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オムニチャネルとは? 意味、メリット、トレンドを徹底解説

オムニチャネルとは、さまざまなチャネルをつかって顧客と簡単にコミュニケーションを取るためのアプローチです。 本記事では、顧客が好むチャネルで対応し、スムーズで一貫性のあるサポート体験を提供する方法をご紹介します。

著者: Lisa Painter, Sr. カスタマーエクスペリエンスディレクター

更新日: 2024年1月30日

オムニチャネル

Instagramをスクロールしていると、地元の洋服屋の広告を見かけました。それは、友達の結婚式で着るために最近購入したドレスにぴったりの靴の広告です。 まずは試着するべきだとあなたは考え、お店に向かいました。 しかし、お店に着き、オンライン広告で見た靴を発見したものの、自分の足に合うサイズが見つかりません。 店員から謝罪を受け、お詫びとして無料で配送を受けられるプロモーションコードをもらいました。

ところが、その後お店のWebサイトで確認したところ、プロモーションコードを利用するには2万円以上の買い物をする必要があることに気づきます。 落胆したあなたはツイートでこのお店に現状を訴えかけましたが、何の音沙汰もありません。 つづいてお店に電話しましたが、プロモーションコードをくれた店員がその日はお店に戻らないことがわかり、再び状況を一から説明しなければなりませんでした。 結局、あなたは別のお店で靴を買うことに決めました。

もしこのお店がオムニチャネルによる顧客対応を導入し、オンラインストアと実店舗のチャネルを連携できていれば、スムーズに靴を販売することができたはずです。 しかし、ZendeskのCXトレンドレポート 2022年版によると、約3分の1の企業しかオムニチャネル体制を整えていないことが明らかになっています。つまり、複数のチャネルでサポートを行うことで、顧客ロイヤルティと顧客生涯価値を高められる機会がまだまだ存在すると言えます。

オムニチャネル体制でサポートを行う企業は約3分の1のみ

オムニチャネルへの投資は顧客が望む方法で対応を行うための投資であり、リピーター獲得につながる投資でもあります。

オムニチャネルとは?

オムニチャネルとは、顧客との1つ1つのやり取りを、継続的な全体のコミュニケーションの1つとして織り込み、シームレスで一貫した顧客体験を実現するアプローチです。

電話やメールなどの従来のサポート方法に限定するのではなく、顧客が普段から利用するLINEやFacebook Messenger、チャット、SMS(ショートメッセージサービス)、SNSなどの現代的なチャネルで顧客とスムーズにやり取りができれば、より充実したカスタマーサポートを提供できます。 またオムニチャネルでは会社側が利用するサポートチャネルもつながるため、チャネルや担当者が代わっても、円滑に対応を継続できます。

オムニチャネルによる顧客体験

オムニチャネルとマルチチャネルの違い

オムニチャネルのカスタマーサービスとは、Webサイト、モバイル、SNSといったチャネルの種類に関わらず、一貫してパーソナライズされた体験を素早く提供するサービスのことです。特定のチャネルを追加するだけではなく、時間を掛けてチャネル間の情報を連携して活用することで、顧客と良好な関係を構築することがオムニチャネルの根底にあります。

顧客は自分にとって都合の良い場所や時間でサポート担当者とやり取りを再開でき、サポート担当者はすぐに対応を始められます。 顧客対応に関する有益な背景情報を持った状態でサポートを実施できれば、顧客が置かれている状況に合った対応を速やかに提供できるようになります。

オムニチャネルとマルチチャネルの違いとは?

