テクノロジー、ビジネス、メディア業界は、流行語(バズワード)で溢れています。 応用可能な新しいテクノロジーと実体のない最新のアイデアを区別することは、特に変化が目まぐるしいデジタルの世界において、困難を極めます。 楽観的な未来主義者たちは暗号通貨、NFT、メタバースといったWeb3時代の到来を祝い、Twitter、Discord、LinkedInなどでもそうしたコンセプトがトレンドになっています。
しかし多くの企業にとって、こうしたビジョンはまだ現実的なものではありません。 メタバースとは何なのか定義すら定まっていない中で、メタバースにサポートチームの設置をなどと考えるのは非現実的です。 少し前には、AI、自動化、オムニチャネルといったコンセプトも話題となりました。 以前からテクノロジーは確かに存在し、人々の関心も集めていました。しかし今と比べたらどうでしょうか?
人工知能、自動化、会話型サービスといったコンセプトは、いまや業界用語の範疇を越えて人々の生活の一部となりつつあります。2022年になってからのZendeskの調査では75%以上の企業が会話型サービスについて「良く知っている」と答えています。 多くの企業が優れたアプリケーションを導入して事業拡大を進める一方で、小規模企業では残念ながら洗練されたカスタマーエクスペリエンスの提供に欠かせない現代的なテクノロジーの普及が遅れています。 今やカスタマーエクスペリエンスは重要な差別化要因です。成長を遂げた企業に学び、もっとテクノロジーを活用しませんか?
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会話型サービスの現状
会話型サービスはここ数年でいくつかの大きな進化を遂げました。 中でも特筆すべきは、オンラインチャットからより多彩で便利なチャネルへの移行です。
会話型サービスとは
70%もの顧客が会話型チャネルを期待するようになった2022年。 WhatsAppやInstagramなどのメッセージングチャネルを介したサポートリクエストは、2020年以降急増しています。 先進的なブランドや企業は、メッセージングアプリを駆使して、便利でパーソナライズされたカスタマーエクスペリエンスを提供しています。 ”優れたCXとは何か”の基準が変わるにつれ、オンラインチャットのようなベーシックな対話チャネルはメッセージングアプリなどのよりフレキシブルで洗練された非同期型チャンネルに置き換えられています。
ロバストなチケット作成システムや大規模なサポートチームを持ってしても、一度にいくつものセッションベースの会話に対応するのは困難です。 会話が単独のセッションに制限されないメッセージングは、エージェントにとっては柔軟性を、顧客にとってはオンラインチャットよりも優れた利便性を実現します。
チャットとメッセージングの違い
「メッセージング」と「チャット」は、しばしば混同されがちです。 Zendeskは、チャットを「セッションベースの会話チャネル」として定義しています。つまり、セッションが終われば対話もそこで終わりです。 これに対しメッセージングはセッションベースではなく、セッションが終わってもコミュニケーションを次へつなぐことができます。 またソーシャルチャネル(WhatsAppやInstagramのDMなど)をはじめ、Webサイトやアプリ内のウィジェットのような内蔵型チャネルを指すこともあります。
メッセージングは、オンラインチャットとは異なり非同期です。 オンラインチャットは、素早いやりとりが可能ではありますが、あくまでその場限りの一時的なものです。 メッセージングは、長期的な関係を築き、顧客ロイヤルティを高めるために設計されているため、 洗練された未来型のカスタマーサービスの実現を可能にします。 バックエンドでは、すべてのチャネルの会話が同じエージェントワークスペース内で行われます。
AIやチャットボット
ハーバード・ビジネス・レビュー によると、米国の購買者の3分の2は、商品を買うか決めるまで、またその後のアフターサービスにおいても、リモートスタッフによる対応やデジタルセルフサービスを好んで利用しています。 自動化された会話チャネルは多くの顧客にとっての最初のタッチポイントであり、現代的なカスタマーサポートの象徴ともいえます。 しかし、チューリングテストもクリアするような洗練された高度なボットを使用するブランドはごくわずかで、 むしろカスタムメイドの会話型フロー、クイックリプライ、ルーティングなどのもっとシンプルな自動化が平均応答時間や顧客満足度に大きなプラスの影響を与えることが明らかになっています。
一方で2022年のCXトレンドレポートによると、小規模企業の40%が、AIを導入する財政的余裕があっても投資に踏み切れていません。 AIテクノロジーが身近になり、これまで以上に導入しやすくなったことは、企業にとっての大きな成長機会です。 顧客の最初のコンタクトがメッセージング会話のボットであれば、顧客は営業時間外であっても、24時間年中無休で、有人対応に頼らず問題を自己解決できます。 Zendeskを導入すれば、管理者が設定さえすれば、ボットがヘルプデスクの記事を顧客に提示してセルフサービスを支援してくれます。 また管理者は、ボットの応答をカスタマイズして顧客を会話の流れに沿って誘導し、必要に応じてエージェントに会話を引き継ぐことができます。
