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VoC(顧客の声)をカスタマーサポートで最大限に活用する方法

更新日: 2023年12月12日

多くのカスタマーサポート部門で、VoC(顧客の声)活用の重要性は十分に認識されています。しかし、VoCをどのように収集・分析し、活用すべきかについて悩んでいる企業は少なくありません。

VoCをカスタマーサポートに生かすには、日々顧客から寄せられる要望やクレームなどの収集・蓄積や、それらの的確な分析と実践的な活用方法に関する知識と理解が必要です。

ここではVoCを十分に活用できない原因となる課題を明確にし、VoCを最大限に活用できる方法について解説します。

VoCの概要や重要性はこちらの記事でも解説しています。あわせてご一読ください。

VoCを十分に活用できない4つの課題

VoCは、顧客満足度の向上や自社の事業や製品・サービスの改善につながる貴重な情報です。しかし、多くの企業が以下の4つの課題を解決できず、VoCを十分に生かせていません。

  1. VoCを十分に収集しきれていない

  2. 収集できても、定量・定性分析のための蓄積・一元管理ができていない

  3. 蓄積・一元管理ができても、可視化ができずに有効な分析ができていない

  4. 分析できても、部門間で共有して効果的に結果を活用することが十分にできていない

VoCが最も多く集まるカスタマーサポート部門は、顧客の不満や要望などに真摯(しんし)に耳を傾け、この4つの課題をすべてクリアすることで顧客満足度を高められます。また、同時に顧客の求める製品・サービスの提供やブランド力の向上・他社差別化などによる事業拡大を促進できます。

VoCの収集・一元管理の方法と重要性

VoCを活用するための収集・一元管理の方法と重要性について解説します。

VoCを収集するチャネルの種類

VoCが寄せられる窓口には、カスタマーサポート、営業、広報、修理などの部門があります。主力となるのは寄せられる顧客の声の種類(クレーム、要望、感想)が多く、多様なチャネル(電話、FAX、メール、チャット、問い合わせフォーム)があるカスタマーサポート部門です。

上記以外にも、ソーシャルメディア(Twitter、Instagram、Facebookなど)のほか、口コミサイト、掲示板など、さまざまなチャネルがあります。ソーシャルメディアは自社のアカウントや運営サイトだけに限りません。また、顧客へのアンケート調査やインタビューでは、収集したい情報の内容に沿った質問をすることで、知りたい内容や反応をピンポイントで集められます。

分析に十分な量のVoCの収集

VoCは必ずしも情報量が多ければよいとは限りませんが、VoCを正しく効果的に事業に生かすには、分析に必要な量の情報を十分に収集することが必要です。少数の意見でも重要なヒントが眠っている可能性がありますので、できるだけ多くの情報をもれなく収集するという考え方が基本です。

一方で、ソーシャルメディアなど膨大な情報のなかから収集するときは、目的に合った有用な情報を取捨選択しなければなりません。VoC分析の目的に合わせて、どのようなチャネルからどこまでの範囲で情報を収集するかを決めることで、VoC活用の効率が大きく変わります。

VoC情報の一元管理の重要性

カスタマーサポートがVoCを事業に役立つ貴重な情報源にするには、日常の顧客対応の記録を定量・定性的な情報として蓄積し、一元管理することが重要です。しかし、「一元管理」ではなく「一括管理」しかできていない企業が多くあります。一括管理とは、個々の社員や部門の持つ情報を1カ所に集約して、保存のために管理することです。一元管理とは、1カ所に情報を集約したうえで、その情報を活用できるように方法などを統一して管理することです。

一元管理を実現するには、どのチャネルからどのように収集し、どのような手法で管理するかを明確にして、常に適切に管理できる体制を整備しなければなりません。また、大量の情報から効率的に定量・定性分析できるように、適切な要素を抽出して可視化できるツールの導入が必要です。

