現在、他社との差別化を図る手段として、顧客へのサービスやサポートの強化に取り組む企業が急増しています。実際、Forresterの最新調査でも、72%の企業がカスタマーサービスを最優先課題と見なしていると回答しています。
しかし、カスタマーサービスを改善するには、いったい何から手を付ければよいのでしょうか? この記事を読めば、その答えがきっと見つかります。Zendeskのカスタマーエクスペリエンス(CX)チームは、世界有数の大企業から、活気あふれるスタートアップ企業まで、数千社ものお客様がカスタマーサービスエクスペリエンスを再検討される過程をご支援してきました。今回は、その経験から蓄積したノウハウを厳選してご紹介します。
はじめに
顧客1人ひとりに合わせたサポートをシームレスに提供すること――。顧客を満足させるという点で、これほど効果が高く、しかも選択肢に富む方法は他にありません。しかし、市場には、カスタマーサービスを強化するための製品やソリューションが無数に存在しています。そんな中で、社内全体に新しいシステムを実装したり、既存のツールを拡張したり、さらにはプログラムの効果を確認したりする際に、どのようにして最適なアプローチを見極めればよいのでしょうか?
そこで重要になるのが、世界トップレベルのサポートツールを適切に実装することです。これが叶えば、カスタマーサービスチームは、きわめて質の高いサービスを提供すると共に、顧客への理解を深めて顧客満足度を引き上げることができます。一方、ツールの実装や管理が適切でないと、新しいシステムを導入するにせよ、既存のツールを変更するにせよ、社内は混乱を極め、ついにはカスタマーエクスペリエンスにもマイナスの影響が及ぶことになります。
優れたカスタマーサービスツールを効果的に展開するには、5つの重要な実装フェーズを念頭に置く必要があります。具体的には、以下に挙げる5つのフェーズをたどっていきます。
1. 課題の把握
2. ツールの実装
3. チームへのトレーニングの実施
4. 継続的な最適化
5. 新しいツールの導入
それでは、各フェーズにおけるベストプラクティスを説明していきましょう。
1. 課題の把握(顧客のニーズを理解する)
新しいカスタマーサービスツールの実装や、既存のツールの変更に取り組む際には、事前に自社の顧客のニーズをしっかり把握しておかなければなりません。
まずは、顧客からの人気が高いサポートチャネルを確認することが大切です。現状、顧客は問い合わせの際にどの手段を利用することが多いでしょうか? 人気が高いチャネルとしては、電話、メール、ソーシャルメディア、チャットのほか、ナレッジベースや掲示板のようなセルフサービスチャネルも考えられます。
また、サポートの依頼が多い問題の内容についても整理しておきましょう。たとえば、抱えている問い合わせの数は多いが簡単に解決できそうなものばかりなのか、それとも高度な専門知識を要するものなのか。サポート担当者の知識だけで解決できそうか、社内の複数のチームから情報を収集する必要があるのか。連携して使えるツールやシステムはないか――。こうした点について考えておかなければなりません。
さらに、この段階で、チームのパフォーマンスの測定に使用する主要業績指標(KPI)も評価するとよいでしょう。主な指標としては、応答時間、平均処理時間、顧客満足度スコアがあり、他に独自の内部指標を設けている企業もあります。
このように、適切なツールで適切な環境を構築するには、顧客の傾向やニーズを把握することが何よりも大切です。
2. ツールの実装(事前に社内の認識を統一する)
英語には「measure twice, cut once(材料を切る前に2回測れ)」という古いことわざがありますが、ツールの実装についてもよく当てはまります。事前にたっぷり時間を掛けて、最終的なビジョンを明確にし、綿密にツールの実装計画を立てておけば、全体の時間やコストの削減につながります。
まずは、早いうちに社内で実装計画に関する認識を統一しましょう。そうしておくことで、チームのメンバーは担当外の業務にも柔軟に対応でき、適切なリソースを確保できるようになります。また、共通の進捗スケジュールや社内ワークフローを準備しておけば、重要な関係者が、作業の進捗状況、優先事項、問題点などの情報を適宜把握できるようになります。
