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コールセンター完全ガイド 種類・立ち上げ・運営・システム

オペレーター志望者から運営側まで、コールセンター業務にかかわるあらゆる人に欠かせない知識をご紹介します。

更新日: 2023年1月5日

コールセンターと聞くと、倉庫のような場所に小さな机がいくつも並び、その中で疲れ切った顔のオペレーターが引っ切りなしに電話対応をしているといった光景を思い浮かべる人も多いかもしれません。これは完全な間違いというわけではなく、今も古い体質の企業では、こうしたステレオタイプ的なコールセンターが存在しています。ただし幸いなことに、こうした光景は、どちらかというと今は珍しいと言えます。

現代のコールセンターは、以前よりもはるかに働きやすい場所となっています。最近では、従業員の精神的な負担を減らして顧客の維持率や満足度を向上させるには、カスタマーサービスの研修を強化し、従業員の満足度を高めることがいかに重要であるかに気づく企業が増えてきました。

また、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックの影響で、コールセンターのオペレーターとマネージャーは、より優れたテクノロジーを利用して柔軟な働き方を選択できるようになりました。

コールセンターを運営する人やコールセンターの仕事に関心がある人にとって、これは朗報と言えますが、気にかけるべき点はそれだけではありません。この記事では、コールセンターの定義やコンタクトセンターとの違いから、種類や職種、立ち上げに必要なシステムまで、コールセンターを運営するために知っておくべき情報を余すことなくお知らせします。

コールセンターとは? 定義と役割

コールセンターの定義:営業およびカスタマーサービス部門の担当者とマネージャーが在籍し、見込み客や既存顧客に対し、問い合わせに答えたり、企業側からコンタクトをとったりします。

多くのコールセンターは顧客満足度を重視し、全体的なサポート品質を高めることに力を入れています。また、リードの獲得や新規顧客の開拓のほか、支払および発注処理の効率化に尽力しているコールセンターもあります。

いずれにせよ、優れたカスタマーエクスペリエンスを提供するうえで、コールセンターは重要な役割を担っており、そこで働くスタッフは、常に高いサービスレベルを維持して、顧客と良好な関係を築く必要があります。

そのため、オペレーターには、十分な知識と辛抱強さをもって顧客に有益なサポートを提供することが求められます。

現在、コールセンターの従業員の多くは在宅勤務となっていますが、自宅からでも充実したトレーニングを受けています。さらに、顧客との連絡手段は電話だけとは限りません。高度なコールセンターソフトウェアが導入されている企業であれば、メール、SNS、チャットのほか、各種メッセージングアプリでも簡単に顧客とやり取りできます。

そして何より、今日のコールセンターは安定した雇用需要が見込める場であり、なおかつチャンスもあふれています。現在、パンデミックの影響で世界中の企業に電話での問い合わせが殺到していますが、この傾向は以前から見られていました。調査結果によると、2019年初めの時点でも、新規開設または拡張されたコールセンターの数は285か所にのぼっており、そこでの求人数も133,200を超えていたなど、コールセンターは着実な成長を見せていました。

コールセンターとコンタクトセンターの違い

これから職探しや採用面接に臨む際に、「コールセンター」と「コンタクトセンター」という言葉が代わる代わる使用されている例を目にするかもしれません。この2つは、現在ではほぼ同じ意味として捉えられていますが、以前はそうではありませんでした。

顧客が企業と連絡をとる場合、かつては電話が主に使われていましたが、この10年で、それ以外のチャネルを通じて営業チームやカスタマーサービスチームとやり取りする顧客も増えてきました。こうした流れを受けて、企業は「コンタクトセンター」という用語を使うようになりました。これは、メール、チャット、メッセージングツールといった高度なテクノロジーで顧客とやり取りする、より現代的なオペレーター業務を行うセンターを指します。

数年前の時点ではまだ先進的と考えられていたこのモデルは、今ではもうすっかりスタンダードなものとなりました。オムニチャネル対応のシームレスなカスタマーエクスペリエンスが当然のように期待されている今日では、もはやコールセンターとコンタクトセンターを区別する必要はありません。コールセンターとコンタクトセンターを明確に使い分けている例もありますが、それは、その話者がコールセンターにマイナスなイメージを持っているケースです。

