「何のための会議だろう?」と思うような営業会議に出席したことはありませんか? 周到に用意されたプレゼンテーションではあっても、筋道が通っておらず、会議の目的もはっきりしません。
誰もがそのような体験をしたことがあるでしょう。実際、Harvard Business Reviewの調査によると、シニアマネージャーの71%は、会議は非生産的で非効率的だと考えているといいます。
営業部門の場合、必要のない会議をすると、ダメージは特に大きくなります。見込み客とコミュニケーションをとるための時間を少しでも多く確保する必要があるため、営業担当者の時間を無駄にしたくはありません。
効果的な営業会議にしようと思っても、難しい場合もあります。コロナ禍でリモートワークを強いられている部門の場合はなおさら、困難を伴うことも増えるでしょう。しかし、心配無用です。簡単にできる改善点を取り入れながら会議を開くようにすれば、他社の先を行くことができます。
1.出席者の意見を聞く
会議のなかで話し合いたい内容がないかを、前もって営業担当者に尋ねるようにしましょう。自分の意見を大切にしてもらっていると部員が感じるようになると、部門の士気が高まることも期待できます。また、意見を集めることで、営業担当者がどのような悩みを抱えていて、見込み客にどのような対応をしているかをより深く知ることもできます。
会議に先立って、会議で扱ってほしい議題や顧客との対応で直面している課題がないかを、出席者にメールで質問することをお勧めします。メールの代わりに、会議の1週間ほど前に1対1で話す機会を設けて、どのような悩みを抱えているかをもう少し詳しく理解できるようにするのもよいでしょう。
ときには、事前に意見を集められないことも出てくるかもしれません。そのような時は、会議を始める時に、顧客に関する問題のうち、どれについて話し合いたいか聞いてみましょう。各担当者の意見を聞くようにすると、何度も起こっている対応が必要な問題を特定できるかもしれません。
顧客に関連した質問や課題の具体例を3つ用意してきてもらうようにすると、参加者から意見を集める時に非常に効果的です。
こうした例を共有できれば、繰り返し起こっている問題を特定できます。ひょっとしたら、見込み客との話のなかで価格設定に関する特定の課題を経験している営業担当者が何人もいるかもしれません。そのような時は、それが焦点を当てるべき重要な問題で、後日しっかり対処しなければならない事柄かもしれません。
顧客に関連した質問や課題の具体例を3つ用意してきてもらうようにすると、参加者から意見を集める時に非常に効果的です。
他に同じ質問や課題を抱えている人がいない場合は、その営業担当者が個人的に直面している問題なのかもしれません。その場合は、会議の後で、個別に詳しい状況や背景情報を尋ねるようにすればよいでしょう。
営業部員の意見を集められるようにするには、各自が安心して自分の考えを発言できる思いやりのある職場環境を構築することが重要です。相手の考えを退けるような対応をすると、営業担当者は自分の考えを進んで共有しようとは思わなくなってしまいます。問題の大小に関わらず、どのような意見にも敬意を払って接すれば、部員はマネージャーの存在を心強く思ってくれるはずです。
2. 会議の方向性を定める
会議を実施する時は、事前に目的を明確に定めておくと、出席者全員が適切な準備をしたうえで臨めます。前もって計画しておくと、時間の節約にもなります。全員が議論の要点を理解していれば、会議の方向性が定まり、すみやかに進行できます。
Zendeskでは、チームのすべての成功を追跡するためのSlackチャネルを別に設けています。全員出席の営業会議で成功を祝うためです。GiphyのGIFを使うと、リモートでもチームの成功を楽しく祝うことができます。
例えば、業績予測のための会議を行う場合を考えてみましょう。この場合は、参加者に会議の目的を伝えたうえで、対象となるKPIについて議論できるように準備してきてもらうようにする必要があります。営業会議のアジェンダのなかで、各営業担当者に達成が求められる1日または1か月あたり電話件数や売上などを示すのも有効な方法です。これがあれば、どのような成果をもたらす施策が期待されているかを出席者が明確に理解できます。
