企業がWebサイトを持つことが当たり前になった現在、単に「Webサイトがある」というだけでは競合他社との差別化は難しくなっています。そこで重要になってくるのが、Webサイトを通じて顧客をオンラインで接客(コミュニケーション)することです。今回は、多様化したオンライン接客の種類、そしてオンライン接客で得られるメリットについて考えていきます。
オンライン接客が重要視されるようになった理由は?
企業がWebサイトを持つメリットは多々あります。なかでも、24時間いつでも注文を受けられることは大きなメリットのひとつといえるでしょう。しかし、実店舗と比べると、その場で顧客の質問に回答したり、きめ細かい対応をしたりするのは難しいといった欠点もあり、これらはWebサイトの課題とされてきました。この課題を解決する手段として、多くの企業がオンライン接客を導入するようになってきています。
企業がオンライン接客に力を入れるようになったもうひとつの理由として、多くの顧客が実店舗ではなく、インターネットから情報を得て、そのまま購買するようになっていることが挙げられます。経済産業省が2018年4月に発表した「平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によると、2017年のBtoCのEC市場規模は16兆5,054億円で、2010年の7兆7,880億円と比べて2倍以上の伸びを示しています。
これに合わせて、企業がインターネット広告にかける費用も大幅に増加しています。電通グループ3社が2018年3月に発表した「2017年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」によると、2017年の総広告費6兆3,907億円のうち、インターネット広告媒体費は1兆2,206億円(前年比117.6%)にまで増えています。そして、2018年には1兆4,000億円を上回るであろうと予測されています。
ただし、広告費を使って自社のWebサイトに誘導できたとしても、探しているものがすぐに見つからないようでは顧客に不信感を与えてしまいます。競合他社のWebサイトに移動されてしまうケースもあるでしょう。こういった状況を防ぎ、顧客の疑問や不満に対して最速で対応することが、転換率を上げるための大きな鍵となります。
従来のオンライン接客では難しくなった差別化
これまで「顧客とのオンライン・コミュニケーション」と言えば、企業ブログやTwitter、FacebookなどのSNS上でのコメントをやりとりしたり、フォームを使って問い合わせに対応したりするなど、手動によるものが中心でした。これらの接客はきめ細かい対応が可能ではあるものの、リアルタイムでの対応は難しいと言えます。また、対面で対応するとき以上に「手間」と「コスト」を要するというデメリットもあります。
自動化されたオンライン接客においても、閲覧履歴や購入履歴をもとに「おすすめ」を表示するだけでは、顧客の離脱を防ぐことが難しくなってきています。手間とコストをなるべく抑えながら、顧客に寄り添った情報をスピーディーに提供するオンライン接客でなければ、競合他社との差別化はできません。
最新のオンライン接客を導入するメリットは?
現在では、従来のオンライン接客の問題点を改善するために、さまざまなタイプのツールが提供されています。例えば、リアルタイムで顧客の疑問、不満に対応できる「オンラインチャット」や「チャットボット」。よりパーソナルな顧客情報をもとに「おすすめ」を表示する「顧客別レコメンドエンジン」などが挙げられます。では、これらの接客ツールとはどういったもので、どういったメリットがあるのでしょうか?
オンラインチャット
企業のWebサイト上で、チャットを使ってオペレーターとリアルタイムでやりとりができるツールです。顧客はWebサイトを見ながら、気になる点や疑問点をその場で解決できるようになります。これにより、オンライン接客の問題点とされていた「リアルタイム性」を大幅に改善できます。
チャットボット
チャットボットは、ロボットが顧客対応することで、オペレーターの手間を大幅に軽減できるツールです。チャットのリアルタイム性を生かしつつ、オペレーターの手間とコストを軽減する効果があります。以前は、的確な対応ができないケースも少なくありませんでしたが、最近はAIが進化しているため、初期段階であれば問題なく対応できるようになっています。
顧客別レコメンドエンジン
過去の訪問履歴や購入履歴を頼りに「おすすめ」を表示するだけでは、本当にその顧客が求めているものを提示できていない可能性があります。そこで、顧客の属性、利用デバイス、SNS情報、滞在時間、IPアドレスなどをリアルタイムで確認し、セグメント化することで、最適な「おすすめ」を表示するのが顧客別レコメンドエンジンです。単に「おすすめ」を表示するだけではなく、会員登録への誘導、クーポンの配布など、顧客が求めている情報をリアルタイムで表示することで、離脱を防ぎ、転換率の上昇を目指していきます。
まとめ:
さまざまな角度から顧客に対応するオンライン接客
従来のオンライン接客はリアルタイム性に乏しく、24時間対応にするとコストや手間が増えるなど、いくつかの問題点がありました。最新のオンライン接客ツールは、AIの進化により、リアルタイム性と高い情報提供精度を実現しています。さらに、対応にかかる手間の軽減にも大きな効果を発揮するようになっています。この進化は、今後もさらに続いていくと予想されます。
すでに、「オンライン接客ツールを導入するか?」を検討する時代ではなく、「どういったオンライン接客ツールを導入するか?」といった段階に入っているといっても過言ではありません。オンライン接客を行うことを前提に、「どういったツールを導入すれば利益を最大化できるのか?」を、競合他社との差別化、顧客とのコミュニケーション強化といった側面からも検討していくことが求められるでしょう。
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