~顧客ニーズを満たすコンテンツを提供し続けるために~
コンテンツのライフサイクルとナレッジマネジメントを確実に成功に導くために、企業はどのようにエージェントチームを編成し、さまざまなベストプラクティスを取り込むべきなのでしょうか。「最高水準のセルフサービスを提供する方法」をテーマに開催した先日のウェビナー(英語版)終了後、Forrester社のKate Leggett氏にお話を伺いました。
主な内容:
Zendesk:ナレッジに関するエージェントのパフォーマンスについては、どのような評価指標を評価すべきでしょう?
Kate Leggett氏:各エージェントのナレッジの活用や作成、メンテナンスの状況に加え、ナレッジそのものの品質を評価する必要があります。
ナレッジの活用に関する評価指標には、次のような例が挙げられます。
- 解決済チケットの数(リンクされたナレッジを含む):
ナレッジベースまたはエージェントが作成した新しいコンテンツに、既に存在するナレッジである可能性があります。 - 検索アクティビティ:
エージェントが作成した特定のコンテンツでカバーされているトピック領域を検索した数です。エージェントが新しく追加したコンテンツの価値を示します。
ナレッジ作成に関する評価指標には、次のような例が挙げられます。
- ナレッジの作成量:
所定の時間内に作成した記事の件数により、エージェントの生産性を評価します。 - ナレッジの再利用:
特定のエージェントが作成したナレッジを、他のエージェントがどれだけ利用しているかを評価します。
ナレッジのメンテナンスに関する評価指標には、次のような例が挙げられます。
- ナレッジの編集量:
エージェントが編集した、または編集を推奨したナレッジの件数を測定します。ナレッジベースの健全性の担い手であるエージェントが、どれだけプロアクティブな活動をしたかを示します。
ナレッジの品質に関する評価指標には、次のような例が挙げられます。
- ナレッジ品質指数:
エージェントが既定の品質を満たすナレッジをどれだけ適切に作成しているかを評価します。品質を判断する際には、ナレッジが既定のテンプレートに従って正しく構成されているかどうか、有益な内容かどうかといった基準がよく用いられます。 - ナレッジに対するフィードバック:
作成されたナレッジに寄せられたフィードバックの件数を測定します。フィードバックの件数が多い場合は、ナレッジの解決策が不完全または不正確なものである可能性が考えられます。 - 満足度評価:
ナレッジに対する評価(たとえば5つ星による評価)を取得し、そのナレッジを利用した顧客およびエージェントの満足度を測ります。 - コンテンツ修正スコア:
エージェントが作成したナレッジを最適化するために修正すべき範囲を示します。
Zendesk:ところで、ナレッジマネジメントチームは、どのような体制が望ましいですか?
Kate Leggett氏:ナレッジマネジメントプロジェクトを成功させるには、多くの役割を分担する必要があります。ただし、ナレッジマネジメントプログラムの複雑さや、実装するワークフローのタイプによっては、必要な役割は変化します。プロジェクトに必要な主な役割には、次のようなものがあります。
1. ナレッジマネジメント最高責任者/サポートまたはナレッジ責任者
ナレッジマネジメントの役割を統轄し、その戦略を承認。ナレッジマネジメントプログラムの資金調達と人員配置を担当します。
2. セルフサービスビジネスオーナー
Webやモバイルのカスタマーエクスペリエンスを担当。ナレッジベースオーナーと密接に連携し、セルフサービスを通じて顧客がナレッジベースのコンテンツにアクセスできるようにします。
3. ナレッジベースオーナー
ナレッジマネジメントプログラムの戦略的実行の責任者として、以下のようなタスクを遂行します。
ナレッジベースの分類法を定義:
コンテンツスタンダード(テンプレート、タグ、音声)
ナレッジマネジメントのオーサリングおよびパブリケーションプロセス
このポジションでは、コンテンツが事前定義されたプロセスを介して作成および確認できるようにすることで、ナレッジベース全体の健全性を管理します。また、セルフサービスビジネスオーナーと密接に連携し、セルフサービスを通じてナレッジベースのコンテンツにアクセスできるようにします。
4. カテゴリオーナー
ナレッジベース内の特定のカテゴリを担当します。ナレッジワーカーや特定のトピック分野のスキルを持ったエージェントが望まれます。
5. ナレッジワーカー
ナレッジベースのコンテンツを作成します。カスタマーサービスのエージェントと兼任することも、エージェントの仕事のひとつとしてタスク化することもできます。
6. ナレッジ編集者
表示と使いやすさに重点を置いて、コンテンツを修正します。あくまでもオプション的な役割なので、KCS(ナレッジセンターサービス)などのソーシャルナレッジプログラムが実装されている場合は不要になります。
7. 対話型デザイナー
顧客向けの対話を設計し、ナレッジベースの関連記事にリンクさせ、自動応答用の対話型インターフェイスで使用できるようにします。
8. ナレッジベース管理者
ナレッジベースの展開・保守を担当する技術職です。
Zendesk:それでは、ナレッジマネジメントチームには、どのようなスキルが望まれますか?
