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乗客が待ち焦がれていた、旅客輸送の新たな顧客体験(CX)とは?
旅行ブームが、ついに訪れようとしています。 航空会社、クルーズ船運航会社、旅客鉄道会社は今こそ新しいCX(カスタマーエクスペリエンス)でいち早く旅行者を魅了し、生涯価値の高いロイヤルカスタマーを育むべき時です。
著者: Sarah Olson, スタッフ執筆
更新日: 2023年9月9日
新型コロナウイルスの世界的大流行以来、外出に消極的だった消費者は2023年に再び訪れる旅行の機会に意欲的です。
Booking.comよると、調査対象となった消費者のうち「2022年よりも旅行することについて楽観的」と回答した人の割合は73%、また「休暇への投資は優先度が高い」と回答した割合も半数にのぼります。経済の先行き不透明感にもかかわらず、消費者は旅行への支出に前向きです。
73%の消費者が「2022年よりも旅行することについて楽観的」と回答。(Booking.com調べ)
航空会社、クルーズ船運航会社、旅客鉄道会社にとってこの旅行ブームは、乗客を顧客生涯価値の高いロイヤルカスタマーに変える絶好のチャンスです。
次世代を担う若き旅行者や出張中のビジネスパーソン、デジタルノマドなど、多様なニーズに応える新しいカスタマーエクスペリエンス(CX)とは何か。旅客輸送会社はこの問いに真摯に向き合い、必要な変更を見極めて優先的に取り組む必要があります。
この記事では、旅客輸送業界におけるCX改善のヒントとベストプラクティスをご紹介します。
旅客輸送業界が直面するCXの課題
昨今の旅行者は、世界中で多くの問題に遭遇しています。
- シンガポール・チャンギ空港で足止めされた乗客
- ロンドン・ヒースロー空港で大量に積み上げられた預け手荷物
- 需要の高いクルーズ船の価格高騰
- メキシコ、コロンビア、ブラジルをはじめ世界各地で発生したビザ発給の遅れ
- ヨーロッパとアメリカで頻発する鉄道ストライキによる不確実な旅行計画
一方、旅行会社は人員不足やコスト上昇にともない、今までより少ない人数で今までと同じかそれ以上の質の高い体験を提供しなければいけないという、プレッシャーにさらされています。
旅客輸送業界が克服すべき課題には、以下のようなものがあります。
- 人手不足: 旅客輸送業界でも他の業界同様、乗務員やカスタマーサービススタッフの人員体制をコロナ禍以前の水準まで回復させることに困難を感じています。
- デジタルチャネル不足: 多くの企業が依然として電話とメールだけの世界から抜け出せず、不便な体験と長い待ち時間が顧客とスタッフ双方の不満につながっています。
- 予算調整とコスト削減: 燃料費やサプライチェーン全体の値上げに対処しながら質の高いカスタマーサービスを提供するには、他の分野との調整やコスト削減が必要になります。
旅行業界が本気でこれらの課題を克服しようとするなら、デジタルトランスフォーメーションは急務です。メッセージングやセルフサービス型サポートのような最新のCXツールへの投資は、乗客が今まさに直面している問題を解決するだけでなく、翌年以降のリピーターを増やすという点においても非常に重要です。
最新のCXでROIを向上させる3つの方法
顧客の好みのチャネルでつながりを深め、顧客生涯価値の高いロイヤルカスタマーを増やす
エクスペディアの調査によると、ミレニアル世代は他のどの世代よりも盛んに旅行する傾向があり、その次にZ世代が続きます。 これらの若い世代はデジタル体験に慣れ親しんでおり、普段使用するアプリやプラットフォームで企業とメッセージのやり取りができることを期待しています。
スペインのクルーズ船運航会社Baleàriaは、WhatsApp(世界中で利用されているメッセージアプリ)で搭乗券送信を始めた最初の旅客輸送会社の1つで、SNSとデジタルチャネルへの本格的な移行を進めています。
「電話とメールだけだった従来のコールセンターを、Zendeskを使ったオムニチャネル戦略で刷新しました。新しいコンタクトセンターのおかげで、顧客のニーズにすばやく柔軟に対応できます。」Baleària、カスタマー エクスペリエンス担当ディレクター、Alessandro Zollino氏
アゼルバイジャン航空も同様の成功を収めています。Zendeskでオムニチャネルソリューションにアップグレードした結果、現在は問い合わせの60%がメールとWhatsAppに集約されています。 この変更以来、同社の顧客満足度スコアは業界平均より10ポイントも高くなっています。
企業の従来型のツールは、スマートフォンユーザーにとって特に不便です。 ミレニアル世代の多くは、スマートフォンでの旅行のリサーチや予約を好むにもかかわらず、大多数にあたる86%が予約時のモバイル体験に満足していません。
Zendesk SDKを使用してWebサイトやモバイルアプリにメッセージングを導入すれば、モバイルフレンドリーなサービスや予約手続きが可能になります。出発前から旅行中、さらに旅行後であっても、旅行者はカスタマーサービスチームにちょっとした質問を気軽に送信し、予約プロセスから目的地到着まで、いつでも疑問を解決できます。
