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VoCを活用して顧客満足度と自己解決力を向上させる方法

更新日: 2023年1月17日

VoCとはVoice Of Customerの略語で、カスタマーサポートなどに寄せられる質問や意見、アンケートの結果、SNS・ブログでの評判など顧客の声のことです。このVoCを収集・分析し、活用することで顧客の自己解決力を高め、顧客満足度を向上させられます。

この記事ではVoCを活用するメリットを紹介し、顧客の自己解決力を高め、その結果、顧客満足度を向上させてビジネスに生かすことができる方法について紹介します。

VoCの概要や重要性はこちらの記事でも解説しています。あわせてご一読ください。

VoCを収集・分析する真の意味

多くの企業は、顧客満足度を向上させるためにVoCに対して真摯(しんし)に向き合って対応しています。特にカスタマーサポート部門やコールセンターを運営する企業は、顧客満足度の向上がミッションとして与えられており、それを最重要課題として取り組んでいます。

そして、企業の多くは顧客満足度向上の最重要課題が、VoCを収集し、要望や疑問、クレームなどの一つひとつに迅速に対応することだと考えています。これはもちろん重要なことですが、それだけではVoCを十分に活用できているとは言えません。

最も重要なことは、VoCを収集・蓄積し、分析・共有化することでビジネス全体を改善しながら、顧客の自己解決力や顧客満足度を向上させることです。そこにVoCを収集・分析する真の意味があります。

VoCを活用する3つのメリット

カスタマーサポート部門やコールセンターを運営する企業がVoCを活用すると、3つのメリットが得られます。それぞれについて解説します。

  1. 顧客の自己解決力を高められる

    VoCをもとにFAQやチャットボットを改善・充実させると、顧客の自己解決力を高められます。FAQは顧客から多く寄せられる質問に対する回答をまとめたものです。しかし、VoCを十分に活用しないと、顧客の質問を企業側の目線で考えて作成してしまい、顧客の求めるFAQとは異なってしまう可能性があります。

    また、最初は多かった質問も時間の経過とともに減少して、結果的に顧客が求めていないFAQになってしまうことも考えられます。チャットボットも同様で、顧客の求める質問に常に的確に答えられるようにしないと利用してもらえません。また、利用されたとしても顧客にストレスを与えてしまう可能性があります。

    単に質問の多い、少ないだけで判断せずVoCを収集・分析することで、企業の想定よりも顧客が理解できていないところを、より詳しく解説したFAQを作成できます。あるいは、利用されなくなったFAQを整理するなどして、検索しやすくすることも可能です。

    こうして顧客が困っている問題や不安に寄り添った、親切でわかりやすいFAQやチャットボットにしていくことで、顧客の自己解決力を高められます。自己解決力の向上は、顧客のストレスを軽減し、顧客満足度の向上につながります。

  2. カスタマーサポート業務を効率化・迅速化できる

    VoCの収集・分析で顧客の自己解決力の向上を実現できると、カスタマーサポートへの問い合わせが減少するため、サポート業務を効率化できます。また、多くのVoCやサポート結果をナレッジとして蓄積し、一元管理して利用することで、あらためて調べるなどの無駄が省け、サポート対応の迅速化が可能です。

    さらに、ナレッジを一元管理できれば、経験豊富なベテランのナレッジを新人担当者も容易に利用でき、カスタマーサポートの質を高められます。これらによって顧客への対応時間とレスポンス時間を短縮できることは、顧客満足度の向上やカスタマーサポートコストの軽減につながり、経営に貢献します。

  3. 顧客の声を反映させた製品・サービスの改善や新規開発ができる

    カスタマーサポートに寄せられるVoCには、製品・サービスを利用した不満や要望などが含まれています。VoCを収集・分析することで、顧客の声を反映させた製品・サービスの改善や、まったく新しい製品・サービスの開発が可能です。

    また、カスタマーサポート以外のチャネルを通じてVoCを収集・分析することで、広告・販促や営業活動などのマーケティング活動を効果的に実施できます。その結果、顧客満足度・ブランド力・LTV(顧客生涯価値)の向上、顧客の囲い込み、他社差別化、競争優位の獲得を実現し、ビジネスに広く貢献します。

VoCを収集・活用して顧客の自己解決力を高める方法


VoCで顧客の自己解決力を高めるには、以下の5 つのStepが必要です。

Step1 社内体制の整備

VoCを有効活用するには、VoCを収集・集約・分析・一元管理ができる組織体制を整備しなければなりません。VoCが集まるチャネルはオムニチャネル化されていることが望ましく、加えてVoCを広告・販促や開発などのマーケティングに生かすには情報を共有するシステムが必要です。

Step2 VoC管理ツールの選定・導入

VoCを適切に管理し活用するには分析が必要ですが、エクセルや簡易なデータベースソフトによる管理では困難です。そのためVoCを運用・分析・管理できる、自社に合ったツールの選定・導入が不可欠です。

