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カスタマーサービスチーム向けクラウドコンピューティング完全ガイド

カスタマーサービスチームがクラウドコンピューティングを利用するメリットと、それを使いこなす方法について説明していきます。

更新日: 2024年2月22日

質問:

  • 自社のカスタマーサービスチームは、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックの真っ只中に在宅勤務に移行して、苦労している様子はありませんか?

  • 最近、サーバーがクラッシュして顧客に不快な思いをさせるようなことがありませんでしたか?

  • 顧客に真に役立つサポートを提供することにコストをかけられるよう、IT予算を切り詰める方法をお探しですか?

1つでも「はい」と答えた場合は、カスタマーサービスプラットフォームをクラウドに移行するタイミングかもしれません。

クラウドコンピューティングは、カスタマーサービスチームに多くのメリットをもたらします。価格、柔軟性、セキュリティの面で、従来のオンプレミスソフトウェアよりはるかに優れています。

カスタマーサービス向けのクラウドコンピューティングとは

「クラウド」と言うと、何か抽象的でつかみどころのない概念のように感じられるかもしれませんが、クラウドコンピューティングは意外にもシンプルなものです。

従来、サーバー、データベース、RAMのような一般的なIT機器やソフトウェアは、すべてオフィスの専用ルームに配置されていましたが、これらをインターネット上に配置し、リモートでアクセスできるようにしたのがクラウドです。クラウドコンピューティングは、大企業の間で急速に普及しています。2020年時点で、大企業の93%がマルチクラウド戦略を採用し、パブリッククラウドとプライベートクラウドの両方を利用しています。また、およそ20%が、クラウドコンピューティングに年間1,200万ドル以上の金額を費やしています。

カスタマーサービスの分野では、カスタマーサービス(CS)ソフトウェアやコンタクトセンターソフトウェアでクラウドコンピューティングが利用されます。そうしたソフトウェアは、オンラインでホスティングされ、インターネットからダウンロードできます。物理的なソフトウェアを購入したり、各コンピューターでソフトウェアをアップデートしたりする必要がないうえ、新しいシステムを設定する際もIT管理者の助けが要りません

クラウドベースモデルでは、自社のオンプレミスサーバーを管理する必要がないため、サーバーの格納、運用、管理にかかる莫大なコストを削減できます。とりわけ、カスタマーサービスチームがリモートワークに移行した場合、ソフトウェアを物理的に1つの場所にまとめるメリットはなくなります。クラウドコンピューティングに必要なハードウェアは、インターネット接続と、ソフトウェアにアクセスするためのノートPCかデバイスのみです。

クラウドベースとオンプレミスのソフトウェアの違い

クラウドベースのカスタマーサービスソフトウェアとオンプレミスのカスタマーサービスソフトウェアには、データの格納先以外にもさまざまな違いがあります。たとえば、ソフトウェアの保守管理の方法がまったく異なります。したがって、必要なコストや抑制できるコストも違ってきます。

従来のオンプレミスソフトウェアは、一般的に、社内のIT管理者や特定の企業の専任管理者などによって内部で管理されます。フラッシュドライブやCD上に物理的に存在するソフトウェアを購入、使用する必要があり、各コンピューターへのインストールや設定も、トレーニングを受けた技術スタッフが手動で行います。ソフトウェアには、通常、社内に配置されたサーバーを通じてアクセスします。データベースの情報はすべてサーバーに格納されており、すべての信号も同じサーバーを通じて実行されます。つまり、サーバーは企業の電源系統で実行されるわけです。

一方、クラウドベースモデルでは、主にソフトウェアプロバイダーが保守管理を担当します。社内のスタッフはサーバーの割り当てやセキュリティパッチについて心配する必要がないため、新入社員のプロビジョニングやプログラムの統合処理といった作業に集中的に取り組むことができます。

カスタマーサービスをクラウドに移すメリット

従来のオンプレミスソフトウェアに比べて、クラウドコンピューティングは、リモートでも柔軟にアクセスでき、ストレージ容量も大きく、驚くほどコストを削減できます。そして、カスタマーサービスに関して言えば、企業はクラウドコンピューティングを使うことで、社内の業務をスムーズに進められるだけでなく、カスタマーエクスペリエンスを向上させることができます。

リモートアクセス

クラウドベースソフトウェアの最も明白なメリットの1つは、リモートでもアクセスできる点です。これは、高品質なカスタマーサービスを提供するうえで欠かせない要素です。リモートアクセスが可能であれば、能力の高いスタッフを雇用し、そうした人材を戦略的に配置して、24時間体制でサポートを提供できるようになります。