かつてコンタクトセンターのリーダー職も務めた、Zendeskのグローバル戦略イベント担当シニアディレクター、Sarah Reedはこう説明します。「多くの企業は『コールセンター』という呼び方を敬遠しています。従来のマイナスな印象がつきまとうためです。企業はそれに代わる別の良い名称を検討しています」

コールセンターの種類

コールセンターは近年、顧客と自社の多様なニーズに応えるために発展を遂げてきました。現在では、インバウンド(受信)型またはアウトバウンド(発信)型、自社運営型または外部委託型、プロアクティブ(問題を先回りで解決する)型またはリアクティブ(問い合わせが来たら問題を解決する)型など、さまざまな種類のコールセンターが存在し、それぞれの特徴を併せ持っているケースもあります。

  • インバウンド型VSアウトバウンド型


    アウトバウンド型のコールセンターでは、企業側から見込み客や既存顧客に連絡をとります。自動ダイヤル機能を使っているところが多く、リストにある番号に自動的に電話をかけ、相手が電話に出たらオペレーターに通話が割り当てられるという仕組みです。アウトバウンド型のアプローチは主に、営業活動、テレマーケティング、資金調達、市場調査といったケースで使用されます。
    一方、インバウンド型のコールセンターでは、既存顧客からの電話に対応します。このタイプのコールセンターでは通常、顧客の問い合わせを解決したり、技術的なサポートを提供したり、支払や契約更新の手続きを行ったりします。
    中には、発信と受信の両方に対応するハイブリッド型のコールセンターもあります。

    (関連記事:Inbound vs. outbound call centers: What’s the difference?(インバウンド型コールセンターとアウトバウンド型コールセンターの違い))
  • 外部委託型VS自社運営型


    企業によっては、コールセンターの運営に必要な人員を自社でまかなえない、あるいはまかないたくない場合もあるでしょう。そうした場合に利用されるのが外部委託型のコールセンターで、こうしたアプローチはビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)と呼ばれます。
    このモデルでは外部の企業がコールセンターを運営し、オペレーターの雇用、トレーニング、管理もすべて委託されます。インバウンド型かアウトバウンド型かは企業によって異なり、ハイブリッド型の場合もあります。
    一方、社内で管理するコールセンターは、自社運営型のコールセンターと呼ばれます。このタイプのコールセンターで働くオペレーターは、1つの企業の顧客にのみ対応し、その企業が提供する製品やサービスに関する質問に回答します。
    多くの場合、特定の製品や顧客ベースに関する専門知識を身につけることができ、昇進の機会も与えられます。また、最初はコールセンターのオペレーターとして入社し、のちに製品チームや営業チームで活躍するという例も少なくありません。
    企業によっては、オペレーターの採用やトレーニング、チームの育成など、一部のカスタマーサービス業務は社内で受け持ち、それ以外の業務を外部に委託するといったハイブリッドなアプローチを採用することもあります。
  • リアクティブ型VSプロアクティブ型


    この2つは、カスタマーサービスに対するアプローチの面で異なります。
    リアクティブ型のコールセンターでは、問題が発生してから解決に取りかかります。ここでのオペレーターの仕事は主に、不機嫌な顧客をなだめつつ、その問題を解決することです。
    一方、プロアクティブ型のコールセンターでは、問題が起こる前に顧客に接触します。オペレーターの仕事は主に、リスクの高い顧客に前もって連絡することと、アップセルやクロスセルを実践して売上につなげることです。

コールセンターでの職種

コールセンターでは複数の職種が存在し、オペレーターとマネージャー以外にも、QA、トレーニング、ワークフォースマネジメント(WFM)の専任者として働くという選択肢もあります。

オペレーター

カスタマーサービス担当者、バーチャルサポート担当者、コールセンタースペシャリストなどと呼ばれることもあります。基本的な業務を受け持つ役割で、多くの場合、カスタマーサービス業務の職務経験は問われません。ただし、幅広いタスクに対応する必要があるため、相応の思考様式やスキルが必要です。たとえば、複数のチャネルを使いこなす能力や、顧客の問題をうまく解決する能力が求められます。

オペレーター向けにコールセンターのスクリプトが用意されていることもありますが、これに必ず従わなければならないというわけではありません。最近では、オペレーターが各自でよく考えたうえで、必要な背景情報を集め、最良の対応方法を判断できるようなコールセンターも増えてきています。数あるコールセンターに関するスキルの中でも、コミュニケーション能力と問題解決能力に優れている候補者は、採用に有利になります。

