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マズローの欲求ピラミッドでヘルプセンターを最適化

更新日: 2024年2月22日

ヘルプセンターを運用するうえで、コンテンツの最適化は最も大きな課題の一つです。この大変さは、スタートアップ企業でも大手グローバル企業でも変わりません。すでにヘルプセンターを運用して成果を上げている企業であっても、ひとたび最適化を手がけようとすると、ユーザーエクスペリエンス(UX)という大切な観点が抜け落ちてしまう場合があります。

顧客にとって使いやすいヘルプセンターを提供するには、ただナレッジベースを作成して、配色やフォントなどの見栄えを工夫するだけでは十分ではありません。できるだけ手間なくセルフサービスで情報を探し出してもらえるようにするには、表示される情報を支えるプロセスと原則を正しく構築しておくことが重要です。なぜなら顧客の91%は、使いやすくニーズに合っていると感じた場合に限り、セルフサービスの使用を検討すると答えているからです。

これらの重要ポイントを企業の皆様に確実に押さえていただけるように、ヘルプセンター最適化のニーズを以下のように分類しました。

▪ソースコードのメンテナンス性を重視する
▪関連性の高い有益なコンテンツを作成する
▪デザイン思考の優れたUXを実現する

これは、心理学者マズローが唱えた欲求階層説の考え方と似ています。より高い階層のニーズを満たすには、まずそれを支える基本のニーズを押さえる必要があります。ヘルプセンターの最適化においては、最後の「優れたUXの実現」が、最も高い階層のニーズに当たります。

ソースコードのメンテナンス性を重視する

上記のニーズ階層のうち最も基本的なものが、企業のナレッジベースを支えるソースコードの開発です。ヘルプセンターの使い勝手は、ソースコードの良し悪しで決まります。ビジネスの成長に合わせてヘルプセンターの機能を改善したり、機能を拡張したりするためには、ソースコードがメンテナンスしやすい状態でなければなりません。せっかく便利なコンテンツが揃い、明確な設計ビジョンがあっても、テクノロジーが足かせとなればビジネスチャンスは失われてしまいます。ソースコードはヘルプセンターの骨格です。問題が発生したら、まずはソースコードを疑いましょう。

スピード優先で粗雑なコードを採用する代償

粗雑なコードが使用されていると、ヘルプセンターのメンテナンスに大きな負担がかかります。よくあるのは、開発した本人しか理解できないようなコードで書かれているというケースです。スピード優先で開発すれば、ナレッジベースは短期間で立ち上げることができますが、その分メンテナンスには余計な時間がかかってしまいます。別の開発者が担当した場合、コードの大半を書き直さなければならなくなることもあり得ます。

ヘルプセンターの骨格を強固にするには、細部にまで注意を払ってコードを開発する必要があります。たとえ小さな不備でも、ユーザーの操作性の妨げとなることが考えられます。また、画像の縦横比が崩れているといった小さな問題から、一部のセクションや機能が使えないといった大きな問題まで、さまざまな問題が生じる可能性があります。当然ですが、誤字脱字、リンク切れ、画像の読み込みエラーなどのミスがないか、必ず確認するようにしましょう。

関連性の高い有益なコンテンツを作成する

ヘルプセンターにおいて、ソースコードが骨格なら、コンテンツは心臓です。コンテンツがしっかりしていれば、顧客は問題を自己解決することができ、サポート担当者も問題の解決策、製品の詳細情報、ポリシーといった情報を顧客にすばやく案内できるようになります。「知識は力なり」という言葉があるとおり、顧客やサポート担当者は、ヘルプセンターのコンテンツから、情報という力を得られるのです。

記事を論理的に分類し、情報を見つけやすいように体裁を整える

問題が起きたときに顧客が知りたいのは、何を参照すれば解決策が見つかるかです。顧客はできるだけ早く正解が欲しいと考えているものです。それに応えるには、適切なカテゴリを設定し、論理的に記事を分類します。また、カテゴリ名や記事のタイトルにも気を配り、欲しい情報がひと目でわかるようにします。

さらに工夫するとしたら、情報を見つけやすいように記事の体裁を整えることです。記事が読みにくいと、ユーザーは何度もページをスクロールして該当部分を探し当てる必要が出てきます。また、解決策を得るために、記事がどんなに長くても全体を読まなければならないこともあります。それでは最終的に、ヘルプセンターを見ること自体が億劫になってしまいます。コンテンツを見やすくするためには、テキストスタイル、リスト、Font Awesomeのアイコン、コールアウトブロック、タブ、アコーディオンといった体裁を整えるための要素をふんだんに活用しましょう。

