多くの中小企業は、顧客の情報を取得してリクエストに応じるためだけに、複数のツールを寄せ集めて使用しています。これは時間の無駄、リクエストの見逃し、売上の損失につながり、成長中の企業にとって好ましいことではありません。また、こうした一時しのぎの対応はスケーラビリティに欠けています。
ビジネスの成長に合わせて、使用するテクノロジーも成熟していく必要があります。以下では、持続的成長と長期的な成功を目指してサポートチーム拡大するうえで、カスタマーサービス ソフトウェアがどのように役立つかをご紹介します。
目次
1. カスタマーサービス ソリューションを導入すべきタイミングを判断する方法
たとえ数人でも、主な職務が顧客からのメールに返信することであるスタッフがいるなら、顧客のメール管理システムを導入すべきタイミングだと言えます。当然のことですが、多くの企業はまとまりのないスタートアップ時代から使用しているシステム(OutlookやGmailなどのメールクライアントの場合が多数)をアップグレードすべきタイミングを把握しているわけではありません。しかし、こうしたシステムは問題を解決するより、むしろ問題を増やす原因となります。カスタマーサービス ソフトウェアは、以下の機能によりスムーズな対応をサポートします。
- エージェントが必要とするすべてのものを1つのワークスペースにまとめる
- 解決を早め、顧客を満足させることにつながる顧客の背景情報を提供する
- チームメンバー間のコラボレーションを促進する
- CX戦略の指針となる実用的なデータを取得する
2. 受け取ったリクエストを分類する最適な方法とは
チケットフィールドを活用することが重要です。Zendeskの関連サービスコンサルタントのDon Newtonは、チケットフィールドを使うことで、少しのやりとりで問題を早期に解決できるようになるとしています。ウェブフォームでリクエストや製品カテゴリのタイプなどの適切な情報を収集すれば、リクエストあたり2~3通メール数を減らすことができます。そうすれば、雇用する必要があるスタッフ数も変わってくる可能性があります。組織によってニーズは異なるものですが、Newtonによれば各チケットフィールドにはそれぞれ目的が必要であり、通常、その目的は次の3つのカテゴリに分類されるといいます。
- ルーティング — リクエストを適切なチームメンバーに転送する
- 解決 — 問題の解決に必要な情報を取得する
- レポート — レポーティングのため問題を分類する
メール専用ツールから、チケットフィールドを含むウェブフォームの使用に移行することは、大きなステップアップとなります。チケットを開く前の段階で、チケットフィールドを通して問題に関する情報を取得すれば、対応に関わるあらゆるメンバーのプロセスを効率化できます。これは、サポート体制を改善する最も簡単な方法のひとつです。
3. ナレッジベースはすべての組織に必要か
Newtonによると、必ずしもそうではありません。必要かどうかは、受け取るリクエストの量と製品の複雑性によって異なります。少量だけれども、頻繁に問い合わせのある同じ内容のリクエスト(よくある質問)が一定して入ってくる場合は、ウェブサイトに「よくある質問」のページを設けるだけで十分でしょう。その後、サポートチームが容易に問題を解決できるようによくある質問の内容に基づいたメールテンプレートを作成することもできます。しかし、ビジネスが成長し、顧客が増えていくにつれて幅広い問い合わせが寄せられるようになると、ナレッジベース管理システムによる支援が有効になってきます。
同時に、複雑性を考慮する必要があります。たとえば靴を販売しているなら、サイズ、配送、返品に関する質問など、顧客から常に問い合わせのある一連の質問は簡単なものであるはずです。しかし、写真撮影用機材を販売している場合、幅広いユースケースや技術的難易度の質問が寄せられる可能性があります。そうした場合にナレッジベースを活用すれば、情報を容易に共有して対応を支援できます。
4. サポートエージェントを増やすべきタイミングを判断する方法
エージェントの採用を増やすべきタイミングを知る最も簡単な方法は、応答時間、処理時間、顧客満足度スコア(CSAT)などの特定のヘルプデスク主要指標で、目標を達成できているかどうかを確認することです。業界のベンチマークと比較して、自社の状況を判断しましょう。目標を達成できていない場合は、考えられる原因を検討します。