また、コールセンターのオペレーターは、顧客が不満をあらわにしているような状況でも、うまく会話を進める術を習得しておかなければなりません。パンデミック当初は、企業がスムーズに対応できなくても寛大な目で見てくれた顧客は多かったものの、現在では、以前を上回ることはないにしても、パンデミック前と同じ水準のカスタマーサービスが求められています。そこで重要になるのが、コールセンターの適切なエチケットを身につけることです。

Reedは、「パンデミック期の特別パス」という概念に関して、次のように説明しています。「2020年の3、4月ごろから夏にかけて、顧客の間には、企業も自分たちと同様に困難な状況にあるのだという意識が広がり、寛容で理解ある姿勢を示してくれました。しかし、この特別パスの有効期間はもう終わりました。現在の顧客は、パンデミック以前と同等か、それ以上の品質のサポートを期待しています」

こうした状況の中で、今求められているのは、不機嫌な顧客にも落ち着いて対応し、冷静に判断できる能力を持つオペレーターです。共感力は、コミュニケーションスキルと同じくらい大切な能力です。

(関連記事:Want to be a call center representative? Here’s what you need to know.(コールセンターのオペレーターになるうえでの必須知識))

マネージャー

コールセンターのマネージャーは、カスタマーサービスマネージャー、ビジネスオペレーションマネージャー、カスタマーエクスペリエンスマネージャーなどとも呼ばれます。「Zendeskカスタマーエクスペリエンストレンドレポート2020」によると、一般にこの職種に就くには、3年以上のカスタマーサービスでの職務経験が必要となります。

コールセンターのマネージャーの役割は、オペレーターの仕事への意欲を維持し、適切なトレーニングを提供して、パフォーマンスを高めることにあります。複雑な問題には自らが間に入り、事態の悪化を食い止めます。また、業務で使用するプロセスとテクノロジーを評価して、チームの生産性を維持する必要もあります。

パンデミック以降、マネージャーはリモートワーク下でも、オペレーターの業務状況をしっかりとモニタリングし、指示を与え、コーチングできなければならなくなりました。オペレーターの席に寄って対面で言葉を交わすということが難しくなった今、マネージャーはオンラインでも定期的にチームとコミュニケーションをとれる環境を整える必要があります。また、オペレーターのパフォーマンスを追跡するにはデータが欠かせないため、分析ツールの使用や指標の測定も問題なく行えなければなりません。

カスタマーサービスに関する専門職とその他の役割

カスタマーサービスにかかわる職種は、コールセンターのオペレーターやマネージャーに限りません。従業員エクスペリエンスに関心がある場合は、QA、トレーニング、ワークフォースマネジメントの専任担当者になることも検討してみましょう。最近のコールセンターは、複雑化する組織構造やニーズに対応するため、チームの拡張を図っています。

オペレーターやマネージャーとして特定の業務を極めていきたいという場合は、Zendeskのような専門職に力を入れている企業を探してみましょう。Zendeskでは、Zendesk Suiteに関して、カスタマーサービス関連の製品を担当するチームと、営業関連の製品を担当するチームを分け、それぞれに製品スペシャリストを立てています。こうしたスペシャリストは担当のチームと直に連携して、最新の正確な情報をチームに提供する役割を担います。Zendeskの全製品について細部まで知り尽くすよう個々のオペレーターを指導するのではなく、こうしたスペシャリストを立てることで、各オペレーターが必要な情報を入手できる体制を作りました。

こうしたスペシャリストが担当する製品、チャネル、顧客とのコミュニケーションは、特定の範囲に限定されています。中には、エスカレーション業務だけを受け持つスペシャリストがいるチームもあります。

コールセンターで働くうえで志望企業に確認すべき4つの点

さて、それでは早速コールセンターに関する職種の履歴書を作成し、求人に応募しましょう。志望企業を選ぶ際は、人材育成に投資しているかどうかに着目します。仕事で成果を出すために必要なものを漏れなく提供してくれるかを確認することが大切です。採用面接の際には、以下の点について質問し、志望企業がカスタマーサービスチームの支援に積極的かどうかをチェックしましょう。

  1. 在宅勤務の従業員にどのような機器を提供しているか

    必要な機器を企業が用意して送ってくれるパターンと、自費で購入して経費として精算するパターンが考えられます。また、各自のニーズに応じて、ノートPCやワイヤレスヘッドフォンなどの柔軟性の高い機器を経費で購入することはできるのかも確認しておきましょう。