オムニチャネルとマルチチャネルの主な違いは、さまざまなコミュニケーションチャネルがつながっているかどうかに集約されます。

  • マルチチャネル: 顧客は複数のコミュニケーションチャネルを利用できるものの、チャネルごとに対応は独立している。
  • オムニチャネル: 顧客は複数のコミュニケーションチャネルを利用できる。すべてのチャネルはつながっており、一貫した対応を継続して受けられる。

たとえば、ある企業がオンラインストアと実店舗の双方で電話、チャット、SMS、メール、Twitter、Instagramを使って顧客をサポートしていると仮定します。

そして、この企業は複数のチャネルで顧客に対応するマルチチャネル戦略を採用しています。 顧客は電話、チャット、SMS、メール、SNSで会社に連絡できますが、チャネル同士での連携は取れていません。 そのため、顧客があるチャネルから別のチャネルに切り替えると、その企業とのやり取りが中断され、またゼロから問い合わせ内容を話さざるを得なくなるかもしれません。

そこで、この企業はオムニチャネル戦略に切り替え、各チャネルをつなげ、すべてのチャネル、端末、プラットフォームで一貫した顧客対応を行う環境を整えました。 すると、たとえばサポート担当者は、電話をかけてきた顧客が10年前からのお得意様であり、以前LINEで質問をしてきたことが把握できます。こうすることで、ロイヤルティを認識し、過去の質問を参照でき、よりパーソナライズされて一貫した顧客対応が実現できます。

オムニチャネル対応の5つのメリット

オムニチャネルによるサポートは顧客を中心とした戦略への投資です。 場所やチャネル、端末を切り替えるとスムーズな対応ができなくなるような状況は、顧客離れをもたらします。 オムニチャネルのアプローチは、それぞれの顧客にパーソナライズされた質の高いサポートを提供することで、顧客満足度の維持に貢献します。

  1. 顧客にとって便利

  2. 従業員にとって便利

  3. アップセルとクロスセルの機会をもたらす

  4. 顧客に関する有益な情報を明らかにする

  5. 長期的な顧客関係を築ける

1. 顧客にとって便利

オムニチャネルのサポートを提供するためには、サポートチームがすべてのチャネルで顧客に関する情報にアクセスできる環境が必要です。 サポート担当者はより多くの背景情報を取得し、顧客側は同じことを繰り返し説明する必要がなくなるため、満足度は上がります。

ZendeskのCXトレンドレポートでは、消費者の71%が同じ説明を何度もしなくても済むように、社内で情報を共有することを望んでいることが判明しています。

デスクトップとモバイルで別々にチャットによるサポートを導入することで、利便性は向上するかもしれませんが、これではマルチチャネルのままです。顧客がデスクトップで長々とチャットをした後にサポートチームに電話したところ、電話に出たサポート担当者がチャットでのやり取りの記録を持っていなければ、便利という感覚はあっという間に消え去ります。

オムニチャネルのアプローチはさまざまなチャネルで行われた会話を一元管理し、マルチチャネルが持つ利便性を大幅に高めます。

CXトレンドレポートによると、一度でもカスタマーサービスに不満を感じたら他社に乗り換えると答えた消費者の割合は61%に達しています。まとまりのないマルチチャネルは顧客離れをもたらすため、オムニチャネルの考え方を理解した上で、カスタマーサービスのオムニチャネル化に取り組みましょう。

2. 従業員にとって便利

オムニチャネルは顧客にメリットがあるだけでなく、サポートチームの負担を軽減する効果もあります。 さまざまなアプリやチャネルで情報を集める作業は負担が大きく、貴重な時間と労力を奪われてしまいます。 オムニチャネルによるサポートでは、顧客がどこにいてもスムーズに対応できます。

重要な顧客の行動履歴を一元管理することで、サポートチームは次のことが可能になります。

  • 見込み顧客や顧客への対応がしやすくなる

  • チームの対応状況や対応内容をより明確に把握できる

  • 自社製品の購入に向けたカスタマージャーニーの全体像が得られる
  • 生産性を大幅に高められる

チームメンバー全員が、名前や住所、会話の履歴、過去に購入した商品などの顧客に関する情報をすぐに確認できれば、対応する担当者や部門の交代はスムーズに行われ、その結果、従業員と顧客の双方にとって満足のいくやり取りができるようになります。

3. アップセルとクロスセルの機会をもたらす

オムニチャネルのサポートには企業の収益性を高めるというメリットがあります。ZendeskのCXトレンドレポートによると、消費者の93%は、カスタマーサポートの連絡口として自分が希望するチャネルを用意している企業の商品を購入すると回答しています。