チケットの量が増えているか
非効率的なワークフローがあるか
チームにナレッジギャップがあるか
チケットの量が増えているのが問題ならば、雇用するエージェント数を増やす必要があるかもしれません。冗長なプロセスや複雑なワークフローが問題なら、合理化できる部分を検討するか、プロセスを自動化してパフォーマンスを向上させましょう。たとえば、Zendesk Support Suiteでは、達成したい特定の目標や、目標値にどれだけ近いかに基づいて、受信リクエストを優先順位付けできるワークフローを追加できます。ナレッジギャップが問題ならば、エージェントのトレーニング内容を確認して、最新の製品知識と業界トレンドを常に把握するために必要なリソースを提供するようにします。
5. 専任の管理者を配置すべきタイミング
チームが成長を続けているなら、日常業務の管理、システムメンテナンスの実施、発生する可能性がある問題の報告を担当するフルタイムの管理者を採用することを検討しましょう。Newtonによると、厳重な決まりはないけれども、エージェント数が10人を超えているなら、専任管理者の配置を検討し始めてもよいとのことです。もうひとつの検討事項は、サポートのニーズが変化する頻度です。定期的に新しいワークフローを構築してテストする計画がある場合は、新しい構成の開発とその成果の監視を主導する管理者の追加を検討してください。
権限の付与やアカウント設定の変更といった管理タスクは、いずれにしても誰かに任せることになるものです。それを念頭に、スタッフとリソースを割り当てるようにします。
6. サポートチャネルを追加すべきタイミングを判断する方法
現在も、電話とメールは顧客が最も使用しているサポートへの問い合わせチャネルとなっていますが、オムニチャネルでのサポートへの期待も高まってきています。ライブチャットやソーシャルメッセージングといった好みのチャネルを通して企業とつながりたいと考える顧客が増えているためです。しかし、新たなチャネルを追加する前に、サービス品質を維持しながら必要な数のスタッフを配置できるかを考慮する必要があります。たとえば、メールでのリクエストには即時応答は必要ありませんが、ライブチャットでは顧客とのリアルタイムなやりとりが必要となります。一方、チャット担当エージェントを増やす場合、エージェントが複数のチャットに同時に対応できる場合が多いため、投資収益率が高まる可能性があるというメリットもあります。COVID-19の影響で多くの企業がそうしているように、ライブチャット チャネルの追加や拡大を検討している場合は、こちらのライブチャットのベストプラクティスをぜひご覧ください。
7. エージェントの知識は全般的であるべきか、専門的であるべきか
ある程度の専門化は役に立ちますが、Newtonはジェネラリストの方が多方面に対応できるとしています。より迅速にスタッフを配置できるよう、可能であれば、エージェントに各サービスチャネルに関するトレーニングを提供することを推奨しています。そうすることで、たとえばチャットのリクエストが急増した場合にも、エージェントを容易に配置換えして需要に対応できます。さまざまなチャネルに対応できるようにしておくことは、エージェントにとってもカスタマーサービスのスキルを磨く機会が増えることになります。また、単調な作業に疲れるのを防ぐこともできます。
とはいえ、専門化は特定のニッチな分野では有効な場合もあります。たとえば、Zendeskにはソーシャルメディア経由のリクエスト対応のために追加トレーニングを受けたエージェントのチームがあります。ソーシャルメディア経由の対応では、迅速さに加えてユーモアのセンスも必要となることが多いためです。
組織のニーズはさまざま
サポートチームを拡大する際の検討事項は数多くありますが、結局のところはチームが仕事をこなすために最適なツールを提供してサポートすることが、チームを強化することになります。組織のニーズはそれぞれに異なります。正解や不正解はありません。ビジネスが成長を続け、変化し続ける市場に応じていくうちに、ニーズは変わっていくものです。適切なテクノロジーを活用すれば、どのような方向に進んでも適応してスケーリングできるようになります。