より良いカスタマーサービスツール
成長企業では、従業員一人ひとりが多くの役割を果たしています。 大量のチケットに対応する小規模なサポートチームにとって、メッセージングは省力化の心強い味方です。 メッセージングチャネルは広く普及していますが、すべてのサービスチャネルを統合したプラットフォームを導入している企業は、わずか17%です。 つまり未だに多くの企業が各チャネルをバラバラに管理しており、生産性や重要な顧客データの可用性にマイナスの影響を及ぼしています。 ワークフローを特定して自動化・最適化すれば、エージェントを時間のかかる雑務から解放してパフォーマンスを向上できます。
統合型エージェントワークスペースなら、バラバラに分散していたチャネルを一元管理できます。 Facebook MessengerやWhatsAppのようなソーシャルメッセージングチャネルを他のチャネルとまとめて管理・運用すれば、対話履歴を含めた大切な顧客情報の集約化にもつながります。 エージェントは情報を探す時間が減り、自動化やセルフサービスでは解決できない高度な問い合わせに集中できるようになります。
顧客との会話やDMを効果的に管理・運用したい小規模企業にとって、適切なツールへの投資には大きな差別化効果があります。 成長を遂げた小売企業のうちメッセージングによるサポートを提供しているのはわずか50%ですが、一方でこれらの企業では顧客満足度と顧客ロイヤルティが特に高いことが判明しています。 顧客とのやり取りをバラバラに運用していると、そこから得られる重要な情報を取り逃がしてしまうでしょう。
InstagramのDMから包括的なカスタマービューへ
高級ジュエリーを販売するChupiでは、カスタマーサポートチームの働きが事業の拡大と密接に連動しており、配送と返品に関わる様々なサポートタスクを従業員間で分担しています。 一つの課題として、カスタマーサポートをコールセンターに委託する一方でInstagramのDMにも対応しており、顧客とのコミュニケーションチャンネルが2つに分かれていました。
そのため、よくあることですが一貫性のないバラバラなカスタマーサポートが高級志向のユーザーの不満要因となっていました。 そこで、Zendeskの導入とInstagramのさらなる活用によるカスタマーサポートの改善に着手しました。 Zendesk導入後、6人のメンバーで構成されるChupiの専任コミュニティケアチームは総解決時間を20時間以下に短縮することに成功。CSATも向上し、カスタマーケアをきっかけとする売上が300%も増加しました。
従来提供してきたコールセンターサービスは、スタッフが商品知識をもたないため顧客からの問い合わせに十分対応できず、優れたカスタマーサービスとは言えませんでした。 Chupiにはもっと包括的なカスタマーケアを実現したいというビジョンがありました。
「何よりもまず、すべての顧客データを一元管理できるプラットフォームの導入が重要と感じていました」と、ChupiのCTOであるBrian Durney氏は述べています。 「電話やチケット、InstagramやFacebookからのDMなど、すべてのデータを1つのプラットフォームに集約したかったのです。」
今ではChupiのカスタマーケースチームは、Zendeskの各チャネルにあるすべての会話にシームレスにアクセスし、1つのインターフェイスで一元管理しています。
「チャット、メール、DMなど、複数のチャネル上で同じ顧客と一貫性のあるやり取りを継続できます。 いつでも同じ背景情報を共有して対応を維持できるからです」とDurney氏は述べています。 スレッドで過去の会話を確認することができ、会話履歴や閲覧履歴などの全ての関連情報が進行中の会話とともに表示されます。
従来は3~4種類のシステムをバラバラに運用していたDurney氏は、いまは情報を一元管理することの大切さを痛感しているそうです。 現在はZendeskにShopifyを統合し、「顧客の詳細情報や購入履歴をさらに分かりやすく確認できるようになり、本当に便利です」と語っています。
メッセージングを導入すべき理由
SNS、Webサイト、アプリ埋め込み型など、どのようなメッセージングチャネルでもZendeskの製品、サービス、ワークフローとシームレスに連動します。
Zendeskを導入した企業の3分の1以上が、よくある質問への対応にメッセージングと自動化を利用しています。
調査対象となったユーザーの約40%が、平均応答時間がすぐに明らかに短縮されたと回答しています。
自動化により、顧客は営業時間外でもナレッジベースの情報を利用して問題を自己解決でき、一方エージェントは顧客対応を効率化できます。
Zendeskを導入してオンラインチャットからメッセージングに切り替えた企業は、エージェントの生産性が40%向上したと報告しています。
次のトピック: 小規模会社はどのようにメッセージングを導入できるか?