ツールを利用することで、多様なチャネルからの情報を網羅し、データ化できます。そして、そうしたデータを1カ所に一元的に蓄積・管理できるだけでなく、分析を加えることで迅速かつ容易に多様な活用を行うことができます。

VoCデータの種類や活用法については、「「お客様の声」のデータの種類と活用法とは?」を参考にしてください。

VoCの分析手法と活用方法

収集したVoCを分析する手法と、実践的な活用方法について解説します。

VoC分析の手法

VoCの収集から活用まで行うマネジメント手法として知られているのが「4Aサイクル」です。「4Aサイクル」は、以下の4つのサイクルを循環させて実施します。

  1. Accept:VoCの収集

  2. Analyze:収集したVoCの分析

  3. Acknowledge:分析したVoCの共有

  4. Act:共有したVoCからの課題の発見と改善策の立案・実行

VoCをただ収集しただけ、あるいは個別に顧客対応しただけでは、戦略として事業に有効に生かせません。「4Aサイクル」を回すことで生かすことができます。「4Aサイクル」で重要なポイントは、収集したVoCの分析とその結果を施策につなげて実行できるようにすることです。

分析では、いつ、どのような状況でどのような声が上がっているのか、それはどの程度の重みを持つのかなど、情報の可視化が必要です。可視化によって分析が容易になり、顧客の「隠れた本音」や「表面化していない不満」などを見つけ出せます。

VoCの分析結果の活用方法

VoCの分析結果は、事業拡大のためのマーケティングや業務の効率化などに、さまざまな部門で活用できます。主な活用方法には以下があります。

  • 製品・サービスの改善


    顧客の不満や物足りなさを知ることで、顧客ニーズを満たせるように改善・改良したり、新製品・サービスの創出につなげたりすることが可能です。
  • 顧客満足度の向上とサポート業務の効率化・負荷軽減


    ナレッジとしての蓄積・共有を、サポート担当者へのトレーニングやFAQの改善に活用することにより、迅速で的確な顧客対応につながり、顧客満足度を向上させられます。また、FAQの充実によって顧客の自己解決力が向上するため、サポート業務の効率化や負荷の軽減ができます。
  • 営業効率の向上


    顧客の要望にマッチした販促・広告活動が可能になり、営業効率・効果を向上させられます。また、製品・サービスの顧客満足度が高いという分析結果が出れば、その点をアピールした営業トークで営業力を強化できます。
  • クレームの防止


    同じようなクレームの発生件数や個々の顧客のクレーム内容を時系列に把握することで、クレームが大きくなる前に防止できたり、再発防止に役立てたりすることが可能です。

以下の記事でVoCをマーケティングに活用する重要性について解説しています。あわせてご一読ください。

VoC分析における注意点

VoCを分析するときの注意点は以下です。

  1. 目的に合った情報の洗い出しをしっかり行う

    少数意見や中心の顧客属性から外れている意見も、貴重な情報となる可能性があります。そのため、できる限り偏りなく、もれなくVoCを集められるように、できるだけ多くのチャネルを網羅して収集し、そのうえで目的に合った情報を取捨選択するようにします。

  2. VoC分析の目的を具体的にする

    VoC分析の目的が具体的になっていないと、VoCをただ集めるだけになったり、活用方法や検証があいまいになったりします。ただし、目的が具体的に落とし込まれていなければ、いくらVoC分析をしても効果的な施策を立案できません。例えば、目的を「認知度の向上」とするのではなく、「認知度の薄い層はどこで、何が足りないのか」というように、より具体的な目的に替えましょう。なお、課題がある程度見えているときは、仮説を立てて作業すると、効率的に効果的な施策が立案できます。

  3. 自社に合ったツールの選定

    VoC分析にはツールの導入が有効です。導入には自社の規模や機能が分析目的に合っているか、使いやすさやサポート内容、そしてコストを総合的に評価して選ぶ必要があります。どのようなことができるか、どこまでできるかなど、詳細に検討しなければなりません。

