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カスタマーサービスエージェントを内勤営業に変える
コンバージョン率と平均発注単価の改善は、まずはCXエージェントに強力なツールを提供することから。顧客との日々のコミュニケーションから収益創出のチャンスを掘り起こす原動力となってくれます。
著者: Caitlin Keohane, Zendesk、グローバルカスタマーアドボカシーSVP
更新日: 2023年1月27日
世界的な景気後退期への懸念の声が聞かれる昨今、購買意欲の冷え込みは驚くに値しません。 ここで、ちょっと元気をもらえる話題をお届けしましょう。 2022年における全世界の消費者動向の予測について、小売商品で1兆3010億米ドル、デジタル支出では57億1700万米ドルを、前年より多く消費するとの結果が出ています。
ウェルズ・ファーゴのシニアエコノミストであるTim Quinlan氏はロイター通信に対し次のように語りました。「消費者の購買力は衰えを見せているものの、いくつかの転換点の兆しを読み取れます。 インフレ継続と金融政策の引き締めが個人消費に大きな影を落とし始めるなか、全般的な支出は引き続き穏やかな伸びを示すと考えられます」。
消費者はこれまで我慢していた消費を爆発させるまでには達していないものの、その多くがオンライン消費に前向きであることは明らかです。 一歩先行くEコマース有力企業はカスタマーエクスペリンス(CX)チームに関し、顧客の問い合わせのすばやい解決はもとより、営業担当のような動きも行う組織と位置付けています。
切っても切れない「顧客」と「関係」
CRM(顧客関係管理)ソフトウェアに投資する計画があったとしても、カスタマーサービスエージェントがCRMのR(関係)の重要性を見落としていては、際立った導入効果は期待できません。 顧客がブランドと構築する関係性こそ最重要課題。エージェントがこの点を理解することで、顧客離れを最低限に食い止め、リピート購入を伸ばし、さらにはアップセルにもつながります。
カスタマーエクスペリエンス(CX)エージェントがブランドにふさわしい接し方で顧客に寄り添うこと。そうすることで、おのずと収益増加の原動力となっていきます。 エージェントがカスタマージャーニーのすべての接点を見渡せるプラットフォームのある環境なら、サポートが売り上げにつながることは当然の成り行きだといえます。
CX主導で売り上げ100万ユーロを達成
アイルランド、ダブリンを拠点とするChupiは、時代を超えた美しさを放つゴールドやダイヤモンド、希少価値の高い宝石を専門的に取り扱っています。 社名は創業者のChupi Sweetman氏に由来するChupi。2011年の創業以来からこれまでにわたり安定的に成長を続けるとともに、VIPカスタマーエクスペリエンスで知られています。
2020年、Chupiはコールセンターの外部委託を見直し、自社カスタマーケアチームを立ち上げるとともにサポートプラットフォームを新規に導入。 新体制の運用開始から短期間でChupiは成長を遂げ、顧客ニーズに合わせてCXチームの人員を倍増するまでの盛況ぶりでした。 新システムでカスタマージャーニーの理解が深まったChupiの最高技術責任者(CTO)、Brian Durney氏にはある気づきがありました。それは、カスタマーサポートへの問い合わせには売り上げという商機が眠っているということです。
「カスタマーケアエージェントが電話越しに購入が近いと感じ、顧客が実物のジュエリーを見たがっている場合、エージェントはZendesk上でチケットをエスカレーションし、オンラインコンサルティングの予約に進みます。そして後日、コンサルティング後用の資料などと併せてフォローアップを行っています」とDurney氏は話します。 「こうした顧客とのセッションは、コンバージョン率65%と成功を収めています」。
カスタマージャーニーの各段階にいる見込み客に対してZendeskを活用することで、ChupiのCXチームは追跡、育成、フォローアップとスムーズに段階を踏むことが可能になったのです。
Durney氏は「2020年はカスタマーケアベースの売上が3倍の伸びを示した年でしたね。 カスタマーケアチームによる直接販売が100万ユーロに達したほどです」と振り返りました。
会話をコンバージョンにつなげる
Z世代やミレニアル世代の引っ越しに特化し、保管、引っ越し、運送といった一連のサービスをワンストップで展開するDorm Room Movers。 2007年創業の同社は、全米各地で延べ85,000人以上の大学生に引っ越しサービスを提供してきました。
親しみやすくて信頼のおけるサービスを打ち出すDorm Room Moversのサポートチームでは、学生や親との連絡にはメール、メッセージング、テキスト、音声通話といった多岐におよぶ手段を利用し、Facebook、Instagram、Twitterなどソーシャルメディアも活用しています。 こうした多チャネル展開によりCXチームは多忙を極め、 エージェントは月間にして最大1,000のメッセージングの会話に対応しているほどです。
「Zendeskによってサポート業務のシンプル化と合理化が実現し、すべてのチャネルのメッセージを1ヵ所に集約して確認できるようになりました」と説明するのは、Dorm Room Moversのプロダクションスーパーバイザー、Steve Lacoss氏。 エージェントは顧客が置かれた状況について全体像をつかめるため、顧客に同じ話を繰り返してもらうことなく会話を次の段階に進めることができます。
一元化されたプラットフォームのおかげで、エージェントは会話を売り上げにつなげやすくなり、リードのコンバージョン率は79%も増加しました。 Steve Lacoss氏はさらに「Zendeskのメッセージング機能は、問い合わせに今すぐ対応してくれるという充足感が生まれることにより、良好な顧客関係構築に貢献しています」との見方を示しています。
顧客との良好な関係を築けるということは、Dorm Room Moversの顧客は満足度が高いということです。 Lacoss氏は効果について次のように語りました。「顧客満足度スコアは年を追うごとに目を見張る向上が見られます。 2021年に77%だったスコアは、2022年には85%になりました」。
エージェントに攻めの姿勢を
安定して上質のカスタマーエクスペリンスを提供できるエージェントなら、その意気込みをもう一歩先に進め成約に持ち込める可能性があります。 顧客一人ひとりに寄り添う会話型サービスの使用を推進することで、エージェントはカスタマーサービスに関する問題の解決を超えて、オンライン売上の拡大にも貢献してくれることでしょう。