Kate Leggett氏:役割に応じて、必要とされるスキルの種類は異なります。役割ごとに見ていきましょう。
1. ナレッジマネジメント最高責任者/サポートまたはナレッジ責任者
予算とリソースを担当します。いわゆる基幹業務です。例として、カスタマーサービス担当、カスタマーエクスペリエンス担当、オペレーション担当などのVPなどが挙げられます。
2. セルフサービスビジネスオーナー
これも基幹業務的な役割です。プロジェクト管理、人員管理の能力だけでなく、マーケティング的な洞察力も必要です。
3. ナレッジベースオーナー
優れたプロジェクト管理スキルを持ち、ナレッジベースの内容を十分理解していることが求められます。コミュニケーション能力に優れ、組織の枠を越えて能力を発揮します。
4. カテゴリオーナー
自分のコンテンツカテゴリに関連するトピックについて専門知識を持っています。文章力と組織力に優れていることが望ましいでしょう。
5. ナレッジワーカー
優れたテクニカルライティングスキルと、特定分野に関する豊富な知識を有しています。
6. ナレッジ編集者
優れた執筆および編集スキルだけでなく、顧客向けの適切なコンテンツについて深く理解しています。
7. 対話型デザイナー
優れた執筆および編集スキルに加え、自然な対話のセンスが求められます。
8. ナレッジベース管理者
ベンダーのナレッジソースを維持するために必要なスキルと専門知識を持つ技術者です。
Zendesk:コンテンツを最新の状態に保つためのコンテンツライフサイクルのベストプラクティスには、どのようなものがありますか?
Kate Leggett氏:ナレッジマネジメントにおいて、コンテンツを最新の状態に保つことは最も重要なポイントの1つです。セルフサービスを顧客またはエージェントが使用するかどうかにかかわらず、コンテンツはユーザーのニーズを満たすものであり続けなければなりません。コンテンツを最新状態に維持できないと、次のような不都合が生じます。
顧客がセルフサービスで解答を見つけられないためにカスタマーサービスへの問い合わせが増え、結果的に運用コストの増大と顧客満足度の低下を招きます。
エージェントが的確なコンテンツにアクセスできない場合は、問題解決に時間がかかり、顧客満足度が低下します。また、業界標準化とされているコンテンツが利用できないとなれば、業界あるいは社内規則へのコンプライアンス準拠も維持できなくなります。
ナレッジマネジメントへの取り組みを計画するうえで重要なのは、エージェント向けコンテンツと顧客向けセルフサービスコンテンツのライフサイクルの管理方法を決定することです。併せて、コンテンツの作成、再加工、レビュー、公開の承認を許可するユーザーロールや、コンテンツ作成に使用するオーサリングワークフローを決定する必要もあります。
一般的には、次の2つのワークフローが主に使用されます。
- 従来型ワークフロー
既定の手順に従ってコンテンツの作成、レビュー、公開が行われる。
- KCSなどのソーシャル型ワークフロー
全エージェントがコンテンツの作成とメンテナンスに総体的な責任を持つ。
いずれのワークフローにおいても、顧客のニーズに合ったコンテンツを作成するためのベストプラクティスとして、次の方法が有効です。
定期的にレポートの作成と分析を行い、ナレッジベースの健全性と改善箇所を把握します。そのうえで、使用されていないコンテンツはアーカイブし、評価の低いコンテンツは修正し、最もよく使用されているコンテンツはレビューをしてより完成度の高いものに仕上げます。また、ナレッジベースの検索結果に表示されなかったコンテンツは新規に作成します。
ナレッジベース内のコンテンツにアクセスするすべての顧客またはエージェントに、コンテンツの評価とフィードバックをしてもらい、ナレッジベースの健全性を改善するために活用します。
一部のエージェントには、間違った内容を修正したり、公開されたコンテンツをリアルタイムに改善したりする権限を付与し、より最適なコンテンツを提供できるようにします。
コンテンツの有効期限を設定し、ナレッジベース内のすべてのコンテンツを定期的に見直すようにします。
高度なナレッジマネジメントについて詳しくお知りになりたい方は、ウェビナー(英語版)にご参加ください。