オムニチャネルによるカスタマーサポートを展開すると、サポート担当者はあらゆるチャネルでの顧客とのやり取りの履歴を確認できます。したがって、データに基づいて製品をおすすめできる環境が整っており、アップセルクロスセルを実施することができます。

たとえば宝石販売店がブレスレットを新たに販売した際に、顧客からチャット経由でサイズに関する質問を受けたと仮定します。サポート担当者は顧客の購入履歴にアクセスし、この顧客が一斉メールによるプロモーションを使って定期的に宝石を購入していること、そして、最近はネックレスを購入したことを把握しました。 顧客とのやり取りは順調に進み、担当者は最後にメールを作成し、顧客が先日購入したネックレスと相性の良いブレスレットの商品ページへのリンクを掲載しました。こうすることで、顧客の購入履歴や嗜好に基づき、関連商品を自然におすすめすることで、スムーズにクロスセルにつなげることができます。

4. 顧客に関する有益な情報を明らかにする

オムニチャネルによるサポートを実施することができれば、広範なプラットフォームでブランドと接する機会を顧客に提供できます。 また一貫性のあるコミュニケーションを取ることができるため、顧客はこれらのチャネルを使ってサポート担当者に連絡するようになります。

顧客と接触する機会がとても多く、オムニチャネルを提供する企業はそれぞれの顧客に関して多くのデータを集めることができます。 詳細な顧客情報にいつでもアクセスできれば、サポート担当者は顧客をより良く知り、対応を改善するための方法を理解できます。

その上、顧客とのやり取りをパーソナライズさせる際の原動力となる情報も得られます。それぞれの顧客に合わせたサポートを基に顧客のニーズを適切に満たすことができれば、長期間にわたって顧客を維持できる可能性は高まります。

5. 長期的な顧客関係を築ける

長期におよぶ関係を顧客と築くには時間がかかります。そして、この関係を育み、強化する上で力を発揮するのがオムニチャネルです。 困っているときや、サポートを必要としている際、顧客はスムーズで迅速な対応を望んでいます。 オムニチャネルのアプローチは以下の特徴を活かして顧客が望むサポートを提供します。

  • LINEであれInstagramであれ、顧客が利用しているチャネルで対応する

  • あらゆるやり取りを企業は一か所で管理して、顧客が同じ説明を繰り返さなくても済むようにする。

  • 顧客が大事にされていると感じるような、パーソナライズされた対応を行えるようにする

顧客とのやり取りは取引の一部としてではなく、関係を強化し、会話を続けるための機会として認識し、最終的に利益の増加につながる長期的な関係を築いていきましょう。

オムニチャネル戦略を策定する5つのステップ

競合する企業と同じチャネルを採用するだけでは、オムニチャネル戦略を成功に導くことはできません。 顧客基盤を正確に理解すること、A/Bテストを積極的に活用すること、顧客のデータを整理し、理解することが求められます。

1. 顧客データを一元管理する

顧客関係管理(CRM)システムはオムニチャネルによる対応で中心的な役割を果たします。 なぜならCRMに顧客データが集まるためです。

顧客の74%は、サポート担当者には顧客に関連するすべての情報を把握してほしいと考えています。

CRMは既存のプラットフォームと統合することで、メールやSNS、チャットなどの全てのチャネルで顧客とのやり取りを追跡できます。 あらゆる情報が一か所に集められ、すべての部署がこのデータにアクセスできることから、顧客の状況を総合的に確認できるようになります。 その結果、サポート担当者は速やかに解決策を提示し、対応をパーソナライズさせる上で必要な背景情報を得られます。

オムニチャネル

上の画像のチャットでは、CRMがコンタクトセンター・アズ・ア・サービス(CCaaS)ソフトウェアに組み込まれており、サポート担当者は顧客がVIPであることを把握できます。 したがって、担当者はこの顧客を優先し、顧客が望むVIPの特典(配送のアップグレード)を提供しています。 またサポート担当者が販売の機会があることに気づいた場合は、やり取りを営業部門に引き継ぐことができます。

