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Facebookチャットボットでカスタマーサービスを強化する方法
Facebookのチャットボットは、Messengerを使ったカスタマーサービスの切り札となります。
著者: Emily Miels, 寄稿者
更新日: 2024年1月30日
皆さんは今、Facebookアプリをスクロールしています。すると、お気に入りの靴店の週末セールを知らせる投稿が目に入りました。かわいいショートブーツに心を奪われた皆さんは、投稿をクリックし、ショップのFacebookページにアクセスします。すぐにFacebook Messengerが立ち上がり、ブーツの注文画面が表示されました。
そこでは、返信メッセージの候補やスクロール可能な画像カルーセルのほか、支払い方法の選択肢が提示され、すばやく簡単に購入手続きを完了できるようになっています。さらに、そこから直接、注文の進捗状況や最新の情報を確認することも可能です。
こうしたやり取りを、Messengerプラットフォーム上でスピーディかつシームレスに行えるのは、Facebookチャットボットが活用されているからです。人気のMessengerプラットフォームで顧客の心に響く卓越したサービスを提供したいのなら、チャットボットが切り札となります。チャットボットを利用して、顧客のニーズに応えると共に、サポート担当者の負担を減らしましょう。
Facebookチャットボットとは?
Facebook Messengerボット(Facebookチャットボット)は、人工知能(AI)を使用したソフトウェアアプリケーションの一種です。FacebookのインスタントメッセージングプラットフォームであるMessengerで、ユーザーと自動でやり取りするための機能を提供します。
こうしたチャットボットは、Facebook Messengerを介した問い合わせの最初の窓口として、顧客からのメッセージやリクエストに対応します。カスタマーサービスに関するシンプルなタスクの多くを自動的に処理し、すばやく回答を返すため、顧客は担当者の対応を待つ必要がありません。チャットボットは、各企業の独自のニーズやワークフローに合わせて、簡単に構築やカスタマイズを行えます。これはFacebook Messengerのチャットボットに限らず、他のメッセージングプラットフォームの場合も同様です。
Facebookチャットボットには主に次のような機能や特長があり、カスタマーサービスの向上に役立ちます。
- クイック返信:あらかじめ用意された候補の中から、顧客が適切な回答を選んで返信できます。
- カルーセル:横一列に並んだ画像やCTAを、顧客がスワイプして確認できます。
- 位置情報のリクエストと共有:デバイスの位置情報を簡単に共有して、それに基づいたオプションを顧客に提示したり、発送状況を追跡できるようにしたりできます。
- 安全なオンラインショッピング:顧客はMessengerから直接、商品を購入できます。
Facebookチャットボットは、手軽に使い始められますが、チャットボットビルダーやテンプレートを使用し、ZendeskのようなFacebookパートナーと協力すれば、さらに利便性が増します。Zendeskは、企業のカスタマーサービスチームがチャットボットを構築、カスタマイズして、Messengerのメッセージング機能を有効活用できるようご支援しています。
Facebook Messengerのチャットボットのメリット
Facebook Messengerのチャットボットを導入すると、顧客が普段から利用しているプラットフォームを介して、迅速かつ効率的なカスタマーサービスを提供できるというメリットがあります。
顧客にとって都合の良いチャネルでやり取りできる
Facebook Messengerのユーザー数は13億人であり、皆さんの会社の顧客が利用している可能性もきわめて高いと言えます。メッセージングプラットフォーム全体で見ても、WhatsAppに次いで高い利用率を誇っています。Facebookの人気の高さを考えれば、ほとんどの企業がMessengerでのサポートに対応するのは当然と言えます。
「Zendeskカスタマーエクスペリエンストレンドレポート2021」では、顧客がカスタマーサービスで特に不満を感じる点の1つとして、使いたい連絡手段がサポートされていないことが挙げられています。こうした不満は顧客離れにつながります。PwCの調査によると、米国の顧客の17%が、1回でも不快な対応を受けた企業はもう利用しないと回答しており、2回以上になると、その割合は59%に跳ね上がります。
Facebookチャットボットを活用しながら、人気の高いMessengerプラットフォームで顧客とやり取りすれば、顧客の満足度を高められます。実際、メッセージングを使用したサポートは、大多数の顧客に好まれています。Zendeskによるベンチマーク調査のデータでは、サードパーティ製メッセージングアプリに対する顧客満足度(CSAT)スコアは98%にのぼり、各種サポートチャネルの中で最も高い評価を得ています。
サポート担当者の負担が軽減される
業界によって異なりますが、各企業が受けるサポートリクエストの数は、1か月あたり979~18,331件に達します。大半の企業は、こうした大量の問い合わせに対処できるほど、十分な数のサポート担当者を揃えていません。
カスタマーサービスの業務負担を減らすには、チャットボットが不可欠です。オンラインショッピングに対応したり、FAQや基本的な問い合わせに回答したりできます。CSATスコアやネットプロモータースコア(NPS@)といった、顧客フィードバックの自動収集も可能です。こうした諸々の作業をボットに任せれば、担当者の負担が減り、より複雑な問題に集中して取り組めるようになります。
