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Webチャットと電話、どちらのサポートチャネルを選ぶべき?
Webチャットと電話はどちらも同期性の高いサポートチャネルであるため、顧客の問題に迅速に回答できます。しかし、2つのチャネルにはいくつか重要な違いがあり、それを踏まえて企業は使用する場面や使い方を変える必要があります。
更新日: 2024年2月22日
ご存知のとおり、今日のカスタマーサービスツールは多種多様です。メッセージングアプリ、電話、メール、Webチャットなど、さまざまなコミュニケーションチャネルが存在し、企業や顧客にもたらすメリットはそれぞれに異なります。
対応の速さという点では、間違いなくWebチャットと電話に軍配が上がります。どちらのチャネルも同期性が高く、顧客が問題への回答をすぐに得られるため、昨年も利用率が急増しました。しかし、Webチャットと電話にはいくつか重要な違いがあり、それを踏まえて企業は使用する場面や使い方を変える必要があります。
Webチャットでのサポート
Webチャットによるサポートでは、顧客がWebサイトやモバイルアプリを介して即座に企業とやり取りできます。顧客が閲覧中のページにチャットウィンドウを表示して助けが必要かどうかを確認したり、サポートを求めている顧客が自らチャットを開始できるようにしたりと、リアクティブ(事後対応型)にもプロアクティブ(事前対応型)にも使えます。
最近、どこかの企業のWebサイトを訪問したときのことを思い起こしてみてください。何か質問がないかを確認するチャットウィンドウが表示されませんでしたか? あるいは、商品のサイズに関して不明点があり、詳しく問い合わせたいと思うようなことがありませんでしたか?
いずれの場合も、チャットウィンドウをクリックするとサポート担当者につながり、即座に対応してくれます。
「Zendeskカスタマーエクスペリエンストレンドレポート2021」によると、Webチャット経由のチケットは新型コロナウイルス感染症のパンデミック中に約50%増加しました。
「Zendeskカスタマーエクスペリエンストレンドレポート2021」によると、顧客は企業とやり取りする際にWebチャットを好んで利用するようになってきています。
パンデミック中にWebチャットを利用する機会が増えたという顧客は全体の25%を占め、Webチャット経由のサポートチケット(問い合わせ)件数は約50%も増加しています。その理由はおそらく、AI搭載のチャットボットの活用によって、Webチャットが24時間年中無休のサポートを提供できるためです。
ZendeskのAnswer Botのようなチャットボットを導入すれば、通常の営業時間外に顧客のリクエストに対応したり、よくある問題を解決したり、担当者が不在の間にチケットを作成しておくことが可能になります。
Webチャットサポートのメリットとデメリット
メリット |
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デメリット |
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電話でのサポート
Webチャットやメッセージングのような新しいチャネルが登場しているにもかかわらず、電話サポートは今も多くの顧客に利用されています。ほとんどの顧客が解決スピードを何より重視していることを考えれば、根強い支持が続いているのも当然です。
顧客の62%は、企業に問い合わせる際に最も使用したいチャネルは電話だと答えています。
しかし、顧客の62%が電話での問い合わせを依然好むとしながらも、電話は昨年人気が低下した数少ないチャネルの1つでもあります。それでも、難しい質問に回答したり、パーソナライズされたサポートを提供したりすることに関しては、電話に及ぶサポートチャネルはありません。
過去に、チャット経由で複雑な問い合わせをして、細かい事情まですべて書き出さなければならず苦労した経験はありませんか? 間違いなく、電話で話して説明するよりも多くの時間がかかったでしょう。
また、電話サポートは、対面でのコミュニケーションに近く、声のトーンや抑揚が伝わりやすいほか、口頭でやり取りできるという利点があるため、顧客とよりパーソナルなつながりを築けるようになります。
電話サポートのメリットとデメリット
メリット |
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デメリット |
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Webチャットと電話サポートの重要な違い
プロアクティブサポートを提供できるか
Webチャットと電話サポートの顕著な違いの1つが、タイミングです。電話は一般的に、顧客から会話を始めるリアクティブなサポートチャネルと言えますが、Webチャットはプロアクティブなチャネルとして展開できます。
