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チャットサポートが顧客と企業にもたらすメリット

更新日: 2023年1月5日

チャットは、顧客とパーソナルなつながりを築くのに最適なサポートチャネルです。チャットを使って顧客対応することで、顧客からの問い合わせを先回りで予測して、必要になった時にすぐその場でサポートできるため、Eコマースの売り上げ増加や顧客の待ち時間の短縮にもつながります。

チャットは最も急速に成長しているチャネルの1つでもあります。「Zendeskカスタマーエクスペリエンストレンドレポート2020」によると、チャットを利用するZendesk導入企業の数は、5年前の4倍以上になっています。

この記事では、チャットサポートがカスタマーエクスペリエンスの改善にどう貢献するのか、有識者から見てチャットは、電話などの従来のサポートチャネルよりなぜ優れていると言えるのか、詳しく説明していきます。

チャットサポートとは

チャットサポートは、顧客1人ひとりとリアルタイムでやり取りを進めていくのが特徴で、いくつかの形式があります。たとえば、Eコマースサイトを閲覧していると自動的に表示されるチャットウィンドウもその1つです。最近、ソフトウェアのサイトでも靴のサイトでもどこかのWebサイトを訪問した時のことを思い出してみてください。ヘルプが必要かどうかを確認するチャットウィンドウが表示されませんでしたか? そこをクリックすると、サポート担当者とやり取りを始めることができます。

顧客の方から、自分の必要なタイミングでチャットを開始することも可能です。たとえば、銀行の口座情報をオンラインでチェックしていた時に、不審な取引が見つかったとしましょう。そんな時も、サイト内のわかりやすい位置にチャットウィンドウが配置されていれば、そこをクリックするだけで、サポート担当者にすぐにつながり、個別のサポートを受けることができます。

顧客側のメリット

チャットは顧客から大変人気のあるチャネルです。実際、数年前と比べて、顧客がチャットサポートを利用する頻度は増加傾向にあります。チャットやメッセージアプリは、リアルタイムのやり取りができるため、メールよりもすばやく回答が得られるという点で期待が高まっています。「Zendesk カスタマーエクスペリエンス トレンドレポート2020」によると、顧客の28%が、チャットサポートの場合は5分以内の返信を望むと回答しています。

「チャットなら、リアルタイムでやり取りできる一方で、電話と違っていつ連絡しても不在で話が進まないといった状況を避けられます」こう話すのは、ZendeskのTier 2 テクニカルサポートエンジニアで、チャット対応を主に担当するJon Danielsです。Danielsは、チャットはメールに続く数少ない高帯域幅チャネルだと話します。チャットなら、問題解決までに必要なステップを詳しく調べて、顧客が行うべき作業をリストアップしたり、ヘルプセンターへのリンクを伝えたりと、その場ですぐ解決につなげることが可能です。

通常、チャットウィンドウは、サイト全体を考慮して戦略的に配置されているため、顧客は作業を中断することなく、現在のエクスペリエンスを維持したまま、スムーズにサポートを受けることができます。チャットには他にも、第三者がいる場所でもプライバシーを確保しやすいというメリットがあり、仕事のちょっとした合間に、銀行口座や診療記録にかかわるごく個人的な情報をやり取りすることも可能です。PC版のメッセージアプリを使っている顧客も多いため、使いやすさの面でも心配は要りません。
「顧客もサポート担当者も気軽にコミュニケーションがとれて、問題解決もスムーズに進むというのが強みですね」Danielsは、チャットこそ真にパーソナルなやり取りを実現できるチャネルだと考えています。

企業側のメリット

企業側から見ても、チャットサポートを利用するメリットは数多くあります。ただし、どんな理由でチャットを導入する場合でも、それは企業全体の目標と結びついたものでなければなりません。少なくとも、まずはチャットを導入する目的について社内で合意をとる必要があります。導入目的としては、たとえばカスタマーサービス業務の拡大、サービスレベルアグリーメント(顧客の待ち時間や初回応答時間の短縮など)の達成、顧客の問題の先回り解決、Eコマースサイトでのショッピングカートの離脱率の改善などが考えられるでしょう。

そもそもの目的が何であれ、チャットを適切に導入すると、高い費用対効果を実現できることがわかっています。Forresterのレポート「The Total Economic Impact of Zendesk(Zendesk導入によるコスト面の効果)」によると、チャットは一般的に低コストで利用できるため、サポートチャネルとして導入すれば、企業は長期的にコストを節約できるようになります。

チャットのベストプラクティス

ここまでのセクションでは、顧客と企業から見たチャットサポートのメリットについて説明してきました。以下では、チャットのベストプラクティスをいくつか紹介していきます。

サイト内でのチャットの配置場所、使用方法、提供場面をしっかり検討すれば、ユーザーエクスペリエンスを最適化することができます。実際、チャットウィンドウのポップアップは、顧客のエクスペリエンスを妨げてしまうことも少なくありません。

チャットを導入する前に、人材配置の要件とトレーニングの方法について決めておくことも重要です。たとえば、チャットに対応する担当者は別のチャネルのサポートにも適宜加わる必要があるのか、担当者が達成すべき目標は何かといったことをあらかじめ考えておきましょう。

Danielsによると、チャットは特に、少数の顧客に集中して対応できるような場合に力を発揮します。少人数相手なら、社内外に公開されているヘルプコンテンツを調べるため、少しの間チャットウィンドウを離れ、必要な情報を集めて戻ってくるといった対応もスムーズに行えます。