VoCをカスタマーサポートに活用した事例

Zendeskは世界10万社以上が利用するカスタマーサービスプラットフォームです。あらゆるチャネルからの問い合わせを一元管理し、オムニチャネルで一貫性のある優れた顧客体験を実現できます。Zendeskを利用して、カスタマーサポートにVoCを活用して成果の上がった事例を紹介します。

Zendeskの問い合わせ対応画面利用例

株式会社茨城ロボッツ・スポーツエンターテインメント
「ファン対応の改善で顧客満足度向上と関係の強化を実現」

プロバスケットボールチームを運営する「茨城ロボッツ・スポーツエンターテインメント」は、スポーツをエンターテインメントとしてファンに提供しています。

熱心なファンに楽しんでもらうには、声援に交じるクレームや問い合わせなどをもれなくリアルタイムに収集し、場合によっては試合会場内のスタッフと連携して、速やかに問題解決に努めることが必要です。

しかし、同社はさまざまなチャネルから入るVoCに個別対応しかできないことに加え、連携や蓄積もできていないという課題を抱えていました。熱いファンの期待や要望に応えるには、VoCをもれなく拾い、それに素早く応えなければなりません。

そこでZendeskを導入し、「ファンの声を拾う仕組み」を実現。導入後はVoCの一元管理によって、多岐にわたる問い合わせやクレームをすかさず拾い、リアルタイムに問題解決に取り組むことが可能になりました。また、Zendeskでヘルプセンターも構築。

ファン自身による自己解決力がアップしただけではなく、これまで見えなかったファンの声が可視化され、「ファンの声を確実に拾う仕組み」を確立できました。

株式会社やずや
「顧客の声の一元化・分析で顧客満足度の向上を効果的に実現」

健康食品・サプリメントを通信販売する「株式会社やずや」の顧客は、同じ商品を継続的に購入する利用者がほとんどです。なかには10年以上購入が続くロイヤル顧客も多くいます。そのため同社は顧客の声を適切に管理したいという思いが強く、CRMツールを導入して対応していました。

しかし、導入しているCRMツールには、動作が遅い、使い勝手が悪いなどの問題点があり、スタッフがストレスを感じる場面が多かったとのことです。また、多数寄せられる顧客の手紙から情報をくみ取る作業に多くの時間を要する問題や、基幹システムと連携できないことで一部の重要な顧客情報を取り込めず、分析が手付かずになる課題も存在していました。

さらに、一元管理できていないため、チャネルごとに管理画面が異なり、サポート担当者が顧客への対応履歴を追うには複数画面を時系列で見なければならないという面倒な問題もありました。

そこでZendeskを導入。Zendeskは、サポート担当者の利便性、セキュリティ面の安心度、マルチチャネル対応、および今後の拡張性から選ばれました。Zendeskの導入により、それまで時間のかかっていた作業の負担が軽減し、今まで拾い切れなかった顧客の声を逃さずに拾えるようになりました。

チャネルをまたいで顧客の声を一元管理できるようになり、顧客対応の数値目標を設定したり、経営幹部や役職者が出席する改善会議で顧客の声を具体策に落とし込んだりして、顧客満足度の一層の向上に貢献しています。

VoCの活用は企業活動に大きく貢献

VoCの活用は、企業活動に大きな効果やメリットをもたらします。しかし、十分に活用できていない企業も多く存在しています。VoCの収集・分析によって自社の現状をあらわにすることで、より愛され信頼される企業となり、より良い製品・サービスを実現することができます。実際に事業に貢献できるようにするには、VoCの収集だけでなく一元管理と可視化による分析が必要です。

Zendeskは、VoC収集から活用までを実現できるさまざまな機能を有しています。Zendesk導入の参考となる詳細情報を下記eBookで紹介していますので、VoCの活用について詳しく知りたいときはご一読ください。

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