マクロ経済の逆風が吹き荒れる中、多くのテクノロジー企業が予算削減と組織のフラット化に取り組んでいます。MetaのCEO、マーク・ザッカーバーグはそれを「効率化の年(year of efficiency)」と呼んでいますが、「ハイテクブームの終焉」と言う人もいます。
予算面での課題は残るものの、希望も生まれています。生成AIツールの登場により、ソフトウェア企業はチームの増員なしに拡大する顧客基盤とサポートニーズに対応する手段を手に入れました。
AI革命が、絶好のタイミングで起こりつつあります。ここでは、ソフトウェア企業やクラウドサービス企業がAIを活用してコスト削減を実現するための、3つのヒントをご紹介します。
1. サービス品質はそのままで運用コストを削減
「いまはカスタマーサポートを縮小する時期ではない」という見方は、すでにテクノロジーリーダーの間では常識となっています。
Zendeskの最新の調査によると、景気後退期にはかえって優れたカスタマーサービスの重要性が増すと回答したテクノロジーリーダーの割合は、84%にものぼります。
84%ものテクノロジーリーダーが「景気後退期には優れたカスタマーサービスを提供することの重要性が増す」と回答。
オムニチャネルのサポートやセルフサービスを通じて優れたCX(顧客体験、カスタマーエクスペリエンス)を実現することは、顧客維持率の向上に欠かせません。AIの役割は、CXに携わるすべての人がセルフサービス手段を簡単に利用できるようにすることと言えるでしょう。
よくある質問や手続きを顧客が自らその場で解決できれば、連絡を待つ必要がなくなるため顧客満足度は高まります。またパスワード変更のような単純な手続きをボットに任せれば、チームの作業時間節約とコスト削減につながります。
Zendeskによる自動化と自己解決の促進で130万ドルのコスト削減に成功したUnity
3Dプロジェクトの開発プラットフォームを提供するUnityは、問い合わせ増加にどのように対応すべきか検討した結果、スタッフの増員よりもCXシステムを拡大すべきであると判断しました。
同社はZendeskのAIやセルフサービスの導入により、利用率の向上と問い合わせ削減の両方の実現に成功しました。
「Zendeskのおかげでセルフサービス型サポートを提供できるようになり、昨年はチケット数を8,000件近くも減らすことができました。これは、およそ130万ドルの経費削減に相当します」と、Unityのサービスサポート担当シニアマネージャー、David Schroeder氏は語ります。
2. 最小限の人数で生産性を最大化
ソフトウェア・クラウドサービス業界での問い合わせ数は増加を続けており、今後1年間でその数はさらに増えると予測する業界リーダーの割合は、82%にものぼります。
高まるサポートニーズに対応するには、チームの効率化と業務のスピードアップが欠かせません。AIを活用しているカスタマーサービスチームは、担当者のワークフローの合理化、ヘルプセンターのコンテンツの最適化、応答時間の短縮をいち早く実現しています。
AIは今後ますます、企業にチャンスをもたらすと予想されます。貴社でまだAIを導入されていないとしたら、今がそのチャンスです。AIが可能にするインテリジェントなCXは、サポートチームと顧客の双方に大きな価値をもたらすでしょう。
スタッフを増やさずに60%のユーザー増に対応したLimeade
従業員のための福利厚生プラットフォームを提供するLimeadeは、Salesforceの複雑さと非効率なエスカレーションプロセスに悩まされ、Zendeskへの切り替えを決断しました。
Zendeskの生産性向上ツールでCXチームが社内ナレッジを十分活用できるようにし、併せてトレーニングも実施しました。これにより業務が簡易化されただけでなく、担当者一人ひとりが自信を持って顧客に接することができるようになりました。
Zendeskへの切り替え以降、チームの生産性指標は向上し、エスカレーション率は低下。スタッフには余裕が生まれ、時間を有効活用することでパフォーマンスを最大限に発揮できるようになりました。
初回応答時間を30%短縮
技術関連のチケット解決時間を35%短縮
エスカレーション率を50%削減
3. CXの質を高めて顧客維持率と収益を同時に向上
景気の良し悪しにかかわらず、顧客はどんなときも優れたサービスを求めています。そうした顧客の期待に応えられないとしたら、かなりの代償を払う覚悟が必要でしょう。
Zendeskの調査によると、シームレスな対話型体験を提供する企業を優先して利用すると回答した消費者の割合は、70%にもおよびます。
70%の消費者がシームレスな対話型体験を提供する企業を優先して利用すると回答。
CXによる差別化は、テクノロジー企業にとっては特に重要です。なぜなら顧客がサービスに満足できなかった場合、他社への乗り換えが極めて容易なためです。
AIとデータ分析を利用すれば、よりパーソナライズされたワンランク上の体験を提供できます。
大規模企業90%以上の顧客基盤を維持するQumu
信頼性の高い安全な動画プラットフォームを提供するQumuは、エンタープライズを問題視企業(大規模企業)の顧客が多いにもかかわらずCXがエンタープライズグレードとは言い難いことを自覚していました。
Qumuのサポートチームは、顧客のリクエストに優先順位をつけるシステムを持たなかったため、最重要顧客のチケットと1回限りの単純な質問のチケットさえ分別することができずにいました。また価値の高い顧客や重要なビジネスチャンスの獲得に必要なデータも持ち合わせていませんでした。
現在はZendeskで顧客の満足度をきめ細かく監視し、顧客離れを未然に防いでいます。
Qumuのカスタマーサクセス部門バイスプレジデント、Chad Sears氏は「サポートチームの競争優位性を高めることができました。従来のソリューションでは叶わなかった機能を、Zendeskは可能にしてくれます」と述べています。
コスト削減は顧客の利益にもつながる
効率と生産性向上のためにCXを最適化することは、自社の収益向上のみに留まらず、顧客にも大きなメリットをもたらします。
簡単な質問にはボットが即座に回答し、より複雑な質問は人間のサポート担当者に引き継ぐため、企業全体としてスピーディーな対応が可能になります。また顧客にとっても、AIとデータ分析により企業とのやり取りがより快適でスムーズなものとなります。
適切なツールの導入は、顧客、サポート担当者、経営者を含めて、あらゆる人にメリットをもたらします。