Danielsが言うように、チャットなら顧客との距離を縮めやすいため、真にパーソナルなやり取りができるようになるでしょう。チャットでの問い合わせ対応では、丁重さと親しみやすさのバランスをうまく保つことが成功の秘訣です。成果主義を強調していてプレッシャーが多いような職場でも、しっかりとしたトレーニングを実施すれば、サポート担当者がそういった良い対応を取れるようになります。Danielsの場合、チャットでの会話が感情的になりすぎたり、パーソナルな領域に踏み込みすぎたりした時には、会話を中断することを推奨しており、それに関するガイドラインも提供しています。これは一例に過ぎず、どのようなアプローチが最も適切であるかは、チームや企業によって異なります。

また、チャットソフトウェアを導入すると、より多くの顧客データを入手できるというメリットもあります。どんなソフトウェアを使うかにもよりますが、多くのチャットソフトウェアは、カスタマージャーニーにおけるさまざまなコンテキスト(文脈や前後関係、背景情報)を提供してくれます。たとえば、顧客がチャットを開始する前にアクセスしていたサイトのURL、使用しているOSやデバイスの種類、サイトの閲覧時間、訪問回数、過去にチャットサポートを利用した回数などを把握できます。Danielsは、過去のチャット記録は貴重な情報源だと話します。彼自身、過去に問い合わせてきたことがある顧客の場合は、まずチャット記録を確認してから対応に取りかかるそうです。

チャットサポートでのAI、チャットボット、セルフサービスの利用

チャットサポートにAIやチャットボットを組み込むと、顧客にもサポート担当者にも大きなメリットがあります。特に、セルフサービスチャネルを併せて利用する場合は、さらに効果的です。

セルフサービスポータルの特長の1つは、単純な問題なら顧客が自分で解決できる点にあります。セルフサービスとチャットサポートを組み合わせれば、各チャネルのメリットが増幅され、カスタマーエクスペリエンスを最適化することができます。1つのやり方としては、たとえば、顧客の問題解決に役立ちそうな記事をAIが判断して、チャットウィンドウ上で記事へのリンクを先回りで提示するといった方法があります。チャットボットが認識できない質問の場合は、サポート担当者にすぐにエスカレーションできるため、心配は要りません。

チャットボットは、特にオーストラリアで高い人気を集めています。「Zendesk カスタマーエクスペリエンス トレンドレポート2020」によると、オーストラリアでは、消費者の45%が、正確な回答が得られるなら人間のサポート担当者よりボットとやり取りしたいと回答しています。AI搭載のチャットボットを利用しているZendesk導入企業の数も、過去2年間で2倍近く増えており、特にBtoC企業ではこの傾向が顕著です。

Danielsも、チャットサポートでFAQページへのリンクを提示することは珍しくないと言います。記事の中に必要な情報が揃っているのであれば、問題解決までのステップを一から説明するより、記事を直接見てもらった方が効率的だからです。ただし、必要に応じて記事の内容を補足できるよう、顧客にリンクを教えた後もチャットで待機しています。

食事の定期宅配サービス「Freshly」は、AI、チャット、セルフサービスの3つをうまく組み合わせて、カスタマーエクスペリエンスを向上させることに成功しました。ほとんどのお問い合わせが、特に人気の高いチャネルであるチャット経由で届いていたことから、セルフサービスとAIを組み込んで最適化したのです。他にもFreshlyでは、ユーザーの質問パターンを精査するソリューションを使って、顧客が実際に使っている自然言語に近づけられるよう、コンテンツの内容を調整する取り組みも行っています。たとえば、「商品がまだ届きません」と「荷物は今どこにありますか」というフレーズは同じヘルプ記事に関連づけられ、顧客がチャットウィンドウでそうした質問を入力し始めると、該当の記事が自動的に表示されるようになっています。

チャットとメッセージアプリの違い

Danielsは、チャットが会話ベースのプラットフォームである点を意識すべきだと述べています。チャットなら、リアルな言葉で気軽にやり取りできるため、顧客もリラックスして会話に臨めます。そのため、チャットで顧客とやり取りする時は、いくつも質問を投げかけられたり、ところどころで絵文字が使われたりすることもあるかもしれません。ここで重要なのは、会話の流れに乗ることであり、四角四面な対応にこだわりすぎてはいけません。これはメッセージアプリについても言えることです。

今日では、WhatsAppやSNSのダイレクトメッセージなどのメッセージアプリも、サポートチャネルとして広く利用されています。そうした中で、チャットとメッセージアプリの違いを理解しておくのは重要なことです。一番の大きな違いは、チャットはセッションベースの同期型のコミュニケーションのため、会話が終わるか問題が解決されると、顧客側では会話の履歴が見られなくなるという点です。しかし、企業側には履歴が残ります。
上でDanielsが述べていたように、過去に何回かやり取りしたことがある顧客とチャットする時は、この会話履歴を確認すると、必要な背景情報を得ることができます。

一方、メッセージは非同期型のコミュニケーションです。第三者のメッセージアプリ内で会話が行われるので、友人や家族とやり取りする場合と同様に、顧客側でも会話の履歴を確認できます。そして、最新のコミュニケーションソフトウェアを使っていれば、サポート担当者側にも過去のあらゆる会話履歴が残ります。

このように、特有のサポート機能を提供してくれるチャットとメッセージアプリは、オムニチャネルサポートに取り入れるのに格好のチャネルです。

チャットサポートを徹底活用

チャットサポートにはメリットが満載です。会話調で親密にやり取りできることはもちろん、顧客がサポートを必要としている時だけでなく、そのタイミングを見越して先回りでサポートを提供できる点も強みです。さらに、上に挙げたFreshlyの事例からもわかるように、セルフサービスのような他のチャネルとうまく組み合わせれば、問題をさらに深堀りすることができます。今後、カスタマーサービス業務を拡大するうえで、チャットは不可欠なチャネルとなっていくに違いありません。

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