  2. 就業時間は何時間で、休憩はどのようにとるか

    単にフレックスタイムを採用しているだけでなく、就業時間内に定期的に休憩をとることができ、私用やリフレッシュのために休みをとりやすい企業を選ぶとよいでしょう。

  3. 昇進のチャンスがあり、希望に応じてカスタマーサービス以外の部門に異動することも可能か

    志望企業の面接では、コールセンターのスタッフを大切にしているかという点だけでなく、今後のキャリアにとって有利な環境かという点も探っておくとよいでしょう。どうせなら、従業員のキャリアアップを後押ししてくれる企業に入りたいものです。

    優秀な企業は、コールセンターのオペレーターほど、製品やサービスの説明に長けている従業員はいないということをよく認識しており、製品チームや営業チームとして活躍するチャンスも与えてくれます。そうしたキャリアパスが用意されている職場を探しましょう。

  4. どのようなチャネルで顧客とやり取りするのか

    この問いに対する理想的な答えは、皆さんが何を望むかによって変わってくるでしょう。特定のチャネルの専門性を身につけるため、就業時間の大半をそのチャネルでの対応に充てたいという人もいれば、既に経験を積んでいるチャネルを担当しつつ、製品、顧客、新しい役割に関する知識を徐々に深めたいという人もいるかもしれません。

    一方、1日中同じ仕事はしたくないという人は、複数のチャネルを行き来できるような業務に携わることをお勧めします。「延々と電話対応をするのではなく、あるときはチャットでスピーディに、あるときはメールでもう少しゆったりとといった具合に、さまざまなチャネルで顧客に対応できます。また、ソーシャルメッセージングアプリでの対応も、面白そうだと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。業務にバリエーションがあれば、メリハリが生まれ、日々の仕事がもっと楽しくなるはずです」(Reed)

コールセンターで使用されるテクノロジー

ヘッドセット、コンピューター、インターネット接続といった基本的な機器や設備以外にも、Zendeskのような最新のコールセンターソフトウェアを使用する必要があるケースもあります。コールルーティング、エージェントワークスペース、学習管理システムといった機能やツールがあると、オペレーターとマネージャーの業務効率と満足度が向上します。

  • インテリジェントなコールルーティング:各オペレーターのスキル、チャネル、空き状況のいずれか、またはそのすべてを加味して、適切なオペレ-ターにチケット(問い合わせ)を割り当てるツールです。
  • オムニチャネル対応のエージェントワークスペース:すべてのチャネルにおける顧客のアクティビティや会話履歴をひと目で把握できるインターフェイスです。これにより、オペレーターは必要な背景情報を把握して、高品質なカスタマーエクスペリエンスを提供できます。
  • 学習管理システム:オフィスに集まってトレーニングを受ける時代はもう終わりました。今はオンラインでのトレーニングが可能で、オペレーターもマネージャーも、学習する方法、タイミング、場所を柔軟に選べるようになっています。このソフトウェアはエージェントワークスペースから独立しており、オンライントレーニングの講義を受けられます。
  • ワークフォースマネジメントシステム:マネージャーがオペレーターの行動をリアルタイムでモニタリングしたり、問い合わせの件数やチームの空き状況を追跡したりする目的で使用します。また、今後の需要の予測や、スケジュールの作成にも活用できます。エージェントワークスペースと統合することも、単独で使用することも可能です。
  • セルフサービス用のチャネル:自動音声応答システム(IVR)、ナレッジベース、コミュニティフォーラム、AIボットといった自動化機能は、顧客のセルフサービスを後押しします。簡単な問題は顧客に自力で解決してもらえば、オペレーターやマネージャーは、複雑なニーズを持つ顧客への対応に集中できるようになります。

(関連記事:The 12 best call center software of 2021 (according to users)(2021年版、ユーザーが選ぶ使ってよかったコールセンターソフトウェア12選))

これからのコールセンター

Reedいわく、パンデミックは「大きな起爆剤」となりました。かつての従来型のコールセンターでは、テクノロジーの刷新や在宅勤務の導入といった変化を取り入れるスピードが遅く、それを推し進めるだけの十分な理由もありませんでした。ところが、パンデミックの発生で、コールセンターは顧客にとってもスタッフにとっても柔軟な体制へと移行せざるを得なくなりました。