コンテンツを絶えず更新する

コンテンツ作成で最も労力がかかるのは、最初にゼロから作り上げるときです。しかし、コンテンツを古いまま放置していれば、最初に作成したときと同じような労力をかけて書き直す必要が出てきてしまいます。サポートコンテンツの作成にはアジャイル型のアプローチを採用し、顧客のニーズや期待の変化に合わせて書き換えていくのが有効です。サポート担当者は、更新が必要な記事にフラグを立てたり、よく寄せられる質問を含むチケットにタグを付けるといった作業を継続して行うようにしましょう。

また、製品をリリースするタイミングや季節に合わせてコンテンツを調整することも忘れてはなりません。たとえば、ピーク時に最もよく閲覧されている記事を目立つ場所に配置すれば、より多くの人が必要なときに必要なコンテンツを見つけやすくなります。また、記事の鮮度にも気を配り、折を見てアーカイブや更新を行いましょう。

デザイン思考の優れたUXを実現する

強力なUXを設計する――。これこそ、ヘルプセンター最適化ニーズのピラミッドの頂点に位置するニーズです。優れたUXを作成するには、効果的なコンテンツや操作しやすいナビゲーションを作成し、信頼を構築する必要があります。また、ヘルプセンターでのやり取りをさらに最適化することも重要です。ヘルプセンターの最適化にデザイン思考を取り入れるには、共感性を軸にアプローチを進め、さらにそれをユーザー視点で捉え直す必要があります。UXの設計が適切でなければ顧客は混乱し、窓口にサポートを求めるようになるでしょう。それではセルフサービスを提供するメリットが損なわれてしまいます。下手をすれば、顧客は非公式のチャネルに頼るようになり、偏ったアドバイスを信じたり、競合他社に流出してしまう可能性もあります。

顧客に信頼されるヘルプセンターを構築する

顧客はどのチャネルを利用しても同じエクスペリエンスが提供されることを期待しています。そのため、ヘルプセンターは自社ブランドに沿って設計されている必要があります。ヘルプセンターは、自社の製品やサービスに関する唯一の確かな情報源として、顧客から信頼されるものでなければなりません。ヘルプセンターのデザインを自社のメインサイトに近いものにすれば顧客は親しみを感じ、信頼してもらえるようになるはずです。

レスポンシブデザインを実装する

モバイルWebサイトの使用中にトラブルを経験した消費者の61%は、再びそのサイトを使用することはないだろうと答えています。また、40%は競合他社に乗り換えるとも答えています。わずかな不備でも、小さな画面で見ると目立つものです。また、検索エンジンではレスポンシブデザインが採用されたWebサイトが検索結果の上位に表示されます。

レスポンシブデザインの比較

    レスポンシブデザイン(左)と非レスポンシブデザイン(右)のモバイル表示

ユニバーサルデザイン標準に従う

適切に設計されたヘルプセンターだと評価されるのは、直観的に操作でき、わかりやすく、ユーザーの期待に沿った作りのものです。検索バーやリクエストの送信ボタンが見つからないようなヘルプセンターはすぐに見限られ、ネガティブな印象のまま二度と使用されなくなるでしょう。以下は、カスタマーエクスペリエンスを第一に考えたユーザーフレンドリーなヘルプセンターを設計するためのヒントです。

  • 鮮明なフォント、一貫性のある配色、適切な間隔を選ぶ
    テキストと背景の色のコントラストが明確になるようにします。使用するフォント、色、アイコンの種類が多すぎるとごちゃごちゃした印象になり、コンテンツに集中できません。また、文字、単語、行、段落の間隔が広すぎても狭すぎても視認性が下がり、クリックがしづらくなることもあります。
  • 空白を利用する
    あえて空白の部分を残して、重要な情報を目立たせることができます。これには、コンテンツを読みやすくする効果もあります。
  • サイドナビゲーションを追加する
    サイドナビゲーションを実装すると、ユーザーは今見ているページからすばやく目的の情報にアクセスできるようになります。
  • 鮮明な画像を使用する
    これは説明するまでもないでしょう。
  • 操作に必要なクリックの回数をできるだけ減らす
    ヘルプセンターの中には、実際には中身が存在しなくても、カテゴリ、セクション、記事の構成がデフォルトのまま使用されているものがあります。不要なクリック数を減らすには、元の構造にこだわらず、独自のコンテンツニーズに合わせてヘルプセンターを構成し直すことをお勧めします。

Zendesk Guideをご利用の場合は、ZendeskマーケットプレイスLotus Themesが提供している、ヘルプセンターの最適化に使用できるテーマをご確認ください。

この記事は、Lotus ThemesのマーケティングマネージャーであるElena Tsesnietse氏が執筆したものです。同社は、Zendesk Guideのテーマとヘルプセンター最適化の分野におけるZendesk認定ソリューションプロバイダーです。

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