ある記事を読んでいたときに、私はカスタマーエクスペリエンスについて書かれた驚くような記事を目にしました。飼い犬がけんかを始めてなければ、私は筆者に問い合わせメールを送っていたことでしょう。
その記事はカスタマーサポートにおけるオムニチャネル戦略の重要性ついて述べていたのですが、つまるところ、あらゆる場所に会社を作れ、といった内容のことが書かれていました。端的に言って不可能ですし、Content Making Instituteの最高戦略責任者であるRobert Rose氏が以前「戦略的に必要があるもの選ばなければいけません」と話したように、理にかなっていません。
オムニチャネルの戦略を推進していくということは、企業で採用しているチャネル全体でユニークかつ統合されたカスタマーエクスペリエンスを体験してもらえるようにすることを意味します。もし小売業を営んでいるのであれば、メールよりもソーシャルメディアの方が間違いなく優先すべきチャネルになります。
顧客と会話する際にも同じことが言えます。もし自社でグローバルにビジネスを展開しており、オンラインで複数の言語を用いてコミュニケーションを取ろうとするならば、どのチャネルでも同じことをしなければいけません。つまり、顧客が多言語対応しているWebサイトは問題なく利用できているのに、カスタマーサポートは非対応なので利用できないとしたら、困ってしまいます。一貫性が重要なのです。
したがって戦略を考え、顧客がどこの誰なのかを知り、時間の経過とともにコンバージョンと顧客満足度が向上するような、統合されたカスタマーエクスペリエンスを提供しなければなりません。複数の言語で一貫性のあるメッセージをもって、複数のチャネルを展開することは、グローバルなビジネスであっても可能です。
この記事ではサポートに適切な言語を選ぶ方法や、その言語にネイティブであるエージェントや通訳者を雇わなくても、多言語のカスタマーエクスペリエンスを提供する方法、そして適切なチャネルを選択する方法をご紹介します。
サポートに適切な言語の検討方法について
グローバルにビジネスを展開する上で、言語は間違いなくハードルとなります。しかし同時に、とても重要なことでもあります。多くの人々の考えとは反対に、2017年のデータでは、英語のみを話すインターネットユーザーは25.3%しかおらず、75%の人が母国語を用いてネットで情報を検索しています。従って、もしコミュニケーションを英語だけにしているのであれば、顧客を逃がすことになるでしょう。
しかし、全ての言語に対応するべき、という意味ではありません。
2018年3月のA Common Sense Advisory Reportを見てみましょう。この調査レポートは2022年と2027年に世界中のオンラインアクセスが可能な市場の97%にリーチするにはどの言語が必要か、についての予測が書かれています。中にはいくつかの驚きべき考察がありました。
まず「アジアの新興国の言語が急速に増え、中国語が継続的に成長し、インターネット上でヨーロッパ言語の支配的地位がゆっくりと衰退していく」傾向が見られるのは明らかであると述べています。さらに、スペイン語やポルトガル語なども増加し、イタリア語や日本語を上回るという予測にはより驚くのではないでしょうか。この予測に留意しつつ、次のことに細心の注意を払いましょう:顧客はどこから来るのか。彼らの母国語は何語なのか。彼らは複数の言語を使うのか。
理想としては、サイト上のコンテンツを顧客の多くが話す言語で翻訳しておきたいものです。つまり、もし特定の言語で多数のサポートリクエストをもらった場合、より良いサービスを顧客に提供するためには、全てのコンテンツが翻訳してあるのが理想的でしょう。しかし、プロセス全体でコストがかかり、拡張性がなさそうなことは想像に難くありません。対応する全ての言語で、ネイティブのエージェントを雇うことは不可能です。従って戦略的に考え、企業にとってできるだけコストを抑えて一番効果がある多言語によるカスタマーサービスを提供するために、顧客は何を求めているのかを見極める必要があります。
多言語でカスタマーエクスペリエンスを提供する
成功例としてSkyscannerの取り組みをご紹介しましょう。Skyscannerのケースでは、カスタマーサポートに寄せられる問い合わせのうち58%は英語によるものでした。また、英語を含む上位5つの言語を除くと、”その他の国々”の言語比率はわずか20%でした。
上位5言語(例えばロシア語、スペイン語、中国語など)であればネイティブのエージェントは雇えるかもしれませんが、他の言語に関しては、コストがかかり、拡張性に欠けると言わざるをえません。
そこで彼らは、ロングテールの言語要件でカスタマーサポートを提供するために、Zendeskを通じて利用できるUnbabelという翻訳サービスを使い始めました。1年後、顧客満足度は75%から92%に、また、初回回答率を70%にまで引き上げました。
適切なチャネルを選択する
顧客が望んでいることはたったひとつ、問題が迅速かつ容易に解決されること、それだけです。しかし、この期待に企業が応えられない場合、顧客の半数以上を失ってしまうかもしれません。2017 年のAspect Consumer Experience Index(※閲覧にはログインが必要になります)では、回答者のうち54%が、こうした経験から企業を見限るという結果が出ています。
では、顧客満足のためにどのチャネルをターゲットにすれば良いのでしょうか。それぞれの企業のビジネスとターゲット層によって異なってはきますが、戦略立案やチャネルの選定に役立つ数字をいくつかご紹介しましょう。
セルフサービス
Harvard Business Reviewによると、顧客の81%が、オンラインの担当者にアクセスする前に自分自身で問題を処理しようとしています。セルフサービスは、企業にとっては実装コストが低く、顧客に役立つという点で、素晴らしいチャネルと言えます。どんなビジネスであっても、顧客が簡単にアクセスできるナレッジベースやヘルプセンターを用意し、よくある質問への回答を提供しなければ立ち行きません。海外の顧客をターゲットとしているならば、そのコンテンツを多くの言語に翻訳することもできます。
ライブチャット
Forresterのレポートによると、電話やメールよりもライブチャットを利用する顧客の数は、2012年に比べ50%増加しています。このようなコミュニケーションのためには、単なるぎこちない情報交換で終わらせず、実際の会話を反映することが肝要です。もし海外の顧客とコミュニケーションを取っているなら、彼らの出身国を知ることができます。例えば宗教的信念による家族中心主義に見られる相違など、文化的な違いが、企業にも顧客にも影響を及ぼし合います。文化的な背景を考慮しなければいけない企業にとって、カスタマーサポートチームのための異文化トレーニングはとても役立つでしょう。
リアルタイムで行われるライブチャットの翻訳は、静的なWebページと比べると若干難しいですが、実現は不可能ではありません。
ソーシャルメディア
多くの人々はソーシャルメディアの持つ、マーケティングや広告チャネルとしての側面に着目しがちですが、ソーシャルメディアはカスタマーサービスにも極めて有用です。2016年Q2のSprout Socal Indexによれば、顧客の実に90%がブランドとのコミュニケーションにソーシャルメディアを使ったことがあり、そのうち3分の1以上は電話やメールなど昔ながらのチャネルよりもソーシャルメディアを好む、と答えています。
ビジネスは顧客のいるところにこそあり、ソーシャルメディアは”場所”の一つでしかありません。FacebookとTwitterは通常優先される傾向にありますが、展開しているビジネスの種類によって、どのネットワークが理にかなっているか検討する余地はあるでしょう。
ここまででご紹介してきたように、国境を越えたビジネス展開をしているのであれば、適切なチャネルをターゲットとすることだけでなく、適切な言語についても考える必要があります。
UnbabelはAIとポストエディティングを組み合わせ、寄せられる問い合わせをチームで対応できる言語に翻訳するので、顧客の母国語からの問い合わせに迅速に回答を提供できるようにします。