業務内容や人材育成などの効率化を図りたい場合には、業務マニュアルを整備することで実現できるかもしれません。この記事では、業務マニュアルについての基礎知識を解説した上で、マニュアル作成の手順と押さえておきたいポイントや作成に便利なツールを紹介します。
業務マニュアルとは?
業務マニュアルとは、業務の進め方と業務遂行の具体的な方法を一体化したドキュメントのことです。業務を進めるにあたって必要となる前提知識や業務全体の流れ、業務の判断基準などが記載されています。前提知識には経営方針、事業の内容、組織構成、法令などが該当します。また、業務全体の流れを示す図や、異常があった際の対応も記載しなければなりません。承認の基準や指標といった業務上の判断基準も盛り込みます。
業務マニュアルと混同されがちなものに手順書がありますが、それぞれがカバーする範囲や内容、役割は異なります。手順書が業務内の一部の工程における手順を詳しく明文化したものである一方、業務マニュアルには業務全体の流れや具体的方法、ルール、経営方針、組織構成などが網羅的に記載されているのです。
マニュアルを作成する目的は業務の効率化
マニュアルを作成することで誰でも業務の全体像や手順を把握できるようになるため、効率化が期待できます。初めて業務に携わる従業員でも、マニュアルを読むことで事前に具体的な業務内容をイメージでき、調査や相談にかかる時間が少なく済むため、業務に取り掛かるまでの時間短縮が可能です。新人教育に従業員が時間を割かれることも少なくなり、育成にかかるコストを削減できます。
また、マニュアル作成により業務手順が統一され、従業員による品質やスピードのばらつきを均一化することにもつながるでしょう。作業内容を明文化することによって業務内容や手順を共有しやすくなり、業務を特定の従業員に依存する属人化が解消され、業務負担の軽減や人手不足の解消といった効果も期待できます。
マニュアル作成手順とコツ
マニュアルを作成する際は必要なステップを経ることで効果的なものに仕上げられます。先にマニュアルの構成を決めておくことで、必要な情報を漏れなく盛り込めます。また、作成後も運用中に出てくる改善点を修正していくことが必要です。
構成案作成:読み手を明確にする
マニュアルの作成に取り掛かる前に、知識レベルや年代、役職などといった読み手を明確にし、何を伝えるのかという目的を設定することが必要です。読み手によって盛り込む情報の内容や使用する用語、文体などが異なるため、これらを適切に設定することで効果的に情報を伝えられます。次に、業務内容や手順、注意事項などを洗い出して整理し、抜け漏れがないかをチェックします。マニュアルを具体的なものにするには5W1Hを意識することがポイントです。
このように、マニュアルを作成する前に記載する情報を整理して構成案を作る工程が必要です。構成案を作成することで、マニュアルの内容が目的とずれることを防げます。構成案を作成する段階で見出しを作成しておけば、見たい箇所をすぐに参照できるマニュアルが作りやすくなるでしょう。
デザイン決定:フォーマットは統一する
マニュアルのデザインは読みやすさを第一に考えなければなりません。そのためにはページ形式やフォントの種類、文字の大きさ、色といったフォーマットを統一することが重要です。これらのフォーマットがマニュアル内または既存のマニュアルと異なっていると、読み手は読みづらいと感じてしまいます。フォーマットを統一することで、新しいマニュアルでも受け入れてもらいやすくなるでしょう。
分かりやすさを重視したシンプルなデザインであることが望ましく、情報や色を盛り込みすぎると読みにくくなってしまいます。また、見出しに沿って内容を階層的に整理しておくことで、情報の探しやすさや理解のしやすさが向上します。
仮運用:改善・修正を繰り返す
マニュアルが完成したら実際に運用し、従業員からのフィードバックを基に改善していく必要があります。必要な情報の抜け漏れや誤った情報の記載、不明点などの不備がないかを確認してもらい、都度修正を行います。マニュアル作成は初版を作成すれば終わりではなく、内容を修正しながら実運用に向けて完成度を高めていくことで、より実用的で効果のあるものにすることが可能です。
マニュアル作成のポイント
マニュアル作成に当たって押さえておきたいポイントはいくつかありますが、ここでは「要点の明確化」「電子化」「ツールの活用」をピックアップして紹介します。これらのポイントを押さえることで、より分かりやすく使い勝手のいいマニュアルを作成できるでしょう。
要点を明確にする
分かりやすいマニュアルを作成するには、要点を明確にすることが重要です。不要な情報を極力省いて簡潔な記述にすることで、要点が埋もれずに済みます。強調したい箇所にはアンダーラインやマーカーといった装飾を施す方法も効果的です。
マニュアルには文章だけでなく、フローチャートや図、写真などを適所に配置することで、視覚的に理解しやすくなります。複数の要点がある場合には、箇条書きを用いることが有効です。また、曖昧な表現があると混乱を招くため、断定的な表現を用いるようにしましょう。
マニュアルを電子化する
マニュアルを電子化することで得られるメリットは大きく、管理や共有が行いやすくなったり、検索によって必要な情報を素早く見つけ出せたりする効果をもたらします。マニュアルの整理や分類がしやすく、保管スペースも必要ありません。
最新情報やよくある質問といった更新頻度の高い項目についても、すぐに反映しやすくなります。ネットワーク上に保存しておくだけで、各自の端末から閲覧することが可能です。また、印刷に伴う紙やインクといったコストも削減でき、廃棄の手間もかかりません。
ツールを活用する
マニュアルの作成・管理はツールを利用することで効率的に行えます。用意されたテンプレートを利用することでデザインを統一できるため、フォーマットにかける時間を削減できます。また、継続的な改善・更新作業をサポートする機能によって常に最新の情報を反映することも可能です。
Zendeskなら豊富なテンプレートを利用して、短期間で業務に使えるマニュアルを作成できます。
導入・運用においてはコーディングの必要がないため、プログラミングのスキルがなくてもオンラインマニュアルを作成できる環境が容易に構築できます。テキストだけでなく画像や動画を差し込むことで、視覚的に把握しやすいマニュアルを作成することが可能です。
作成したコンテンツはカテゴリーごとや部門ごとに階層化して配置できるほか、高度な検索機能によっても探し出せるため、必要な情報をすぐに参照できるというメリットがあります。記事ごとに閲覧権限を設定することで、柔軟な管理を行えます。閲覧状況や検索履歴などのログを確認でき、分析することで容易に改善へとつなげられます。これらの機能を活用することで、常に最新のマニュアルを誰もが場所を問わず簡単に参照できる環境が整備できるでしょう。
まとめ
業務マニュアルは、業務の流れや具体的な方法などを網羅的に記したドキュメントであり、業務を効率化するためのものです。作成するには、まず目的を設定した上で適切な手順に沿って進める必要があります。完成した後も実運用からのフィードバックを基に改善・修正を繰り返さなければなりません。
ツールを活用することで、分かりやすいマニュアルを簡単に作成し、効果的に管理することが可能です。マニュアル作成を考えている方は、作成から運用、改善まで一貫して行えるZendeskの導入を検討してみてはいかがでしょうか。