2022年のCXトレンドレポートは、顧客を中心に据える企業がいかに成長し、顧客ロイヤルティを高めているかを示しています。 ここでは、会話型エクスペリエンスの提供を成功させる、3つの秘訣を紹介します。
1. 経営トップを味方につける
- 会社の意思決定者の支持を得る: 経営トップは、会社の戦略的ロードマップや事業目標にカスタマーエクスペリエンスを組み込むことができます。 例えば上級管理職の報酬をカスタマーサービスのパフォーマンスに連動させることも、経営トップのコミットメントを刺激するでしょう。
- パフォーマンスを指標化する: 「ナレッジは力」です。社内の知識やノウハウを十分に業務に活用できているでしょうか。 すべての事業はそれぞれにユニークで他とは異なるため、独自の対応が必要です。 カスタマーサポートチームのパフォーマンスをモニタリングし、必要に応じて調整しましょう。
- 幹部チームと情報を共有する: Zendeskの調査では、成熟したCX体制を持つ小規模企業は、そうでない企業に比べてサービスパフォーマンスメトリックを毎日チェックする割合が6倍も高いことが分かっています。
2. 会話型サポートのビジネスケースを確立する
- ROIを客観的な評価基準に: サポート担当者は、カスタマージャーニーのインサイトに基づく製品アップグレードや追加販売の促進により収益増に貢献できます。 注意点 エージェントの収益貢献度をわかりやすく反映させた損益計算書があれば、カスタマーサービスと事業の成長の相関関係を明確化できるでしょう。
- システムの最適化と一元化: バラバラなサポートチャネルを統合して一元管理しましょう。 顧客との会話履歴を、すべての関連するデータとともに一画面で確認できます。
- 設定や実装がシンプルなソフトウェアを選ぶ: ソフトウェアソリューションの中には実装完了までに数週間から数か月かかるものもありますが、 Zendeskならカスタマーサポートに必要なすべてのツールを導入後すぐに利用できます。メッセージング機能も最初から含まれていて、チャットボットの設定も簡単です。
- 頻繁にパフォーマンスをチェックする: KPIとそれに対応する収益予測を常に確認することで、カスタマーサービス改善のチャンスがどこにあるかが見えてきます。 初回応答時間、平均処理時間、ネットプロモータースコア(NPS)などのメトリックを継続的にチェックし、いまのサポート戦略はどんな状況か、どうしたら改善できるかを把握しましょう。
3. 優れたカスタマーエクスペリエンスを追求する
- ワークフローを簡素化する: サポートチームは日々様々な業務に対応しています。時間のかかる反復作業や手作業をできるだけ減らすよう工夫しましょう。 自動化などでワークフローを最適化することで、エージェントの業務を効率化しパフォーマンスを向上できます。 その顧客に関するすべての情報を同じ画面で確認しながら顧客対応できれば、カスタマーエクスペリエンスの品質向上にもつながります。
- 会話をパーソナライズする: フロービルダーツールでチャットボットを設定し、ニーズに合った自動会話を提供しましょう
- 拡張性の高いソリューションを選ぶ: Zendeskは面倒な設定なしですぐに実装できますが、その後業務内容や顧客のニーズに合わせて自由にカスタマイズすることも可能です。
- SNSをもっと活用: 顧客がいつも使うチャンネルでサポートを提供しましょう。 WhatsAppやInstagramは、認証済みプロフィールやZendeskと統合できるAPIなど、多くのビジネスチャンスの宝庫です。Zendeskなら全てのチャネルでのやり取りを同じ画面で確認できます。