営業会議の場合、曖昧で一般的な目標にすることは避けるべきです。生産的な会議にするためには、例えば次のような具体的な目的が必要です。
営業部門として追跡・測定する具体的なKPIを決める
現在の営業プロジェクトの進捗状況を共有する
部門または営業担当者が直面している営業課題に対処する
「具体的か(Specific)、測定可能か(Measurable)、達成可能か(Achievable)、関連性があるか(Relevant)、期限はあるか(Time-bound)」を明確にしたSMARTフレームワークを使用して、誤解されることのない会議の目標を設定しましょう。会議を設定する時には、必ずこの基準を満たした目的を設定することが大切です。
3. 営業会議のテーマはひとつに絞る
広範囲の分野を扱う総合的な会議は最小限にとどめましょう。この種の会議は焦点が定まりにくく、出席する必要のない人にまで会議通知が送られることも少なくありません。
多くの場合、議題をひとつに絞った会議の方がスムーズに進行できます。全員がその議題に集中できるため、会議が簡潔になります。会議が効率化されると、営業担当者のスケジュールにも余裕ができます。会議の内容に関係しない人にまで、営業会議に出席してもらうのは意味のないことです。本来の仕事から離れさせてまで、形式だけの出席を要求することは避ける必要があります。
議題に関係のない人にまで、営業会議に出席してもらうのは意味のないことです。
ひとつの議題だけを話し合う会議を設定する時には、すべての営業担当者が発言したうえで話し合えるだけの時間を確保する必要があります。コロナ禍で多くの人がリモートで仕事をするようになっていることからも、この種の会議の重要性が高まっています。会議は営業担当者どうしが顔を合わせて、相互につながり続けるための場にもなります。ここでのやりとりは、通常のオフィス勤務の場合に自然と生まれるブレインストーミングの代わりにもなります。
4. 営業部門の士気を維持する
従業員の意欲が低いと、企業に影響が及びます。チームの士気が低くなると、多くの場合、生産性も下がるためです。社員が離職すると、多額の費用がかかることは言うまでもありません。実際、その費用はその人の年収の75~150%にも及ぶといいます。
これらの点を考慮すると、企業にとって最良なのは、やはり今の営業部員が力を発揮できるようにすることです。
営業担当者が常に意欲的でいられるような会議になるようにしましょう。新型コロナウイルス感染症の流行下では、リモートでのコミュニケーションを工夫する必要があります。
オンラインで営業会議をする時は、事前に質問を送るようにしましょう。より突っ込んだ議論ができるように、会議で質問する内容をあらかじめ伝えて、回答を考えてきてもらうように個人的に依頼するのも一案です。
個別のミーティングは電話で行うようにするのもよいでしょう。コンピュータから離れることで、打ち解けた雰囲気のなかで営業担当者と話ができるかもしれません。リモートで働く営業担当者はオンライン会議ばかりで疲れていることが多いため、こうした柔軟な配慮を喜ぶはずです。近所を散歩して新鮮な空気を吸いながら話をすることを勧めてもよいでしょう。
マネージャーと部員が1対1で話す機会をもちながら、それ以外にも、仕事とは関係のない話ができる雑談のためのオンライン会議を定期的にもつようにすることをお勧めします。部員どうしが個人的に知り合う時間をもつと、チーム意識が高まります。理想的には、オフィスでの普段の雑談のような気分を味わえる場にできれば、部員どうしの連帯感が促進されるはずです。
臨機応変に対応する
営業会議に計画が必要とはいっても、すべてを予定どおりに進行しなければならないわけではありません。出席者のスケジュールや仕事量に合わせて、自由にアレンジしてください。
営業部門の繁忙期やストレスが大きい時には特に、柔軟に対応することが大切になります。営業部員と個人的に話す機会を設けて、仕事の進み具合を聞いたり、会議への出席が過度の負荷やストレスにならないことを確認したりすることをお勧めします。思いやりをもちながら会議を設定するようにすると、営業担当者も上司のサポートを実感できるはずです。