オムニチャネルによる対応では、営業担当者はサポートでのやり取りの背景を確認し、顧客の要望を調べ、その結果に基づいて営業戦略を推進できるようになります。

2. 人工知能(AI)とボットを導入する

現在、大部分の消費者が躊躇することなく、AIとのやり取りに応じています。 事実、顧客の66%がAIのおかげで負担が減ると回答しています。

そのため、問い合わせ件数が増えてきたら、会話型AIや自動化機能を活用して営業時間外の質問への対応や問い合わせの優先順位付けに取り組みましょう。 チャットボットでは答えを提供できない、または問題を解決できない場合でも、チャットボットで顧客の問い合わせを受け付け、スタッフが間もなく対応すると知らせれば、顧客を安心させることができます。

AIチャットボットを既存のアプリやプログラムに導入して、継続的で一貫性のある対応を顧客に提供しましょう。 こうすることで顧客は好みのチャネルで速やかに正確な答えを得られるようになります。

3. オムニチャネルの対応をチェックする

各種のチャネルで顧客の問い合わせに対応後、指標(KPI)を追跡して、顧客が満足していることを裏づけましょう。

まずはすべてのチャネルで次の指標に注目します。

平均解決期間(ART、Average Resolution Time): ある期間内に問い合わせの解決に要した時間の合計を同時期に解決したチケットの数で割って求めます。

この指標はチャネルによって若干左右されますが(電話では、チャットよりも複雑な問い合わせが行われる可能性が高いため)、ARTは各種プラットフォームで比較的同じような傾向を示すはずです。

顧客満足度(CSAT)アンケートへの回答: オムニチャネルのアプローチが功を奏しているなら、利用するチャネルが何かに関係なく顧客はサポートに満足しているはずです。

サポート終了後にCSATアンケートを送信して、カスタマーサービスの満足度を評価してもらいましょう。 顧客は10段階、または5段階で評価し、数値が高ければ高いほど満足していることを表します。

上記のKPIだけでは現状を事細かく把握することはできません。 そのため、いろいろなカスタマーサービスの指標を併用して、チャンネルをまたいで一貫性のある、役に立つサポートをどの程度提供できているかを確認するとよいでしょう。

4. 統合型プラットフォームを導入する

統合型ワークスペースは顧客とサポート担当者の双方に良い影響をもたらします。顧客に対応する上でな必要な情報を得るために、複数のアプリを何度も切り替えなければならない場合、担当者に余計なストレスを与えます。 このような対応は解決時間と待機時間を増やし、顧客を苛立たせてしまいます。とりわけすぐに問題を解決しなければいけない状況では、顧客に大きなフラストレーションをもらします。

ZendeskのCXトレンドレポートでは、調査に参加したサポート担当者のうち統合型ワークスペースを使ってすべてのやり取りを確認できると答えた割合はわずか19%のみでした。

オムニチャネルのプラットフォームには次の利点があります。

  • 顧客が同じ説明を繰り返さなくて済む。

  • 待機時間を減らせる。

  • サポート担当者の生産性を向上させる。

  • CSATのスコアを高める。

サポート担当者が複数のチャネルを使用し、すべての顧客とのやり取りを容易に確認できるツールがあれば、カスタマーサービスの盲点をなくし、解約の減少と顧客ロイヤルティの向上を実現できます。

5. 既存のチャネルを評価して、改善する

Zendeskのトレンドレポートによると、好みのコミュニケーションチャネルが用意されている企業の商品を今後も購入すると答えた消費者は93%に達します。

問題を抱えた際、Facebook MessengerやLINEなどのアプリを開き、カスタマーサービスチームにメッセージを送信する方が、顧客にとって遥かに負担が少ないのです。 顧客がいつも使っているチャネルで企業もすぐに対応できれば、顧客にとって便利であり、記憶に残ります。

既存のチャネルを評価し、顧客の期待に応えられているかどうかを確認して、特定のチャネルの追加、または削除を検討しましょう。 また必ずすべてのチャネルで顧客の満足度を追跡し、継続して改善に取り組む姿勢も重要です。 速やかで、シンプルで、一貫性のある対応が常にできていることを確認する必要があります。