実装作業を効率よく進めると共に、社内での支持を集めたいのなら、エグゼクティブスポンサー(高度な権限を持つプロジェクトの最高責任者)を立てることをお勧めします。エグゼクティブスポンサーが参与するプロジェクトであれば、社内全体で常に注目の的となるため、全社的にツールを浸透させやすくなります。さらに、エグゼクティブスポンサーが熱心であれば、チームのビジョンや目標を共有できるほか、サイロ化を解消しやすくなり、社内全体に影響を及ぼす重大な意思決定もスムーズに行えます。
3. チームへのトレーニングの実施
新しいカスタマーサービスツールやカスタマーサポートツールを導入する準備ができたら、次はその導入方法について検討します。サポート担当者には、単に新しいツールに慣れてもらうだけでなく、その機能を心から気に入って使ってもらいたいものです。そのためには、新しいシステムをチームに導入する方法に配慮しなければなりません。何の準備もないまま、ライブ環境でいきなり新しいワークフローを適用するのではなく、導入前に新しいシステムに関するトレーニングを行って、サポート担当者に十分な知識を身に着けてもらいましょう。多くの企業では、このトレーニングをサンドボックス環境で実施しています。
サポート担当者は、トレーニングを受けると共に、早い段階から新しいツールに触れることで、自分たちの作業環境がより良い方向へ変わっていくことを実感できるため、新しい機能も抵抗なく受け入れることができます。さらには、新しいツールの価値をよく理解する立場として、他部門への導入も率先して呼び掛けるようになるでしょう。一方、事前にトレーニングを実施していないと、チームは主要な利用者から支持を得る貴重な機会を逃してしまうことになります。
4. 継続的な最適化
ツールの導入が無事完了すると、目的がすべて達成したかのように錯覚してしまう企業は少なくありません。チームでいったんの成功を祝うのは、むしろ推奨すべきことではありますが、本当の正念場を迎えるのは新たにツールを導入してからだということは、心に留めておきましょう。
チームは、ツールのテスト、測定、最適化に継続して取り組み、自社の成長に合わせてツールを強化していかなければなりません。ツールを定期的に細かく見直すようにすれば、カスタマーサービスを日々着実に改善することができ、時代遅れのツールを使い続けた結果、総点検を行う羽目になるなどという事態も防げます。
5. 新しいツールの導入
実際にカスタマーサポートツールやカスタマーサービスツールを利用し始めた後で、新たに追加したい機能が出てくるというのは、多くの企業が経験するところでしょう。その理由は、ユーザーの行動に変化があったため、元の実装に見落としがあったため、あるいは単に顧客に提供するオプションを増やしたいためなど、さまざまに考えられます。背景が何であれ、変更を実施する場合でも、機能を追加する場合でも、たいていは複数のオンラインストアやマーケットプレイスを利用する必要があります。
オンラインストアやマーケットプレイスでは、実に多様なツール、アプリ、ソリューションが提供されており、複雑で判断に迷ってしまうことも少なくありません。一般にこうしたソフトウェア製品は、あらゆる規模の企業、幅広い業界のユースケースを想定して作成されているため、複数のツールを購入する際は、事前に自社の要件を明確にしておく必要があります。通常、このフェーズに入ると、顧客のニーズの把握や、既存のインフラに新しいツールが適応するかどうかの評価など、事前に行っていた作業が次々と実を結び始めます。
Zendeskによるサポート
最高のカスタマーサービスツールを展開するまでの道のりは、決して平坦ではありません。しかし、事前によく計画を練り、しっかりとしたプロセスを策定しておけば、どんな企業でも世界トップレベルのサポートを顧客に提供することができます。世界基準のカスタマーサービスツールを展開する方法については、Zendeskのカスタマーエクスペリエンスチームまでお問い合わせください。