優れた人材を雇える:リモートアクセスが可能なソフトウェアなら、どこからでも利用できます。そのため、物理的な距離の問題で採用できる人材が限られるということもなく、世界中からサポートのプロフェッショナルを雇用することができます。これは、社内のダイバーシティを推進する機会にもなります。世界各地からさまざまな文化やバックグラウンドを持つサポート担当者を雇用し、個性豊かなメンバーを集めることで、カスタマーサービスチームは、よりパーソナルなエクスペリエンスを顧客に提供できるようになります。

さらに、クラウドベースモデルには、需要が急増した場合にすばやくカスタマーサービスチームを拡大できるというメリットもあります。カスタマーサービス関連の人材紹介会社には、一般的なクラウドカスタマーサービスソフトウェアを使いこなせる、リモートサポートのスペシャリストが揃っています。需要が急増する時期には、こうした人材紹介サイトを利用してスペシャリストの手を借りるとよいでしょう。そうすれば、オンボーディングも最小限で済みます。

リモートワークへの移行が容易: 柔軟性の高いクラウドベースのカスタマーサービスプラットフォームなら、コールセンターでのオンサイト勤務から在宅勤務への移行もスムーズです。インターネット接続のある静かな場所へ移動し、そこからノートPCでログオンするだけで、業務環境が整います。この可動性の高さは、特に今のようなコロナ禍においてはたいへん重要なポイントです。たとえ外出自粛が呼びかけられている時期でも、できるだけ通常と同じ体制で顧客にサポートを届けることができるからです。

24時間体制のサポートが可能に: リモートアクセスが可能なソフトウェアを使えば、タイムゾーンが異なるスタッフも雇用できるため、年中無休のカスタマーサービスを実現することも夢ではありません。「Zendeskカスタマーエクスペリエンストレンドレポート」によると、「24時間年中無休のサポート」は、優れたカスタマーサービスに必要な要素として2番目に多く挙げられています。つまり、24時間体制のサポートは顧客からの需要も高いということです。

コストの削減

クラウドコンピューティングのその他の大きなメリットは、コストを削減できる点です。従来のオンプレミスソフトウェアだと、クラウドベースソフトウェアでは不要なコストが多々発生します。これに対し、クラウドベースソフトウェアはライセンス料を支払うだけで済みます。ライセンス料は、ユーザーの人数によって決まる場合と、企業の規模のレベルによって決まる場合があります。

オンサイト費用の削減: クラウドなら、サーバーの管理やコンピューターの設定およびアップデートを担当するオンサイトITスタッフの大多数が不要になります。ITチームそのものが要らなくなるわけではありませんが、メンバーはその分、別の作業にリソースを投入したり、より複雑な問題に対処したりできるようになります。多くのクラウドベースソフトウェアは、ダウンロードや設定が非常に簡単なので、ITの専門知識がなくてもほとんどの社員が利用でき、日々の監視業務も最小限で済みます。そして、ハードウェアの数が少なくなれば、必要なスペースが大幅に縮小し、無駄も減ります。

光熱費の削減:クラウドなら、オンサイトのメンバーとリモートのメンバーを混在させたハイブリッド型の勤務形態を採用することが可能です。これにより、コンタクトセンターの諸経費を削減することができます。物理的なオフィスがあると、賃料以外にも、デスク、オフィス家具、光熱費のようなコストが多数発生します。特に、電気代と機械装置を冷却するために必要な空調費はばかになりません。

クラウドとオンプレミスで全体のコストを比較すると、クラウドの方が総じてコストが低くなります。それぞれにかかるコストをより詳しく比較したい場合は、こちらの記事をご覧ください。クラウドベースのカスタマーサービスソフトウェアの方が、複数の面でオンプレミスよりコストを抑えられます。

信頼性

企業全体でサーバークラッシュが発生するという大変な事態に対処したことがある方なら、システムの信頼性がいかに重要かを身にしみて理解していることでしょう。カスタマーサービスに関しては、システムの信頼性がさらに重要となってきます。問題が発生した場合、顧客にも影響が及ぶ可能性が高いからです。

連続稼働時間の保証:クラウドベースソフトウェアは社内の電源に依存しないため、より信頼性が高いと言えます。クラウド上のプログラムはすべて、世界中から利用できる大規模なサーバーでホスティングされます。こうしたサーバーは、多数の企業のプラットフォームの運用に耐えられるようにカスタマイズされています。連続稼働時間は、ユーザーが重視する利点の1つであるため、多くのクラウドコンピューティングプロバイダーは、万が一ダウンタイムが発生したらクレジットを提供するといったサービス保証を用意しています。

