どんなカスタマーサービスチームも、膨大な量の未対応チケットを前にすると腰が引けてしまうものです。徐々にチケットが蓄積していった、突発的な出来事があり一晩で受信トレイが爆発的に膨れ上がったなど、企業によって事情は異なりますが、大量に溜まったチケットへの対応はカスタマーサービス担当者が一度は経験する大きな試練です。
この記事では顧客からの問い合わせによって生じたサポートチケットが大量に溜まっている際の対処に役立つヒントや方法をご紹介します。
そもそも未対応チケットがゼロであることが健全とは限らない
Zendeskのマディソンオフィスのアドボカシー・マネージャーCollin Murrayは「未対応チケットがゼロというのは必ずしも健全なことではありません」と述べています。顧客にさまざまな方法で製品やサービスに関わってもらうことが重要であり、企業は顧客が積極的に問い合わせて、サポートチケットを作ることを推奨すべきです。
「ある程度未対応のチケットが残っていることは予想の範囲内です。大切なことはどのくらいの量の未対応チケットがチームにとって健全なのかを明らかにすることです」とMurrayは言います。未対応のチケットが一定量あることは、チームがさまざまな状況でのアプローチ方法を習得する機会に繋がります。例えば、チケットの量やチームの状態によって、チケットに地道に対応するのが良いのか、それとも新しいチケットや複雑で難しい対応に時間を掛けるべきなのかを考えることができます。
大量の未対応チケットを一掃するための3つのヒント
幸いなことに、Zendeskをはじめとしてチケット量をコントロールするのに役立つツールが幾つかあります。弊社のアドボカシーチームがどのようにチケットを管理し、それに対応しているかをご紹介します。
1. 優先するチケットを選ぶ
大量のチケットを処理しなければならない時は未対応チケットに優先順位をつけグループ分けするのが賢い戦略です。Zendeskで製品サポートのチームリーダーを務めるMadison Davisは、未対応チケットの処理にあたっては、まずリクエスタ(チケットを発行した人)に詳細を確認する必要のあるチケットから対応し、その後すぐに対応できるチケットに取り掛かることを推奨しています。そうすれば、必要な情報を待っている間に他のチケットに集中できるからです。
Davisは応答時間にも細かく注意することを勧めています。もし長い間、何の応答もされていないチケットが溜まっている状況であれば、チケットに優先順位を付けて対応すれば顧客の待ち時間を減らすことができます。「私のチームでは、顧客が取引先とやり取りするうえで発生するであろう影響の大きさを基準にチケットを分類しています。例えば「ログインできない」という問題は、顧客が全く業務を進めることができないため、「このレポートの作成方法を教えてほしい」という問い合わせよりも業務に大きな影響を与えます。しかし、影響が小さい問い合わせであっても、顧客が期限を設定しているチケットは注意が必要です」とDavisは述べています。
2. 未解決チケットには設定したタイミングで自動的にメッセージが送信されるように設定する
顧客からの返信が一切なくなった未解決チケットはどのように処理すればよいでしょうか? 応答のない顧客全てに連絡を取ろうとするとチームに大きな負担が掛かります。また、こうした顧客が増えると、未対応チケットへの処理にも影響が及びかねません。そこで役に立つのが「自動化」と「トリガの設定」です。
Zendeskエージェントは顧客から一定期間応答がない場合は自動的にリマインドメールを送信して応答を促しています。それでも顧客から応答がない場合、数日後に再び自動的にリマインドメールが送信されます。このようにリマインドメールを2回送信することで、顧客が必要があればエージェントに連絡をする機会を設けています。Zendeskはこの手法を「Bump Bump Solve」と呼んでいます。
自動化とトリガを活用すれば、こうした保留中のチケットをエージェントの手から離すことができ、エージェントはより緊急度や難易度が高いチケットに力を注ぐ時間を増やすことができます。「Bump Bump Solve」の詳細と設定方法については、こちらをご覧ください。
3. 最適な時間と場所を選んで、チケットに一気に対応する
未対応チケットが膨大な量に膨れ上がってしまった場合は、チームの総力を結集して取り掛かるというアプローチが必要かもしれません。2~3時間の作業時間を見込んで軽く食事をしてから、チームで一丸となって一気にチケットを処理していきましょう。
Zendeskのエージェントは、こうしたアプローチを「チケットスマッシュ」と呼んでいます。「チケットスマッシュ」では、チームで協力して効率的に作業に取り組み、未対応チケットへの最適な対処方法に知恵を絞ります。ときにはチケットスマッシュをは業務時間後や毎週のチームミーティング中に実施しなければいけないこともあるでしょう。こういうときは出前をとったりリラックスできる音楽を流したりしてイベントにしてしまうのもひとつの手です。どんなやり方でも、チームが一体感を持ってチケットスマッシュに取り組めれば最後までチケットを処理していけます。
前向きな姿勢が成功の秘訣
Zendeskのカスタマーサポートを担当しているアドボカシーチームによれば、未対応チケットが膨大になっている状況を打破するためには、作業に何かしらポジティブな面を見つけることが大切です。Zendeskのテクニカルサポートエンジニア Bryan Flahertyは、「大量の未対応チケットがあると楽しくなります」と言い切ります。特にさまざまな種類のチケットがあったほうが嬉しいそうです。
あるチケットに行き詰ったら別のチケットに切り替えるというアプローチを取るFlahertyは次のように述べています。
「たいていの場合、難しい問題に出くわしたら一旦置いておき、1つか2つ別の問題に取り組んで解決してからその問題に戻ると、行く手を阻んでいた壁を乗り越えられることがよくあります。勢いを保つのが秘訣です」