メンタルケアは、コールセンターやカスタマーサポートのオペレーターにとって非常に重要な要素です。オペレーターは業務上メンタルヘルスが不調になりやすいため、十分なケアが必要になります。セルフケアだけではなく、職場でも適切なケアを行えるように「上司の目配り」も重要でしょう。
オペレーターのメンタルケアはマネージャーの主要な業務
コールセンターでは、オペレーターのメンタルヘルス管理もマネージャーの重要な仕事の一つです。よって、以下のことに配慮しなければなりません。
オペレーターはメンタルヘルスが不調になりやすい
コールセンターやカスタマーサポートのオペレーターは、お客様の問い合わせ内容を即座に判断して回答したり、担当部署につないだり、高い集中力が必要です。お客様から商品やサービスについてのクレームを最初に受ける窓口でもあり、たまには自社に非がない理不尽なものもあるでしょう。非常にストレスの多い仕事であり、通常業務を行うだけでもメンタルヘルス(心の健康状態)が不調になりやすいといえます。その結果、休職したり退職したりするオペレーターも少なくありません。
マネージャーはメンタルヘルスも管理する必要がある
オペレーターのメンタルヘルスを健全に保つことは働きやすい職場を作ることにつながります。つまり、オペレーターのメンタルヘルス管理やケアは、職場の運営管理者であるマネージャーの重要な業務といえます。労働契約法でも、管理職による部下のメンタルヘルス管理およびケアは従業員に対する安全配慮義務の一つであり、必要な業務とされています。
部下のメンタルケアのためにマネージャーがやるべきこと
では、オペレーターのメンタルヘルスを配慮する際に、具体的にどのような行動を取ればよいのでしょうか。
オペレーターの様子をよく見る
メンタルヘルスが必要なオペレーターを発見するには、普段から個々のオペレーターをよく観察しておく必要があります。メンタルヘルスも体の病気と同じで、初期なら簡単なケアで済みますが、悪化すると業務に支障をきたしてしまいます。その結果、退職という事態になるケースも十分にあり得るでしょう。メンタルが不調なオペレーターを発見したら、そのまま放置せずに早期に状況を把握し、解決に向けた行動を取る必要があります。
メンタルヘルスの不調はここに現れる
メンタルヘルスの不調は、いつもと違う様子に現れます。具体的には、次のような点に注意してください。
欠勤、遅刻、早退が増える
身だしなみに気を使わなくなる、姿勢が悪くなる
集中力低下、効率低下、ミスが増える(これまで普通にできていた仕事ができなくなる)
元気がない、口数が減る、挨拶がない、感情の起伏が激しい
ネガティブな発言が増える、辞職したいと発言する
酒やたばこの量が増える、食欲不振、睡眠不足
免疫力が低下して病気が多くなる、など
オペレーターの話をよく聞くこと
メンタルケアが必要になりそうなオペレーターを見つけたら、まずはヒアリングを行います。じっくりと話を聞いて、状況を把握しましょう。ただし、部下であるオペレーターからすると、上司であるマネージャーからのヒアリングに大きなプレッシャーを感じることもあります。まずは話を聴くことに専念して、現状を把握し、信頼関係の構築に努めなければいけません。相手によっては、大げさなヒアリングよりも休憩時間や空き時間に声を掛けるなど、話しやすい環境をつくる工夫が必要です。
職場としてサポートできることを話し合う
状況を把握できたら、職場で実現可能なサポートを提示します。サポートの種類は、業務量の削減、短時間勤務、産業医への相談、異動など、職場の状況に応じて異なりますが、どの方法でも「本人との入念な話し合い」が重要なポイントになります。短時間勤務にして負担を減らしたつもりが、当の本人は「自分は不要な存在なのかも」と思い悩んでしまう、といったケースがあるからです。
オペレーターと話すときはここに注意!
オペレーターのメンタルヘルスについて本人と話す際は、通常の会話よりも気をつける必要があります。具体的には、以下の点に配慮しなければなりません。
プライバシーに十分配慮すること
メンタルヘルスに関する情報は、個人情報のなかでも特に慎重な取り扱いが必要なものです。ヒアリングや話し合いの際には、オペレーターのプライバシーに十分配慮しなければなりません。ヒアリングの際は他者に話の内容が聞こえないよう、個室を使用するのが望ましいでしょう。距離を縮めるためにアルコールが効果的なこともあるでしょうが、酒の席では重要な話し合いはおすすめできません。もちろん、話し合いの内容を本人の了解なしに他者に伝えてはいけません。うかつに情報を漏らせば信頼関係は壊れてしまいます
口調や話し方にも気を配る
メンタルヘルスの話をする際に、自分の武勇伝を話したり、乱暴な言葉で部下を鼓舞したりする上司も多いようです。しかし、このような対応はパワハラにあたる可能性もあります。メンタルケアが必要な部下に対して、「最悪の対応」といえるでしょう。基本的に、ゆっくり共感しながら、相手の話を聴くことです。欠勤などについては、客観的なデータをもとにして、具体的かつ事務的に話をします。責めるような言い方はしてはいけません。
自分が部下のストレスの原因になっていないか?
マネージャーの普段の対応がオペレーターのストレスの原因になっていることもあります。威圧的に話す、他者の前で叱責する、細かい行動まで管理する、過度に放任するなど、「上司の態度」が部下のストレスの原因になることも多いものです。原因がマネージャーであれば、普段の態度を改善することで部下のメンタルが安定することもあるでしょう
うつ病が疑われるときは
メンタルヘルスがひどく悪化してうつ病が疑われるほどの状態であれば、休息だけでは改善しません。勤務医や産業医、もしくは社外の精神科や心療内科を受診し、医師の助言にしたがって適切な処置を行います。
まとめ:適切なメンタルケアのために普段からの観察が重要
体の不調と同じように、メンタルヘルスの不調も早期発見が早期治療につながります。「オペレーターの様子がいつもと違う」という段階で気づき、話し合うことができる体制を整えておくのがベストです。そのためには、普段からの適切なコミュニケーションをとり、十分に観察しておく必要があります。