脆弱性が少ない:システムに物理的な脆弱性がないことも、クラウドの信頼性が高い理由の1つです。ほとんどのオンプレミスシステムでは、ITおよびデータがすべて1か所で保管されているため、多くの場合、事故や自然災害によるシステムダウンに備えて、バックアップソリューションを購入する必要があります。

故障しにくい:クラウドなら、ソフトウェアやセキュリティのアップデートが各コンピューターにリモートで自動インストールされるので、不具合や故障が起こりにくくなります。最新のソフトウェアを利用していれば、クラッシュが発生する可能性も低くなります。また、物理的なサーバーを社内で管理していなければ、ハッカーに侵入される危険も避けられます。さらに、多くのクラウドコンピューティングプロバイダーは、オンサイトのIT部門と違って、24時間体制でセキュリティを監視しているため、セキュリティの問題が発生したときにも直ちに対処できます。

クラウドコンピューティングを利用すれば、諸々の問題に頭を悩ませる必要がなくなるうえ、常にオンライン状態を維持できるため、オンプレミスの場合よりも顧客をサポートしやすくなります。「Zendeskカスタマーエクスペリエンストレンドレポート2021」によると、優れたカスタマーサービスに最も必要な要素は、問題解決の速さです。スピーディな解決ができるかどうかは、概してソフトウェアとシステムの信頼性にかかっています。

カスタマーサービスをクラウドに移行させる方法

クラウドコンピューティングは良いこと尽くめのように思えますが、導入にはいくつかの障壁があります。しかし、そうした障壁によって、まずはどこからどのように取り組みを進めればよいかが見えてくることもあります。このように移行への道筋を付けることは、特にクラウドへの移行を経営陣に訴えかけるうえで不可欠です。一般的な方法としては、まずどのようなカスタマーサービス向け(またはその他の用途向け)クラウドソフトウェアがあるかを調査します。次に、経営陣から移行の承諾を得ます。そして、移行が完了した後は、チームの様子を入念に監視します。

  1. カスタマーサービスソフトウェアの調査

    カスタマーサービスをオンラインに移行するには、まず市場調査を行い、どのようなクラウドカスタマーサービスソフトウェアがあるかを確認します。

    クラウドカスタマーサービスソフトウェアにあってほしい機能をリストアップしましょう。移行を考えるきっかけにもなった、現在のプラットフォームの問題点を整理します。オンボーディングのプロセスがスムーズではないため、次はダウンロードするだけですぐに使えるようなソフトウェアにしたい、料金体系が柔軟でアジリティに優れたソフトウェアにしたいなど、求めるポイントは企業によってさまざまです。必要な機能を定義するための考慮事項については、こちらの記事をご覧ください。

    調査結果と自社のニーズに基づいて、経営陣に提示する最終候補を絞り込みましょう。志望大学を決めるときと同じように、価格帯と機能を考慮しながら、「妥当な候補」「導入しやすい候補」「手が届く範囲の候補」を選びます。

    最終候補のリストを作るときは、十分に時間をかけて適切な候補だけを残すようにします。すべての候補を記載して経営陣に選んでもらうのは得策ではありません。また、最終候補に残したソフトウェアについては、推薦する理由を具体的に説明できるようにしておく必要があります。最終的に、2、3つの候補に絞り込むことを目指してください。

  2. 経営陣の賛同を得る

    クラウドカスタマーサービスソフトウェアの要件を定義できたら、経営陣の心をつかんで、移行のための予算を確保する必要があります。

    収益に焦点を当てながら説明を進めましょう。クラウドカスタマーサービスソフトウェアが収益向上(またはコスト削減)の面でどう効果的なのか、ビジネス全体の目標を達成するうえでどう役立つのかを説明します。経営陣は、新規分野への投資が理にかなっているのかを検討するうえで、納得できる説明を期待しています。

    可能な場合はデータを活用して、ビジネスケースの正当性を裏づけましょう。経営陣は、ソフトウェアを導入した場合のメリットを具体的に示してほしいと考えています。したがって、他社の実例に基づき、クラウドベースソフトウェアを実装すると顧客満足度がどのくらい向上するのかをパーセンテージで示すなど、データを交えて説明を進めるとよいでしょう。製品導入後のROIの測定方法についてもある程度考えておき、測定に使用する指標や目標の達成までに見込まれる期間などを説明できるようにします。

