート担当者のオンボーディング時にWEMを活用することで、エンゲージメントと最適化を重視したアプローチを早期に実現できます。管理者は、QAツールを利用して新しいサポート担当者のパフォーマンスに関する重要なインサイトを自動で取得できます。このデータを基に、具体的なフィードバックを提供し、改善点に重点を置いたコーチングを実施することで、新人スタッフのスキルを効率的に向上できます。

新しいサポート担当者は迅速に実践的なスキルを習得し、効率的に業務に適応することができます。また、パフォーマンスレポートを通じて、各サポート担当者のスキル不足や追加トレーニングの必要性を見極め、社内共通のオンボーディングプログラムを改善できます。

WEMの重要な要素

WEMは、WFMとQA、パフォーマンス管理の3つの重要な要素で構成されています。これらの要素を組み合わせることで、サポート担当者の負担軽減と効率を向上させ、チームの生産性にも変化をもたらすことができます。

WFM

WEMにおけるWFMの原則は、サポート担当者とリソースの管理や生産性の最適化、業務パフォーマンスの向上に役立ちます。管理者はWFMに関する指標(サポート担当者の生産性や残業の発生状況など)をモニタリングし、スケジュールの効率化と作業負荷の分散を図れます。優れたWFMツールは次のような機能を備えています。

  • AIを活用した需要予測: AIは、過去のデータにもとづいて今後の人員配置に関する予測を提供し、人員調整のミスや非効率なシフトを防止します。
  • シフト作成の自動化: サポート担当者のスキルや問い合わせの予測データを活用して、自動的にシフトを作成します。
  • リアルタイムのチーム管理: チームの活動状況に関する正確な概要を表示して、サポート担当者がどのように時間を費やし、どのプロジェクトに取り組んでいるかを可視化します。また、人員の不足や過剰も浮き彫りにします。

Zendesk WFMのようなソリューションでは、管理者はシフトの自動作成機能を活用し、AIの予測を活用して、ニーズを満たせるようサポート担当者のシフトを調整して、人員調整の無駄を排除できます。このアプローチは人員過剰や管理コストの削減につながります。また、こうしたWFMツールを使用することで、チームの活動状況や、過去から現在にかけてのパフォーマンスを可視化できます。その結果、管理者は改善が見込まれる領域を特定し、生産性向上に向けた戦略を練ることができます。

QA

カスタマーサポートにおけるQAとは、顧客との会話を見直して、サポートチームのパフォーマンス改善と顧客満足度の向上を目指すアプローチを指します。QAに関するデータを活用することで、顧客からの問い合わせに対するサポート担当者の対応を改善できるほか、製品とサービスに改善を加えたり、顧客離れを低減させたりできます。QAツールでは、以下の機能を提供しています。

  • 採点と評価: サポート担当者のパフォーマンスとサポート品質が可視化されるため、管理者は改善の余地がある領域を特定し、有効なアクションプランを作成できます。
  • 実践的なフィードバック: 継続的なフィードバックは従業員エンゲージメントを促進します。また、ピアレビュー(同僚が行う)は、職場におけるコラボレーションの活発化や透明性の確保、そしてエンゲージメントの向上につながります。

Zendesk QAのようなソフトウェアは、AIを介して一つひとつのサポートの会話をレビューし、サポートチームのパフォーマンスに関連するインサイトを即座に提供します。

パフォーマンス管理

パフォーマンス管理は、WFMとQAから派生したソリューションであり、組織内でのトレーニングとコーチングの機会を見出すことに焦点が当てられます。WEMの管理者は、カスタマーサービスに関する指標やその他のKPIを使用して、パフォーマンスの低下、知識の不足、そして頻発する問題を監視することで、改善の余地がある領域を特定できます。管理者は顧客対応の質を定期的に振り返り、適切なアクションプランを示すフィードバックを提供する必要があります。WFMやQA、およびパフォーマンス管理の原則を組み合わせることで、以下のメリットがもたらされます。