プロアクティブなサポートを提供できるかどうかで、自社のWebサイトを訪問した顧客が、何も買わずに去っていくか、あるいは購入に踏み切ってくれるのか、結果が変わってくる可能性があります。
Webチャットなら電話と違って、サポート担当者がそれとなく顧客の購買意欲を後押ししたり、購入の妨げとなっている疑問や不明点を解消したりできます。リアルタイムで人間味のあるやり取りが行えるか
どちらのチャネルもリアルタイムでコミュニケーションをとれますが、直接話せた方が人間味が感じられるという理由で、チャットよりも電話サポートを好む顧客は多くいます。複雑な問い合わせの場合、特にその傾向は強まります。
話し相手の声を実際に聞けることは、一部の人にとって安心感につながると共に、説明があいまいで誤解が生まれるといったことも防げます。
実際、Webチャットによるサポートでは、時にトーンがうまく伝わらず、嫌味たらしい、急かされている、イライラしているといった印象を思いがけず持たれてしまうことがあります。これは電話では滅多に見られないことです。記録の保存方法
Webチャットと電話には他にも、顧客との会話の記録・確認に関する面で重要な違いがあります。どちらのチャネルでも会話の記録・確認は可能ですが、チャットにはテキストを検索する機能もあります。
検索機能を使えば、顧客の問題の経緯や背景といった重要な情報をしっかりと把握できます。
さらに、Webチャットの分析機能では、参照元リンク(どのサイトからアクセスしてきたのか)、OSとデバイス(顧客はどんな連絡手段を望んでいるのか)、ステータス(アクティブかアイドルか)、自社サイトの閲覧時間、訪問回数、チャットの使用回数、現在地など、顧客に関するインサイトを得ることができます。
一方、電話サポートでは、前述のとおり通話の録音が可能です。録音された内容を基に、担当者による対応が顧客にどのような印象を与えているのか、また顧客からどんな反応を受けているのかをチェックできます。こうした情報も非常に重要です。チケットの件数、待ち時間への顧客の許容度はどれくらいか
Webチャットは、同時に複数の顧客に対応できるため、難易度が初級あるいは中級程度のサポートリクエストを大量に扱っているカスタマーサービス部門には最適のチャネルです。
顧客は待たされることを嫌うものです。Webチャットなら待ち時間が大幅に短縮されると共に、担当者のプレッシャーも軽減されます。
しかし、サポートリクエストの内容が複雑だったり、相手がVIP会員や長年の得意客の場合などは、チャットが常に最善の選択肢であるとは限りません。こうしたケースでは往々にして、電話サポートが得意とする行き届いた対応や人間味のあるやり取りが求められます。
これが、Webチャットと電話サポートの両方を提供することが良しとされる理由の1つです。両方を提供していれば、企業ひいては顧客が、顧客やその問題ごとに最適なチャネルを使うことができます。顧客の期待
顧客のニーズをめぐる状況は急速に変化しています。たった1つですべての顧客のニーズを満たせるチャネルはありません。皆さんやチームのメンバーと同じように、顧客は日常生活でさまざまなチャネルを利用しています。
SNSは自身の体験を共有したいとき、インスタントメッセージングは簡単に今の状況を知らせたいとき、電話はもっと突っ込んだ会話をしたいときと、目的によってチャネルを使い分けています。そして顧客は、カスタマーサービスに関しても同じ要領で利用できることを期待しています。
オムニチャネルサポートを提供しているチームは、一般的に応答が速く、顧客満足度も高いとされています。
3年前の調査では、半日以内にメールへの返信があることを期待している顧客の割合は62%でした。それが今では79%に増加しています。同様に3年前、顧客の59%が電話サポートではすばやい回答を期待すると応えましたが、現在、その割合は66%にまで及んでいます。
結論:勝者は間違いなくオムニチャネル
最近の顧客は、自分が好むチャネルで企業とやり取りしたいと考えており、それがどのチャネルかは、顧客層やその居住地によってさまざまに異なります。オムニチャネル対応のカスタマーサービスを構築すれば、すべての顧客のニーズを満たせます。
たとえば、PC経由の顧客、注文や製品について手早く問い合わせたいと考えている顧客ならWebチャットで、重大な問題を抱えている顧客、出先にいる顧客には電話でと、顧客の状況に適したチャネルで対応できます。
チームによっては、どちらか一方だけを選ぶ方が適しているかもしれませんが、多くの場合は両方のチャネルを提供することが最善の選択肢と言えます。顧客にとってプラスになることは、企業にとってもプラスに働きます。
オムニチャネルサポートを提供しているチームは、一般的に応答が速く、顧客満足度も高いとされています。まさにウィンウィンの関係と言えるでしょう。