2023年におけるオムニチャネルのトレンド

顧客の習慣やテクノロジーは進化を続けており、現状に即したサポートをオムニチャネルでも提供する必要があります。 オムニチャネルのトレンドに精通していれば、競合他社をリードできる可能性は高まります。

ソーシャルセリング

オムニチャネルは、SNSを含むあらゆるチャネル全体で途切れることのない顧客体験を実現することを目指しています。 ここ数年、企業は主にSNSアプリで写真と動画を駆使して、顧客をオンラインストアに導いてきました。 現在は、企業のSNSアカウントを新たな形態の店舗として活用し、オムニチャネルによるショッピングを楽しんでもらうことができます。

2019年にデビューしたInstagram Shoppingを使うと、ユーザーはフィード、ストーリー、リール、ライブ動画でタグ付けされている商品を購入できます。 Statistaのレポートによると、2021年には消費者の47%がInstagramで商品を購入しており、この割合はYouTubeやTikTokを上回ります。

たとえば消費者がInstagramで宣伝を行っていたレギンスを購入したとします。 レギンスを販売している会社がInstagramの商品情報をShopifyで管理している場合、ShopifyにCRMとCCaaSソフトウェアを連携させられます。 Shopifyはレギンスの売上をInstagram経由と記録し、この情報はCRMに送信されます。 また統合するCCaaSによっては、サポート担当者はこの売上のデータを確認し、Instagram上で顧客に対応できるかもしれません。

オムニチャネル化するサポートの役割

顧客はそれぞれの取引の流れの全体で複数のチャネルを利用しています。あるチャネルで買い物を開始し、別のチャネルで続けるのです。 そのためサポート担当者には、さまざまなチャネルで対応できる柔軟性が求められます。 さらにカスタマーサービス部門のマネージャーの場合は、利用するチャネルにかかわらず顧客が一貫性のあるサポートをどこでも受けられることを考慮して、チャネルにスタッフを配置する必要があります。

再びInstagramでレギンスを購入した顧客を例にとって考えてみましょう。 ここではレギンスが配送予定日に届かなかったケースを想定します。 顧客は会社のInstagramアカウントにあるDMを活用し、レギンスが届いていないことを伝えます。 この場合、サポート担当者は、ShopifyでInstagramの注文が行われた時間を確認し、この情報を用いて対応を行うことができます。 その後、顧客がライブチャット経由で問い合わせを行ったら、サポート担当者はInstgramでの以前のやり取りを参照して対応します。

BOPIS(オンラインで購入後、店頭で受け取る)

スムーズなオムニチャネルによるサポートは、デジタルチャネルと実店舗をつなぐことができます。 BOPISが良い例です。このビジネスモデルは右肩上がりに成長しています。 ある調査によると、BOPIS経由の注文は過去12ヶ月間で10%増加し、また別の調査ではBOPISの市場規模が2024年には1,400億ドルを突破すると推測されています。

一貫性のあるやり取りをオムニチャネルで実現することは重要です。なぜなら、その結果、アップセルやクロスセルを通して注文額を増やす機会が得られるためです。 たとえば、ある顧客がオンラインストアでセーターを購入し、店舗で商品を受け取ることを希望していると仮定します。 この顧客が注文を行った直後、セーターを販売する会社はSMSのメッセージやメールを介して、ストア限定の関連商品を割引価格で購入できる旨を顧客に伝えることができます。

さらにShopifyとCCaaSを連携させることで、サポート担当者は顧客がBOPISの常連かどうかを把握できます。 その後、サポート担当者は店舗内の受け取りのしやすさについて質問し、この情報を店舗のチームに伝達します。

関係を深める機会

カスタマーサービスではビジネスよりも、心のこもった対応を優先するべきです。 カスタマーサービスとは顧客と長期的な関係を築くことです。顧客との一つひとつのやり取りがより深く、より価値の高いつながりをもたらします。

オムニチャネルは顧客の情報を一元管理するため、それぞれの顧客に対して対応をパーソナライズできます。その結果、顧客は自分が置かれている状況を正しく理解してもらえていること、大事にしてもらえることを実感できます。 顧客との会話が行われるチャネルがかわると、インタラクション履歴とカスタマーの行動履歴も移動します。 つまりチャネルがかわっても、同じ会話を継続できるため、サポートチームと顧客の双方が得をするのです。

