総務、経理、人事、労務、法務、社内ヘルプデスクなどのバックオフィス部門は、社内からの問い合わせを多く受けています。最近の人材の流動化や働き方の多様化の進展でさらに問い合わせは増加し、対応に要する負荷を軽減しないと本来業務の遂行に影響が出る可能性があります。
企業の問題意識も高く「月刊総務」の調査によると、企業の20.3%が「社内問い合わせ対応」、18.6%が「電話・受付」をデジタル化で効率化したいと考えています。社内問い合わせ業務の効率化に必要なツールの種類と選び方について解説します。
社内問い合わせ業務を効率化できるツールの選び方
ツール導入にはコストが発生します。また、ツールによって機能に差があり効率化する目的によっては機能が不足することも考えられます。最適なツールを失敗しないで選ぶ方法について紹介します。
ツールの導入目的を明確にする
ツールを選ぶ前に導入目的を明確にする必要があります。まず社内の問い合わせ対応業務において、効率の悪い原因が「問い合わせ管理」「FAQの整備」「社員や他部門との連携」など、どこにもっともあるかの調査が必要です。そのうえで原因を効果的に解決できる機能が備わっているツールを選びます。
費用対効果を比較検討する
導入に必要なコストと期待できる効率化や対応品質の向上効果を比較検討します。コストについてはイニシャル費用、ランニングコストなどトータルコストを取りこぼさず比較することが重要です。
効果についてはツール導入前なので比較が難しい部分もありますが、例えば現状の問い合わせの対応時間や問い合わせ件数を数値化し、ツール導入後の目標数値を設定して検討します。この目標数値は導入後のPDCAサイクルを回して効率化をさらに高めるときにも役立ちます。
また、バックオフィス部門内だけの効果だけでなく、効率化できたことで問い合わせする部門の効果(メリット)も加味しなければなりません。問い合わせを受ける部門だけが効率化できて問い合わせする部門が非効率になってはツール導入が失敗に終わる可能性があります。
また、従業員がスムーズに業務に集中できる環境を整備できれば、従業員全体の生産性が向上し、事業にさらなるプラスの効果をもたらすでしょう。段階的に利用できる拡張性を確認する
効率化の目的が最初は、例えば社内FAQの作成・充実だけであっても、将来的な計画がある場合、導入したツールの拡張性がどこまであるかが重要です。例えば将来的には実現したい以下の計画があるときは、その計画を実現できる機能が段階的に拡張できることが必要です。
・電話やメールなど、既存チャネルからの問い合わせを一元管理
・問い合わせ対応を効率化する回答テンプレートの整備
・問い合わせ数を削減するためのFAQの構築
・問い合わせを自動化するためのチャットボットの連携
・外部ツールとの連携や多言語対応などベンダー企業のサポート体制を確認する
ツールの導入は、バックオフィス部門の業務を効率化するために行います。ツールの導入やツールの不明点や不具合が発生したときにツールを開発・提供するベンダーから迅速にサポートを受けられなければ、かえって業務が多忙になり本末転倒の結果になってしまいます。検討するときは、ベンダーだけでなくパートナー企業のサポート体制や、サポートにかかる費用の検討も必要です。
セキュリティの強度を確認する
システムの主な利用者や取り扱う情報は従業員ですが、もちろん従業員の情報も個人情報であり、業務に関する機密事項をやり取りすることも出てくることでしょう。そのため、セキュリティ体制が万全かを確認する必要があります。
また、セキュリティルールやそのルールを評価する仕組み「ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)」に関する国際規格の「ISO27001」に準拠しているかも確認しておきましょう。社員にとって使いやすいか確認する
ツールがいくら高機能であっても社員にとって使いやすくなければ利用されません。無料トライアルができるツールを利用すれば、使い勝手の確認が事前にできます。ツールは問い合わせを受ける部門だけでなく、する部門も使用するので、両方の部門で実際に使って確認しましょう。無料トライアルができないツールを導入するときは慎重な検討が必要です。
バックオフィスの業務効率化を支援するソフトウェアZendeskは実際に製品を試せる無料トライアルをご用意しております。ぜひお気軽にお試しください。
Zendeskでバックオフィス業務を効率化
社内問い合わせ業務の効率化に役立つツールの種類
社内問い合わせ業務を効率化できるツールは大きくわけると、「問い合わせ管理・対応の効率化」と「問い合わせ件数削減による効率化」に分けられます。
効率的な問い合わせ対応を支援するツール
主な機能として以下を備えています。
問い合わせの一元管理
社内の従業員はメールや社内コミュニケーションツール、導入していればWebチャットなど、様々なチャネルからバックオフィス部門に問い合わせをします。1つの管理画面から様々なチャネルからの問い合わせを一元管理できれば、それぞれのツールにログインする手間なくスムーズに問い合わせ対応ができます。未対応、解決済みなど、各問い合わせをステータスで管理できるツールだと、対応漏れ、二重対応を防ぐことができます。
Zendeskの問い合わせ管理画面問い合わせフォームの作成