ワークスペースのカスタマイズでコストを抑えながら生産性と拡張性を高める
時代遅れのテクノロジーでは情報の追跡が困難なため、問題解決に多大な労力と時間がかかります。 カスタマーサービスチームの応答時間が長いと、他業界でのより優れたサービスに慣れている旅行者を満足させることはできません。
最新のCXソリューションなら、自社に特化したワークフローとアプリを構築できるため、少人数でも充実したサポートが可能になり、よりスマートなインタラクションを大規模に提供できます。 ロイヤルティプログラムや座席指定などのコアビジネスアプリケーションを、1つのサポートプラットフォームに統合しましょう。チームは時間と労力を節約できるだけでなく、顧客とのインタラクションを収益機会に変えることができます。
ヨーロッパ最大の格安航空会社ライアンエアーは、従来のシステムをZendeskの最新のツールで置き換えて規模を拡大することで、年間2億2,500万人もの乗客に適切なサービスを提供するという目標を、見事達成しました。
「お客様に最新のサービスを効率的に提供するため、カスタマーサポート関連のツールを単一のプラットフォームに統合し、カスタマーサービスを全面的に一新しました。 Zendeskの投資対効果は非常に高く、とても満足しています。」
ライアンエアー、カスタマーサービス担当ディレクター、Tracy Kennedy氏ライアンエアーは、プラットフォームの一元化から38か国におよぶオムニチャネルサポートソリューションの立ち上げまでを、わずか6か月で達成し、運用コストの大幅な削減に成功しました。
ZendeskのCXトレンドレポート2023年版では、67%もの消費者が、優れた体験を提供してくれる企業を優先して利用したいと回答しています。旅客輸送業界でも、より便利でパーソナライズされた体験を実現することが重要なのは、そのためです。
ZendeskのAPIを使用すると、Sabre、アマデウス、トラベルポート、Versonixといった外部システムや、ロイヤルティプログラム、手荷物システムなどのデータをスムーズに統合できます。 顧客の履歴と問い合わせ時の状況をすぐに把握できるため、担当者は顧客が困っていることや要望をすばやく汲み取って適切なサポートを提供し、その機会をアップグレードや追加販売の機会に発展させることも可能です。
絶え間なく変化する時代の柔軟性とスピードを司る「効率化」
新型コロナウイルス感染症の世界的大流行により、大きな打撃を受けた旅客輸送業界。かつて実装に数年を要していたデジタルトランスフォーメーションとは異なり、最新のテクノロジーなら、変化にリアルタイムで追従することも容易です。Zendeskなら数年どころか数か月で、導入の価値を実感していただけます。
旅行ブームが高まる2023年、CXチームは増加する需要に備え、内部プロセスの最適化を迫られるでしょう。
ZendeskのようなロバストなCXプラットフォームを導入すれば、業務に最適化されたワークフローを構築でき、サポートチームは単調で数が多いにもかかわらず収益創出からはほど遠いタスクを自動化することができます。
特に、コロナ禍以前の水準までスタッフの数を回復させることが困難な旅客輸送業界では、従業員に働きやすさを提供することが非常に重要です。従業員がスムーズに業務を遂行し、パフォーマンスを発揮できるようなツールがあれば、対応に追われるチームのプレッシャーを軽減し、生産性を高めることができます。
「もしZendeskを導入せずに以前のツールのままでいたら、今の仕事量をこなすためにあと最低100人はスタッフが必要だったでしょう。」アゼルバイジャン航空、広報スペシャリスト、Anar Aliyev氏
セルフサービス型サポートも、効率を高める手段のひとつです。 旅客輸送企業に寄せられるリクエストのほとんどは、キャンセル、予約変更、荷物の追跡、獲得マイルの加算といった基本的なものです。セルフサービス型サポートであるヘルプセンターとチャットボットを利用すれば、顧客はこれらの手続きを自分で済ませることができます。
またインタラクティブなカスタムアプリを作成して座席指定やキャビンクラスの指定、メッセージ内でのアップグレード、追加購入、特別サービスリクエスト用ウィジェットなどを実現し、セルフサービス機能をさらに進化させることも可能です。 ローコードツールとノーコードツールを組み合わせながら、基盤となるインフラストラクチャの種類にかかわらず、新しいアプリケーションをスピーディーかつ簡単に導入できます。
使いやすいな検索機能と賢いチャットボットを組み合わせたライアンエアーのセルフサービスシステムでは、顧客は必要な情報をすばやく簡単に見つけることができます。結果として80%もの顧客が、人的対応を介さずに疑問を解消しています。
同様に、アゼルバイジャン航空は、ひと月あたりの閲覧数9,000回以上を誇る有用なヘルプセンターにより、チケット件数の大幅な削減に成功しました。
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