カスタマーサポートに「サポートチケット」を取り入れる企業が増えてきています。サポートチケットとは、カスタマーの問い合わせを「チケット」という単位で扱うシステム。カスタマー側は必要な分だけチケットを使うことができ、サポート側は無料サポートの数を減らすことができるため、サポート側とカスタマー側の双方にメリットがあるシステムといえます。ただし、まだ不慣れなカスタマーも多いため、運用には注意が必要です。
サポートチケットとは?
最近、カスタマーサポートに導入される機会が増えてきたシステムが「サポートチケット」です。カスタマーの利便性を高めると同時に、無料サポートでベンダーが疲弊するのを防ぐことができるのがサポートチケットの特長です。
サポートチケットの概要
サポートチケットとは、サポートを受ける際に専用のチケットが必要になる仕組みのことを指します。カスタマーは、有料のチケットを使ってカスタマーサポートを利用します。サポートチケットを導入すると、ベンダーやサポート会社は高品質なサポートを素早く提供できるようになり、顧客満足度を上げることが可能となります。
サポートチケットの仕組み
サポートを受けるカスタマーは、最初にベンダーから一定数のチケットを購入します。これは実物のチケットではなく、Web上でやり取りされるデジタルチケットです。チケットには、カスタマーごとの番号が付けられており、サポートを受けるたびに規定数のチケットが消費される仕組みになっています。
例えば、ライブチャットで質問をしたら1枚、電話でフォローを受けたら1枚、という具合にサポートを受けるたびにチケットを消費していきます。基本的に、1つのサポートごとに1枚のチケットを消費します。同じ電話でサポートを受ける場合であっても、別の質問をするときは、もう1枚のチケットが必要になります。
サポートチケットのメリット
サポートチケットは基本的に有料サポートとなるため、これまで無料または定額制のサポートを受けてきたカスタマーには少し抵抗があるかもしれません。しかし、サポートチケットには、カスタマーにとっても多くのメリットがあります。
必要な分だけ利用できる
カスタマーはなるべくチケットを消費しないよう、必要な分だけサポートチケットを購入するようになります。その結果、サポートを利用する回数が減り、月額や年額の保守契約よりもコストを削減できる場合があります。
サポート側からすると、「ついでに」や「ちょっとした」という相談が減り、本当に必要なときに、丁寧なサポートを行えるようになるでしょう。
チャネルが異なっても一貫したサポートを行える
サポートの記録は、利用したチケットの番号で管理されます。Webチャットやお問い合わせフォーム、メールなど、複数のチャネルからサポートを利用した場合でも、チケット番号をもとに過去のサポートデータを一元管理することが可能です。データを一元管理することで、サポート側はカスタマーの過去ログを参考にしながら一貫したサポートを行うことが可能となります。
カスタマー側も、利用するチャネルが変わるたびに同じ説明を繰り返したり、何度も顧客情報を入力したりする手間を省くことができます。サポート窓口をたらい回しにされる心配もなくなります。
サポートの経過を残せる
サポートデータはカスタマーごとに保存されます。ここには、過去のサポート内容、解決方法、解決までの時間など、さまざまなデータが記録され、サポート側だけでなく、カスタマー側もデータにアクセスすることが可能となっています。
サポート側は、過去の経過を見ることで現状を分析しやすくなります。それによって、より適切で効果的なサポートを受けられるようになるでしょう。過去にも同じトラブルが発生していた場合、カスタマー自身がデータを見ることで問題を自己解決できるケースもあり、時間と費用の節約になります。
問題追跡システムとして利用できる
カスタマーごとに一貫したサポートを行うことで、データを問題追跡システムとしても利用できます。サポート側は、「特定の問題が複数の顧客で発生していないか?」、もしくは「特定の顧客にだけ頻発するトラブルなのか?」といったことを把握しやすくなります。
カスタマーデータを分析することで、短期的なトラブルの対処法だけでなく、バグやトラブルの原因になっている問題点を発見できるかもしれません。これは、サポート側の知見を増やすことにもつながります。
サポートチケット運用上の注意点
サポートチケットは一般的に広く普及しているシステムではないため、スムーズに運用するには以下の点に注意しなければなりません。
チケット1枚でカバーできる範囲を明確にする
サポートチケットは、1つの質問やトラブルごとにチケットを1枚消費します。1回のチャットやメールでも、複数の質問があれば、それに応じたチケットが必要になります。これまでのサポートとは異なる料金体系になるため、カスタマーに対して十分な説明が求められます。
また、サポートチケットの使用をオンラインサポートのみに限定し、訪問サポートやリモート操作などをチケットの範囲外にしているベンダーもあります。これまで年間契約ではカバーされていた範囲であっても、サポートチケットではカバーされていない場合があります。よって、年間契約からサポートチケットに切り替えた顧客とトラブルが生じる可能性も否めません。
あらかじめ、サポートチケットでカバーできる範囲を明確に示しておくと同時に、サポートチケットで対応できない部分はどのようにサポートするか提示しておく必要があります。
サポートチケットはカスタマーを選ぶ
サポートチケットは、オンラインサポートが基本となります。よって、サポートを受けるカスタマーは、トラブルの内容や稼働状況を説明したり、障害の発生箇所を特定したりする必要があります。このため、カスタマーにもある程度の知識が求められます。
サポートチケットには有効期限がある
サポートチケットには購入から3カ月、6カ月、1年などの有効期限が設けられており、期限を過ぎたチケットは利用できなくなります。このため、一度に大量購入すると、チケットが無駄になってしまう可能性があります。期限切れのサポートチケットが大量に残るとトラブルの原因になるので、必要最小限の量を購入するようにカスタマーに説明しておく必要があります。
まとめ:
サポートチケットシステムを生かすには運用ルールが重要
サポートチケットは、カスタマー側とサポート側の双方に利点のあるシステムです。ただし、サポートチケットでカバーできる範囲をはっきりさせておかないとトラブルに発展するケースもあります。サポートチケットを導入する際は、運用のルールを明確に規定し、カスタマーに丁寧に説明しなければなりません。