デジタルカスタマーサービス

電話が主流だったカスタマーサービスの時代は過ぎ去りました。 テクノロジーが進化し、新しく、より優れた方法でコミュニケーションを取ることを若い世代の消費者が望むようになったことで、メッセージングアプリやセルフサービス、メール、ボットなどのデジタルチャネルを導入することは、企業にとって避けられなくなりました。

デジタルカスタマーサービスの導入により次のメリットを得られます。

  • 顧客が望むチャネルでサポートを提供できる。

  • セルフサービスの選択肢を用意できる。

  • チャットボットを用意し、簡単なタスクを任せられる。

  • さまざまなチャネルの情報を一か所で表示できる。

  • 部署間のコラボレーションを促進できる。

上記のメリットにより、顧客および従業員の負担が軽くなります。 さらにデジタルカスタマーサービスの導入をきっかけに、企業は顧客とともに新たなアプローチを試みることが可能になり、ブランドに対する愛着を維持する上で有効に働きます。

オムニチャネルマーケティングとは?

オムニチャネルマーケティングとは、複数のチャネルやプラットフォーム、端末をまたいでメッセージを一元管理し、製品やサービスの宣伝を行う販売手法を指します。

オムニチャネルマーケティング戦略を策定する方法

  1. 顧客を理解する: 顧客が望むプラットフォームでサポートを行うことで、顧客が持つブランドに対する印象や顧客が読む、または好むコンテンツ、顧客がクリックする広告などに関して、有益な情報を得られます。
  2. アプリを作る: アプリは顧客を引き留め、ロイヤルティを築く上で効果的です。 またアプリは価値がある情報をもたらし、顧客についてより深く理解できるようになります。 アプリに加え、アプリ内で質の高いサポートを提供することで、顧客の状況に応じた建設的な対応が可能になるメリットもあります。
  3. システムを連携させる: マーケティングツールをカスタマーサービスソフトウェアと連携させ、アップセルとクロスセルを実施する機会を増やしましょう。 Zendeskマーケットプレイスでは簡単にインストール可能なアプリを用意しており、マーケティング戦略に合うようにZendeskのフレキシブルなオープンプラットフォームをカスタマイズできます。
  4. 顧客に応じた対応を行う: サポート業務を行うのであれ、特別なキャンペーン情報を紹介するために顧客に連絡するのであれ、必ず顧客に応じてやり取りを調整しましょう。 ZendeskのCXトレンドトレンドレポートでは、消費者の90%以上が対応をパーソナライズする企業の商品を進んで購入すると回答しています。
  5. 顧客からフィードバックを集める: 顧客の口から直接フィードバックを得られれば、顧客への対応やサービス、製品を改善する糸口が見えてきます。 すべてのチャネルで顧客が容易にフィードバックを送信できる環境を整えて、マーケティングチームや営業チームが顧客層に合わせてアプローチを調整できるようにしましょう。
  6. オンラインストアと実店舗を結ぶ: オンラインストアで購入し、自宅に配送する方法を好む顧客もいれば、オンラインストアで購入し、最寄りの店舗で商品を受け取ることを希望する顧客もいます。 店舗内でのやり取りは、アップセルとクロスセルを行うチャンスをもたらすだけでなく、カスタマージャーニー全体を通して一貫性のある体験を実現する機会でもあります。
  7. カスタマーサービスを成長の原動力として活用する: ZendeskのCXトレンドレポートによると、カスタマーサービス研修に改善の余地がある企業が多いと消費者の68%が感じていることが明らかになっています。 良質なサービスはカスタマーエクスペリエンス全体に良い影響をもたらし、ロイヤルティの構築に貢献します。 たとえばリピーターに対処する際、サポート担当者がパーソナライズされたサポートを提供できれば、売上の増加につながる可能性があります。

オムニチャネルによるサポートを巧みに実施している3つの企業事例

多くの企業がオムニチャネル戦略をさまざまな方法で活用し、顧客との長期的な関係を育んでいます。 以下にオムニチャネルを活用し、成功を収めている企業の事例を挙げ、その実態に迫っていきます。