Step3 顧客の質問・疑問を収集し優先順位付け

VoCを有効に活用するには、広く大量にデータとして収集されたVoCに加えて、データとして保存されていないVoCもサポート担当者にヒアリングして収集することが必要です。それは、もれなくVoCを収集するためと、ベテランの担当者が持つデータ化されていない有益な情報を活用するためです。

ここまでのStepが適切に行われると、顧客からのVoCは膨大な数に及ぶため、重要性、緊急性などから優先順位を付けることが大切です。

Step4 顧客目線でFAQの改善・新規作成

優先順位の高い問い合わせから、既存FAQの内容の改善や新規のFAQの追加をしていきます。このとき、顧客目線を忘れずにFAQを作成しましょう。FAQを顧客が検索しやすく、かつ内容をわかりやすくすることで、顧客の自己解決力を高められます。

Step5 PDCAを継続

この作業に終わりはありません。VoCを絶えず収集・分析し、効果を検証して、より良いFAQにしていくためにPDCAサイクルを継続して回すことが必要です。

VoCを活用して顧客の自己解決力が向上した事例

Zendeskは世界10万社以上が利用するカスタマーサービスプラットフォームです。あらゆるチャネルからの問い合わせを一元管理し、オムニチャネルで一貫性のある優れた顧客体験を実現できます。ZendeskでVoCを活用して顧客の自己解決力が向上した事例を紹介します。

Zendeskの問い合わせ対応画面利用例

Classi株式会社「ヘルプページの再構築により自己解決力を向上」

Classiは、学校教育機関向け学習支援プラットフォームを提供しています。その利用者は先生・生徒・保護者ですが、利用が多いのは生徒・保護者です。しかしこれまでは、質問があってもログインしないとヘルプページが閲覧できなかったり、操作が不慣れな場合には必要な情報にたどり着けなかったりする課題がありました。

その結果、問い合わせが先生に集中し、先生の負荷が高まっていました。また、ヘルプページも画像や動画の挿入や文字の装飾ができず、メンテナンスも必要最低限のことしかできなかったため、閲覧を促進できない課題を抱えていました。

そこで、先生の負荷を軽減するためにZendeskを導入。Classiのプラットフォームは、先生・生徒・保護者で利用する機能が異なり、ヘルプページをユーザー属性ごとに構成する必要があります。Zendeskは、カテゴリー別やセクション別に階層を細かく設定できるため、ユーザーの属性ごとにログインしなくても閲覧できるヘルプページなどを作成。

また、Zendeskはページのデザインの自由度も高く、ヘルプページをより使いやすく変更することでユーザーの自己解決力の向上を推進しました。

導入後、Zendesk上で課題を見つけて素早く対応し、生徒や保護者の閲覧数増加に向けた有効な改善策を実行できるようになりました。また、それまで見えていなかった利用者の困りごとを可視化でき、対策することで自己解決力が一段と向上し、先生の負担が減少しています。

株式会社佐賀銀行「FAQの拡充で自己解決力の向上を実現」

佐賀銀行では、顧客からの質問の多くはコールセンターや営業店に電話で来ていました。そのため、即答できないときは電話を切って調べたり、専門部門に問い合わせたりして回答するケースが頻繁に発生。また、質問全体の約65%は営業店への電話のため口頭対応で終わって記録されていなかったため、質問対応したデータの活用が十分にできていませんでした。

その結果、顧客からの問い合わせに対する管理業務の合理化や問題解決の遅延防止の対策に課題を抱えていました。

そこで、顧客ニーズに応えられる質の高いサービスを提供するために問い合わせ対応のあり方を見直し、Zendeskを導入。他銀行の事例を参考に、顧客による自己解決を促す仕組みとしてFAQサービスの提供に注目します。散在していた既存のFAQをZendeskの機能で集約し、約270件のFAQからスタート。

その後、FAQを精査・更新して200件を追加し、FAQサイトでの自己解決を促します。解決しなかった場合は、チャットで行員が対応したり、チャットが不慣れな顧客には電話対応したりする仕組みで運用しています。

その結果、コールセンターへの電話件数は去年比で毎月平均15%程度減少。顧客に便利で快適なサービスとして提供できており、顧客満足度の向上が実現できています。

VoCの一元管理が自己解決力と顧客満足度向上のカギ

VoCをうまく活用すれば、顧客の自己解決力を改善でき、顧客満足度の向上につなげられます。それを実現するには、VoCを収集・蓄積し、一元管理を実現するためのツールの導入と、VoCの活用を推進する社内体制の整備が重要です。ZendeskはVoCの収集、分析、蓄積、一元管理などの機能が充実しており、VoCを有効活用した顧客の自己解決力の向上を効果的・効率的に実現できます。

ぜひ無料トライアルでZendeskの機能をお試しください。

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