たとえば、サポートチャネルの種類を増やしたり、問い合わせの急増に伴い、カスタマーサービスチームの負担を軽減するためにセルフサービス用のチャネルを拡充したりしたことが挙げられます。さらに現在では、オペレーターが基本的に自宅で働けるようになったうえ、高度なテクノロジーを利用して、幅広いチャネルの専門知識を身につけられるようになりました。

こうした変化の流れはパンデミックの収束後も続くとZendeskは考えています。具体的には、セルフサービス用のチャネルがいっそう強化され、新たな「コソーシング環境」が広がっていくと見込んでいます。

コソーシング環境を取り入れる動きが進む

従来、企業がコールセンターの運営を外部に委託する場合は、顧客とのやり取りを単純に二分化していました。たとえば、問い合わせの半数を外部チームに割り当てたら、もう半数を社内チームに割り当てるといった具合です。しかし、カスタマージャーニーや顧客とのコミュニケーションが複雑化するのに伴い、企業はアウトソーシングモデルを見直し、新たにコソーシング環境を構築しようとしています。

コソーシングとは、従来のアウトソーシングをより柔軟にした、ハイブリッドな形態のビジネスモデルです。このモデルでは、自社の顧客やチームのニーズに応じ、より明確な方針に基づいてオペレーターに顧客を割り当てます。たとえば、顧客が簡単な問題でもセルフサービスで解決できなかった場合は、外部のオペレーターに引き継いで、複雑な問題や、製品に関する細かな問い合わせについては、知識豊富な社内の担当者が対応するようにします。

コソーシングの別の例としては、メール、チャット、メッセージングツールなど、自社で人気の高いチャネルに関してのみ社内チームにトレーニングを提供して、その道のスペシャリストに育て上げるというアプローチもあります。この場合、対象チャネルでの顧客対応はすべて社内で引き受け、電話対応については外部のチームに委託します。

Zendeskは、将来的に多くの企業が独自のコソーシングモデルの構築に着手すると考えています。それと同時に、カスタマーサービス部門の在り方や運営方法も、企業によって細かく変わっていくでしょう。その結果、コールセンターでの役割も多様化するはずです。複雑な問い合わせに集中できる時間が増えるため、オペレーターのスキルは向上し、中には、特定の分野での顧客対応のみ担当するオペレーターも現れると考えられます。

セルフサービス用のチャネルは今後も拡張

パンデミック以降、電話による問い合わせが急増したことで、多くのカスタマーサービス部門はサポート担当者の負担を減らすため、ヘルプセンターやFAQなど、顧客が自分自身で問題を解決できるセルフサービス用のチャネルを強化しています。

このトレンドからは、さまざまなことが見えてきます。「Zendeskカスタマーエクスペリエンストレンドレポート2020」によれば、セルフサービス用のチャネルを提供している企業は全体の3分の1しかありません。つまり、既にセルフサービスに対応している企業には、カスタマーサービスの分野で差別化を図り、市場競争をリードするチャンスがあるということになります。

前述のIVR、ナレッジベース、コミュニティフォーラム、チャットボットはほんの一例にすぎません。効果的なセルフサービス用のチャネルを求める企業(および顧客)は増加する一方であり、今後数年の間に、セルフサービステクノロジーはさらなる進歩を遂げるでしょう。

  • コールセンターソフトウェアの自動化機能が高度に進化し、一段とスマートで人間味のあるやり取りが可能になります。

  • ナレッジベース、ヘルプセンター、コミュニティフォーラムでの情報の検索性が上がり、それを基にスムーズに行動を起こせるようになります。

  • そうした情報の整備に、カスタマーサービスチームの担当者やマネージャーが大きくかかわるようになります。

  • より明確な方針に基づいてセルフサービスの拡充が進み、徐々に調整を加えていくための長期的な戦略も策定されます。

コールセンターでのキャリアをスタートしましょう

さあ、次の一歩を踏み出す準備はできましたか? オペレーターの業務を把握し、コールセンターで使用するテクノロジーの詳細を理解できたら、次は優れた履歴書の作成に取りかかりましょう

この他にも、カスタマーサービスチームのリーダーへの調査に基づいた、今日のカスタマーサービスで成功するための要件に関する記事や、スキルアップを重ねてカスタマーエクスペリエンスリーダーに成長する方法を紹介している記事もぜひチェックしてみてください。

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