また、チケットのエスカレーションプロセスを構築すると、Facebookチャットボットが対処できない問い合わせがあっても、人間の担当者に引き継ぐことができます。その場合、ボットは連絡先や注文確認番号といった重要な顧客情報を収集したうえで、最適なサポート担当者に問い合わせをすばやく転送します。
24時間いつでもサポートを提供できる
一刻も早く答えが欲しいとき、顧客は担当者と話ができるまで待っていられません。「Zendeskカスタマーエクスペリエンストレンドレポート2021」によると、優れたカスタマーエクスペリエンスに最も欠かせない要素として「解決の速さ」を挙げた顧客は、全体の約3分の1(32%)にのぼりました。一部の顧客からは、5分以内に回答が欲しいという声も上げられています。
とは言え、24時間年中無休でサポート担当者を配置することは、ほとんどの企業にとって不可能です。たとえ可能だとしても、大量の問い合わせをスピーディにさばいていくのは大変なことです。
チャットボットを使用すれば、夜間、週末、祝日を含め、いつ何時も問い合わせに自動返信できるため、顧客を待たせることがありません。ボットが問題の解決策を見つけられなかった場合でも、待ち時間、窓口の営業時間、価格、連絡先といった情報は提供できるので、顧客は何かしらの回答を速やかに得ることができます。
Facebookチャットボットに関する4つのベストプラクティス
チャットボットを使用し、Facebook Messengerでできるだけシームレスかつ効率的なカスタマーサービスを提供しましょう。目標は、まるでベテランのサポート担当者と話しているかのような感覚を顧客に与えられるようにすることです。
会話調を意識する
顧客は普段から、Messengerを使用して友人や家族と会話を交わしています。そうした気楽なやり取りと、チャットボットとのやり取りが大きく異なれば、顧客は違和感を覚えるかもしれません。
ボットにできるだけ「人間らしい」会話をさせ、顧客とのつながりを強化しましょう。次の点に気をつけてボットを構築してください。
– 顧客がストレスなく読み進められるように、明快で自然な言葉遣いを心がけます。
– 意味が通じない可能性があるので、専門用語やスラングは使わないようにします。
– 回答にバリエーションを持たせます。たとえば、常に「かしこまりました」と答えるのではなく、「いいですね」や「了解です」とったパターンを用意しておきましょう。対応しているのがボットだということは、顧客に明示してかまいません。それでも、人間どうしの会話に近づけた方が、カスタマーエクスペリエンスの質は上がります。
ブランディングを図る
チャットボットは、写真、GIF、絵文字、製品画像のカルーセルを送信することもできます。こうした視覚的な要素は、ブランドの色を出すうえで格好の手段であり、Webサイトなどの他の自社プラットフォームに合わせて、ブランドを象徴するテーマカラー、ロゴ、画像を使用できます。
また、他のプラットフォームでも採用されている、ブランドイメージに沿ったトーン、文体、フレーズを使うようにチャットボットを構築することも可能です。
このように一貫性を重視すると、ブランドの認知度向上や顧客からの信頼獲得につながります。Rebootの調査によると、自社のプラットフォーム全体でデザインの配色を統一すると、ブランドの認知度が最大80%向上します。
人間の担当者にすぐに引き継げるようにする
Messengerでも、他のプラットフォームでも、ボットはあくまで問い合わせの初期対応の手段であり、顧客が利用できる唯一の問い合わせ手段としてしまってはいけません。顧客がより高度なサポートを必要としている場合のために、人間の担当者に簡単にエスカレートできるような仕組みを作る必要があります。
ボットを適切に設定し、担当者と直接やり取りできるオプションを自動で表示できるようにしましょう。顧客がボットとやり取りしている間は、常にこのオプションが表示されるようにします。ハーバードビジネススクールの研究によれば、たとえ顧客が担当者への引き継ぎを必要としていなくても、そうしたオプションが表示されているだけで、顧客の不安や不満が軽減されることがわかっています。
明確な目標を設定し、結果を追跡する
カスタマーサービスの全体目標を達成するうえで、力になってくれるのはサポート担当者だけではありません。構築方法によっては、Facebookチャットボットも目標の実現に貢献してくれます。ベンチマークを設定すると、カスタマーエクスペリエンスの向上にチャットボットがどれだけ役立っているかを測定できます。
目標とベンチマークを設定することで、Facebookチャットボットを最大限に活用できます。チャットボットをどう構築すべきかは、目標によって変わってきます。場合によっては、カスタマイズやアップデートが必要になることもあります。
もしもFacebook上で顧客満足度を高めることが最大の目標であるならば、顧客対応の後にアンケート調査を自動送信できるようにチャットボットを設定するとよいでしょう。アンケートの回答とCSATスコアに基づいて、Facebookチャットボットの有効性を測定できます。スコアが低い場合には、顧客の期待に添えるようにボットのワークフローと機能を見直す必要があるかもしれません。
チャットボットはカスタマーサービス成功のカギ
Messenger以外のプラットフォームでも、チャットボットの活用はビジネスにプラスに働きます。ボットは、Webサイト、メール、テキストメッセージ、SNSのほか、各種メッセージングプラットフォームでも活用でき、カスタマーサービスの向上に役立ちます。
実際、「Zendeskカスタマーエクスペリエンストレンドレポート2021」によると、パフォーマンスの高い企業(カスタマーサービスの主要指標が競合他社よりも優れている企業)では、その他の企業と比べて、ZendeskのチャットボットツールAnswer Botを使用している割合が2倍高いことがわかっています。
チャットボットを導入すると、顧客が期待するようなオムニチャネル対応の現代的なカスタマーエクスペリエンスを提供できるだけでなく、サポート担当者のパフォーマンス向上を後押しできます。