  • オンボーディングプロセスの改善および簡素化

  • サポート業務ののキャパシティ向上

  • コスト削減

  • 平均処理時間(AHT)などの指標の改善
  • キャリアアップの支援

WEMに関する6つのベストプラクティス


ZendeskのEXトレンドレポートによると、従業員の80%は自社のEXに改善の余地があると考えています。ここではエンゲージメントの向上が鍵となりますが、それを実現するためには適切な戦略が欠かせません。エンゲージメントとEXを向上させるために、ワークフォースマネージャーとチームは以下に挙げるWEMのベストプラクティスを実践する必要があります。

  1. AIの活用: 積極的にAI搭載ソフトウェアを導入し、新しいテクノロジーとAIの能力を活用します。AIに関する社内トレーニングを実施し、職場でのAIの透明性について継続的に調査し、話し合うことが重要です。
  2. 行動を通したリーダーシップの発揮: 献身的で熱意があり、透明性の高い管理者が率いるチームは、メンバーがリーダーである管理者の行動を模範とし、同様の行動を重んじる傾向があります。
  3. チーム横断的なコラボレーションの奨励: 社内における部門間(営業とカスタマーサポートなど)のコラボレーションを推奨することで、分断が解消され、組織に一体感が生まれます。
  4. 従業員フィードバックの収集: 従業員エンゲージメント調査を実施してイニシアチブ(重要なプロジェクトなど)に対する率直な意見を収集し、フィードバックを今後の活動に反映させます。
  5. 専門能力の開発機会の提供: 成長に向けた明確な道筋を示し、積極的なサポート体制を整えることで、従業員はビジネス目標とイニシアティブに貢献しながら、自身のキャリアにも投資できます。
  6. 従業員がもたらす影響の認識: 素晴らしい成果を上げた従業員に還元し、達成可能なマイルストーンを設定し、成果を祝うことで、従業員の功績を定期的に認識する文化を醸成します。

よくある質問と回答

Zendesk WEMでチームの生産性を最適化

WEMは、優れた顧客体験とサポート担当者の従業員体験を両立させるために不可欠なソリューション(リソース計画、スケジュール調整、チーム管理、顧客対応品質の監視にもとづく効果的なコーチングなど)を提供します。AIによって強化されたWEMツールは、サポートチームが品質を損なうことなく、業務の最適化を大規模に行う上で欠かせません。

Zendesk WEMは、無料でお試しいただけます。Zendeskは、AIを活用したワークフォース マネジメントおよびQAのソリューションの提供を通じて、チームパフォーマンスの向上や顧客離れの防止、収益向上をサポートしています。

関連記事

記事

バーチャルエージェントとは?特徴や活用例、導入におけるポイントを解説

高度な対話能力と機能を備えた「バーチャルエージェント」はさまざまな問い合わせ業務を大幅に効率化するとして注目されています。本記事では、その基礎知識から活用例、導入のメリット、現状の課題、そして導入成功のためのポイントまで、実務に役立つ情報を幅広く解説します。

記事

応対品質の評価シートとは?作成方法と実例を解説

応対品質の評価シートは、カスタマーサポートの品質管理(QA)を支える重要なツールで、高品質で一貫性のある応対を実現するために重要な役割を担います。本記事では、応対品質の評価シートの必要性や作成方法、実例を解説します。

記事

オンボーディングとは?内容やステップ、チェックポイントを徹底解説

効果的なオンボーディングプロセスを通じて、新入社員は会社への理解を深め、円滑に業務をスタートすることができます。この記事ではオンボーディングの基本からよくある課題と解決策を解説し、チェックリストを紹介します。

記事

カスタマーサクセスにAIを活用する13の方法

カスタマーサクセスにAIを活用すれば、自動化とパーソナライゼーションで効率的かつ正確で一人ひとりに寄り添ったサービスを提供できます。カスタマーサクセス向けAIの現状から導入メリット、活用方法、ベストプラクティスまで解説します。