カスタマーサービスが生死に関わる問題を扱う機会は少ないかもしれませんが、紛争のある地域や被災地でクライアントにサービスを提供する非営利団体にとって、それは毎日の課題です。 戦争や災害によって避難を余儀なくされた人々は、生存し、適応しながら生活を再建する過程で常に危機的な状況にさらされているというだけではなく、一刻を争うような場面で人生を変える重大な決断をしなければなりません。
人道支援サービスに求められるのは、これらの決断に役立つ情報と必要なリソースを確実に届けること。そしてその際に最も重要なのが、スピードです。
ただし実際、多くの人道支援部門が、信頼性と応答性に優れた情報提供という点で大きな課題を抱えています。 限られた人的資源、プロバイダーに依存したシステム、あるいは構造的な制限により最適化が難しく、汎用性と拡張性が不足しています。
国際救済委員会(International Rescue Committee、以下IRC)は、Zendeskのテクノロジーを活用することで、これらの課題を克服しました。 現在IRCは、先進的な非営利団体としてサービス提供範囲を急速に拡大させ、危機管理の新境地を切り拓いています。
Zendeskで人道支援をスピードアップ
危機的な状況は刻一刻と変化するため、支援の遅れは致命的な結果につながります。
IRCのSignpostプログラムは、コミュニティ主導による即応性の高い情報提供プラットフォームで、世界初の拡張型アプローチを採用しています。 その最初のプロジェクトは、2015年、内戦のシリアを逃れた数千人の難民がギリシャに到着した際に立ち上げられました。
SignpostのディレクターAndre Heller氏は、Zendeskが最近行ったポッドキャストのインタビューで、次のように述べています。「あの状況で支援を拡大させるために、通常なら何千人ものスタッフが必要だったでしょう。 私たちはZendeskのおかげで、少人数で同等の仕事を成し遂げることができました。最終的にギリシャへの難民人口の70%が利用していたことになります。」
Signpostが以前に使用していたシステムには互換性がなく、効果的なコミュニケーションやサービス提供範囲の拡大が困難でした。 そこでIRCは2020年、運用能力を強化するための戦略的取り組みとしてZendeskを採用し、Support、Guide、メッセージング、Sunshine Conversationsプラットフォーム、Assist Liteの導入に至りました。
Zendeskにより、チームはSNSで双方向のコミュニケーションを管理できるようになり、困難な状況にある人々をより効果的に支援できるようになりました。 現在Zendeskは、IRCのオムニチャネルコミュニケーションおよびコンテンツ管理システムの根幹システムとして機能しており、30以上のWebサイトと80以上のSNSチャネルのチケット管理システムをサポートしています。
Zendeskの活用により、現在Signpostは、人道支援が必要とされるあらゆる危機的状況に対し48時間以内に重要なサービスを展開することができます。
Tech for Goodパートナー: ZendeskのイノベーションでAIファーストの未来へ
Signpostプログラムは「Zendesk Tech for Good」のパートナーです。Zendesk Foundationは、IRCにおよそ300万ドルのソフトウェア寄贈と無償支援を行うことで、Signpostプログラムによる人道支援の規模拡大をサポートしています。
「テクノロジーを活用してより拡張性の高いアプローチを実現したいと考え、Zendeskとの協力関係が始まりました。結果としてZendeskは、Signpostプログラムの仕事に画期的な成果をもたらしました」とHeller氏は語り、次のように続けました。 「以前使用していたシステムはメンテナンスが非常に困難で維持費も高く、拡張性がありませんでした。Zendeskはそこに拡張性をもたらしただけではなく、あらゆる面ではるかに優れたユーザーエクスペリエンスを実現してくれました。」
現在Signpostでは、生成AIやAIエージェント向けZendesk QAなど、将来に向けた大胆な新機能の追加を予定しています。
ZendeskはSignpostのほかにも、IRCの5つのプログラムをサポートしており、過去5年間でZendesk Foundationを通じ合計150万ドルの助成金提供と、500万ドル相当の製品無償提供を行なっています。
IRCはアメリカとメキシコの国境にあるPhoenix Migrant Welcome CenterでZendeskのSellおよびExploreを活用し、亡命希望者の受け入れとケース管理を最適化しています。 Zendeskは、避難を余儀なくされた人々が安全な暮らしへの第一歩を踏み出せるよう支援するために、Central American Minors(CAM)、Client Responsiveness Programming、初の試みとして知られるVirtual Reception and Placement(VR&P)およびCenter for Economic Opportunity(CEO)といったIRCのその他のプログラムもサポートしています。
効果を最大化するために: 信頼と実績のパートナーシップ
SignpostはZendeskを活用することにより、たった4年足らずでサポート範囲を3ヶ国から30ヶ国に拡大させました。これは非営利組織としては珍しい、飛躍的な成長です。
また2015年以降、Zendeskソリューションを使用してIRCが命に関わる重要な情報やリソースを提供した避難民や難民の数は、1,640万人にものぼります。 これらの取り組みは28ヶ国、25言語で展開されています。
IRCは、2023年単年だけでも700万人のユーザーをサポートし、Zendeskチケットを通じて20万人のエンドユーザーに支援を提供しています。支援を受けたユーザーの満足度を示すCSATスコアは、5点満点中4.7点という高い評価です。 またIRCのWelcome Centerでは、世界102ヶ国からの避難民や難民の方々にサービスを提供しました。
ZendeskとIRCは2024年、Signpostプロジェクトを通じて社会と緊急対応業務に顕著な功績をもたらしたとして、Engage for Goodの2つのHalo Awardを受賞しました。
「Signpostのようなプロジェクトは他に何千もありますが、それらを効率的に管理し、規模を拡大するためのキットや技術スタックを持ち合わせていません。 私たちがZendeskと一緒に築き上げたものは、世界的に価値が認められるもので、意味のあるソリューションであることの証だと思います」と、Heller氏は述べています。