    候補として提示するソリューションは、2、3つまでにしましょう。経営陣が判断に迷わなくても済むように、「導入しやすい候補」と「手が届く範囲の候補」を提示することをお勧めします。「導入しやすい候補」は、現在のシステムに比べて十分なメリットがあるものの、おそらく最も価格の低いソリューションです。「手が届く範囲の候補」は、それよりも高価ですが、便利な機能が多数備わっているソリューションです。

    経営陣へのプレゼンテーションは10分以内に終わらせるようにしましょう。経営陣に時間をとらせないようにとの気遣いが伝わるだけでなく、後は承認か却下かを判断すればよいところまで説明を簡潔にまとめた努力もアピールできます。

  3. クラウドカスタマーサービスソフトウェアを選択する

    経営陣の賛同(と十分な予算)が得られたら、どのカスタマーサービスソフトウェアを導入するかを選択します。

    経営陣に複数の候補を却下された場合は、上位候補のデモを実施することを検討してください。この際、現場の担当者にもデモを見せることをお勧めします。チーム全体の意見を反映した判断やフィードバックをしてくれそうな人物に参加してもらうとよいでしょう。

    導入しようと思えない製品のデモは実施しなくてかまいません。皆さんがマネージャーとして最も効果的だと思う製品が、従業員のニーズと一致しているとは限りません。従業員は異なるソフトウェアを選ぶ可能性があることも、頭に入れておいてください。

    特定のソフトウェアがテストグループから圧倒的な支持を得た場合は、たとえ自分の意見とは違っていても、そのソフトウェアを採用しましょう。そうすることで、皆さんがチームの判断を信頼していることを示せます。また、自分たちで決めた製品なら、チームはより積極的に製品を利用しようという気持ちになります。

  4. 成長に伴う課題に備え、成功度合いの測定方法を検討する

    高品質なクラウドベースソフトウェアを選択して、経営陣や従業員から賛同が得られても、その後、従業員が新しいソフトウェアについて学んでいる間は、ある種の停滞期に差しかかります。この課題に対処するには、成功度合いの測定方法を決定し、引き続きサポート担当者の意見に耳を傾けていく必要があります。

    早めに計画を立てる:ソフトウェアプロバイダーのカスタマーサクセスマネージャーにも協力してもらって、サポート担当者が新しいソフトウェアに慣れるまで十分なサポートを提供できるよう、準備しておきます。

    ユーザーからフィードバックを受け取り、その内容を検討する:フィードバックや懸念を受けつけるためのご意見フォームや専用メールボックスなどを用意します。

    モニタリングする指標を1つ選ぶ:この指標を基に、製品のパフォーマンスを測定します。この際、クラウドベースのソフトウェアに移行することで特に解決したかった問題や弱点に関連する指標を選ぶことをお勧めします。たとえば、頻繁なクラッシュによってダウンタイムが発生していた場合は、新しいソフトウェアでダウンタイムを追跡します。オンボーディング期間の終了後、ダウンタイムが減少したかどうかをチェックしましょう。

    経営陣やチームと成功事例をシェアする: パフォーマンスの良い指標や成功事例をシェアすれば、期待されているROIを達成していることを経営陣に示せます。また、新しいソフトウェアを使いこなすのに手間どっているサポート担当者も、こうした事例を目にすることで、ゆくゆくは自社や顧客にとって良い結果につながり、自身のパフォーマンスも向上すると思えるようになります。

    新しいソフトウェアに関するディスカッションには、現場の従業員にも参加してもらうようにしてください。導入がうまくいっているかどうかについてインサイトが得られるだけでなく、問題が発生した場合もすばやく先回りで対処できるようになります。

クラウドコンピューティングでビジネスを変革し、サポート品質を改善しましょう

他社とカスタマーサービスの面で差を付けるには、手に入るすべてのリソースを活用し、完全武装して戦いに臨む必要があります。つまり、卓越した機能性とメリットを持ち合わせたクラウドコンピューティングを使わない手はありません。クラウドコンピューティングを導入すれば、カスタマーエクスペリエンスが向上するだけでなく、コストを節約して、余った予算を従業員と顧客に再び投資することができます。

たとえば、サポート担当者へのカスタマーサービスに関するトレーニングや、顧客の満足度とニーズに関する調査にもっと予算をつぎ込めるようになります。あるいは、その予算で、ロイヤルティの高い顧客に向けて特別なプロモーションや割引を提供することもできます。さらには、SNSでのプレゼンス向上に予算を充てることもできます。マーケティング部門と協力すれば、顧客がよく利用しているチャネルや場所で、顧客とのつながりを強化することができます。このような方法で、顧客とチームの両方に投資すれば、顧客満足度が向上します。

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