Ugg: ECと実店舗の連携

UGG®クラシックブーツを製造するDeckers BrandsはZendeskを介してオムニチャネルの顧客対応を管理しています。

  • 顧客は同社の「クリック & コレクト」プログラムを使うことで、ブーツをオンラインで購入し、最寄りの店舗に配送してもらえます。

  • また同社は店舗内の在庫商品を予約できる「クリック & リザーブ」プログラムも提供しています(支払いは実店舗訪問時に行う)。

顧客が店舗を訪問し、商品を受け取る際、店舗のスタッフが注文の確認を行います。 さらにDeckers Brandsでは、店舗での対応直後にオンライン決済時に収集した顧客の電話番号宛てにアンケートを送信しています。

Zendeskの導入後、Deckersでは次の変化が生じています。

  • 実店舗の売上が5%増加

  • 実店舗の収益が30%増加

  • 実店舗でのコンバージョンが30%増加

Tile: 自由自在にパーソナライズされた会話型エクスペリエンスを展開

Tileはスマートトラッカーのブランドです。Tileのスマートトラッカーに鍵や財布などをつなげると、紛失時や置き忘れた際に探し出すことができます。 スタートアップからエンタープライズに成長する過程において、同社は業界でトップクラスのカスタマーサービスを常に提供してきました。

2013年以来、TileはZendeskを使って顧客が希望するプラットフォームで対応できる環境を整え、併せてエージェントワークスペースやチャットボットを活用して顧客体験の向上を実現してきました。

Zendeskを利用することで、Tileは次の成果を上げました。

  • チケットの平均処理時間を40%短縮

  • 顧客満足度を14%増加

  • 顧客の待機時間を28%短縮

Tileでシニアカスタマーサポートマネージャーを務めるJustin Michaud氏は、 「Zendeskエージェントワークスペースを導入する以前、弊社の平均処理時間は25分前後でしたが、 エージェントワークスペースを使用することで、15分前後に短縮することに成功しました」と述べています。

BoxyCharm: 顧客が求めるチャネルで対応する

BoxyCharmのマンスリーサブスクリプションサービスを利用すると、化粧品、コスメ製品、美容用品、スキンケア製品などが詰まった綺麗な小包が毎月自宅に送られてきます。 優れたカスタマーサービスを提供することに力を入れるため、BoxyCharmはZendeskを用いて顧客体験の向上に取り組みました。

「私達はSNSのチャネルをZendeskに移し、顧客をオムニチャネルで確認できるようにしました。 その結果、初回応答時間を短縮し、非公開のSNSチケットを100%解決できるようになったのです」とBoxyCharmのBFAケア部門でバイスプレジデントを務めるAnna Skidmore氏は指摘しています。

BoxyCharmは以前メールを主に利用していましたが、Zendeskを導入し、SNSのダイレクトメッセージを含む複数のチャネルを統合することで、顧客が望む場所で対応することが可能になりました。

Zendeskを導入した結果、BoxyCharmは顧客体験を改善し、次の成果を得られました。

  • メールの60%をボットが対応

  • CSATスコアを17%アップ

  • 初回応答時間を66%短縮

「漏れ」のないオムニチャネルを

オムニチャネル戦略を策定する際は、どのような段階であれ、すべてのチャネルで一貫性のある、足並みのそろった対応を作り上げることが重要です。 製品部門やカスタマーサービス部門、営業部門、業務部門などの各部門は緊密に連携して、オムニチャネルによる対応の構築と導入に臨む必要があります。 確実に顧客から支持を受けられるように、徐々にオムニチャネルによる対応を導入していきましょう。

Zendeskをはじめとするオムニチャネルプラットフォームを利用すれば、顧客とのつながりを作る一方で、従業員のストレスを軽減し、業務環境を向上させるメリットも得られます。 Zendeskのソフトウェアは顧客がどのチャネルを利用しても、何をしていても、どの端末を利用していても、彼らが期待するサポートを提供する上で貢献します。

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