従業員が問い合わせをするフォームを作成して、社内に周知しましょう。こうすることにより、担当者に個別で質問をすることを防ぐことができます。問い合わせフォームに質問のカテゴリーを入れて、表示する項目を動的に変化させたり、担当する部門が自動的に問い合わせにアサインされるようにできます。回答テンプレートの作成、呼び出し
特定の問い合わせ内容に対する回答テンプレート(定型文)をあらかじめ作成しておき、サポート担当者がテンプレートの中から適切な回答パターンを選択できるようしておくと、同じ問題を抱えている顧客に個別に回答文を作成する必要がなくなり、時間と手間が大きく削減されます。また、回答内容が均一化されるため、従業員の質や熟練度によって回答品質に差が出ることもなくなります。
Zendeskの回答テンプレートの作成例対応履歴の記録や情報共有
過去の対応履歴などがシステムに記録されていれば、同じ問い合わせが来たときに参考にでき、対応スピードの向上と対応内容の均一化が図れます。また、契約書の確認など、複数の部署が関与する問い合わせが発生した際にスムーズに情報共有ができたり、回答につなげられたりする仕組みもあるとよいでしょう。
問い合わせ件数を削減する効率化ツール
主な機能として以下を備えています。
FAQサイトを簡単に作成
問い合わせ件数を削減するためには、質の高いFAQサイトを作ることが大切です。そのため、一元管理された問い合わせや回答に関する情報の中から、プログラミング知識がない人でも、簡単に質の高いFAQを作成できる機能が必要です。ブログ記事を書くようにFAQの記事を見たまま作成できるツールを選びましょう。
Zendeskで作成した社内向けFAQの例作ったFAQを問い合わせ対応に活用
FAQは従業員が自ら調べて問題を解決する自己解決に役立つだけではありません。サポート担当者が問い合わせの文章に問題解決に役立つFAQ記事のリンクを貼る、記事内容を返信をする際の参考にするなど、問い合わせ対応の際にFAQのコンテンツを活用すれば、対応時間の削減や応対品質の均一化にも効果をもたらします。ツールを選定する際は、使いやすいFAQを作れるかに加えて、問い合わせ管理とどのように連携しているかにも着目しましょう。問い合わせ内容やFAQの利用状況の分析
FAQは公開して終わりではなく、データ分析により有効性を把握し日々ブラッシュアップしていくことが大切です。FAQページのアクセス数や解決率など、分析機能も備わったツールを活用して、PDCAを回しながら、FAQの精度を高めていきましょう。FAQと連携したチャットボットの導入
FAQと連携したチャットボットがあれば、従業員がボットに対して質問した内容に応じて、ボットが解決につながるFAQ記事を自動でサジェストしてくれるなどしてくれ、人間の担当者の手間を省くことができます。AIを搭載したボットであれば、ユーザーからのフィードバックをもとに学習し、データの蓄積に応じて回答の精度を高めていくこともできます。
問い合わせ業務の効率化を考える際は、まずは問い合わせ管理や対応をいかに効率よく行うかから入ることも重要ですが、FAQやボットにも目を向けて、長期的にどのようなサポート体制を構築したいかをイメージして、拡張可能なツールを選定するようにしましょう。
Zendeskのボットがユーザーの質問に自動で対応 (ZendeskのAI搭載型ボットAnswer Bot)
社内問い合わせ業務の効率化に成功した企業の事例
Zendeskは世界10万社以上が利用するカスタマーサービスプラットフォームです。問い合わせ管理、FAQサイトの作成、ボットの導入、パソコンからの電話対応の実現など、社内問い合わせ業務の効率化を実現できる豊富な機能を備えています。Zendeskを利用して社内問い合わせ業務を効率化した事例を紹介します。
株式会社サイバーエージェントの事例「複雑な要件にも柔軟に対応しつつ シンプルに使い続けるために あるべき姿とのギャップを検証し継続的な改善を可能に」
株式会社サイバーエージェントは、インターネット領域で時代の変化に合わせたさまざまな事業を展開する企業です。同社は、技術本部が社内ヘルプデスクの役割を担い、WordPressベースで自社開発したヘルプセンターを利用していました。しかし、開発環境に関わる多様な申請をフォーム経由で受け付ける機能と、申請に関連するドキュメントの管理機能を別々のサーバー上で管理していたため、障害復旧などの手間や管理画面の使いづらさが課題になっていました。
そこでZendeskを導入し、2,000名近い社内エンジニアを対象としたヘルプセンターを刷新。Zendeskには専用サービスならではの豊富な機能があり、欲しい機能をほぼ網羅していました。さらに同社では思い付けない機能、思い付いても開発工数から開発できない機能が搭載されています。それらの機能を活用してドキュメントやステータスの一元管理、エージェントとのグループ分けによるコミュニケーションの効率化など、多くの場面で格段に工数が減少する効果が得られています。
【Zendesk導入事例】
株式会社サイバーエージェント
社内問い合わせ業務の効率化はツールの導入が決め手
働き方の多様化・人材の流動化は、バックオフィス部門への社内から問い合わせを増加させています。また、バックオフィス部門自体も人員削減で少数の社員や経験・知識の少ない社員で問い合わせに対応しなければならなくなっています。
その結果、問い合わせ対応業務の負荷が重くなって、バックオフィス部門が本来行うべき業務への支障が懸念される状況です。この課題の解決には最適なツールを選び、導入して問い合わせ対応業務の効率化を進めることが必要です。